「マジかよ……」
1人の少年が教室の机に突っ伏してそう呟いた。
時間はちょうどお昼休みで教室の中には生徒はほとんど居らず閑散としており、代わりに外からはたくさんの子供の遊ぶ声が聞こえてくる。
「なんでまた小学生からやり直さないといけないんだよ。」
少年はそのまま体勢でそう続けた。
少年の名は天海 悠 (あまみゆう) ここ私立聖祥大附属小学校3年生である。
先程の発言はこの少年天海悠があまりに出来が悪く小学生をやり直しているから出た台詞、というわけでは無く、彼には一度小学生時代を過ごした記憶があったから出たものだ。
「まさか自分が転生するだなんて思ってもみなかったな。いや、この場合は転生なのか、それともタイムリープってやつなのか?」
彼がこの状況に陥ったのは今朝の話だ。それまで彼は普通の中学生だった。
聖祥大附属小学校を卒業し、中学も二年生に上がり中二病をこじらせ始めた頃、朝目が覚めると自分の身体が小学生の姿に戻っていたのである。身体が小さくなってしまったと驚く彼はその日の新聞、ニュースを見てさらに驚く事となった。
「身体が小さくなった訳じゃ無くて過去に戻ってきたなんて最初は信じられなかったな……けど原因は何だったんだろ?まぁ考えても分かるわけないか……今はこの状況を生かして前の人生より上手く立ち回ってやるか。」
そう考えた彼は早速他の者と比べアドバンテージのある未来の知識を使って色々画策することにした。
「といっても出来ることなんて殆んど無いよな〜。勉強面でのアドバンテージも中学に入ったらみんなと変わらないし……出来る事といえば中学生を経験した俺の大人の魅力で女子達のハートを鷲掴み、くらいだな。」
そこまで考えた所で彼はある3人を思い出した。
「今の時代ならあの3人が同じクラスだな。あの子達のハートを鷲掴み……したところで別にそこまで嬉しくも無いな。ぶっちゃけあの頃は可愛いとは思ってたけど恋愛対象に見ていた訳でもなかったし……てか俺って中二にもなって初恋すらまだじゃん。」
あの3人とは高町なのは、アリサ・バニングス、月村すずかの3人の美少女である。彼女達は悠の同級生であり、その可愛さ故に男子からの物凄い人気を集める学校のアイドル的存在なのである。
「よく考えたら前の人生に不満があった訳でもなかったし、とりあえずは中学が別になって遊べなくなるやつと今の内にいっぱい遊ぶかー。」
割と能天気な考えの彼は今日が彼の人生を以前の平凡な人生かそれとも壮絶な日々を送る人生になるかを決定する運命の日であることなど知る由もなく、気の向くままに、適当に1日を過ごすことにした。