「工藤君!工藤君!」
身体をゆすられて、新一は目を覚ました。
やはり、ソファで寝たにも関わらず、いつもと違いよく眠れた。
「昨日は本当にごめん。」
新一が起きあがるなり真純は頭を下げた。
「いや、いいよ。オレも電話もらうまで全然眠れなかったんだけど、ここ来たら寝れた。」
「でも、本当に、一昨日だって助けてもらったのに‥ごめん。」
「うなされてたんだろ?」
「‥うん。夢の中で、ママも、秀兄も、吉兄も、みんなボクの声なんか聞こえなくて、どんどん置いていっちゃうんだ。
誰が助けて、って思ったんだけど、友達にも言えないし、家族にも電話できなくて、そしたら、工藤君が浮かんだんだ。
それで、思わず電話しちゃったんだ。ごめん。」
いつもの彼女らしくない、言葉を探しながら紡ぐような話し方に、新一は胸が痛んだ。
「謝んな。寧ろそういう時はちゃんと助けてって、誰かに言え。他にいないなら勿論オレでもいいから。」
「うん‥」
「工藤邸(うち)に来るか?」
「え?」
それは、毎日、これからも魘されるであろう真純に何かできないかと考えた新一がつい、口に出した考えだった。
「あ、いや‥変な意味じゃなく、オレも毎日寝れてなかったけど世良が家にいた時眠れたし、世良もその方が魘されず眠れるみたいだし、だったら同じ家で寝れたらって思ったんだけど、世良の家(ここ)だと部屋が無いから、オレん家の方が一昨日みたいに鍵かけられる部屋とかあっていいんじゃないか、って‥いや、勿論嫌だったらそうしないけど‥」
話していく内、真純を怯えさせた男と同じようなことを言っているのではないかと気づき段々と尻すぼみになっていく新一とは対象に、真純の顔は輝いていた。
「名案だ!っでも、そこまでお世話になっていいのか‥?」
「どうせ部屋余ってるしオレは構わねーよ。オレの為でもあるしな。」
「じゃあ、お言葉に甘えさせてもらうよ。
ここには寝に帰ってきてただけだし、家族以外の誰にもここの住所教えてないしな。
元々、ホテルを転々としてた時の習慣のままここには大きいものは大して置いてないから、引っ越すのは簡単だよ。」
「わかった。世良の部屋は一昨日寝た所でもいいか?あそこなら結構広いし、うちの中で唯一鍵かけられる部屋だから。」
「うん。ありがとう。
じゃあ、そうと決まったら早速荷物をまとめるよ。」
「オレも手伝うよ。」
「じゃあ、そっちの–––」
こうして、2人は安眠のためにルームシェアを始めた。