組織を無事壊滅させ、新一が元の姿を取り戻したのは彼が18歳、高3の1月のことだった。
少し前に高校を退学し、高卒認定試験に合格していた新一は流石の頭脳と言うべきか、わずか1ヶ月の受験勉強で見事、日本最高峰の東都大学に現役合格した。
上京してきた服部平次や、白馬探を始めとする探偵仲間や自身と瓜二つのかつての宿敵などの友達だけでなく、恋人の蘭とも共にキャンパスライフを謳歌していた新一だったが、2年生に上がったころから蘭とすれ違いが生じるようになってきていた。
事件の度約束を守れない新一に蘭は苛立ち、新一は理解が得られないことに苛立った。
相棒であり共に元の姿にもどった志保に相談する内、彼は恋人が彼女のようであればいいのに、と思うようになり、やがて蘭に対し既に恋愛感情はなく、志保を愛していることに気がついた新一は蘭と別れることを決めた。
泣いて縋られ引き留められ、さっぱりとうまくは行かなかったものの結果的に蘭と別れることに成功した新一は、ロマンチストだったあまり、どこで、どのタイミングで相棒に告白しようか色々なパターンを考えていた。考えすぎていた。
志保への想いを自覚して一月ほど、ある日自宅の玄関を開けた新一は、車で阿笠邸へと送ってきた降谷と志保の影が重なったのを、見た。
志保は車が去った後、新一に気づいた。
「昨日言われた資料なら調べ終わったけど…上がってくわよね?」
「…いまのって」
「…恋人になってくれないかって言われたの。
驚いたけれど、私でいいのかって…。でも、零さんは…」
頬を染めて男を名前で呼ぶ志保に、新一は全身から力が抜けそうだった。
それ以上志保の言うことは耳に入らず、動揺をなんとか隠して「良かったな。」と返した新一は自分の家へと逃げるように帰った。
それからの新一は、日々を鬱々と送っていた。夜も眠れず、隈を変装に使う化粧で隠していた。
女優の息子である新一は演技力も当然のように高く、それを周囲の人間に悟らせないことは容易だった。
こういう時、数少ない自分の演技を見抜き、何かあったと察することができるのは両親と相棒だけであり、両親は日本におらず志保は恋人とのことで毎日が幸せ一杯で、新一の些細な変化になど気づきはしなかった。
そんな折だった。
事件の調査の一環で訪れたいわゆる〝ホテル街〟で、虚ろな目をした真純を見かけたのは。
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次回は真純についてです。説明じみていてあまり文章が美しくない‥