『たすけて……』
この日高町なのはと天海悠の頭の中に小さな声が聞こえた。この声は2人の運命を大きく左右するものであった。
「ん?なんだ今の声?脳内に直接語り掛けてくるような……」
とりあえず学校にて第二の小学校生活を始めた悠は授業を全て終え帰宅する途中だったのだが、妙な声を聞き立ち止まり、そして同時に思い出した。
「そうだ!今の声、聞いた事があるぞ!たしか小3の頃学校から帰る時に聞いたハズだ!あの時俺は気のせいだと思ってそのまま家に帰ったんだが……よし今回はこの声の主を探してやるぜ、また聞こえたってことは気のせいじゃなかったって事だしな。」
前の世界では高町なのはのみが反応した声に今度は天海悠も反応した。天海悠、そして高町なのはやその周りの人物の運命が前の世界とは大きく異なった瞬間であった。
ーーーー声が聞こえてから少しした後、悠は声がしたと思われる方へ走っていた。
「こっちから聞こえた気がしたんだがな……ん?あれは高町達か?おーいっ‼︎」
声がする方へ走っていたらそこに居たのは我が校のアイドル達だった。悠は前の人生では関わりの少なかった彼女達との遭遇に若干の喜びを感じつつ声をかけた。
「あれ?アリサちゃん、天海君がこっちに走ってくるよ」
ウェーブ掛かった紫色の髪をした3人の中でも一番大人びた印象を受ける月村すずかが他人より優れた聴覚と視覚によりいち早く悠の接近に気づき、親友であるアリサ・バニングスに声をかけた。
「なんであいつこっちに来るのかしら?もしかしてこの子の飼い主?」
アリサは綺麗な金髪を揺らしながら親友の視線の先を追い、左手の人差し指を顎に持って行き疑問を口にする。その姿は幼いながらもとても絵になっていた。
「あわわわわっ⁉︎なら直ぐにこの子を返さないとっ!きっとすっごく心配してると思うの!」
仲良し3人組の最後の1人、高町なのはが栗色のツインテールを元気に揺らしながらその手に持ったこの子ーー傷ついたフェレットを見ながらあたふたしている。そうこうしてる間に悠は3人の前に来て疑問を口にする。
「いきなりで悪いんだけど3人ともこの辺で助けてって声聞かなかった?なんか脳内に直接語りかけてくる感じなんだけど……」
「その声ならわたしも聞いたの!その声のする方に走ってたらここに着いて、そしたらこの子が倒れてたんだけど……もしかして天海君の家の子なの?」
疑問に答えたなのはが状況を説明し、自分の疑問を悠に問いかける。
「うわっ⁈このネズミ酷いケガしてんじゃん!ってか皆さっきの声聞いたのか?その割りには学校で話題にならなかったような……」
「……どうやら飼い主じゃないみたいね。とりあえずこの子を病院に連れて行きましょう。あと私らは急に暴走したなのはを追いかけて来ただけで声なんて聞いてないわ。」
「暴走はちょっとヒドいんじゃないかな……」
悠の反応に飼い主ではないと判断したアリサは一先ずこのフェレットを病院連れて行くことにして、悠になのはに対して若干辛辣な言い回しで情報を伝える。その物言いにただ苦笑いをするすずかであった。