ポケットモンスター カオス ~暗黒破壊神は陽の目を見たい~   作:ディヴァ子

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ダークザギ:「おじさんと言えば……?」


新たなる力

 ……で、やって来ました、ミュート古生物博物館。

 ここでは様々な古代ポケモンたちの化石が展示され、お金さえ払えば化石を復活してポケモンを手に入れる事も出来る、便利な施設である。

 ただし、ジルコニアバッチを手に入れてからでないと復元して貰えないので注意。御三家以外のポケモンは入手バッチが制限するレベル以下しかゲット出来ない、というティアーザ公式のルールに則った措置かもしれない。化石ポケモンは20レベルで復活するからな。

 

『……相変わらずジュラシック・パークみたいな所だな』

 

 古生代の海と中生代の火山に新生代の氷を組み合わせた派手な外観の建物で、博物館と言うよりはテーマパークのような見た目だ。

 事実、ミュートシティでも屈指の人気スポットであり、観光客の興味を引き易いデザインにしているのだろう。

 受付を済ませ中へ進むと、ホールのど真ん中でアロサウルスそっくりなアロウズとディプロドクスによく似たアパトスの骨格標本が取っ組み合いをしており、それを囲うように様々な化石が展示されている。ディノニスクスがモデルであろうディノザウラの大顎に、オムスターやカブトプスの化石など、ここだけでも見所が満載である。

 さらに、順路に従って奥に進むと古生代の海産ポケモンや、新生代の大型哺乳類系ポケモンなど、エリア毎に展示されているポケモンが異なり、ゴール間近には化石を蘇らせる為の化石研究所に繋がる扉がある。今回用があるのはそこだ。

 

『化石ポケモン下さい』

「一匹1500円になりまーす」

 

 御三家よりは高いが、それでも映画チケットレベルなのか。命が安い……。

 

「何のポケモンを復活させますか?」

『「オウドリュー」でお願いします』

「分かりました。しばらくお待ち下さい」

 

 俺が選んだのは、おおみかみポケモンのオウドリュー。タイプはいわ/じめんの複合で、爪が蹄になっている巨大で虎柄な狼のような姿をしており、進化するとくじらがみポケモンのゼオクロス(いわ/ゴースト)になる。

 ようするに、アンドリューサルクスとバシロサウルスである。原鯨類はアンドリューサルクスから進化した訳ではないのだが、古いイメージが反映されたのだろう。

 とにかく、俺が欲しいのはオウドリューその物ではなく、進化形であるゼオクロスの方だ。今の手持ちはタンク役がいないので、体力のある鯨系のポケモンが必要なのである。

 

「はい、出来ましたよ。大き過ぎるので、出す時は外でお願いしますね」

『ハイハイ』

 

 出来上がったオウドリュー入りのボールを受け取り、俺は博物館を出た。

 

「えー、もう少し見ていこうよー」「そんなに急がなくてもいいのにー」

 

 ライトとリリスが渋っていたが、力尽くで引きずり出した。さすがに俵担ぎをされてまで抵抗する余力はなかったようだ。二人揃って何かの化石を復活させていたみたいだが、干渉はしないでおこう。

 ……どれどれ、ちょっとオウドリュー(Lv20)を出してみるとするか。

 

『オォォヴドッ!』

『うーん、デカい』

 

 実際のアンドリューサルクス程ではないが、やはり馬鹿デカく、かなりの威圧感がある。ガチゴラスよりデカい狼ってどうよ。これが進化するとホエルオー並みの巨体になるというのだから、場所を取って仕方ない。バトル以外では出さないようにしよう。

 

『それじゃ、そろそろ次の町に行くか』「「おー」」

 

 という事で、俺たちはR-1番道路に再度足を踏み入れた。今回は寄り道せずに次の町へ行く。ポケモンバトルはするけどね。

 

『ピキュキュキュキュッ!』

 

 ――――――あっ、野生のコドリが現れたっ!

 

『おー、さっそく鳥ポケモンか』

 

 草むらから飛び出して来たのは、さえずりポケモンのコドリ(Lv12)。まさに小さな鳥と言った感じで、デカいウズラのようにも見える。進化すると、こえまねポケモンのコトドリ→そげきポケモンのコトドリスになるそうな。……狙撃ポケモン?

 もちろん、タイプはノーマル/ひこう。特性は、にげあし/するどいめ/スナイパー(隠れ特性)の三つ。強くも弱くもない、序盤に相応しい鳥ポケモンである。

 ちなみに、本来はアザスト大陸の鳥で、ガラル政権時代に渡って来た末に定着したらしい。

 

『行けっ、ウルフル! 「ジェムラッシュ」!』『ウルファァアン!』

『ピキュァーッ!』

 

 当然、簡単に撃破。未進化ポケモンなんぞこの程度か。

 R-1番道路は人の手が加えられている為、総じてポケモンのレベルが低い。大体7~12レベルくらいだ。

 そして、オルタリカの森を境目にレベルが一気に上がり、平均で13~18レベル程となる。種類も少し増え、ゲットしがいのある珍しいポケモンも出るようになる。

 ちなみに、R-2番道路という別ルートもあるのだが、そちらは水陸両用のみずタイプのポケモンが出て来るので、今回は見送っている。タイプ的に不利だからな。

 さらに、それらの先にあるのが、次なる町のダイパシティ。清水流るる川沿いの町である。

 

「そこのお前、オレと勝負しなっ!」

 

 と、野生のトレーナーと目が合ってしまった。短パン小僧のミシュランだ。タイヤメーカーかな?

 

「行けぇ、イオーム!」『オキャーメン!』

『行って来い、クラビトン!』『クラビトォォン!』

 

 繰り出されたのは、おかめポケモンのイオーム。オカメインコっぽい序盤鳥の一種である。こいつもアザスト大陸からの流れ者で、人に慣れ易い為、結構人気のポケモンなんだとか。

 タイプはエスパー/ひこうの複合。特性はびびり/テレパシー(隠れ特性)の二つ。インコなだけあって音技が得意で、無進化ながら割と強かったりもする。お喋りは是非とも慎んでもらいたい。

 まぁ、あの小僧が上手く使い熟せるのかは疑問なのだが。

 

「イオーム、「エコーボイス」!」『オ~キャキャメェ~ン♪』

 

 エコーの掛かった美声がクラビトンを襲う。

 だが、無意味だ。ノーマル技でいわタイプを仕留められるとでも思っているのか?

 

『クラビトン、「ストーンバレット」からの「アクアジェット」!』『クックラァーン!』

「うひゃーっ!」『オキャーサーン!』

 

 うん、君には☆を一つしか上げられないな。

 俺たちは、その後もムックル(ティアーザのすがた)やタカスズメなど、序盤の鳥ポケモンたちを倒しつつ歩み続け、遂にダイパシティへ到着した。

 御三家連中とオウドリューこそ大して強化されなかったものの、元々レベルの低かったティアーザドードーは大分レベルが上がっている。現在21レベルである。

 

『きゅー』『………………』

 

 余談だが、ティアーザドードーはボールに入るのが嫌らしく、チョコチョコと俺の後を付いて回っている。いつの間に連れ歩きシステムが解禁されたんだよ……。

 

『――――――で、ここがダイパシティか』

 

 「マナワルツ」という川の流れに沿って発展した、大の付かない都会。ダイパシティ(※パーマストンノース)はそんな感じの町だった。人呼んで「ポケモンと共に生きる街」。ビルは少ないが公共施設や集合住宅、民家が多く、割とゴチャゴチャしており、何処となくシンオウ地方のヨスガシティやハクタイシティに似ている。

 また、山の麓かつ川の傍にある為か、翡翠や水晶などの宝石類が沢山採れるので、やたらと宝石店が乱立しており、アクセサリーや玉系統のアイテムが多く手に入る。

 たぶん、ここで道中に捕まえたパイモンドや、石進化系のポケモンたちを進化させろ、という事なのだろう。

 名所は時計塔が目立つ「プラチナーデ公園」と、町の特色でもある巨大な川「マナワルツ」。ポケモンとの共存を宣伝しているだけあって、様々な淡水系のみずタイプポケモンと遊ぶ事が出来る。

 

「やぁやぁ、ダイパシティへようこそ! これはお近付きの印! 是非活用してくれたまえよ! 何たって、おじさんの「きんのたま」だからね!」

 

 そして、もちろんいますよ、きんのたまおじさん。

 

「私からもどうぞ! もう使わないからね!」「僕からもあげるよ! 父さんよりもデカいんだ!」「わたちもあげりゅ~♪ わたちにはついてないから~♪」

 

 しかも、子連れの一家だった。おい奥さん、アンタまさか……。

 まぁ、有難く貰うけどね。金の玉とデカい金の玉二つずつともなれば、かなりの金額になるし。近い内に質屋へ売ってしまおう。

 

『ハァウッ!』

「あ、スワンナだ」

 

 おっと、プラチナーデ公園の水路や池にスワンナ(ティアーザのすがた)がいっぱいいるぞ。タイプこそ一緒だが、こちらはコクチョウがモチーフなのか体色が黒になっている。金色の目と赤い嘴が闇堕ちしたみたいでカッコいい。攻撃力高そう。

 他にもタカスズメやティアーザムックルとティアーザムクバード、コドリにコトドリ、それから寝惚けたティアーザドードーなど、多種多様な鳥ポケモンたちが、思い思いに過ごしている。「鳥の楽園」というのも頷ける光景だ。

 今紹介したポケモンの大半が一度は絶滅している“再生種”なのは気にしないでおこう。

 しかし、俺たちは暢気にバードウォッチングしに来た訳ではない。ダイパジムへ挑みに来たのである。さっそく行ってみよう。

 

「その前に換金しようぜ」「私もちょっと見て回りたいんですけど」

『………………』

 

 締まらねぇなぁ。

 ま、俺もアイテムは欲しい所だし、ちょっくら寄り道していくか。

 という事で、「玉」専門店なるアイテムショップへ。

 まずは換金。金の玉シリーズを手放し、当面の資金を得る。ティアーザ地方には金の玉を持たせる事で進化する輩もいるらしいので、一個だけ残して後は全部売り払ってやった。

 続いて、ポケモンに持たせる為の「玉」を物色していく。

 

『一つ3500円なのか……』

 

 意外と良心的だな。基本的に買取金額が2000円である事を考えると、ほんのりとだが安くなっている。せっかくだから一式買っておくか。

 

『すいません、「どくどくだま」「かえんだま」「でんきだま」を一個ずつ下さい』

「畏まりました。10500円になります」

 

 ……そう言えば、火炎玉に抱き着いて密航していた、あの阿保娘は今頃どうしているのだろうか。野垂れ死にはしそうもないので、案外元気に罪を犯しているかもしれない。駄目じゃねぇか。

 

「ザギは買い物終わったのか?」

『ああ。……リリスの奴は何処に行きやがった?』

「向かいの店でアクセサリー買ってるよ」

『フーン……』

 

 あいつもあれで乙女って事か。分らんもんだね。頼むから初めてオシャレしたもこっちのようにはならないで欲しい。同類と思われたくないから。もしも仲間認定された時は置いて行こう、そうしよう。

 

「フッフッフッ……どうよ?」

「『誰だお前は』」

「どういう意味だよ」

 

 だが、おめかしを終えたリリスの姿は、まるで別人だった。

 顔に変化があった訳ではない。精々青い口紅を塗り、睫毛と目尻を弄っただけ。

 しかし、恰好が全然違う。黒巫女のような着物に、第三世代時のオカルトマニアを思わせる魔女の帽子とローブを羽織り、「キーストーン」「Zクリスタル」「トランペゾヘドロン(レボリアルに必要なアイテム)」が埋め込まれた腕輪を嵌め、様々な宝石を組み合わせたネックレスを下げているほか、三日月の羽根を髪飾りにしている。

 何と言うか、ファンタジーの悪い魔女そのまんまって感じだった。元々スタイルが良い事も相俟って、妖艶さをも身に付けている。

 女は化粧で様変わりする物だが、ここまで別人になるとは。案外とコーディネート能力があるな、こいつ。すっぴんを知っているので、余計にそう思う。

 

「……オレも化粧してみた方が良いのかな?」

『いや、お前はそのままで良いと思うが……』

 

 ライトがそこ傍となく対抗心を抱いているようだが、お前には今の恰好が一番似合ってるよ。いっその事、ボブカットにしちまえばいいのに。スポーツ女子みたいな感じで。

 それにしても、メイドに魔女に短パン娘って、えらい組み合わせだな。目だって仕方ないぞ、どうにかしろ。むろん、俺は変えるつもりはナッシング。

 

『つーかさ、俺もそれ欲しいんだけど』

「向かいの店に行けば作って貰えるよ」

 

 見ると、「アクセサリー・ブリアント」なるブティックがあった。リリス曰く、持ち込みの宝石による加工も受け付けているそうで、周囲の店で買った宝石類をそこでアクセサリーに改造してもらう観光客も多いのだとか。これは行くしかないね。

 という訳で、俺たちはアクセサリー・ブリアントへ。

 

「いらっしゃいませ♪」

 

 ……で、店員が愛想良く挨拶してくれたのだが、

 

(こいつかよ……)

 

 何時ぞやの火炎玉娘だった。

 なるほど、ピクニックガールを卒業してOLになったか。深くは突っ込まんでおこう。

 つーか、こいつ何気に新規ポケモンの「ブリアント」を連れ歩きにしてやがる。体格が一回り大きくなり、全身を宝石で着飾った、雌のアイアントって感じの姿だ。体形も女王蟻のそれに準じており、非常にパワフルである。

 とりあえず、解説頼みますよ、図鑑さん。

 

《『ブリアント:ジェムありポケモン』。タイプはむし/はがね。ディジュリーと共生関係を結ぶ事で発生したα個体。選ばれし♀のアイアントだけがこの姿になり、アイアントたちを手足のように操れるンガ。普段はディジュリーの奥底に潜み、ひたすら兵力を生み出しているけど、有事の際は自らが戦場に躍り出るンガよ》

 

 へぇ、ゼノモーフのクィーンと同じように発生するのか。放っておくと人間が繭にされそうだ。

 

『えーっと、この玉をカチューシャにして欲しいんですけど。あと、この「デルタバングル」っての下さい』

「分かりました~♪ ブリちゃん、お願~い♪」

 

 俺が玉のアクセサリー化とリリスの物と同じ腕輪を頼むと、火炎玉娘は満面の笑みでアイテムを受け取り、ブリアントと共に作業場へと引っ込んでいく。ポケモンの力を借りている為か、加工は物の数分で終わり、大して待つ事無く重要アイテム(とアクセサリー)を手に入れた。

 

『どうだね?』

「メイドって言うより、ゴスロリの女王様みたいになってるわよ」『きゅー?』

 

 バッチリ飾り付けた俺を見て、リリスが素直な感想を言った。

 カチューシャはギザギザした金属製の物に変え、真ん中の三本の先っぽに玉シリーズを付けて、王冠のようにしている。腕はリリスと色違いにしておいた。まさに王者にして覇者たる俺に相応しい。ヤッタネ!

 

「……オ、オレのはどうかな?」

 

 さらに、ライトも加工して貰ったらしく、バングルではなくブレスレットを付けている。キーストーンなどの希少アイテム類は、ソウイチロウから餞別として貰っていた物だそうな。甘やかしやがって、親馬鹿め。

 

『ま、似合ってるんじゃない?』

「適当だな、おい……」

 

 いや、そんなにガッカリされても。ミュートシティで大人気ない事した仕返しだとでも思っておけ。

 ああ、ミュートシティと言えば気になっている事があるんだった。

 

『そう言えば、何でミュートジムではレボリアル出来なくて、バトルフィールドなら使えるんだ? 普通は逆だろう?』

 

 一応、この店に来る前に確かめておいたが、やはり“ジム戦でのみレボリアルが出来る”のが普通で、ミュートジムは特殊な例らしい。どんな意図があるのだろう?

 

「詳しくは知らないけど、ジムリーダーの方針らしいよ?」

「そうそう。カラシさんがレボリアルを嫌ってるんだって。何でも、“悪魔の力だから”だとか……」

『フーン……』

 

 迷信好きなのかね、カラシは。

 とは言え、ダイマックスが元は災害扱いだった事を考えれば、一概に間違いとは言い難く、カラシ自身が何やら由緒正しい血統みたいだから、かつてティアーザ全土に大災害を齎した“マガツキの悪夢”と関りがありそうな力は受け入れ難いのかもしれない。事実、オルタリカの森にいたドロッセアは完全に怪獣だったしな。

 まぁ、俺は遠慮なく使わせてもらうけど。邪悪なる暗黒破壊神だからね、仕方ないね。

 

『――――――うん、いい加減ジムに挑戦しようか』『きゅー』

 

 つーか、呑気にコスメしてる場合じゃなかった。俺はダイパシティのジムへ挑みに来たんだよ!

 

「おう、そう言えばそうだった」「すっかり夢中になってたわ」

 

 まったく、こいつらは……いや、俺も人の事言えんけど。女子の買い物ってどうしてこうも長くなるんだろうね?

 ともかく、ショッピングを楽しむだけ楽しんだ俺たちは、ようやくダイパジムへ足を運んだのだった……。




◆クラトン

・分類:ぶたばなポケモン
・タイプ:いわ/みず
・性別:あり
・特性:げきりゅう/そうしょく(隠れ特性)
・種族値
 HP:65
 こうげき:46
 ぼうぎょ:67
 とくこう:48
 とくぼう:67
 すばやさ:22
・図鑑説明
 非常に大人しく臆病なポケモンだが、食欲はかなり旺盛であり、常に水草を食んでいる。時には陸に上がってまで草を食べる食いしん坊。足がヒレになっている為、陸上では動きが殊更鈍い。人間による環境破壊と、持ち込まれたゼニガメとの餌の取り合いに負けて、絶滅した。
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