「ゆ、悠君……だ、大丈夫だよ、きっとすぐにできるようになるの。」
「そ、そうだね、とにかく悠のデバイスを起動させる方法を考えよう。」
崩れ落ちた悠を慰めるなのはとユーノであったが、悠のショックは大きく今だに立ち上がる事はできないでいた。
「いいよ、高町、ユーノ。慰めてくれなくて……。はは……笑っちゃうよな、カッコつけてポーズまで決めて何も起こらないでやんの。これはマジで二週間は引きずるわー。だいたい……ん?この感覚は……?」
「もしかして……。」
「これは‼︎ジュエルシードが発動したんだ。それもすぐ近くだ。悠、なのは、お願いできる?」
悠達が感じたのはジュエルシードが発動した時に出る魔力反応であった。ジュエルシードは悠が立ち直るのを待ってくれなかったのである。
「もちろん!任せてよユーノ君。絶対ジュエルシードを封印するの。」
「その通りだ。……でもこの状態で行っても俺にできることはあるのか……?」
なのははユーノの問いに大きく頷き、ユーノを肩に乗せてジュエルシードが発動したと思われる方角に走った。悠は大きな不安を抱えながらもユーノとなのはに続いて走って行った。
ーーーーー悠達が魔法の練習をしていた公園からすぐ近くの神社にてジュエルシードは発動していた。
「あっ!あそこ!女の人が倒れてるの。」
「どうやら気を失ってるようだ……ってヤバイ‼︎」
ジュエルシードの発動地点に倒れていた女性を発見した悠達であったが、ちょうどそこに巨大な犬のような化け物が現れて今にも気を失っている女性に飛びかかった。
「危ないっ‼︎」
「高町⁉︎」
《Protection》
咄嗟に女性の前に飛び出したなのはに化け物は、その鋭い牙と爪を剥き出しにして襲いかかったが間一髪レイジングハートが防御魔法を発動してなのはの周りにバリアを張った。
「あ、ありがとうレイジングハート。」
「無事みたいだな……まったく焦らしてくれるぜ。でもあらかじめ魔法の練習をしといて良かったな、もしここに来る前にデバイスを起動させてなかったらヤバかった。」
「まだ安心はできないよ。あの暴走体は昨日の戦ったヤツより強く、そして具体性を持った願いによって生まれたものだから、昨日のヤツより強力になっているはずだよ。」
「くっ、俺も魔法を使えたら……見てることしかできないのか……。」
なのはとレイジングハートは共に女性を守り、周囲に結界を張ったユーノが悠の近くに来て敵の情報を2人に伝え、悠は何もできない自分に苛立ちを募らせていった。
「く、くぅ〜……重たいの……。」
なのはと暴走体がぶつかってから約1分後、次第になのはの体勢が崩れてきた。
「マズイぞユーノ‼︎押し切られる。レイジングハートを持ってりゃ勝手に魔法を使ってくれるんじゃなかったのか⁈」
「い、今のレイジングハートとなのはじゃ同時に魔法は二つは使えないんだ。だから攻撃しようとすれば防御魔法が消えてしまって……。」
悠の問いを受けてユーノの口から出た答えは絶望的なものだった。攻撃魔法を使用すると防御魔法が消える、しかしこのまま待っていてもいつかはなのはの防御魔法が破れてしまうだろう。それはつまり悠が魔法を使ってこの状況を何とかするしかないという事である。
「悠っ‼︎なんとか魔法を……デバイスを起動させるしかない‼︎ゆっくりでいいから昨日の事を思い出して。集中するんだ。」
「ちくしょー、やるしかないか……。」
悠は1人暴走体から女性を守り続けるなのはのために先ほどトラウマとなったデバイスの起動にとりかかった。
悠は目を瞑り、感覚を研ぎ澄まし昨日夜デバイスを起動させた時のことを思い出していた。
「(昨日は確か黒い影に飛びかかられて、最期を覚悟して咄嗟に目を閉じて……そうだ、あの時……。)」
「あの時、確かに胸の奥で暖かい力を感じたんだ‼︎」
「そうだよ!それがリンカーコア、魔力なんだ!」
「そうか、これが魔力だったんだな。そしてその後声が聞こえて……今考えたらあれが起動コードって丸分かりじゃねぇか……。」
「も、もう……限界なの……。」
悠は昨夜のことを鮮明に思い出し、自分の中に眠る魔力を感じることができたが、なのはも最早限界であった。そして暴走体は最後のトドメと言わんばかりに強烈な一撃をなのはに叩き込もうとしていた。気を失っている女性を除き、その場に居るだれもが次の一撃で防御魔法が破れると悟った。
「マズイっ‼︎なのはが‼︎」
「今行くぞなのは‼︎魔力よ!リンカーコアよ!もう一度俺に光を見せてくれ!」
「ペガサスクロス、セットアーップ‼︎」
悠の言葉を受け首にかけたデバイスが光を放ち、悠は再びその身にバリアジャケット、ペガサスクロスを纏った。
「ゆ、悠君……。」
「待たせて悪かったな、なのは。あとは俺に任せてくれ。」
防御魔法を使用するのも限界となったなのはの前に悠は颯爽と登場し、暴走体の頭を掴み完全に暴走体の動きを止めていた。その姿はまさにこの世に蔓延る邪悪を討つ希望の戦士そのものであった。