ポケットモンスター カオス ~暗黒破壊神は陽の目を見たい~   作:ディヴァ子

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ダークザギ:「ギャラドスって、どう見てもみず/ドラゴンなのに、何でひこうやあくになるんだろう……」


水鳥からの挑戦

『……やっと着いたぜ、クソが』

 

 そして、やって来ました、ダイパジム。

 宝石が寄り集まって出来た西洋の城と言った感じで、小型化した代わりにカラフルになったサグラダ・ファミリアのような外観をしている。塔の上に帝王とか居そう。

 場所はマナワルツ川の上流――――――マナワルツ渓谷に配置されており、辿り着くには川を遡上するしかない。流れそのものは緩やかだが、当然ながら野生のポケモンたちも飛び出してくるので、進むにはその都度みずタイプのポケモンを倒していく必要もある。

 ようするに、川登自体がジムミッションになっているのである。船の貸し出しもされているが、正直泳げるポケモンを持っていないと辛いだろう。

 余談だが、この近辺で空を飛ぶ事は禁止されている。鳥ポケモンを刺激しないように、というのが理由だろうが、一番の理由は制空権を侵され興奮した鳥ポケモンによる鳥葬の憂き目を見ない為であろう。

 ポケモンは家族にも友達にもなれる不思議な生き物だが、同時に人を簡単に殺せてしまえる危険生物でもあるのだ。共存共栄していくには、一方的な愛情や信頼ではなく、互いに尊重し合える関係性が必要なのである。

 さて、講釈を垂れるのはこれくらいにして、一度回復するとしようか。

 オオマスポケモンのマスキングが結構強かったんだよ。さすがはトラウト、パワーが違う。確実に体力馬鹿の能筋だな。アクアブレイクして来やがったし。

 あと、ティアーザムックルやティアーザムクバードの空襲が地味にきつかった。あいつら、ほのお/ひこうタイプなのね。空から火の粉ばら撒くの止めろ。

 ちなみに、俺はクラビトン、ライト(+リリス)はギャラドスに騎乗して川登をした。クラビトンはまだしも、パープルジラフのギャラドスが川を席巻している様は、明らかに浮いていた。

 ついでに、今の手持ちはこんな感じ。

 

《俺の手持ち》

 

・ウルファング(Lv29)/もうか:「はじけるほのお」「ダイヤブレイク」「アクセルロック」「ジェムラッシュ」

・クラビトン(Lv25)/げきりゅう:「ストーンバレット」「アクアジェット」「みずのはどう」「まもる」

・ボルデビサス(Lv27)/しんりょく:「ソーラースラッシュ」「どろかけ」「ジェムラッシュ」「ストーンロール」

・ティアーザドードー(Lv24)/はやあし:「ついばむ」「あなをほる」「にどげり」「すなかけ」

・オウドリュー(Lv22)/がんじょうあご:「いわおとし」「じならし」「かみつく」「ほえる」

 

 未だに御三家の進化方法が分からないので全体的にステータスは低めだが、そこそこ戦えるだけのレベルにはなっている。早く真面になりたい。

 とまぁ、そんなこんなで最初の関門を乗り越え、回復も終えて準備万端となった俺たちは、ダイパジムの門を叩いた。

 

「やぁやぁ、未来のチャンピオン! ダイパジムはイメージ通りのみずタイプのジムだ! だけど、油断は大敵! “でんきやくさで無双してやろう”なんて気持ちで挑むと痛い目を見るぞ! しっかりと準備と心構えをしてから挑むんだ!」

『あいよー』「分かったぜ!」「私は見学だけで」

 

 俺は解説さんの話を聞きつつ、ジムの中を見渡す――――――事が出来なかった。何せ真っ暗なのだ。灯りの一つすら点いていない。

 一応、人間ではなくポリゴンの眼で見れば、この暗黒世界の詳細も分かるが、それをやってしまうと何かつまらなそうなので、敢てやらなかった。ギミッククリアも醍醐味の一つだからな、ジム戦は。

 という事で、俺は人間視点のままでジム内を進み始めた。地面は平らで、歩き難いという事はない。ただ、壁のような物で進路が塞がれており、ある程度決まった方向にしか行けないようである。何かイワヤマトンネルを思い出すなぁ……。

 

 ――――――カッ!

 

『……は?』

 

 と、突然のライトアップ。

 そして、明かりの中心には何故かバレリーナが。見事なステップを踏みながら、ボールを構えてくる。勝負しろ、という事らしい。どうやらこいつがジムトレーナーのようだ。

 

「私はオデット! 今からお花を摘むわ!」

『つまりトイレって事?』

「ちがーう! 呪っちゃうわよ!」

『情緒が不安定過ぎるだろう……』

 

 ――――――バレリーナのオデットが勝負を仕掛けて来たっ!

 

「舞い踊れ、コダック!」『ガーガーッ!』

『絶対無理だと思うが。行け、ボルデビサス!』『ギギャァアアヴォッ!』

 

 俺はボルデビサスを、オデットはコダック(ティアーザのすがた)を繰り出した。

 

《『コダック(ティアーザのすがた):にせアヒルポケモン』。タイプはみず/どく。特性は♂がどくのとげ/すいすい/どくしゅ(隠れ特性)、♀がのろわれボディ/すいすい/うるおいボディ(隠れ特性)。コダックのあるべき姿で、その昔悪いマリルに騙されたアヒルが生んだ呪い子と言われているンガ。だから、今でもマリルを見ると見境なく襲い掛かるンガよ》

『マリルェ……』

 

 何て嫌な設定なんだ。言うなれば自然界のキメラじゃん。確かカモノハシにも似たような伝承があるらしいからなぁ……。

 それにしても、性別で特性が違うのか。雄がどく関連なのは、カモノハシの雄にだけ毒爪があるからだろう。その割には雌雄関係なくどく技を覚えたりするのだが、設定と現実の矛盾っぷりが酷いのは今に始まった事ではないから、気にしてはいけない。タイプがどくなのにどく技使えないのは致命的過ぎるからな。

 ちなみに、目の前のこいつは雌。性別は特性だけでなくステータスにも影響しているようで、雌の場合は耐久寄り、雄は攻撃寄りになるが、共通して素早さはそこそこ高い。

 

「コダック、「アクアブレイク」!」『コァクワァッ!』

 

 さらに、習得技もエスパー技がどく技に置き換わっただけで原種と似たり寄ったりなので、割と早い段階で強力なみず技を使って来る。向こうはレベルが24もあるので、当然ながら毒突きも覚えているだろう。結構面倒だな、このジム。解説さんの言う通りである。

 

『ボルデビサス、「ソーラースラッシュ」!』『ギカァアアアッ!』

 

 だが、ボルデビサスはみず技を弱点としていないので、普通に耐えられる。こっちの攻撃も等倍だが、さすがに進化前に負けたりはしない。

 

「やりますね! だけど、私の舞台はまだ終わっていないわよ! 行って、コアルヒー!」『コァッルヒィッ!』

 

 すると、別のアヒル(Lv25)が出て来た。ティアーザコダックの図鑑説明を見た後だと、何か微妙な気分になるですけど……。

 それにしても、コアルヒーの時点では変化がないのか。アローラライチュウやガラルマタドガスと同じタイプだな。意外と適応能力があるのだろう。

 

「コアルヒー、「はがねのつばさ」!」『コアァッ!』

『ぬぉっ!?』『ギガァアアヴォッ!』

 

 と、コアルヒーがまさかの鋼の翼を放って来た。こいつ、タマゴ技なんて覚えてやがるのか。いわタイプやくさタイプの多いティアーザならではの対策だな。

 

『「ソーラースラッシュ」!』『ギュヴァアアッ!』

『アッヒルゥーン!』「きゃああっ!?」

 

 しかし、それでもボルデビサスを落とすには程遠い。どんなに頑張っても、所詮はアヒルだ。進化してから出直して来いや。

 

「よし、次はオレだぜ!」「良いでしょう、しっかりと八つ当たりさせてもらいますよ! ヤッテヤルデス!」

 

 今度はライトが挑むようなので、俺は先に進ませてもらおう。

 

 ――――――カッ!

 

「オデットが泣いている! この僕、ジークが拭ってみせましょう!」

『次は王子様かよ……』

 

 続いてスポットライトを浴びたのは、白いタキシードで身を包んだキザ野郎。フルネームはジークフリードだろうな。

 

「行けっ、コダック!」『クァン?』

「殺れ、クラビトン!」『クラビィッ!』

 

 で、出して来たのは原種のコダック(Lv26)。対する俺はクラビトンを繰り出した。

 

「「しねんのずつき」!」『クァッ!』

 

 うん、こっちもこっちで良い技を持ってるね。技構成は思念の頭突き、アクアテール、嫌な音、金縛りって感じかな?

 既に実戦級の技を持っているのは素晴らしいが、やっぱり進化して出直して来いと言わざるを得ない。

 

『「アクアジェット」で距離を取りつつ、「ストーンバレット」!』『クラビットォオオ!』

『キャモォン!』「アッー!」

 

 いや、「アッー!」ってお前……そういう奴なのか?

 まぁいい、とにかくコダックは倒した。二体目はやっぱりコアルヒーか?

 

「オ・ノーレッ! 行くがいい、マスキング!」『ギョギョォッ!』

 

 と思ったら、マスキングが出て来た。進化前にも関わらず1メートルもあるその巨体は、まさしく王様級のトラウトマス。

 ちなみに、ステータスがこちら。

 

◆マスキング

 

・分類:オオマスポケモン

・タイプ:みず

・レベル:27

・性別:♂

・特性:さいせいりょく/しぜんかいふく/マルチスケイル(隠れ特性)

・種族値: HP:120 A:30 B:60 C:30 D:60 S:20 合計:320

・図鑑説明

 とっても美味しい川魚。丸々太った脂身たっぷりの体は、煮ても焼いても美味しく、醤油を差した刺身は旨いの一言。その為、積極的に養殖されている。野生の物は進化の直前になると川を下り、大海に至る。

 

 名前の似通ったコイキングと同様に名前負けした種族値なのだが、HPだけはギラティナばりに高く、割と耐久力のあるポケモンである。特性も回復やダメージを軽減する物ばかりで、ステータスも相俟って、進化前にしてはかなりタフだ。

 ……それはそれとして、解説が味わいについて熱く語っているのはどうなのか。所詮はトラウトマスだな。

 

『戻れ、クラビトン! 行け、ボルデビサス!』『ギギャアアヴォッ!』

 

 クラビトンでは分が悪いので、ボルデビサスを戦線に立たせる。みず単体であれば、くさ技で押し切れるだろう。タブンネ。

 

「マスキング、「アクアブレイク」!」『ギョギョォーンッ!』

『くっ……「ソーラースラッシュ」!』『カァアアアアアッ!』

「まだまだぁ! 「スケイルショット」だ!」『ギョギョッ!』

『「ストーンロール」で突っ込め!』『ギギャァアヴォォッ!』

「まだ行ける! もう一度「アクアブレイク」!」『ギョン!』

「至近距離で「ソーラースラッシュ」だ!」『ギガアアアッ!』

『ウッ……ギョァアアアアアン!』「くっ、戻れマスキング!」

 

 転がるの上位互換技「ストーンロール」(石貨のように攻撃する。当たる度に威力が2倍になる。威力は60)で撥ね飛ばし、ソーラースラッシュを二回も食らって、マスキングはやっと倒れた。川登中も思ってたけど、コイキングポジションの癖にタフ過ぎるんだよ……!

 

「嗚呼、負けてしまった……もう駄目だ、お終いだぁ!」

『ベ○ータかお前は」

 

 もうちょっと根性見せろよ。オデットと無理心中するくらいの勢いをさ。

 さて、そろそろ最後の相手だろうか。このノリで行くと、ラストのジムトレーナーの名前は……、

 

 ――――――カッ!

 

 すると、噂をすれば何とやら、赤い服のバレリーナがポーズを決めて現れた。

 そう言えば、オデットもジークも何か変なポーズ決めてたな。もしかしてアレ、フシギバナ、リザードンのつもりだったのか?

 じゃあ、目の前のこいつがしてるのって……いや、考えるのは止めよう。逆に考えるんだ、「あれがカメックスポーズでもいいんじゃないか」と。

 

「さて、ワタシは誰でしょう?」

『知らねぇよ!』

 

 ――――――バレリーナのオディールが勝負を仕掛けて来たっ!

 

「頼みましたよ、ウッウ!」『うっうー♪』

『殺って来い、クラビトン!』『クラァァビィッ!』

 

 俺がクラビトンを出すと、オディールはウッウ(Lv27)を繰り出して来た。「うのミサイル」という意味不明な特性を持つ水鳥系のポケモンで、まんま鵜飼いがモチーフである。本来は青系の色合いなのだが、こいつは色違いで橙色がメインだ。百均のホウホウ、ここに降臨。

 

「ウッウ、「ダイビング」!」『うっう~♪』

 

 さっそく鵜のミサイル化する為、ダイビングをかますウッウ。声が一々ムカつくなぁ。

 

『戻れ、クラビトン! 行けっ、ボルデビサス!』『ギギャアアヴォッ!』

 

 このまま棒立ちするのもアレなので、潜伏している間にボルデビサスと入れ替えた。ストーンロールで轢殺すればいいや。

 

「ウッウ、食らわせなさい!」『うっうーっ!』

 

 そして、ちょうどそのタイミングでダイビングから抜け出して攻撃を仕掛けて来るウッウ。

 だが、等倍である。防御も特防もそれなりにあるから、さすがにウッウのダイビング程度では落ちはしない。

 さぁ、仕返しだ、ボルデビサス!

 

『「ストーンロール」で粗挽き肉団子にしてやれ!』『ギギャアアヴァォオオオッ!』

「うっう~!」『ああっ、戻ってウッウ!』

 

 上手に轢けました~♪

 

『ギガァアヴォッ!』『ん……?』

 

 レベルが30に上がって何故か空を飛ぶを覚えるみたいなんだが……いるか、これ?

 いや、レボリアルに対する時間稼ぎにはなるし、何より本人が必死だから、残しておくか。泥掛け消しとこ。

 

「お願い、スワンナ!」『ワルゥッツ!』

 

 お次は通常種のスワンナ。そこはオディールとして、ティアーザの姿じゃないのか?

 まぁいいか。そこまで苦戦するような相手でもないし、さっさと片付けてやろう。

 

『ボルデビサス、「ストーンロール」!』『ギガァッ!』

「「そらをとぶ」で躱しなさい!」『スワァァアンッ!』

 

 さっきと同じように轢き殺そうとしたのだが、空を飛ぶで躱されてしまった。なら追い掛けるまでよ!

 

『ボルデビサス、「そらをとぶ」で追い掛けて、「ソーラースラッシュ」で撃ち落とせ!』「ギガァヴォッ!」

『ハクチョーッ!』「スワンナ!?」

 

 まさかの空中戦になるとは思っていなかったのか、スワンナはアッサリと地に落ちた。

 

『そのまま「ストーンロール」!』『カァアアッ!』

『スワンナァ~!』『……戻って、スワンナ』

 

 さらに、墜落した所をストーンロールで轢殺。オディールに勝利した。

 

「負けてしまいましたわ。ワタシの采配が悪いばっかりに……」

 

 お前、本当にオディールか? オデットと中の人が逆なんじゃない?

 

『……先に進むか』「そーだねー」

 

 気にしても仕方ないので、先に進む事にした。オデット、ジーク、オディールと来て、ラストは一体誰になる?

 

 ――――――カカカカカッ!

 

 と、全ての照明が点き、ジムの全体像が露わになった。色取り取りのクリスタルが乱立する迷路になっており、その終点がジムのスタジアムへ繋がる階段がある。これを上れば、ダイパジムのリーダーが待っている。たぶん、変なポーズを決めて。

 

「……来たわね」

 

 階段を上り切ったその先……結晶だらけなスタジアムの真ん中で、そいつは仁王立ちしていた。

 濃いオレンジ色の髪を優雅に流し、スリットの入った黒いドレスを着こなす、モデル体型の美女。その表情はとても柔らかだ。

 

「ワタシはムレナ。こう見えてみずタイプの使い手よ。……貴女は何か“矜持”があるかしら? ワタシには無いわ。強いて言うなら……その矜持(プライド)をへし折る事が愉しくて仕方ないわねぇ!」

 

 しかし、ボールを構えた時の笑顔は、悪魔のそれだった。性格悪いな、こいつ。

 

 ――――――ジムリーダーのムレナが勝負を仕掛けて来たっ!

 

「狩りの時間よ、ワルダック!」『コワルゥンッ!』

 

 そんな性悪女(ムレナ)が繰り出したのは、ティアーザコダック系の進化形態と思われるポケモン、ワルダック(Lv28)。頭部がマニューラのようになり、二足歩行に戻っている。体色は黒で、性別は雌だ。

 

《『ワルダック:しょうわるポケモン』。タイプはみず/あく。特性は♂がわるいてぐせ/すいすい/ぎゃくじょう、♀はのろわれボディ/すいすい/ぎゃくしゅう。呪われた運命にすっかり心が荒み、魔道に堕ちてしまったゴルダックの新たな姿。今はもう亡き悪いみずネズミを探し求めて、今日も明日も八つ裂きにする為の獲物を狙っているンガ》

『普通に怖いんだけど』

 

 復讐する相手がもういないとか、虚し過ぎる……。

 

『行け、ボルデビサス!』『ギギャアアヴォッ!』

 

 だが、勝負は勝負。毒気の失ったお前に、出し惜しみする筋合いはない。くさ技で仕留めてくれるわ!

 

『ワルダック、「ふいうち」!』『ワルゥッ!』

『それがどうした! 「ソーラースラッシュ」!』『ギガァアアアッ!』

 

 ワルダックの不意打ちが決まったが、ボルデビサスは耐久力が結構ある。普通に受け切ってから、ソーラースラッシュで大ダメージを与えた。

 

「フフフ……馬鹿な子!」

 

 しかし、ムレナは不敵に笑う。まさか、こいつの特性は――――――、

 

『「ぎゃくしゅう」発動! 体力が半分以下になった時、攻撃力が上がるわ! そして、食らいなさい、「どくづき」!』『キシャアアアアッ!』

『ギゴァッ……!』『くっ、戻れボルデビサス!』

 

 ワルダックの逆襲で倒れるボルデビサス。さっきの不意打ちはわざとか……!

 

「あらあら、脆いわね。所詮はティアーザ御三家って事かしら?」

 

 このアマ……!

 

『クソがっ! 行け、クラビトン!』『クラァビィッ!』

 

 こうなったら、早々にクラビトンで叩き落してやる!

 

『「アクアジェット」!』「無駄よ、「ふいうち」からの「アクアテール」!」

『クラビィァアアア……!』『クァッファッファッファッ!』

 

 あっ、ミスった。亀が河童相手に先制技で上を取れる訳ないじゃん。ワルダック(♂)じゃないけど、逆上し過ぎた。冷静になれ、俺。

 いや、でもこれ、さすがに無理じゃね?

 一応、アクアジェットのダメージは入っているから、ウルファングならワルダックを落とせるけど、いわ/ほのおタイプ一匹でみずタイプを3タテするのは厳し過ぎる。オウドリューやティアーザドードーじゃ話にならないし。

 

『……ウルファング、「アクセルロック」』『ウルァッ!』

『クァ……』「ご苦労様、ワルダック。……止めを刺しなさい、ダイアルド!」『グヴォオオオオオン!』

 

 そして、このダイアルド(Lv30)である。

 メガギャラドスにシルエットが酷似した、全身がフルアーマー状態の巨大なキングサーモン。その頭には藻が髪の毛のように生え、龍の髭を思わせる長大な触角をたなびかせている。藤色の身体から放たれる威圧感は、群れたヨワシよりも重々しかった。

 

《『ダイアルド:フジマスポケモン』。タイプはみず/ドラゴンの複合で、特性はさいせいりょく/しぜんかいふく/マルチスケイルの三つ。川を下り、海の覇者となったマスキングの成体。鋼のように硬い鱗で覆われた身体は非常に頑強で、例えミサイルが直撃しようと傷一つ付かないンガ。無尽蔵の体力を活かした、タフな戦いが得意ンガよ》

 

 あー、これは死にましたわ。第二のジムでドラゴン複合出すとか、大人気無いにも程があるだろ。

 

「―――――――つまらないわね。せめてもう少し鍛えてから出直して来なさいな。ポケモンも、貴女自身もね」

 

 こうして、俺は殆ど何も出来ないまま、全滅の憂き目に遭ったのだった……。




◆ハウボル

・分類:しんりょくポケモン
・タイプ:いわ/くさ
・性別:あり
・特性:しんりょく/てきおうりょく(隠れ特性)
・種族値
 HP:60
 こうげき:50
 ぼうぎょ:70
 とくこう:55
 とくぼう:65
 すばやさ:10
・図鑑説明
 草食性の大人しい性格。普段は木の葉に擬態しているが、襲われると腹部をしならせ、両腕を広げ、スコルピのように見せ掛けて威嚇する。それでも逃げない相手には腹部から種爆弾を発射する。
 森の乱開発で絶滅したと思われていたが、つい最近とある小さな孤島に僅かながら生き残っていることが判明した。昔はもっと凶暴なポケモンだったと言われている。
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