ポケットモンスター カオス ~暗黒破壊神は陽の目を見たい~   作:ディヴァ子

12 / 12
ダークザギ:「お前らあんまり無理はするなよ。身体どころか精神が折れるから。フ……フフフ……フハハハハハハハハッ!」
リリス:「一体何があったし……」


悪魔の嘲笑

『よし、レイドバトルしよう』

 

 だが、俺はその程度ではへこたれない。所詮はスポーツ感覚の試合形式。負けて死ぬ訳ではないし、勝つまで挑めばいいだけの事。単純に俺たちがもっと強くなればいいのだ。悩むくらいなら最初から戦わなきゃいんだよ。

 さて、その為にも今はレベルアップの時間である。レベルを上げて物理で殴るだの、第二ジムでタイプ:パルキアだの、大人気ない事をして来たのは向こうだ。そっちがその気なら、こっちにも考えがあんぞ、コラァ!

 という事で、さっそくレイドバトルするとしよう。オルタリカの森と同じく、マナワルツ渓谷にも巣穴があるので、そこの主たちを倒せばいい。

 

『キィィィイイイィッ!』

『ヴォアアアアアアッ!』

 

 この俺様がなぁっ!

 今の俺の手持ちはまだ弱過ぎるが、この俺自らが手を下せば問題ない。何せ俺はポリゴンだからな。倒せば手持ち全員に経験値が入る。レベル技が揃うまで養殖作業を続けよう。ついでに御三家の進化条件が分かれば尚良し。

 さぁ、次の巣穴だ!

 

『ヒドァアアアッ!』

 

 出現したのは、しちょうポケモンのビドクーイ。どく/ひこうの複合体で、より毒々しくなったピトフーイのような姿をしている、鳥系のポケモンだ。何でニューギニアの鳥類がいるし……。

 まぁいいさ、どくタイプ同士なら毒が入らないし、おそらく向こうには決め手がない。レボリアルしているが、それもノープログレム。

 俺は身体がポリゴン、器は人間、精神は邪悪なる暗黒破壊神である。身体の構造を弄るのも、並列思考するのもお手の物だ。誰かの指示を受ける必要も、手を借りる意味もない。

 

 つまり、自分で自分をレボリアルする事が可能なのである。レボリアルだ、俺ッ!

 

 ……真面目な話、モノホンの怪獣サイズになったポケモン相手に、通常形態で真正面からぶつかっても、粉々になるのがオチだ。ステータスも上がってるしね。だからこそのレボリアルである。人間が生身で怪獣とやり合えるのは、ウルトラマンタロウの世界くらいだろう。

 とは言え、人間態のまま巨大化したら目立ち過ぎるので、ポリゴンの姿でレボリアルしている。気分はまるでダークライブ。人機一体形式のコクピットに乗っている感じだ。ダイマックスにしろレボリアルにしろ、完全な巨大化というより、膨張しているような物だからな。まさしくロボットを操作している感覚である。他の主連中がそうなのかは知らんがね。

 ともかく、敵は倒す。俺と手持ちの糧となれ。

 

『キィイイイイッ!』

 

 ビドクーイがダブルウィングを放ってくる。ダメージはそこまで高くは無いだろうが、このガラスボディは巨大化しても脆いままなので、受ける訳には行かない。数十メートル級とは思えない巨体を木の葉のように舞い踊らせ、ビドクーイの攻撃を往なす。

 

『ギャォオオオッ!』

『ヒドァァッ……!』

 

 さらに、シャドーボールを連打して、ビドクーイを仕留める。ステータスが上がっているのはお互い様なので、素の防御力が低いビドクーイが耐え切れる筈がなかった。

 

『ポワァァンル!』

 

 続いて現れたのは、ポワルンの進化形であるロスポワン。タイプは相変わらずノーマルで、特性も「てんきや」のまま。よりテルテル坊主に近付いており、何処となく赤い円盤生物の親戚っぽく見える。天候変化をするにはレボリアル技を切らなければならないので、実はあんまりレボリアルとは相性が良くない。

 そんな微妙な奴は、さっさと退場願おうか。

 

『ヴォアアォッ!』

『ポヒャァーッ!』

 

 今度はシャドーボールではなく、悪の波動を数発お見舞いしてから、ヘドロウェーブで止めを刺した。

 

『コァァッ!』『クワァオッ!』『キャァガァッ!』

『フゥッ、ハァッ! グァヴォォォ……カァアア!』

 

 そして、同時に現れた三匹のレボリアルポケモンを破壊光線で薙ぎ払った。

 ウーム、面白いように狩れるなぁ。向こうが☆3以下の低ランクポケモンだから、と言うのもあるだろうが。

 

『フゥ……』

 

 一旦中止するか。この形態は三分が限界だからな。経験アメや技レコードは腐る程手に入ったから、そろそろ調整に専念してもいいだろう。

 

「アンタ、本当に滅茶苦茶ねぇ……」『きゅー』

 

 元に戻った俺に、リリスが呆れ顔で呟いた。心配してくれるのはティアーザドードーだけかー。他の面子はボールの中だから仕方ないけど。

 

『仕方ないだろ。手っ取り早く手持ちのレベルを上げるには、こうするしかなかったんだからよ』

「だからって身体張り過ぎじゃない? 素直にライトに協力してもらいなよ。私を入れれば三人だし、一人足りないとは言え、レボルレイドくらい熟せるわよ?」

 

 レボルレイド。正式名称「レボルレイドバトル」。ようするにティアーザ版マックスレイドバトルの事だ。

 ルールは基本的に同じだが、巣穴に潜るのではなく、召喚された主と戦う、という違いがある。メタフィールドの中か外か、ぐらいの差でしかないものの、周囲への被害は間違いなくレボルレイドの方が大きくなるだろう。正しく災害である。

 

『……お断りだね。俺はあいつと仲良しこよしする気なんぞ無いからな』

 

 俺とライトは、あくまで旅先が重なっているだけの敵同士。ある程度は良いとして、手の内を明かし過ぎるのはどうかと思うし、ましてや甘んじて施しを受け続けるなど以ての外だ。ライバルはホップやハウみたいなお人好しより、サカキの息子とかの方が好きなんだよねー。

 

「昨日は手伝ってもらった癖に」

『それはそれ、これはこれ、だ』

「捻くれ者」

『ほっとけ』

 

 俺は利用するのが好きなのであって、助け合いは大嫌いなんだよ。孤門を思い出すからな。

 というか、養殖している間は絶対に追い付けも追い越せもしないので、何時までも頼ろうとするのが根本的に間違っている。あいつの紐になるならともかくとして。

 

『そもそも、俺が強くならないと、お前も困るだろうが。それとも今からあいつに鞍替えするか?』

「嫌だね。あの子は眩し過ぎて趣味じゃないし、アンタといる方が自分がマシに思えてくるからね」

『陰キャだな』

「ほっといて」

 

 つまりは、お互い様って事だな。

 よし、この話題は終わりにしよう。言い合うだけ虚しくなる。今は手持ちの確認と調整である。

 何せ、この後あのクソ女にリベンジしに行くんだからな。

 

『さてと……』

 

 俺はボールから手持ちを繰り出し、状態を確かめた。

 

・ウルファング(Lv38)/もうか:「かえんほうしゃ」「ダイヤブレイク」「アクセルロック」「そらをとぶ」

・クラビトン(Lv35)/げきりゅう:「ストーンバレット」「アクアジェット」「なみのり」「そらをとぶ」

・ボルデビサス(Lv37)/しんりょく:「ソーラースラッシュ」「ジュエルスプラッシュ」「ストーンロール」「そらをとぶ」

・ティアーザドードー(Lv32)/はやあし:「ドリルくちばし」「あなをほる」「とびひざげり」「ストーンバレット」

・オウドリュー(Lv34)/がんじょうあご:「ダイヤブレイク」「じしん」「かみくだく」「サイコファング」

 

 うーん、良いレベルにはなったが、やっぱり進化はさせたいな。オウドリューは42レベルで進化するらしいから、経験アメ食わせたろ。ほーれほーれ。

 

『グルルル……ウォオオーン!』

 

 おや、オウドリューの様子が……!?

 

『ギャァアヴヴヴウウウウウッ!』

 

 おめでとう、オウドリューはゼオクロスに進化した!

 

『……でっか』

 

 俺はゼオクロスの大きさに絶句した。素の大きさで体長18メートルって。ホエルオーよりデカいのかよ。ムゲンダイナに迫る勢いじゃん。

 くじらがみポケモンと言うだけあって、見た目は骨格を纏ったバシロサウルスと言った感じ。大きさも本物とほぼ同じで、威圧感が半端じゃない。その癖、特性が「ふゆう」なので、この巨体で浮かんでいるという、要塞クジラみたいな有様だった。

 ちなみに、図鑑解説はこんな感じ。

 

◆ゼオクロス

 

・分類:くじらがみポケモン

・タイプ:いわ/ゴースト

・レベル:42

・性別:♀

・特性:ふゆう/がんじょうあご(隠れ特性)

・種族値: HP:200 A:120 B:45 C:30 D:45 S:80 合計:520

・図鑑説明

 オウドリューが海に還った姿。非常に凶暴かつ大食らいで、目に付く生き物を一匹残らず平らげ、噛み砕いて吸収した骨を外殻として纏う事により無敵の肉体を得る。その巨体から繰り出される攻撃は破壊力抜群だが、ホエルオーのように音波を操る能力は無い。

 

 ホエルオー以上のHPとガチゴラス並みの攻撃力を持つ、まさに破壊の権化だ。それでもずつきポケモンにパワー負けしているのは内緒。ラムパルドが異常なだけだから。

 物理攻撃が得意な反面、特殊面には明るくないが、いわ技で攻めれば特に問題は無いだろう。一応、ゴーストダイブやポルターガイストを覚えるようだし。

 そして、そこそこ速い素早さが光る。こんな馬鹿デカい身体をしておいて、カブトプスと同速なのである。さすがにおかしいだろ、それは……。

 ホエルオーと違って弱点が多いのは難点だが、その分パワーに優れているので、相互互換に近い。

 よーしよーし、なかなか良い進化を遂げてくれたじゃないか。鳴き声も元恐竜の古代怪獣っぽくてカッコいいし。技はこのままで行こう。

 問題は残りの“進化方法が分からない”面子かぁ……。

 

『ティアーザドードーってどうやって進化するんだ?』

「確か「げんしのちから」を覚えた状態でレベルアップすると進化するよ」

『ドードリオに?』

「いや、ドードリアンっていう別のポケモンになるよ」

『フーン……』

 

 マンムーやモジャンボと同系統か。これはポケセンに戻るしか無いな。

 ……それにしても原始の力か。もしかしたら、これが御三家の殻を破る鍵になるかもな。図鑑解説にも昔はどうとか書いてあったし。

 ま、一旦戻るか。現状これ以上の強化は望めそうも無いし、マシンやレコードも結構手に入った。ここは無理せず、帰って進化の道を模索する方が良いかもしれない。

 

『とりあえず、ポケセンに行くか』

「りょーかい」『きゅー』

 

 そういう事になった。

 

「ハイ、お預かりのポケモンは皆元気になりましたよ!」『ソ~ナンス~♪』

 

 山を下った俺たちはポケセンで一息入れた。実質的に俺だけが回復したような物だが、気にしたら負け。

 

『……さて、どう思う、リリス?』

 

 それから、自販機で買ったジュースを飲みつつポケセンを出て、リリスと共にプラチナーデ公園へ向かう。じっくりと考えを纏める為だ。

 さらに、小規模なダークフィールドを展開、俺たちの存在感を周囲から切り離した。何処で誰が聞いてるか分かったもんじゃないからな。

 

「御三家連中の進化についてって事?」

 

 近くにちょうど良いベンチがあったので、二人仲良く座りながら、議論を開始した。お勉強の時間である。

 

『ああ。ティザーザの御三家って、元々は大陸全土で繁栄していた種族なんだろう? ……って事は、太古の昔は今とは違う姿をしていた訳だ』

 

 ウルファングたち三匹の図鑑解説にも、“古代には更なる進化を遂げていたらしい”と書かれている。現代(いま)はその方法が分からなくなっている訳だ。

 

『個人的には、ティアーザドードーと同じ系統だと思う』

 

 ついでに言えば、空を飛ぶも必要だと思われる。頑なに忘れようとしないからな。

 

「「げんしのちから」が必要って事? 確かに全員思い出しで覚えられるけど……でも、それはもう試されてるわよ? 「そらをとぶ」についてもそう」

『しかし、同時に覚えさせていた事はあったか? どっちにしろ、「げんしのちから」と「そらをとぶ」が必要なのは確かだ。ならば、それに加えて別の条件が必要なんだろうよ』

 

 両方を覚えた状態で、何らかの刺激を受けると進化――――――否、“元の姿”を思い出す。その条件は何か。

 たぶん、懐き度は違うな。それならとっくに進化している。

 なら、考えられるのは、時間、アイテム、場所……個人的には、進化の石が条件なんじゃないかと睨んでいる。全員いわタイプだからな。関係性があっても不思議はない。

 幸い、進化の石はダイパシティで売られていたので、有難く買わせてもらった。

 

『まぁ、物は試しだ。ガンガン使わせてもらうぜ』

 

 シンキングタイムは終わり。この後も特訓は続けるからな。逡巡している暇などない。俺は躊躇いなく、炎の石・水の石・リーフの石をウルファングたちに使った。

 

 そして――――――。

 

 ◆◆◆◆◆◆

 

 そして、俺は再びダイパジムを訪れていた。道中のトレーナーは既に蹴散らしてあるので、そのまま奥地で待ち構えるムレナの下へ向かう。

 

「あらあら、性懲りもなく挑んで来る訳? 少しは強くなったのかしら? せめて、ライトくんくらいには楽しませてもらいたいわねぇ~?」

 

 相変わらず腹立たしい笑みで挑発して来るムレナ。そうか、あいつは乗り越えたのか。ムカつく。

 だが、あのクソガキに苛立つのも、その賢しら顔を見るのも今日限りだ。

 

『ゴチャゴチャ言ってないで掛かって来いよ、売女(ビッチ)が』

 

 何せ、俺は復讐(リベンジ)しに来たんだからな。下準備は抜かりない。今度こそぶっ殺してやる。

 

「……いいわ、掛かって来なさい。吠え面をかかないようにね!」

 

 ――――――ジムリーダーのムレナが勝負を仕掛けて来たッ!

 

「今度は命も刈り取りなさい、ワルダック!」『ゴワァァルッ!』

 

 初手は前回同様、ワルダック(Lv38)。こいつ、こっちがレベル上げして来たと見て、自分もアメ細工しやがったな。もしくはレベルの高い別個体を使ったか。姑息な手を(自分もアメを使いつつ)。

 しかしな、あんまり俺を見くびるんじゃないぞ。

 

『殺して来い、ジェライジン!』『ジュラァアオオオオン!』

 

 俺はウルファングの進化形、ジェライジン(Lv42)を繰り出した。

 ダイアウルフのようにドッシリとした、超大型の狼。全身をローマ兵のような鋼の外骨格で覆われており、激しく燃え盛る尻尾は戦場の篝火となる事だろう。

 まさに狼の中の狼。もしくは、狼をも超えるナニカ。

 その図鑑説明がこちら。

 

◆ジェライジン

 

・分類:えんらいポケモン

・タイプ:はがね/ほのお

・レベル:42

・性別:♀

・特性:ひらいしん/かがりび(隠れ特性)

・種族値: HP:78 A:85 B:74 C:110 D:74 S:113 合計:534

・図鑑説明

 大分昔、とあるティアーザ人が、故郷を奪われた復讐の為にガラル地方へ持ち込み、多数の死傷者を出した事から「怪物」のレッテルを張られ、結果的にティアーザ本土の一族郎党諸共に根絶やしにされるという悲劇の結末を迎えた、孤高の狼王。尻尾の篝火は仲間の士気を高め、鋭い牙と鋼の肉体で戦場を蹂躙する。その俊足は空をも駆け抜けるという。

 

 タイプが「いわ/ほのお」から「はがね/ほのお」に変質しており、特殊寄りだが物理も熟せるというリザードンとよく似た種族値になっている。覚える技も物理・特殊満遍なく、進化前のいわ技も豊富に覚える為、攻撃範囲の広さは御三家随一と言っていいだろう。それでもはがねタイプにしては脆いし、じめん技で四倍ダメージを受けるので、耐久力に難があるのは相変わらずだったりするけど。

 ちなみに、宿敵より少しだけ速くなっていたりする。憎しみがパワーを与えてくれたんだろうか。あと、何で避雷針?

 

「え、嘘……マジ?」

 

 そんなジェライジンを目にしたムレナが、素っ頓狂な声と顔で驚いた。どうだ、凄かろう。

 

「一体、どんな魔法を使ったのかしら?」

『……聞きたいか?』

 

 結論から言うと、石を使っただけでは進化しなかった。技だけでも、石だけでも、両方揃えてもダメ。こいつ進化する気あるのかと投げ出したくなったが、ウルファングがとある店に向かってワンワン鳴いているのを見て、考え直した。

 その店――――――「進化のキセキ」という、様々な進化に関するアイテムを取り押さえている店の、陳列棚に置かれていた物。その中の一つに、ウルファングだけでなく、クラビトンやボルデビサスも興味を示している。

 その何かとは、「メタルコート」。通信交換で進化する、一部のポケモンに必要なアイテム。これを使うポケモンたちは、必ずはがねタイプを複合させた形態に進化する。

 そう、いわ/じめんである筈のイワークや、むし/ひこうのストライクが、である。

 

『もしかして……』

 

 俺はメタルコートを三つ買い、ウルファングたちに(・・・・・・・・・)持たせた状態で(・・・・・・・)進化の石を使った(・・・・・・・・)。これまでも充分以上に捻くれて来たこいつらだ、真面に使う訳がない。

 

『ウルフォォオオン!』『クラビァーッ!』『ギギャアアヴォゥ!』

『おおー』「マジかい」

 

 その瞬間、眩い光が花開くように弾け、ウルファングたちはようやく進化に成功した。

 つまり、彼らの進化条件とは、

 

①「そらをとぶ」と「げんしのちから」を覚えている。

②メタルコートを持っている。

③その状態で進化の石を使う。

 

 という、凄まじく面倒な方法が必要になる。こんなの子供に分かるか。大人でも分からんわ。

 だが、はがねタイプ持ちになったのは大きい。これで“いわタイプ使い”とかいうダイハードモードを卒業出来るぜ。御三家くさタイプより辛いんだよ、クソが。

 まぁ、ゼオクロスはいわタイプなんですがね。それはそれ、これはこれ。

 

「よっしゃあっ! これでポケモン学会に返り咲き出来るわ!」

『俺の功績って事を忘れるなよ』

「もちろん、そのつもりよ~♪ ああ、特許で幾ら入ってくるかしら♪」

 

 リリス(こいつ)、人の話を聞いてねぇ。

 と、そんなこんなで、俺はウルファングを含む残りの御三家も進化させ、ダイパジムへと戻って来た訳だ。

 

『教えてやーんね!』

「………………ッ!」

 

 もちろん、ムレナ(こいつ)には教えてやらないけど。まだ特許を取ってないし、リリスの学会への返り咲きもまだからな。秘密ってのは、隠しておくからこそ価値があるんだよ。

 そもそも、この腐れアマには貸しも借りも作りたくないし、これ以上の関りを持ちたくないしね。

 何も知らないまま死にやがれ!

 

「……だけど、みずタイプに弱い事には変わりないわ! ワルダック、「アクアテール」!」『ゴルダァッ!』

 

 しかし、そこはジムリーダー。頭に血が昇っていても戦いはクールである。

 だが、無駄無駄無駄ァッ!

 ジェライジンの方がずっと速いし、何より今のこいつには“この技”があるんだよ!

 

『ジェライジン、「オーバーブースト」で退避しろ!』『ジェラァアアアアッ!』

 

 俺の指示でジェライジンが足から炎を噴出し、“飛翔”した。

 そう、これぞ進化特典。空を飛ぶが変質した専用技だ。威力90・命中率100のほのおタイプの特殊技で、足から噴き出した炎で宙を舞い、そのターンのみ浮遊状態となりつつ、飛び散った火の粉で空爆を仕掛け、敵を三割の確率で怯ませる効果がある。なかなかに鬼畜な性能である。

 さらに、ジェライジンはレベルアップでもう一つ良い技を覚えてくれた。

 

『そのまま「シルバーバレット」だ!』『ヴォオオオオッ!』

 

 それがこのシルバーバレットだ。はがねタイプの特殊技かつ威力75の必中技である。加えてあく・ゴースト・フェアリーの3タイプに対して威力が倍になる効果があり、それらに対してはまさに必殺必中の魔弾となり得る。それ以外には単なる鉛玉だが。

 しかし、今回に限っては充分に仕事をしてくれた。

 

『グギャッ!』「……戻って、ワルダック!」

 

 完全に不意を突かれたワルダックが、一撃で沈む。オーバーブーストのダメージに加えて威力:破壊光線を食らっては、一溜りもなかろう。

 

「行きなさい、ダイアルド!」『グヴォオオン!』

 

 次なる相手はダイアルド(Lv40)。やっぱりレベルが高い。さすがにジェライジンじゃ厳しいか。

 

「戻れ、ジェライジン! 溺死させろ、ガウメラス!」『クァヴヴヴゥカァアアアアッ!』

 

 ならば、お前に任せようか。

 ガウメラス――――――クラビトンの進化形態。フサフサしていた尻尾は短く太い海亀然とした物となり、顔立ちも凛々しくなっている。豚鼻は初心者マークのような形に変わった上で額の辺りに移動し、口には猪のような牙が生えているなど、スッポンモドキや海亀というよりも、超古代文明が生み出した亀型怪獣の飛行形態みたいな姿だ。強そう(KONMAI感)。

 余談だが、図鑑説明はこんな感じ。

 

◆ガウメラス

 

・分類:ぼうしょくポケモン

・タイプ:はがね/みず

・レベル:40

・性別:♀

・特性:メガランチャー/ぼうしょく(隠れ特性)

・種族値: HP:72 A:87 B:65 C:105 D:70 S:131 合計:530

・図鑑説明

 太古のティアーザ大陸でジェライジンやレギオノイズと覇権を巡って争っていた。草食だが凄まじい食欲を持ち、ガウメラスが通った後はぺんぺん草さえ残らないという。鰭のような足から波動を噴出して飛翔し、泳ぐように空を飛ぶ。額の鼻から大気のエネルギーを取り込み、強力な波動弾として放つ事が出来る。

 

 波導の勇者ならぬ、波動の魔王だな。

 亀みたいな姿をしておいて、実はジェライジンより脆く、その分滅茶苦茶素早い高速アタッカーという素敵な仕様だ。プテラやサンダースより速いってどういう事だよ。

 こいつもまた進化特典でオーバーブーストのみずタイプ版である「タイダルジェット」を、レベルアップで「ラスタービーム」という技を覚えた。

 ラスタービームはラスターカノンの上位互換で、威力85・命中率100の特殊技。20パーセントの確率で敵の命中率を一段階下げるミラーショットのような副次効果もある。眩い光をビームとして放つそうな。

 

「くぅ……また見せ付けて……っ!」

『ハッハッハッ、羨ましかろうて!』

 

 そして、屈辱を覚えたままくたばりやがれ。

 

『ガウメラス、「タイダルジェット」!』『グヴルルルッ!』

「ダイアルド、「アクアジェット」で躱しなさい!」『グヴォァアアッ!』

 

 ガウメラスが飛翔し、ダイアルドがジェット噴射で逃げ回る。

 しかし、遅い、遅過ぎる。そんな鈍間で逃げ回れると思うなよ。

 

『ガウメラス、「りゅうのはどう」!』『ゴァアッ!』

『グヴァォッ!』「ダイアルド!」

 

 ワハハハハ、メガランチャー持ちの放つ竜の波動は痛かろう!

 だが、さすがにタフを売りにしているだけあって、ダイアルドはまだまだ戦えそうである。

 だったら、死ぬまで殺すのを止めないだけだぁ!

 

「ダイアルド、「スケイルショット」!」「当たらんよ! 「ラスタービーム」を食らわせてから、「りゅうのはどう」を連打連打連打ぁ!」

『クァヴォォカァアアアッ!』『ゴァァァッ……!』

 

 ラスタービームで命中率が下がった上にこちらが速過ぎるせいで、ダイアルドの攻撃はロクに当たらず、あっという間にガウメラスに嬲り殺しにされた。弱点を突いてこそのポケモン勝負だよねー。

 ま、とりあえず、

 

『ハ~リ~ア~ップ♪』

「このぉっ! ぶち殺しなさい、スワンナ!」『ギャォオオオオオオス!』

 

 とうとうブチ切れたムレナが繰り出したのは、スワンナ(ティアーザのすがた)。原種スワンナを真っ黒にして嘴を赤くした、黄金の瞳を持つ狂気の黒鳥。ぶんるいもそのまんま「こくちょうポケモン」だ。鳴き声は超遺伝子獣だけど。

 図鑑説明はこちら。

 

◆スワンナ(ティアーザのすがた)

 

・分類:こくちょうポケモン

・タイプ:みず/ひこう

・レベル:49

・性別:♀

・特性:するどいめ/かるわざ/ぎゃくじょう(隠れ特性)

・種族値: HP:65 A:93 B:53 C:93 D:53 S:118 合計:473

・図鑑説明

 スワンナのティアーザにおける姿。性格は冷酷非情で、相手を甚振るように戦う。ただし、仲間意識は高く、同族が襲われていると逆上して襲い掛かる。小型化して脆くなったが、その分かなり身軽になった。

 

 フム、能力的にはガウメラスと似たような物でこちらの方が素早いが、レベル差で速さが追い付かれているな。これは壮絶な空中戦になるぞ。

 

「スワンナ、「ねっとう」!」『躱して「はどうだん」!』「「みきり」で避けて「エアスラッシュ」よ!」『「まもる」で防いで「ラスタービーム」!』「「スケイルショット」!」『「ジュエルスプラッシュ」!』

「『墜ちろ、カトンボ!』」

 

 急上昇、急降下、急旋回、バレルロールをしながらの撃ち合いと、亀や黒鳥とは思えない凄まじいドッグファイトを繰り広げるガウメラスとティアーザスワンナ。お互いに攻撃が当たるだけでアウトな性能なので、文字通り戦闘機同士の戦いである。ティアーザスワンナに至っては、翼を折り畳んでアクアジェットで加速するという槍ギャオス状態なので、ミサイルにしか見えない。

 

『ギャォッ……!』

 

 先に被弾したのはティアーザスワンナだった。波動弾が直撃し、墜落する――――――かに見えたのだが、

 

『ギギャァアアォォオオスッ!』『クァァアォン!?』

 

 しかし、気合のタスキを持っていたらしく、隠れ特性の逆上が発動。凄まじい威力の熱湯をぶっかけて来やがった。おまけに火傷まで負ってしまった。熱湯って何で並みのほのお技より火傷率高いんだろうね。

 

「死になさい! 「スケイルショット」!」「くっ、戻れガウメラス!」

 

 さらに、スケイルショットで追撃され、ガウメラスは墜ちた。やってくれる。

 だが、勝利は俺の物だ。何せ“こいつ”がいるからな。

 

『殺せ、レギオノイズ!』『クォオオンフォンフォン!』

 

 という事で、俺は三匹目の最終進化御三家、レギオノイズを繰り出した。

 昆虫怪獣といった風貌だったボルデビサスが、進化する事で直立二足歩行の宇宙人染みた姿となり、二本に増えた尻尾は背後で後光の如く円を描いている。後光輪の縁で蠢く八本の触手が実に禍々しい。

 何と言うか、使徒と言うか、邪神みたいな姿になってしまったなぁ……。

 蛇足だけど、こちらが図鑑説明。

 

◆レギオノイズ

 

・分類:しんりゃくポケモン

・タイプ:はがね/くさ

・レベル:41

・性別:♀

・特性:いろめがね/てきおうかくさん(隠れ特性)

・種族値: HP:101 A:97 B:103 C:113 D:103 S:7 合計:525

・図鑑説明

 “侵略する生態系”とも称される攻撃的な社会性を持つポケモン。一匹の女王を中心とした群れで敵地を攻め、爆発性のある種をばら撒き、全てを焦土に変えた上で自分たちに適した環境に造り替えてしまう。フェロモンと電磁場をコミュニケーションに使用しており、それを害する存在を積極的に攻撃する性質がある。

 

 種族値が素数だらけって、ウルトラビーストかな?

 元々無いに等しい素早さを諦めた分だけ他の能力が高く、殆どが100を超えているという、準伝説並みのステータスである。弱点もほのおとかくとうタイプしかないので、まさしく難攻不落の要塞だ。

 

「くぅっ……スワンナ、「スケイルショット」!」『無駄だ! レギオノイズ、「はらいのける」!』

 

 ティアーザスワンナのスケイルショットを、レギオノイズの触手が払い除ける。

 “攻撃技限定の見切り”効果と“次の攻撃を確定で先制出来る”効果を持つくさタイプの物理技で、威力は蔓の鞭と同じ。蔓の鞭を覚えられるポケモンなら誰もが覚えられる汎用技で、素早さ(笑)のレギオノイズとはかなり相性が良い。

 

『トドメだ! 「ソーラージェネシス」!』『クゥヴォオオオヴゥン!』

 

 そして、レベルアップで覚えた専用技の「ソーラージェネシス」を発射。

 威力100・命中率100の優良な特殊技で、攻撃後にグラスフィールドを張るという追加効果を持つ。こっちもこっちで鬼畜だなぁ……。

 ともかく、これにて決着である。少しだけ手古摺ったが、ほぼ圧勝と言っていいだろう。

 

「……仕方ないわね。負けを認めましょう。その証としてダイパバッチを渡すわ」

 

 さらに、超悔しそうなムレナからダイパバッチと熱湯の技マシンを受け取り、正真正銘ダイパジムクリアと相成った。

 

『レベルを上げた程度で勝てると高を括っていたようだが、そんな相手に見事リベンジを果たされたどころか圧倒された訳だけど、NDK?』

「……とっと失せろ! そして二度と来るな!」

『言われるまでも、ア~リマセェ~ン!』

「キィィィィ! 死ね、くたばれ、自殺しろ!」

「こいつら大人気ねぇ……」

 

 もちろん、マウントは取りましたとも。あー、スッキリしたぁっ!




◆ムレナ・ロットバルト

 ダイパジムのジムリーダーを務める性悪な女。カラシの洗礼を乗り越え、自信を付け始めた新人トレーナーを完膚なきまでに叩き潰し、悔しがる少年少女の顔を見るのが趣味。他人を苛めるのは好きだが、自分が嫌な思いをするのは絶対に許さない。痛みを感じる事自体は結構好き。“相手に合わせて手持ちのレベルを変える”というジムリーダーとしてのルールを悪用しがちで、何としでもマウントを取ろうとする。場合によっては闇討ちも平然とやる。
 そんな外道にも程がある彼女だが、舞台の上では一転して名役者であり、悪役から悲劇のヒロインまで何でも熟す。ダイパジムのトレーナーたちは彼女が率いる劇団「クレイナン」のメンバーであり、仲間内の関係は非常に良好。ついでに夜の相性も良いらしい。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。