魔法少女リリカルなのはX〜クロス〜   作:ざわわ

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第四話 燃えろ!ペガサス流星拳

「高町‼︎このまま走れ‼︎俺が時間を稼ぐ‼︎」

 

覚悟を決めた悠は黒い影の方角に180度反転し、黒い影が砕いたアスファルトの中から比較的大きな欠片を掴み、黒い影の顔に投げ付けた。

 

「天海君っ⁈危ないよっ⁈」

 

「だったらさっさとそのネズミから打開策を聞いてくれ!おいネズミ!さっさと高町に打開策を伝えろ‼︎」

 

「なのは、彼を助けるためにも早くこのレイジングハートを……」

 

悠の後ろでなのはが悲鳴にも似た声で悠を止めようとしたが悠はどちらか一方が囮になる以外に2人が助かる道はないと悟っていた。そして女の子であるなのはを囮にする選択肢は悠の中には無かった。

 

「とりあえず俺だけでも少しは時間を稼げるだ……ろ」

 

甘かった。悠の拳程のサイズのアスファルトの塊を走っている時に顔に受けたなら少しぐらいは怯むだろう。そう思っていた悠の希望的観測は外れ、黒い影は直ぐ目の前に迫っていた。

 

《Pegasus Cloth set up》

 

これは死んだな……悠がそう思った時、機械的な音声が聞こえ、祖父から受け取ったネックレスが目を開けていられないほどの真っ白な光を放ったのを、そして自分の後ろからも強い光放たれた光景が薄っすらと見えた。

 

「うわっ‼︎まぶしっ‼︎」

 

光が収まった時には黒い影はその5mは超えているであろう巨体を仰向けにして倒れていた。

 

「あ、天海君⁈大丈夫⁈」

 

「あ、あぁ、なんと…か…な…」

 

自分の身を案じたなのはの声に答えた悠の目に飛び込んできたのは先ほどまで着ていた可愛いらしい私服とは全く違った聖祥大附属小学校の制服に似た、まるで天使のような服装のなのはであった。その手には自分の身長と同じくらいはありそうな巨大な杖のようなものも握られている。

 

「高町⁈お前いつの間にそんな格好になったんだ⁈」

 

「にゃはは……色々あってね……でも天海君もスゴイ格好だよ?」

 

なのはに言われて自分の身体を見回す悠に先ほどなのはを見た時以上の衝撃が走った。

 

「ん?俺?……な、なんじゃこりゃーっ‼︎」

 

悠の頭には馬をモチーフにしたような兜が、身体には赤く縁取られた白銀に輝く鎧が装着されていた。

 

「こ、これはまさかバリアジャケット⁈君は一般人じゃないのかい⁈」

 

「こんな格好してたら近所歩けねぇよ……てかこれどうやって脱ぐんだ……?」

 

フェレットが驚きの声を上げるが自分の格好のあまりの変化に驚く悠には聞こえていなかった。悠としてはこのまま自分の世界に入ってこの奇抜な格好について考えていたかったが、黒い影はそれを許してくれなかった。

 

「天海君‼︎後ろ‼︎」

 

「ヤベェよ、もしこのままの格好で一生……ん?うわっ‼︎危ね‼︎」

 

悠は起き上がった黒い影の突進からギリギリで身を躱す。すると黒い影はなのはに狙いを変え、なのはに向かって突進した。

 

「きゃあっ‼︎今度はこっちに来るの‼︎」

 

「てめえ‼︎高町に手を出すんじゃねぇ‼︎」

 

なのはの悲鳴を聞いた悠は一瞬にして黒い影を追い抜き、なのはの目の前に姿を現して突進してきた黒い影を白銀の鎧に包まれた拳で突き上げた。その威力は凄まじく、黒い影は空高く浮き上がり顔から着地することになった。

 

「あ、ありがとう天海君……」

 

「なんだ?体が勝手に……それにこの力は一体……?いや、考えても仕方ないか。それにこの力があれば戦える‼︎覚悟しやがれよ、黒いデカブツ‼︎」

 

自分の身体の変化に戸惑う悠であったが、今はその身体の底から湧き出る力に身を任せることにした。悠の魔力が高まりその身に纏う白銀の鎧の中心に位置する胸に付いた宝石も輝きを増していく。

 

「す、凄い!彼女からも途轍もない魔力を感じたけど、彼も負けてない!凄い魔力だ!」

 

「うおぉぉぉ‼︎喰らえ‼︎ペガサス流星拳‼︎」

 

悠の声と同時に無数の高密度の魔力弾が悠の拳から放たれ、黒い影に高速で接近、そしてその巨体を撃ち抜いた。

 

「今だよ!なのは!レイジングハートで封印を!」

 

「ふぇぇぇ……もう色々あり過ぎてついていけないよ〜」

 

先ほど魔法少女になったばかりの高町なのはは、この目まぐるしい状況の変化にただただ目を回すばかりであった。

 

 

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