ヘパイスに転生してTSアフロディと仲良くなった 作:あっかーまん
試合後、俺たちは疲れ切った体を癒すため、監督が手配してくれた近くのスーパー銭湯へと向かった。暖簾をくぐると、ほのかに漂う湯の香りが体中の緊張を一気にほぐしてくれる気がした。
「いやー、こういうのいいよな!」
箕田が声を弾ませる。
「最高だな、こういう時間も」
俺もそう思いながら、浴場に向かう。湯気の立ち込める広い風呂場に足を踏み入れると、箕田が真っ先に湯船に飛び込んだ。
「おいおい、もっと静かに入れよ」
青蓮が苦笑しながら肩をすくめる。
「なんだよ、こういうのは豪快に行ったほうがいいんだって!」
箕田は豪快に笑いながら、湯の中で大きく手を広げた。
湯船に全員が揃うと、自然と試合の話題になった。箕田が大きな声で笑いながら振り返る。
「いやー、俺たちマジで最高だよな!あのラストのゴールとか、俺が繋いだからこそだろ?」
「いいから黙ってリラックスしなさいよ、箕田!」
反対側の壁越しに聞こえる戒の声に、俺たちは思わず吹き出した。
「戒、相変わらずだな…」
青蓮がぼそりと呟くと、箕田がニヤリと笑う。
「いやいや、戒だって湯に浸かればちょっとはおとなしくなるだろ?」
「それはどうかな」
俺がそう返すと、全員が笑い声を上げた。
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戒と愛音は、男子メンバーが脱衣所に向かうのを見送ると女子更衣室へと向かった。
「いやー、試合の疲れが半端ないよね!でも、お風呂にゆっくり浸かってしっかり癒そうね!」
愛音が明るく話しかけるが、戒は鏡の前で髪を結び直しながら小さくため息をついた。
「…ねえ、愛音。こういうのって、みんなで来る意味ってあるのかしら?」
戒は、少し不機嫌そうにそう言ったが、愛音は戒の顔を見てにやりと笑った。
「あるに決まってるじゃん!みんなでお風呂入るのも楽しいし、それに…湯上がり美人作戦を決行する絶好のチャンスだし!」
「湯上がり美人作戦?」
戒は愛音の言葉に眉をひそめる。
「そうだよ!試合後でみんな疲れてるから、湯上がりのほわほわっとした雰囲気でカオル君をドキッとさせるっていう作戦!どう?最高でしょ?」
「…何それ?別にそんなこと、私には関係ないわ」
戒は冷たく言い放ちながらも、どこか耳まで赤く染まっているのを隠そうと髪をいじり始めた。
「はいはい、そう言うと思ってたけどね〜。
でもねぇ、戒ちゃん、せっかくのチャンスなんだから少しは頑張ってみよーよ!」
愛音は戒の手からゴムを取り上げると、手際よく戒の髪を下ろした。
「ほら、こうやって髪を下ろして、普段と雰囲気を変えるだけでもすごい効果あるんだから!」
鏡越しに見える自分の姿に、戒は少し驚いた。いつもの纏められた髪ではなく、解いた髪が肩にふんわりとかかることで、確かに柔らかな印象になっている。
「…でも、私にはこういうの似合わないし」
照れくさそうに言う戒に、愛音は満面の笑みを浮かべた。
「似合うに決まってるじゃん!普段キリッとしてる分、このギャップが重要なの!」
愛音は力説しながら、戒の肩を叩いた。
「それに、カオル君、いつも戒ちゃんのこと見てるよ?」
「えっ…?」
戒は思わず愛音の顔を見つめた。その言葉が嘘ではないかと感じたのか、目をそらしながら小さな声で答えた。
「…そんなわけないじゃない」
「本当だってば!男子って、こういうギャップに弱いんだから。やるだけやってみなよ!」
愛音に押し切られる形で、戒は髪を下ろしたまま着替えを済ませることになった。
「…ほんと、愛音って余計なことしかしないわね」
「はいはい、どういたしまして♪」
湯上がり美人作戦はこうして密かに計画され、実行に移されるのだった。
ーーー
湯上がり、俺たちはロビーで女子メンバーを待つことにした。のんびりと座ってジュースを飲みながら談笑していると、ついに戒と愛音が姿を現した。
「おまたせー!」
愛音が軽快な声で手を振りながら歩いてくる。その隣には髪を下ろした戒の姿があった。
普段はきっちりとまとめている髪を下ろした戒は、柔らかな雰囲気を纏い、普段とはまるで印象が違った。俺たちはそのギャップに一瞬言葉を失った。
「…」
「…おい、何か言えよ」
俺が箕田を小突くと、彼はあたふたしながら口を開く。
「え、いや、その…愛音、なんかすごい可愛いな」
愛音は一瞬驚いた顔をした後、にやりと笑った。
「ありがとう!箕田君も案外素直じゃん」
「なっ、いや、別にそういうんじゃなくて!」
箕田が慌てて弁解しようとするが、愛音はもうその反応を楽しんでいる様子だった。
「へー、箕田君、私のこと可愛いって思ってたんだ〜?」
「だ、だから違うって言ってんだろ!」
そんな箕田と愛音のやり取りを見て、戒がため息をついた。
「本当、湯上がりにこういう雰囲気はやめてほしいんだけど…」
「戒も、湯上がりの姿がすごく綺麗だよ」
不意に、カオルが口を開いた。その声に、俺たちは一瞬で静まり返った。
「えっ…?」
戒がぽつりと呟く。その頬が一気に赤く染まるのが見えた。
「い、いや、その…褒めたつもりだったんだけど…変な意味じゃないから!」
カオルが焦りながら手を振ると、愛音がニヤニヤした顔で口を挟んだ。
「へー、変な意味じゃないんだ〜。でも、ちゃんと戒ちゃんのこと綺麗だって思ったんでしょ?」
「だから、そういうことじゃなくて!」
カオルは顔を赤くしながら否定するが、愛音の口元はますます楽しげな笑みを浮かべていた。
戒は照れ隠しなのか、愛音の肩を軽く小突いた。
「愛音、いい加減にしなさいよ!」
「いやいや〜、照れてる戒ちゃんのほうがレアで可愛いからね〜♪」
「もう、やめてって言ってるでしょ!」
戒がますます頬を赤らめているのを見て、俺たちは抑えきれずに笑い声を上げた。
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そんなやり取りをしている中で、俺はふと思った。
(こうやってみんなと笑い合える時間って、本当に大切だよな)
俺たちはこの一歩一歩を踏みしめながら進んでいる。そして、この時間もまた、俺たちの絆を強める一つの瞬間だ。
(照美、俺はもっと強くなる。そして、またお前とサッカーをする日を楽しみにしてるよ――)
次は決勝戦だ。俺たちの挑戦は、まだ終わらない。
ありがとうございました