ヘパイスに転生してTSアフロディと仲良くなった   作:あっかーまん

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決勝、アルテミスFC

 

決勝の相手が「アルテミスFC」と発表された夜、天ノ使FCの会議室はいつになく緊張感に包まれていた。

モニターには、アルテミスFCの試合映像が映し出されている。

 

「…なるほどね、これが“鉄壁の要塞”か」

炎が腕を組みながら呟いた。

 

映像の中では、月城 冥夜を中心としたアルテミスFCの選手たちが、連携の取れた守備で敵の攻撃を完全に封じ込めている。

 

「全然隙が見当たらないわね」

戒もモニターを睨みながら、冷静な声で言う。

 

監督が映像を一時停止し、月城 冥夜がゴール前で指示を出しているシーンを指差した。

 

「この選手が月城 冥夜。守備を仕切っているのは彼だ。彼がいる限り、アルテミスFCの守備は崩れないと思え」

 

「でも、その冥夜ってやつ、ただの守備だけじゃないんだよな」

箕田が口を開く。

 

監督が頷き、映像を進めると、月城が正確なロングパスを前線へ送るシーンが映った。

 

「そうだ。彼は守備だけでなく、攻撃の起点にもなる。ゴール前でのロングボールやスルーパスで、白峰 天翔に繋げるのがアルテミスFCの必勝パターンだ」

 

「白峰…こいつが相手のエースだね」

愛音が試合映像の中で躍動する白峰の姿を見つける。

 

彼は長身ながらもスピードがあり、正確なシュートを次々とゴールに叩き込んでいた。

 

「スターライトブレイク…すごい威力」

カオルが小さく呟く。

 

白峰の放つシュートは、閃光のようにゴールネットを突き刺している。

 

「この二人をどう抑えるか。それが今回の鍵だ」

監督がそう言うと、全員が息を呑んだ。

 

 

「守備はどうする?」

炎が声を上げると、青蓮が静かに答えた。

 

「月城のロングパスを潰せば、白峰への供給が減る。そこが一つの狙いどころだと思う」

 

「でも、それだけじゃ甘いわ」

戒が冷静に指摘する。

「白峰は月城以外からもボールを受け取れる。

 

彼自身がスペースを作る動きが巧みだから、完全に抑えるのは難しい」

 

「俺が白峰を潰す!」

箕田が拳を握り締めながら叫ぶが、炎が彼を制した。

 

「落ち着け、箕田。一人で行くのは危険だ。白峰は裏を取るのが上手い。連携を強化して、チーム全体で抑えないと」

 

「それならさ、攻撃で相手を圧倒するのはどう?」

愛音が笑顔で提案する。

 

「アルテミスFCの守備が固いなら、その外から崩していくとか。カオルのディバインアローなら遠くからでもゴールを狙えるし!」

 

「愛音、いい考えだね!」

カオルが笑顔で応える。

 

「僕のシュートだけじゃなく、みんなの連携でゴールを狙おう!」

 

「「「おー!」」」

いい雰囲気のまま、決勝前のミーティングは終わった。

 

---

 

決勝当日。

 

天ノ使FCの選手たちは、緊張と期待が入り混じる中、バスに乗り込んだ。

 

外の景色がどんどんスタジアムへ近づくにつれ、車内の空気もピリついていく。

 

愛音は窓の外を見つめながら、そわそわと足を動かしていた。

「…なんか、緊張するね。決勝だもんね」

 

「当たり前でしょ。こんな舞台、そう何度も立てるわけじゃないんだから」

戒が言うものの、彼女の手も微かに震えていた。

 

後ろの席では箕田が座席に頭を叩きつけながら、声を出す。

「おいおい、俺たち負けたらどうすんだよ。相手、めっちゃ強いんだぜ?」

 

「箕田、黙れ!余計に不安になる!」

木舞が怒鳴ると、炎が苦笑いしながら宥める。

「まあまあ、箕田のいつもの口だけだって」

 

そんな中、カオルが立ち上がり、全員を見回した。

「みんな、聞いて!」

 

車内のざわめきが止まり、全員がカオルに注目する。

 

「決勝だからって特別なことはしなくていい。僕たちがここまで来られたのは、自分たちのサッカーをしてきたからだよね?」

 

カオルの言葉に、みんなが頷く。

 

「アルテミスFCは強い。でも、僕たちだってここまで勝ち上がってきたチームだ。自信を持って、自分たちのサッカーをしよう!」

 

カオルの言葉に、車内の空気が一気に変わった。緊張が解け、全員の表情に自信が戻ってきた。

 

「よっしゃ、やるぞ!」

箕田が拳を上げ、全員が声を合わせて叫ぶ。

 

「うおおおおお!!!」

 

スタジアムに近づくバスの中、天ノ使FCの選手たちは団結力を強め、決勝の舞台へ向かっていた。

 

---

 

 

 

 

U-12全日本サッカー選手権の決勝戦。

会場はスタジアムに詰めかけた観客の熱気で溢れていた。

 

対戦相手は、全国屈指の強豪「アルテミスFC」。彼らの守備力は「鉄壁の要塞」と称され、どのチームもその堅い守備を崩すことができずに敗北してきた。

 

さらに、エースストライカーの白峰天翔のスピードと正確無比なシュートが加わり、アルテミスFCは盤石の強さを誇っていた。

 

 

 

試合前、控室で準備を整えていた俺たちは、緊張感をほぐすためにそれぞれリラックスの時間を取っていた。

 

俺とカオルはトイレに行くため、廊下を歩いていた。その途中、奇妙な声が聞こえてくる。

 

「ふふ…今日も月が美しく輝いている。月の女神よ、この地を我らに導きたまえ――」

 

声のする方を見ると、壁に片肩を預け、やたらと難しいポーズを決めている選手がいた。

 

彼は黒髪をきっちり整え、鋭い目でこちらを見つめている。

 

「…お前、もしかしてアルテミスFCのキャプテンか?」俺が声をかけると、彼はゆっくりと振り返った。

 

「その通りだ。我が名は月城冥夜。月の女神に仕えし“影の騎士”――貴様らにとっては、今日の最大の壁となるだろう」

 

(うわ、本当に噂通りの“厨二病”キャラだな…)

 

「えっと…よろしくお願いします」

カオルが少し戸惑いながら挨拶すると、月城は堂々と胸を張る。

 

「よろしく頼む、波久奴カオル。そしてお前――部灰炎か」

月城が俺の名前を知っていることに驚く。

 

「俺たちを完全に調査してるみたいだな」俺がそう言うと、月城は微笑む。

 

「当然だ。お前たちがどんな技を繰り出しても、この“ルナティックシールド”が全て無に返すだろう。そして――」

 

その時、遠くからアルテミスFCの選手が月城を呼ぶ声が聞こえた。

 

「月城!また一人でポーズ決めてるのかよ、早く戻って来いって!」

ツッコミを入れながら現れたのは、エースストライカーの白峰天翔だった。

 

「うるさい!この儀式は必要不可欠なのだ!」月城が語気を荒げるが、白峰はまるで聞いていない。

 

「悪いな、天ノ使の二人。こいつ、普段からこんな調子なんだ。いやマジでめんどくさいよな!」

白峰は俺たちに軽く頭を下げると、月城を引っ張っていった。

 

(キャプテンとエース、性格正反対すぎないか?)俺たちは苦笑いしながら控室に戻った。

 

---

 

 

 

試合が始まると、アルテミスFCはその堅牢な守備を存分に見せつけてきた。

 

「くっ、全然隙がない!」

カオルがドリブルで仕掛けても、月城を中心にした守備陣が壁のように立ちはだかる。

 

彼らの組織的なディフェンスは驚異的だった。

 

「ルナティックシールド!ここは通させない!」

月城の声が響き、カオルの突破は防がれる。

 

「おい月城、そんな名前叫ぶ暇あるなら早くクリアしろよ!」

後方から白峰がツッコミを入れる。

 

「うるさい!これは重要なプロセスだ!」

 

---

 

月城がボールを奪うと、素早く白峰へとパスが送られる。

 

「行くぞ!」

白峰はその長身を活かしたスピードで一気に前線に駆け上がる。

 

「くっ、速い…!」

俺と軽部がなんとか追いつこうとするが、白峰のステップが予想以上に速い。

 

「これで決めてやる!」

「スターライトブレイク!」

 

白峰が放ったシュートは鋭い閃光のようにゴールを目指したが――

 

「チェイン・オブ・ヘブン!」

戒の鉄壁のセーブが炸裂し、ボールを弾き返す。

 

「ナイスセーブ、戒!」

 

「当たり前でしょ!」戒が少し得意げに言うが、白峰がピッチの向こうから声を張り上げた。

 

「くっそ!お前らのキーパー、めちゃくちゃ反応いいじゃん!冗談じゃないぞ!」

 

白峰の文句混じりの声に、俺たちは思わず苦笑してしまう。

 

---

 

 

前半は一進一退の攻防が続き、スコアレスのまま終了した。

 

「やっぱり簡単にはいかないね…」

ベンチに戻ったカオルが息を整えながら呟く。

 

「でも、奴らだって疲れてきてるはずだ」俺はそう言いながら月城と白峰の姿を見つめた。

 

「後半はもっとギアを上げるしかないわね」戒が冷静に分析する。

 

カオルがチーム全員を見回し、明るく言った。

「みんな、大丈夫。後半は僕たちのペースで行こう!」

 

みんな頷き、気合いを入れ直した。次は、後半戦の勝負だ――。

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