「さぁ、全部吐いて貰いましょうか?なのは、天海、あんたら最近とんでもない早さで仲良くなったわよね?学校外でもよく一緒にいるの見かけるんだけど一体何があったのよ?」
なのはと悠、そしてオマケのユーノは現在彼女等のクラスメートである月村すずかの家に呼び出され、同じくクラスメートのアリサ・バニングスに尋問されていた。
「な、な、何もないよ?アリサちゃん、私達は唯の友達で、たまたま同じタイミングで同じ道を通ることが多かっただけなの。」
「いや、まず天海みたいな冴えない奴とあんたが友達として仲良くしてる段階でおかしいでしょ。なんか特別な理由でも無いと仲良くはならないわ。」
「うわー、散々言われてるなあ、俺。」
アリサの質問に明らかに動揺しながら答えるなのは、そして悠はアリサか自分への評価の低さに少し呆気にとられていたが、前の世界では確かになのは達とは仲が良くも悪くもなく、唯のクラスメートに過ぎなかったため妥当な評価であると思った。
この家の住人である月村すずかは親友のあまりに失礼な物言いにオロオロしながら悠の方を見ていた。
なのはと悠は先日神社でのジュエルシードの回収が完了してから、魔法の訓練を公園や山の中で行っていた。
訓練自体は当然結界を敷き、他人に見られないようになっていたが、訓練終了後になのはは両親が経営している喫茶店、翠屋に招いて一緒に翠屋の人気メニューのシュークリームを振る舞ったことがあった。その際1人のシスコンが悠に射殺すような視線をぶつけていたが、行動を起こすのはまだ先の話である。
また、なのは達は新たにジュエルシードを一つ封印しており、そのジュエルシードを一緒に探している所をクラスメートに目撃されたのだろう。
「うーんと、そうだな……、なのはが車に引かれそうになっている所に通りがかり助けました。」
「明らかに今考えたでしょうが!何?あんたこの私を舐めてんの?」
「ば、バレた⁈」
悠の咄嗟に考えた嘘の理由は2秒足らずで看破された。畏れ多くも悠はこの嘘でアリサを騙せると思ったので驚き、思考が混乱状態に陥った。
悠の程度の低い嘘はアリサの怒りのボルテージを上げてしまった。そこに今まで尋問に加わわらず傍観者であったすずかが悠に質問する。
「天海君ってなのはちゃんのこと名前で呼んでるの?」
「あっ、そういえばそうなの。悠君私の名前呼ぶのに慣れてくれたんだね。」
「お〜意識せずに呼べるようになってるなぁ、やっと慣れたみたいだな。」
「にゃはは、やっぱり名前で呼んでもらうと嬉しいの。」
「なに和やかムードになってんのよ!あたしの話はまだ
終わってないのよ!」
すっかり和やかムードになっていた悠となのはに痺れを切らしたアリサは再度怒りを露わにする。
「ゴメンね天海君、アリサちゃんは天海君になのはちゃんが取られちゃうんじゃないかって思って焦ってるの。本当はゆっくりできるお休みの日に招待したかったんだけど。」
「ちょっとすずかっ‼︎何言ってんのよ‼︎別にあたしはそんなつもりじゃ……。」
「何だ、それなら心配いらないだろ。なのはは俺とバニングスだったら間違いなくバニングスを選ぶだろう。それに……」
<悠、なのは!ジュエルシードの反応が!かなり近いよ!>
悠がアリサの怒りを静めていると悠となのはにユーノからジュエルシードの反応を感じたという内容の念話が送られてきた。
「あっ!ユーノ君!」
悠はこの状態からジュエルシードを封印しに行くにはどうしたものかと考えていたがユーノが素早く行動を起こし、悠はそれに続いた。
「むっ、いかんユーノが逃げてしまったか。さぁ追うぞ、なのは。」
「はぁ?ちょっと待ちなさいよ!というかその棒読みなセリフはなによ!まだ私の話は……。」
「え……ち、ちょっと悠君待って〜。ゴメンねアリサちゃん、すぐに戻るから。」
「なのはちゃん達行っちゃったね。」
「あぁもう、一体なんなのよ〜。」
こうして見事アリサの尋問から逃れた2人の前に立ちはだかるのは
「にゃ〜。」
体長5mはあろうかという猫だった。
「おいおいおいおいおいおい……なんだ、こいつは……。」
「猫……だね。」
「いやぁ、俺はこんなデカイ猫見たこと無いかな〜。」
「私も無いかな〜。」
「「あははははははー、だよねー。」」
「2人とも落ち着いて、あれはただジュエルシードで巨大化しただけだから。簡単に封印できるはずだよ。」
現実逃避をしている2人にユーノが冷静にツッコミを入れる。
その声に反応したなのはが猫の首輪に付いているジュエルシードを封印しようとすると
「ふにゃ⁉︎」
突然一迅の閃光が猫を襲った。
「なんだっ⁈」
「これはまさか魔法の光⁈」
光の飛んできた方角を見ると、とても可愛らしい顔によく似合う長い金髪のツインテールという外見に似つかわしくない大鎌を持つなのはと同じくらいの年齢の少女が空中に浮かんでいた。
全身黒装束に大鎌という一見すると死神のような格好の少女はそのまま猫に攻撃を続けた。
「させないの!」
しかし間一髪デバイスの起動をしたなのはが防御魔法を展開し、黒装束の少女と猫の間に割り込む。
「同系の魔導師……ロストロギアの探索者か。」
黒装束の少女はなのはの姿を確認するとなのはに語る間も与えずその手に持つ大鎌を振るった。
突然の攻撃になんとか防御魔法で防ぐことに成功したなのはだったが明らかに劣勢であり、大きく弾き飛ばされてしまった。
「きゃあっ⁈ま、待って、なんで急にこんな……」
「答えても、多分意味はない。」
なのはの問いかけに耳を貸そうとしない少女はそのままなのはへ攻撃を仕掛けた。
そこになのはを助けるためにデバイスを起動し、バリアジャケットを身につけた悠が高速かつ無数の魔力弾を黒装束の少女に向かって放つ。
「ペガサス流星拳‼︎」
「こんな速度では避けてくれと言っているのと同じ。」
しかし少女はその魔力弾を余裕を持って全て回避する。
「そ、そんな……今の俺ができる最大の攻撃がこんなにあっさり……。」
悠はこの事実に少なからずショックを受ける。
悠はなのはと違い、どれだけ練習しても空を飛ぶことができなかった。それ故にどうしても空を飛ぶ相手に対して攻撃を仕掛けても避けられやすかった。
対抗策として先程の高速で大量の魔力弾を放つことで命中率を上げていたのだ。
即ち先程の攻撃が余裕で避けられたということは、悠には黒装束の少女に当てることができる攻撃が無いということを意味していた。
「うぅ、お願い、話しを聞いて……。」
悠の攻撃が脅威でないと分かった黒装束の少女は空中戦ができ、脅威となり得るであろうなのはに対しての攻撃を再開していた。
攻撃を受けるなのはは必死に防御魔法で受けながらも相手の少女と何とか話しをしようとしていたが、その答えは激しい攻撃のみであった。
そんな中悠は相変わらずショックから立ち直れないでいたが、普段からなのはと悠のサポートをしてきたユーノが激励を飛ばす。
「悠!あの時君の魔力はそんな物じゃなかった!もっと凄まじい力がある筈だ!お願い、なのはを助けてあげて!このままじゃなのはは……撃墜されてしまう‼︎」
「ユーノ……すまん、いつも落ち込んでばかりで迷惑かけるな……よしっ!やれるだけやってやるさ‼︎」
気を取り直した悠は集中し自分の中にある魔力を最大限まで高めていく。そうすると悠の腕が自ずと動いて特殊な構えをとっていた。
「はぁーー……燃えろ、俺の魔力よ。」
その構えは星座の天馬座を形作っていた。
「うおぉぉーーー‼︎ペガサス流星拳‼︎」
「うわっ⁈」
悠の拳が突き上げられると同時に放たれた無数の魔力弾の速度は音速にまで達し、ソニックブームを生み出したのでユーノは咄嗟に耳を塞いで屈んでしまった。
「きゃっ⁈」<flash move>
「何だとっ⁈」
音速で進んでいった魔力弾であったがなんと黒装束の少女は目にも止まらぬ速さでギリギリで回避したのであった。
標的を失った魔力弾が次に向かったのは……
「えっ⁈きゃあっ‼︎」
「なっ⁈しまった‼︎なのはーー‼︎」
黒装束の少女のすぐ近くに居たなのはであった。魔力弾の威力は凄まじく、既に黒装束の少女によって耐久性の落ちていた防御魔法では防ぎきれなかった。防御魔法が破れ、衝撃により怯んでいる隙だらけのなのはの前まで先程、悠のペガサス流星拳を躱した時と同等の速度で接近した黒装束の少女は、なのはを撃墜するに足る威力を秘めた鎌を振り下ろした。
「ありがとうバルディッシュ。……ごめんね。」
「やめろっーーーーー‼︎‼︎」
<Andromeda Cloth set up>
「な、なにっ⁈こ、これは⁈」
悠の悲痛な叫びと共に辺りは光に包まれ、同時に黒装束の少女は自分の持つ大鎌が何かによって動きを止められたのを感じた。
「うぅん……あれ?助かったの?」
「これは……バルディッシュに鎖が………。」
光が収まるとそこにはなのはの眼前に迫るバルディッシュと呼ばれる大鎌に鎖が巻き付き、しっかりと動きが止められている光景が見えた。
ちょっとリアルが忙しくなりそうなので更に亀更新になりそうです。ご了承ください。