声に出さない心の声は「()」
念話による会話は『』
を用いて表現したいと思います。
ジュエルシード捜索隊が結成された後、一同は時間も遅いということでなのはとユーノはなのはの家に、悠は悠の家にそれぞれ帰宅し、次の日学校で念話にて今後の活動について話し合っていた。
『ジュエルシードは力が発動するまで位置を特定するのは難しいと思います。なのでお二人にはジュエルシードが発動したらその都度発動場所まで行って対応して頂くことになります。』
『了解だ。それよりユーノ、昨日行ったハズだぜ。一緒にジュエルシードを探す仲間なんだから敬語は無しだってな。俺と高町両方と約束しただろ?』
悠となのはは共にジュエルシードを探す仲間なら堅苦しい敬語を使うのはやめて欲しいと思い、ユーノに敬語を使うのをやめるように言っていた。
『そういう悠君もお互い名前で呼び合う約束忘れちゃったの?』
『悪い、たかま……なのは、まだ慣れなくてな。もう少ししたら慣れると思うから今は我慢してくれ。』
ユーノに敬語を禁止した際になのはも悠に仲間ならお互いに名前呼び合うように約束させていた。
『しかし何時発動するかわからないジュエルシードを全て対応するのはかなりキツイな……夜中に発動しないとも限らないし……』
『で、でも3人で力を合わせたらきっと大丈夫だよ。』
『そうだな、とりあえず今は少しでも早く魔法に慣れよう。今はまだ無理だが、1人でもジュエルシードの暴走体に対応できるようになれば交代で休めるようになるハズだ。』
そんな会話をしながら悠は前の世界のことを思い出していた。
「(そういえばあの頃の高町は珍しく授業中に居眠りをしていたな。前の世界ではユーノとなのはだけでジュエルシードを集めていたんだろうな……。あの時の声に反応するか否かでここまで違う人生を歩むとはな。)」
悠はたった一つの、ほんの些細なことに思える選択が自分を前と全く異なる生き方をさせていることに驚いていた。
だが悠はその驚き以上にこの世界ではなのはの負担、そして危険を軽減できることに喜びを感じていた。
ーーーーー放課後悠達は魔法の練習をするためにユーノと初めて出会った公園に来ていた。
「結界を張ったからこれで人に見られることも、魔法で周囲に被害がでることもないよ。」
「ふぇ〜、やっぱり魔法ってすごいの。」
「便利なものだな魔法って。」
魔法の練習を人に見られないため、そして魔法の練習による被害を周囲に与えないために悠達の周りにユーノが結界を張った。
この時悠となのはは改めて魔法の利便性を実感し、感嘆の声を上げた。
「それじゃあ早速始めるよ。なのは、悠、まずは2人ともデバイスを起動させて。」
「わかったの。レイジングハート、セットアップ!」
「えっ⁈ちょっと……。」
ユーノは魔法の練習をするために、なのはと悠にデバイスの起動を促した。辺りが光りに包まれ、収まった時にはなのははレイジングハートを起動させてその身を守る防護服、バリアジャケットを身に纏っていた。しかし、デバイスを起動させたのはなのはだけで悠の体には何の変化もなかった。
「悠?どうしたの?早くデバイスを起動させてほしいんだけど。」
「いやいやいや、いきなり起動とか言われてもわかんねーよ‼︎どうやんだよ⁈」
「えっ?なら悠はあの時どうやってデバイスを起動させたの?」
「それが分かればやってるよ……そういえばあの時何か声が聞こえた気がするな。そんでそのあとすぐに辺りが光に包まれて気が付いたら全身に鎧が着いていたんだ。」
悠はユーノに昨夜の戦いの中で体験したこと伝えながら、実際にジュエルシードを探す前に練習をしておこうと提案した自分の判断が英断であったと悟った。
「(もしぶっつけ本番だったら魔法を使えない状況で昨日の化け物と戦うことになっていたのか……練習しようって言っといて良かった。)」
「声が?おかしいな、悠のデバイスはアームドデバイスだからデバイスにAIは搭載されていないハズなのに……。う〜ん……ならとりあえずそのデバイスの名前の後にセットアップという言葉を発してみてくれるかな?それが一般的な起動コードになるから。」
「やっぱりデバイスってよく分かんねぇな。しかし名前か……確かじーちゃんはコレのことを聖闘士聖衣《セイントクロス》って呼んでたな。」
セイントクロス、その明らかに英語圏の名前が当時の悠がこのデバイスが昔から自分の家系に古くから伝わるものではないと、疑念を抱く要因の一つになっていた。
「よーし、行くぜ!セイントクロス、セットアーップ‼︎」
悠は気合いを入れて右手を天高く掲げ、デバイスを起動させる言葉を高らかに宣言した。
「……何も起こらないの。」
「……うん、何も起こらないね。」
しかしその言葉は周囲に大きく響いただけで何の変化もなかった。かっこ良く変身してやろうと思っていた悠は恥ずかしさのあまりその場に崩れ落ちた。