魔法少女リリカルなのはX〜クロス〜   作:ざわわ

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とても久しぶりの投稿となります。
数少ない読書様の中にも恐らく覚えている方はいらっしゃらないでしょう。
作者自身も殆ど覚えていないのですから。


第十話 届け!友を救う星雲鎖

完全に直撃のタイミングでなのはに振り落とされた大鎌に鎖が巻きついていた。

 

「くっ、この鎖は何っ⁈…………えっ?」

 

今の一撃でなのはを撃墜するつもりであった黒装束の少女は、予期せぬ妨害に驚きを隠せなかった。

乱れた心情のまま鎖の先を見ると、先ほど超高速の魔力弾を放った少年が立っていた。ただその姿は先ほど迄の白銀の鎧を纏った姿はではなく、乙女の純潔さを印象づけるような軽装のオペラピンクの鎧を纏った姿であった。

 

「この鎖は……って何だこの格好⁈女みたいじゃねぇか!何だってこんな格好になっちまってんだ⁈こんなのクラスのみんなにバレたらもう学校に行けねぇよ!」

 

黒装束の少女に遅れて自らの姿を確認した悠は鎧が変化したことより、女性が身に付けるような形状をしていることに戸惑った。

 

「だ、大丈夫なの。悠くん結構似合ってるの!すっごく可愛いの!」

 

「バリアジャケットが変化するだなんて……しかも魔力の質や色も変わってる。こんなの聞いたことがない…。悠、やっぱり君のデバイスは……。」

 

「ちょっと!それフォローになってないから!似合ってるとか寧ろ傷つくわ!」

 

ユーノはあまりに特異な悠のデバイスに驚き、デバイスの正体を考察する。先ほど迄大ピンチであったなのはも悠の姿に驚いたが、以外にも似合っているので冷静に感想を口にした。

 

「ちくしょー!もうヤケだ……ぅおぉりゃあぁぁーーっ‼︎」

 

「ッ‼︎」

 

悠は魔力を込めて手に持った鎖を思い切り引っ張った。その力は凄まじく、黒装束の少女は地面に直滑降させられそうになったが、鎖の巻き付いたデバイスを待機状態にすることで拘束を解き地面に激突することを避けた。

 

「何で姿が変わったのか知らないけど、空を飛べないなら結局邪魔はできない。」

 

<protection>「キャッ⁈悠くんの姿を見てたらまたまた大ピンチなの〜。」

 

「俺の所為かよ⁈ってギャグかましてる場合じゃねぇぞ!はぁ〜、ペガサス流星拳!……って出ないーっ‼︎」

 

「ゆ、悠くんも、ふざけてる場合じゃ、ないのー!わわっ⁈」

 

黒装束の少女は待機状態にしたデバイスを即座に起動し、なのはに再度攻撃を仕掛けた。何とかレイジングハートの防御魔法が守ってくれているが、それにも限界があり窮地であることは間違いない。

 

「なんで出ないんだよ⁈俺の流星拳!困った時は…ユーノ!わかるか?」

 

「う、うん。悠は今バリアジャケットだけじゃなく、魔力の質そのものも変わっているんだ。いや、悠のデバイスは何故か杖等の媒介を持ってないからデバイス自体も別物になってるのかも……。」

 

「何だそりゃ⁈つまりどうすりゃ流星拳を撃てるんだ?」

 

「多分その姿じゃ撃てないと思う……。全く違うタイプのデバイスで同じ魔法を使うのは今の悠には……。」

 

「じゃあこの鎖を使うしか無いってことか。あんな高さまで届くのかよ……。ってそんな事言ってる場合じゃないな。」

 

既になのはは追い詰められており、撃墜されるのに時間はかかりそうになかった。やはり魔法に出会って一週間にも満たないなのはと、恐らく長きに渡り魔法に接してきたであろう黒装束の少女では経験に差があり過ぎた。もし後一週間でも魔法の練習をしていれば、少しくらいは反撃できたかもしれないが、最早どうしようもない。なのは達にできることといえば2人と1匹で協力することくらいであった。

 

「うりゃぁ!届けー!ってやっぱり無理か……。」

 

悠は大きく振りかぶって鎖を空に投げたが、10歳に満たない悠の力では上空30m程の高さにいるなのは達には届きようがなかった。

 

「まだだ!悠!鎖に魔力を込めて!」

 

「任せろぃ!うおおぉーーっ‼︎俺の魔力よ!高まれ‼︎」

 

悠が鎖に魔力を込めるとまるで生きているかのように鎖は黒装束の少女に向かって加速していった。

 

「遅い……。」

 

しかし、そのスピードは先ほどの流星拳より遥かに遅く難なく回避されてしまう。

 

「まだだ!喰らえーーっ!ネビュラチェーン!」

 

「何っ⁉︎」<protection>

 

黒装束の少女は完璧に鎖を回避した筈であったが、何と鎖は更に勢いを増しながら方向転換してきた。幸い彼女のインテリジェントデバイス、バルディッシュの防御魔法が間に合ったが激しく火花を散らし、今にも突き破ってきそうだった。堪らず黒装束の少女は高速で退避するが、鎖は執拗に彼女に向かってきた。

 

「何て誘導性能だ……。まだ魔法を使い始めたばかりなのにこのコントロール……悠、やっぱり君のデバイスはとんでもないロストロギアなのかもしれない。……ってうわぁ⁈」

 

「悠くん凄いの…。あの子を追い詰めてる。……あっ‼︎」

 

「どうやらこの鎖はとんでもない誘導性能らしいな……。このまま次元の彼方まで追いかけてやるぜ!……ん?急に暗くなっ……ギャーッ‼︎」

 

「にゃー」

 

このまま勝利を掴めるかと思った悠であったが、運悪く巨大猫が目を覚まし悠の持つ鎖が目に入った。猫の持つ習性、更に好奇心旺盛な子猫であることから悠の手元で動き回る鎖に飛びかかるまで時間はかからなかった。

 

「くっ⁈今ならっ!」

 

「あっ!待って!」

 

悠が押し潰されてるうちに黒装束の少女は猫に接近、そのままジュエルシードを封印した。

 

「私の目的はあくまでジュエルシード……。傷付けてゴメンね…。」

 

「待って!話を聞いて!」

 

少し遅れてなのはも悠の元にたどり着いた。

 

「あなたでは私を止められない。」

 

「わたしはなのは。そっちの子は悠くん。せめて名前だけでも聞かせて欲しいの。」

 

ジュエルシードを封印し、早々に立ち去ろうとした黒装束の少女になのはは名前だけでも聞くことにした。なのはは自分ではこの少女を止められないと分かっていた為、ジュエルシードとは別の目的、黒装束の少女の事を知ろうとした。

しかし黒装束の少女は答えず、空へと飛んで行ってしまった。だがなのはとすれ違う際に

 

「………フェイト。」

 

聞き取れるか取れないかの声を発し、空へと消えていった。

 

「フェイトちゃん……かぁ。今度はしっかりお話しできたらいいなぁ。」

 

「悠!しっかりして!大丈夫⁈」

 

既に小さくなった子猫を背中に乗せたまま気を失っている悠に、ユーノが必死に声をかけているのに気付き、なのはも悠の元へ向かった。

 

 

 

 

ーーーーーその日の夜、悠達は念話にて今日の出来事について話合っていた。

 

『やっぱりドロップキックにしとくべきだったか……。』

 

『そういう問題じゃないと思うの…。』

 

暫くして目を覚ました悠はアリサとすずかの元へ戻ったが、その際に何故これ程時間がかかったのか尋問されることとなった。しかし時間も時間だった為早々に切り上げられ解放され帰宅を許されたのだが、帰り際に

 

「あんた来週の月曜日覚えときなさいよ。絶対ホントの事を吐いてもらうんだから。」

 

「えー、だから猫にローリングソバットもらって気絶してたって言ってんじゃん。」

 

「天海くん、それはちょっと無理があるんじゃ……。」

 

といったやり取りがあったのだ。

 

次の日から週末に入る為、次回学校で会う時に尋問を約束されたのである。悠は家に帰ってからなのはとユーノと対策会議を行う事をお願いしていた。

 

『そんなことより悠、なのは、今日会った女の子の事だけど……。』

 

『フェイトちゃんのことだよね。すっごく強くて、哀しい目をしていて……でもきっと優しい子だと思うの!』

 

『あぁ、優しいことは間違いない。実は俺が猫に潰された時に小さい声だが、傷付けてゴメン、って言ってんだ。戦った俺にまでそんな感情を持つ子だ。優しい子に違いねぇ。』

 

『『………』』

 

ユーノとなのははその言葉は猫に対してのものだと確信していた。なぜならフェイトは1度たりとも悠に攻撃などしていないのだから。

 

『(言わない方がいいよね…。)次にフェイトちゃんに会ったらきちんとお話ししたいの。』

 

『そうだな、もしかしたら協力できるかもしれないし。』

 

『それじゃあフェイトって子の事は話を聞くって事にして、悠のデバイスについての話に移ろう。』

 

『ああそうだ。ユーノ、バリアジャケットだがペガサスクロス、アンドロメダクロスのどちらもセットアップできたぜ。』

 

ユーノは悠にすずかの家から帰ったらペガサスクロス、アンドロメダクロスの両方をセットアップできるか試してもらうように頼んでいた。悠のデバイス、セイントクロスが変化したのか、それとも形態が増えたのか確認をする為だった。

 

『それじゃあ悠のデバイスはセットアップできる形態が増えた訳だね。近接モード、射撃モード位の変化は聞いたことがあるけど全く違う性質に形態を変えるデバイスは聞いたことが無い。悠のデバイスはやっぱりロストロギアかもしれない……。』

 

『えっ⁈それじゃあ管理局ってとこに預けないといけないのか⁈それはちょっと勘弁して欲しいぜ。』

 

『最終的には管理局の判断になるから断言できないけど、悠がそのデバイスを使って管理局に所属したら所有が認められると思う……。ただ危険は無さそうだし、パッと見でロストロギアだとはわからないから詳しく調べられなければ大丈夫だと思うよ……。良くない事だけどね…。』

 

ユーノはセイントクロスが悠の祖父の形見である事を聞いており、何とか悠の手元に置いておきたいと考えていた。その上で管理局への所属を推さなかったのは、悠が今までの生活ができなくなることを危惧しての事だった。管理局は慢性的に人手不足、つまり年端の行かぬ子供でも危険な戦線に送られる可能性があることを示唆しているのであった。

 

『なるほどね。何か言われても、デバイスを二つ持ってるって言えば誤魔化せるもんな。』

 

『そういうことだね……。さぁ、もう遅いしそろそろ寝ようか。明日もジュエルシードの捜索と魔法の練習があるからね。』

 

結局この日の会議は次にフェイトと接触した時の対応と、悠のデバイスについての話合いのみ行われ、アリサ達への言い訳を考えずに終わってしまった。

 

 

 

ーーーーー時を同じくして金髪の少女とオレンジ色の髪の女性があるマンションの一室で話合っていた。

 

「………今日会った勢力の特徴は大体こんな感じ。」

 

内容は悠やなのはについての事だった。

 

「あたし達以外に集めてる奴らがいるとはね……。フェイト、明日からのジュエルシード捜索はあたしも一緒に行くよ。」

 

「うん、ありがとうアルフ。」

 

オレンジ色の髪の女性、アルフの申し出をあっさり受け入れたフェイトであったが、申し出た本人であるアルフは驚いた。今までのフェイトなら、二手に別れた方が効率が良いと考えアルフの申し出を断っていたハズである。

それ程までに手強い相手なのかとアルフは気を引き締めたのであった。

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