ヘパイスに転生してTSアフロディと仲良くなった 作:あっかーまん
U-12全日本サッカー選手権の4回戦を終えた天ノ使FCは、次なる戦いに備えながら、日々の練習に励んでいた。だがその中にも、子どもらしい日常が垣間見える瞬間がある。
その日の練習後、愛音はいつも通り片付けを終えると、グラウンドの端で黙々とボールを蹴っている戒を見つけた。
「ねぇ戒、ちょっといい?」
声をかけると、戒は一瞬キョトンとした表情を浮かべたものの、すぐにボールを止めてこちらを向いた。
「…なに?愛音」
「ちょっと女子トークしない?」
「女子トーク?」
眉をひそめる戒の表情に、愛音は小さく笑った。
「まぁまぁ、あっちで座って話そうよ」
愛音はグラウンドの端にある小さなベンチを指差し、戸惑う戒を引っ張っていく。
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「で、なに話すのよ?」
ベンチに腰掛けた戒が、不機嫌そうに腕を組む。
「そんなに身構えなくてもいいじゃん。ただ、戒ってさ…いつも練習熱心で、あんまりこうやってゆっくり話すことないなって思ってさ」
「……別に練習が終われば話す時間なんていくらでもあるでしょ」
「ふふ、素直じゃないなぁ」
愛音は小さく笑いながら、ボールを足元で転がす。
「ところでさ、カオルのことなんだけど」
そう切り出すと、戒の肩がピクリと動いた。
「な、なによ急に!?カオルがどうしたっていうの?」
「別にー。ただ、カオルっていつも戒のこと気にかけてるよね。何かあるたびに『戒は大丈夫かな』とか、『戒には無理させられないな』とか言ってさ」
「べ、別に普通でしょ!キャプテンなんだから、チームのみんなを気にかけるのは当たり前じゃない!」
戒は少し早口になりながら言い返した。
「うんうん、それもそうなんだけど…どうして戒のことだけ特別優しいのかな~?」
愛音は意地悪そうに微笑む。
「そ、そんなの知らないわよ!」
顔を赤くしながらそっぽを向く戒。愛音はその様子を見て、確信した。
「実はさ、みんなも気づいてるよ。戒とカオルって、両思いだよね」
愛音の言葉に、戒は完全に固まった。
「り、両思い!?何言ってんのよ、そんなわけないでしょ!」
戒は慌てて否定するが、その動揺ぶりがむしろ怪しい。
「ふふ、他のみんなも言ってたよ。箕田なんて『あの2人、もうくっつけばいいのに』って言ってたし、軽部も『まぁ、見てればわかるよな』って呟いてた」
「そ、そんなの気のせいよ!みんな勝手なこと言ってるだけ!」
戒は必死に否定するが、耳まで真っ赤になっている。
「でもさ、戒がカオルのこと信頼してるのは間違いないよね?」
「……それは、キャプテンだからよ。カオルは頼りになるし、チームのことをちゃんと考えてるし…」
戸惑いながらも素直に答える戒。その表情から、少しずつ本音が漏れ始める。
「じゃあ、もしカオルが戒のこと好きだったらどうする?」
「そ、それは…そんなの知らない!」
戒は目をそらしながら叫んだ。
「そっか~、じゃあもしカオルが他の女の子に告白されたらどうする?」
「……絶対許さない」
思わず口をついて出た言葉に、戒自身が驚いたように目を見開いた。
愛音はその答えを聞いて、満足そうに笑う。
「だよね。戒もちゃんと自分の気持ちに気づいた方がいいよ」
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その頃、グラウンドではカオルが軽部とパス練習をしていた。遠くから戒と愛音の会話を見つめる箕田が、にやにやと笑いながらカオルに声をかける。
「なぁカオル、お前あっちで戒が愛音に何話されてるか気になんねぇの?」
「え?何か話してるの?」
とぼけるカオルだが、軽部は鋭く突っ込む。
「いやいや、見てるだろ、さっきからチラチラと」
「そ、そんなことないよ!2人が仲良くしてるのは良いことだと思って見てただけだよ!」
カオルの動揺が伝わると、軽部と箕田は顔を見合わせて笑った。
「まったく、天然の王子様は困るぜ。俺だったらもっとガツンといくけどな」
箕田が豪快に笑い飛ばすと、軽部も肩をすくめる。
「ま、あの2人は時間の問題だろうな」
カオルはそれ以上何も言わず、軽くため息をついた。
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「戒、ありがとうね。話してくれて」
「別に…こんなのトークって言うの?」
最後まで戒は恥ずかしそうだったが、どこかホッとしたような表情を浮かべていた。
「戒も素直になった方がいいと思うよ。カオルに伝えたいことがあるなら、ちゃんと伝えた方がいい」
「……考えておくわ」
小さく呟いた戒の声は、愛音にもしっかりと届いていた。
「よし、じゃあ私たちも練習に戻ろっか!」
立ち上がる愛音に続いて、戒も立ち上がった。
心の中で何かが少し変わったような気がしていた。
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練習終わりの夕暮れ。
チームメイトたちは片付けを終え、各々リラックスした空気の中で談笑していた。戒と愛音が女子トークに花を咲かせている一方で、炎は軽部、箕田、手瀬、射矢須、識野といった仲間たちと輪になり、ベンチで軽口を叩き合っていた。
「しかしさー、戒とカオルのやつ、ホント進展しねぇよな!」
箕田が笑いながら話題を振ると、射矢須がすかさず歌うように口を挟む。
「もーどーかーしーいー♪ 2人とも全然素直じゃなーい♪」
「お前が歌にしてどうすんだよ!」
軽部が苦笑しながら射矢須を軽く小突く。
「まぁまぁ、でもいいじゃないか。みんな気づいてるけど、当人たちはこれからだろ」
識野がのんびりとした口調でまとめる。
炎は笑いながらも、少し気まずそうに周りの様子を見ていた。恋愛の話は苦手だったからだ。
その空気を察したのか、軽部がニヤリと笑いながら炎を指差す。
「そういや炎、お前にはそういう話ないのか?誰か気になってる子とかさ」
「へっ?」
炎は予想外の質問に完全に固まった。
「いやいや、部灰がそんな話するわけねぇだろ!サッカー一筋の男だぜ!」
箕田が豪快に笑うが、軽部は引き下がらない。
「それがな、炎ってこう見えて繊細だからな。もしかしてさ、他の誰かが気になってたりするんじゃないの~?」
「いやいやいや!全然そんなことないって!」
炎は必死に否定するが、軽部の目が怪しく輝く。
「ふぅーん。じゃあさ、照美ってどうなんだよ?」
「!!?」
照美の名前を出された瞬間、炎は思わず声を詰まらせた。その反応を見逃すほど軽部たちは鈍くない。
「あ、怪しいなこれ~!」
箕田がニヤニヤしながら肘で炎をつつく。
「ちょっと、やめろって!」
炎は顔を赤らめながら必死に抵抗するが、周りの好奇の目がそれを許さない。
「おーい炎、正直に言えよ。照美って誰なんだ?」
手瀬が興味津々な様子で炎に詰め寄る。
「照美は…その、ただの友達だよ!昔一緒にサッカーしてただけ!」
炎は焦りながら答えるが、その表情はどう見ても隠し事をしている。
「ただの友達ねぇ?」
軽部が怪訝そうに目を細める。
「昔一緒にサッカーしてたってことは、もしかしてその子がきっかけで炎はサッカー始めたとか?」
識野が推測を立てると、炎は思わず沈黙してしまった。
その沈黙が答えだと察した一同は、一気に盛り上がる。
「マジか!照美って炎の人生の原点じゃん!」
箕田が声を上げる。
「それで今でも照美のことが忘れられない、と」
軽部が確信をつくように言うと、炎は慌てて否定した。
「ち、違うって!照美とはただの幼馴染で、サッカー仲間なんだってば!それだけ!」
必死に否定する炎だが、その様子を見たチームメイトたちはますますニヤニヤする。
「でもさ、炎が照美の名前出されて焦るってことは、特別な存在なんじゃねぇの?」
箕田がニヤリと笑う。
「……まぁ、特別っていうか、昔から大事な友達ではあるよ」
炎は小さな声で呟いた。
「ほら、やっぱり特別じゃん!」
軽部が声を上げると、炎は少しだけ肩を落とした。
「照美には…すごく助けられてたんだよ。俺がサッカー始めたのも、あいつがいたからだし。たぶん、あいつがいなかったら俺、サッカーなんてしてなかったと思う」
炎の言葉に、一同は少し驚いた表情を浮かべた。
「へぇ、そんな大事な人なのか。そりゃ忘れられねぇよな」
箕田がしみじみと言う。
「でも照美って、今どこにいるんだ?」
射矢須が尋ねると、炎は少しだけ寂しそうな笑みを浮かべた。
「今は韓国だよ。親の都合で引っ越して、それ以来会ってない」
「そっか。でもまた会えるかもしれないじゃん?」
手瀬がポジティブに言うと、炎は少しだけ前を向いた。
「……そうだな。俺がもっと強くなれば、きっとまたどこかで会えるはずだ。だから、今はとにかくサッカー頑張るだけだよ」
その言葉を聞いて、仲間たちは真剣な顔でうなずいた。
「照美に負けないように強くなれよ、炎」
軽部が肩を叩くと、炎は照れ臭そうに笑った。
「ありがとう、みんな。でも、こういう話はもう終わり!練習の話しようぜ!」
そう言って立ち上がった炎に、仲間たちは笑いながらついて行った。
その日、グラウンドにはいつもと同じ賑やかな声が響いていた。けれど、炎の胸の内には照美との再会への強い想いが刻まれていた。
「照美、俺も負けないよ。次に会うときは、もっと強い自分でいるから」
心の中でそう呟きながら、炎は再び練習に戻っていった。
あと数話分書き溜めあります
勢いで書いていきます