ヘパイスに転生してTSアフロディと仲良くなった   作:あっかーまん

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すこし書き溜めてますが、今回は短いです。


天ノ使FC vs. エリュシオンSC

U-12全日本サッカー選手権の2回戦、天ノ使FCの次なる対戦相手は「エリュシオンSC」。

 

ギリシャ神話の楽園「エリュシオン」にちなんで名づけられたこのチームは、関東地区で絶大な実力を誇るクラブだ。

その中でもエースストライカーである出右手 豊(デメテ ユタカ)の存在は、特に注目を集めていた。

 

 

 

試合前にエリュシオンSCの試合映像を見た天ノ使FCのメンバーたちは、出右手の独特なプレースタイルに驚かされた。

 

彼は頭にギリシャ風の甲冑を模したヘルメットを被り、ピッチを縦横無尽に駆け回る。そして、まるで地面そのものを操るかのように、ボールが彼の意図通りに転がり、跳ね、滑り込む。

 

「どうしてあんな正確に地形を読んでプレーできるんだ…?」

映像を見ながら軽部が呟くと、監督が補足した。

 

「彼の特技は地形の正確な把握だ。地面の起伏、芝の状態、ボールの軌道を一瞬で読み取り、それを計算に入れてプレーしている。これがデメテルの異名を持つ理由だ」

 

「…面白いじゃん」

箕田がにやりと笑うが、戒は厳しい表情で言った。

 

「面白いなんて言ってられないわよ。アイツが本気を出したら、普通の守備じゃ止められないわ」

 

キャプテンのカオルが静かに頷いた。

「デメテルは確かに強敵だ。でも、僕たちだって進化している。この試合でそれを証明しよう」

 

ーーーーー試合開始

 

試合当日、会場には多くの観客が詰めかけていた。エリュシオンSCのユニフォームは緑と金を基調にしたデザインで、自然と豊穣をイメージさせるものだった。対する天ノ使FCの選手たちは、気合いを入れてウォーミングアップを行う。

 

ピッチに整列したとき、天ノ使FCの選手たちはデメテルを一目で見つけた。彼は小柄ながらも存在感があり、ピッチの中央に立ってまるでそこが自分の領域であるかのような雰囲気を纏っていた。

 

「よろしくお願いします」

試合前の握手の際、炎はデメテルの手を握った。その手は驚くほど冷たく、それでいて力強かった。

 

 

 

 

試合が始まると、エリュシオンSCは序盤からデメテルを中心に攻撃を展開した。彼は正確なトラップとパスでボールを自在に操り、味方に完璧なタイミングでボールを供給する。

 

そのたびに天ノ使FCの守備陣は翻弄され、危機的な状況に陥った。

 

前半15分、デメテルは中央からボールを受け取ると、スルスルと相手DFをかわしてペナルティエリアに侵入した。

「ここは通さない!」

軽部が体を張ってデメテルを止めようとするが、彼は地面のわずかな傾斜を利用してボールを弾ませ、軽部の足元をすり抜けていく。

 

「ハーベスト・エッジ!」

デメテルが放ったシュートは地面を低く這うように進み、ゴールネットを揺らした。

 

「くっ…!なによ今のシュートは…」

戒が悔しそうに呟く。

 

 

前半を0-1で折り返した天ノ使FCのベンチには、静かな緊張が漂っていた。しかし、カオルは微笑みながらみんなを見回す。

「まだ1点だ。僕たちが諦めない限り、逆転はできる」

 

監督も力強く頷いた。

「相手の地形を活かしたプレーに惑わされるな。お前たち自身のサッカーをすれば、必ず勝てる!」

 

後半開始早々、天ノ使FCは攻撃のギアを一段上げた。

 

カオルと箕田がスピードを活かしてサイドを突破し、愛音や識野が中盤で素早くボールを回す。エリュシオンSCの守備陣も徐々に疲れを見せ始めた。

 

そして後半20分、箕田がデメテルからボールを奪い、即座にカオルへとパスを繋ぐ。カオルはデメテルの存在を感じながらも、冷静にゴール右隅を狙ったシュートを放つ。

 

そのボールがゴールネットを揺らし、1-1の同点となる。

 

試合終了間際、再びデメテルがボールを持ち、天ノ使FCのゴールに迫る。

「絶対に止める!」

炎と軽部が連携してデメテルの進路を塞ぐが、彼は巧みに体を捻り、ボールをサイドへ流す。

 

「トラップだ!」

炎が即座にその動きに反応し、体ごとボールに突っ込む。勢いに押されたデメテルは初めてボールを失った。

 

「カオル、頼む!」

炎からのボールを受けたカオルはそのまま全速力で相手ゴールへ向かい、ラストシュートを放った。

 

「ゴール!」

ボールはゴール右上隅に突き刺さり、試合終了のホイッスルが鳴る。

 

 

2-1での劇的な逆転勝利に、天ノ使FCの選手たちは歓喜に沸いた。

 

試合後、炎はデメテルに近づき、手を差し出した。

「また戦おうぜ。次はもっと強くなったお前に会いたい」

 

デメテルは静かにその手を握り返し、短く答えた。

「次は勝つ。必ずな」

 

こうして天ノ使FCはさらなる高みへと進む一歩を踏み出した。

しかし、選手たちは知っていた。この勝利は次なる戦いの始まりに過ぎないことを。

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