不死川実弥には心残りがあった、確かに望みであった鬼の始祖は倒す事が出来た。だが護れなかった命があった自身の母親、弟妹達、そして散って逝った仲間達。
(自分は不幸だとは思った事はねぇ、でももしやり直しが出来るなら………何て馬鹿な話しはねぇよな)
こうして不死川実弥の生涯は幕を閉じた。
「ねぇ!兄ちゃん!兄ちゃん!もう昼だよ?起きてよ!」
誰かが自分を呼んでいる。幼い子供が兄と呼んでいた実弥には聞き覚えのある声だった。
(いやいやある訳がねぇだろぉ、玄弥は死んだ筈だぁでも)
実弥は目を覚まし身体を起こすと其処には、幼い玄弥がいた泣きながら玄弥を抱き締めた。
「うわぁ!玄弥!玄弥!すまねぇ!俺が俺が!」
急に兄が泣き始めるもんだから玄弥は慌てふためく、丁度其処にあの屑の父親が現れる。
「うるさいぞ!実弥!玄弥!」
その瞬間、実弥は無惨を倒し自身が臨死状態の時、父親と対峙したのを思い出した。
「てめぇがうるせぇんだぁ!糞がぁ!」
全集中の呼吸を使い父親の顔面に飛び蹴りを喰らわせ、父親は壁に飛ばされ気絶する。
「兄ちゃん…………」
「はぁはぁはぁはぁ、安心しろぉ玄弥今度こそ兄ちゃんが護ってやるからなぁ」
父親は眼を覚まし、逃げる様に家から飛び出しその後何者かに殺された実弥にとってはどうでもよかった。
「兄ちゃんが突然泣き始めるし、父さんを蹴っ飛ばすしびっくりしたよ」
皆で夜飯を、食べながら昼起きた出来事を弟妹や母親に話す。
「玄弥ぁ、そんなに喋んじゃねぇよ恥ずかしいだろうがぁ」
他の弟妹達は凄い兄ちゃんと言っているが母である志津は。
「実弥あんたいつからそんな口調になったんだい?それに私の顔を見ようともしないし」
ギクリとしたが上手く誤魔化す。
「ずっとこんな口調だろぉ…………………」
ずっとこの喋り方をして人生の大半を生きてきたので今更前の様には喋れないそれに自分は逆行している何て言える訳もない。
「そうかい、さぁ皆食べたら早く寝ようね」
皆が寝しずまっても実弥は眠れないので一人庭先に出ていた。
(皆が生きてるって事は間違いなく俺は過去に戻ってるって事かぁ、なら今この瞬間にも鬼に殺されている人達がいるんだよな)
「何かあったのかい?実弥?」
眠れないでいる息子が心配になったのか志津が家から出てくる。
「母さん……別に考え事をしてただけだぁ」
「そう、何か悩みがあるんなら母ちゃんに話してくれるかい?」
「今度、話す」
実弥はそう告げ家へと入った。
次の日から実弥は空いた時間に全集中の呼吸を維持する為に鍛えまくった。身体がまだ呼吸を維持する事が出来ないからこそ壱から鍛えた。
その辺にいた隊士から日輪刀を盗み、型の訓練も取り入れていき幼いながらも一年死ぬ気で修行した結果十二歳の時点で柱に近い実力を身につける事が出来た。
そしてあの夜が来る。実弥は今日がその日だと本能的に理解した母親は仕事に行ったのを確認し玄弥に弟妹達を任せ後をつける。
(今度こそ必ず護ってやるからなぁ)
前日に今日は仕事を休んでほしいと頼んだが、案の定聞き入れてはもらえなかった。そして日が沈む。
志津は帰る準備を終え、裏手から出ると。
「ほう、稀血の人間か此処まで強い匂いは初めてだな、お前なら鬼に出来るかもな」
洋風の服を着た男が志津に向かって歩いて近付く。
「何なんですか……………貴方は………」
「騒ぐな、今私の血を与えてやろう」
男は腕を触手に変化させ志津に向かって放つが、その場から志津は消える。
「鬼狩りだと?まさか私に勘付いたのか?」
後方にいる、志津ともう一人に話しかける。志津は横抱きされている。
「実弥あんた」
「母さんは振り返らずに走って家に戻れぇ」
実弥は志津を家に帰るように促す。が息子を置いてはいけないと抗議する。
「いいから戻れぇ!死にてぇのかぁ!!」
其処にいたのは自身が知っている息子ではなかった。
「わかったよ」
志津はこの場を去ろうとするが。
「逃がすと思うか?」
男は触手を志津に向かって放つが。実弥は刀は敢えて抜かずに鞘で弾くが自身は後方へ飛ばされる。
「させるかぁ!鬼舞辻無惨!!」
「何故、私の名を知っている」
「よぉく知ってる、てめぇをぶち殺したくて仕方がなかったんだぁ!」
実弥は以前、上弦の壱と対峙した時に発現した痣の状態を思い出す。身体の温度と脈が人の限界を超える。
「貴様その痣は」
「行くぜぇ!風の呼吸、壱の型、塵旋風・削ぎ」
無惨が一瞬考えこんだ隙に実弥は壱の型を使い、無惨ではなく土煙をたてる為に放つ。
(痣者…………此処で長引くのは避けたい所、逃げるか)
無惨は面倒事は嫌いな為、逃げようとするが。
「風の呼吸、捌の型、初烈風斬り!」
鋭い一太刀を背後から放ち。右腕を斬り落とす。
「斬り落とすだと?」
無惨は困惑した、自身の腕が斬り落とされた事に。そして実弥の持っている刀を見ると。赤くなっていた。
(あれは?まさかあの男と同じ刀だと?)
「どんどん行くぜぇ!風の呼吸……」
無惨は逃げに専念し、千八百個に分裂する。
「なっ………糞がぁ!逃げんじゃねぇ!!!!」
実弥は叫ぶが無惨はこの場にはいなかった。
「あのカスがぁ!それにあからさまに手を抜きやがってぇ………だが今は母さんだ」
急ぎ実弥は、家へと戻る。
「ただいま」
実弥はこそっと家の引き戸を開けると。其処には完全に怒っている表情をした志津が仁王立ちしていた。
「おかえりなさい、私怒っているわその理由がわかる?実弥?」
母親の威圧感に負けた実弥は正座をする。
「別に俺はぁ、俺の護りてぇもん護ろうとしただけだぁ」
パチーん、と家中に音が響く。実弥は、は?といった表情をする。
「確かに私は貴方に助けられた……でもそれで実弥が死んだら意味がないじゃない!親である私が子供を命を賭してでも護らないといけないのに!」
「母さんは、護ってくれたじゃねぇか、あの糞親父から。だから今度は俺が護る番だと思った」
「実弥………やっと私の顔を見てくれたね、いつの間にかこんなに立派になって、知らなかったよあんたがこんなに強いなんて」
「別に俺は強くはねぇよ」
実弥は志津に褒められ、俯いていると隣の部屋から玄弥が。
「兄ちゃんは強いよ!それに俺知ってるんだ!一人で特訓してたのも!兄ちゃんは俺達の自慢の兄ちゃんだよ!」
そうだ!そうだ!と他の弟妹達が後から言う。
「お前ら、何なんだよ糞がぁ…………涙が止まらねぇじゃねぇか」
「実弥、ありがとね」
「うん」
実弥は自分の家族を護る事が出来た、そして夜は明ける。その次の日の朝鬼殺隊の隊士が訪ねて来た。俺はその人物を知っている。
「嗚呼では君が一人で、無惨と対峙したと言うのか」
「嫌殆ど闘ってはいませんよ、ただ腕を斬り落としたくらいですかね」
「…………不死川実弥よ、君は見た所、全集中常中も会得していると見たどうだろう鬼殺隊に入らないか?」
この言葉を聞き、志津は動揺するが。
「俺からお願いしたいと思っていました」
「実弥…………悲鳴嶋さん私は貴方にお任せします」
「母さん」
丁度其処へ玄弥や弟妹達が。
「何処かへ行っちゃうの兄ちゃん」
「行かなきゃならねぇ、玄弥ぁその間はお前が皆を護れいいなぁ?」
「わかったよ兄ちゃん」
実弥は次行われる最終選別を受ける。志津、玄弥達は鬼殺隊管轄の治療院で保護される事になった。
次回、最終選別編。
こちらは更新が遅いです。