ポケットモンスター カオス ~暗黒破壊神は陽の目を見たい~   作:ディヴァ子

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ダークザギ:「図鑑説明で明らかに人間を獲物にしている輩がいる件について」


オルタリカの秘密

『フム……今時、原生林なんて珍しいな』

 

 深き森。

 それが立ち入った時の第一印象だった。

 天を突く巨木と苔生した大地。遠くからは清水のせせらぎが聞こえる。鬱蒼とはしているが、ジャングルのようにゴチャゴチャはしておらず、どこか神秘的な雰囲気だ。空気も美味い。フィトンチッドが出まくっているのであろう。

 ピクニックと洒落込むにはあまりにも深すぎるが、森林浴をしたいのなら最高の場所だと言える。

 

「……ねぇ、やっぱり戻らない?」

 

 と、急にリリスが怖気付いた。

 

『おいおい、今更何をビビってる?』

「だって、ここ「オルタリカの森」だもん」

『それくらい知ってるさ。観光名所だろ?』

 

 オルタリカの森。ミュートシティ郊外にある観光名所の一つ。R-1番道路の中程に位置し、自然を存分に味わえるハイキングコースとして、かなりの人気スポットである。当然、道はそれなりに整備され、疲れこそすれど歩き難いという事はない。

 

「……事前にしっかりと準備して、コースをきちんと辿ればね」

 

 しかし、それはオルタリカの森が持つ顔の一つでしかなく、本来の顔は“生きて帰れない死の森”だ。ハイキングコースを一歩でも外れたが最後、東西南北が一切分からない深い森に囚われ、二度と出られなくなるという。富士の樹海みたいな物である。

 だが、本当に怖いのはもっと別の物だ。

 

「虫よけスプレーも煙玉もピッピ人形もない。こんな状態で歩いてたら――――――」

 

 ふと、リリスの声が途切れ、視界から姿を消した。

 

「わきゃーっ!」

 

 次いで、間抜けな悲鳴。

 

『ギギギギギギギギギ!』

「助けてぇー!」

 

 声の方を見ると、蔓とも葉とも付かぬ触手が、どこぞの怪奇植物を思わせる音を鳴らしながらリリスに巻き付き、ギリギリと締め上げていた。触手は無数で、その根元はアボリジナル・ペインティングが施された岩のような樹木となっている。所々に穴が開いており、一番大きな物は縦に裂けた大口で、内部には狂気を孕んだ目が見開いていた。

 

『……何だこいつ?』

 

 どう見てもスフランの親戚だが、こんな時の為のポケモン図鑑である。調べてみよう。

 

《『ディジュリー:ありづかポケモン』。タイプはくさ/いわ。ユーカリアの進化形で、岩のような幹と触手のように動く葉を持つ危険な植物ンガ。通りすがる獲物を葉の毒で弱らせながら締め上げて、真ん中の口でバリバリと食べるンガ。また、体内に無数のアイアントを飼っていて、ディジュリーがピンチの時に出撃するンガ》

『解説お疲れさん』

 

 俺は図鑑をしまって、スフランもどき――――――ありづかポケモンのディジュリーに向き直った。毒が回り始めたのか、リリスはすっかりグロッキーになっている。

 

「た、助け……て……うぅ……!」

『あらあら弱ってますね』

「馬鹿……言って……ない、で……」

『それが人に頼む態度かね?』

「くっ……お願い、し……ます……た、ス、け……テ……」

『しょうがねぇなぁ……』

 

 おちょくるのはこれぐらいにしておくか。

 

『ハァッ!』

『ギィイイイイイッ!』「あぅ……」

 

 まずはシャドーボールで触手を撃ち抜き、リリスを解放。

 

『ヴォアアアアアッ!』

『ギャアアアアアッ!』

 

 続いて、悪の波動をグラビティ・ザギの如く光線状にして発射し、ディジュリーを怯ませてやった。やっぱり人型は細かい調整が出来ていいね。

 

『ほれ、解毒剤だ』

「ソレ……サッキ……ヒロッタ……ヤツ……うぶっ!」

 

 その後、観光がてらに拾っておいたモモンの実を喰わせて、リリスを解毒してやる。

 

『ギギギギギ!』

『ギガァッ!』『ギギャァアヴォッッ!』『ギガアアッ!』

 

 すると、怒り狂ったディジュリーが、各部の空隙からアイアントの群れを放って来た。

 

「ど、どうするの!?」

『決まってるだろう。……逃げるんだよぉ~♪ やれ、ウルフル!』『ウルァアアアッ!』

「うきゃーっ!?」

 

 対する俺は、リリスを抱えつつウルフルを召喚。火の粉を巻き散らせて妨害しつつ煙幕(※レベルアップで覚えた)を張り、さっさとトンズラする。

 戦って負ける気はしないが、さすがに多勢に無勢だし、手荷物がいる状態で無双できる程の力はまだない。あいつら十中八九じめん技を覚えているだろうから、このままウルフルで交戦するのはリスキーだ。

 

『ギガアアァォッ!』『ギギキィィッ!』

「追って来てるよぉ!」『見りゃ分かるよ、うるせぇなぁ……』

 

 そして、このしつこさである。はがねタイプの癖に素早さの種族値が100を超える高速アタッカーであり、物理に関してはそれなりに硬いので、相手にすると面倒臭いんだ、本当に。素直にさよなら(アリーヴェデルチ)させろ。

 

「し、死ぬかと思った……」

『惜しい』

「ざっけんなよコラァッ!」

 

 そんな感じで逃げる事しばらく。俺たちはようやくアイアントの追撃を撒いた。あいつらマジで死ねばいいのに。爆ぜろ。

 

『……観光するには申し分ないんだがな』

 

 ひとまず落ち着いたと見て、俺は周りを見渡す。

 苔だらけの巨木たちの根元には、大小様々なシダ植物や色取り取りの茸が繁茂しており、それらを餌や棲み処にするポケモンたちが息衝いている。主にくさタイプやむしタイプ、それにとりポケモンが殆どだ。

 彼らは人と共にあらず、その必要もない。常に食う食われる、逃げる追うを繰り返し続ける、不毛な関係……それこそが、生き物としてあるべき姿だ。雄々しくも儚く臆病で、だからこそ美しい。

 その様をこんなにも近くで見られるのだから、人気になって当然である。

 まぁ、普通はここまで踏み込んだりはしないんだろうけど……。

 

「あ、ドードーだ」

 

 ふと、リリスが草陰の方を指差す。

 そこには姿がキーウィそのまんまな、首が一本しかない、俺の知らないふたごどりポケモンがいた。

 

『何アレ?』

「えっ、だからドードー……ああ、そうか。あれはリージョンフォームだよ。ティアーザの姿ね」

『そーなのかー』

 

 俺はそっとポケモン図鑑を開いた。

 

《『ドードー(ティアーザのすがた):こどくとりポケモン』。タイプはじめん/ひこう。ドードーの本来の姿で、薄暗い森の奥に潜み、嘴で地面を掘り返して、むしポケモンを捕まえるンガ。足は通常種と同じくらい速いけど、大人しくて人懐こい性格をしているンガ。暑さには強いけど、寒さには弱いンガ》

 

 へー、ジグザグマとガラルジグザグマみたいな関係なのか。

 そりゃあ、普通は頭が一本だよな――――――って、いや、よく見ると、縮んだ頭が尻尾代わりに生えている。何かキリンリキっぽい。

 

「……おい、何で図鑑に頼った」

『お前が頼りないから』

「失礼な……と言えないのが辛い」

 

 さっき真っ先に捕まって食われ掛けたもんね。

 

『それにしても白いな、あいつ。ティアーザの姿は皆ああなのか?』

「いえ、あれは色違いよ。国鳥の……それも色違い個体を見られるなんて、ラッキーね」

 

 原種のドードーの色違いは緑色だった気がするけど、リージョンフォームだからかな?

 

『……捕まえるのか?』

「バッチ無いから無理」

 

 ああ、そう言えばそうだった。何だろう、このオタマギ博士を襲うポチエナがキラーンと輝いた時みたいな物悲しさは……。

 うーん、さっさとあの阿保を捕まえて、バッチを手に入れたいなぁ。

 

「――――――くそっ、止めろ! 来るなぁ!」

 

 と、少し先からライトの声が。ちゃんと生きていたようで何よりだ。

 

『キャァアアアアア!』『カァアァクワァアアッ!』『キィィイイイッ!』『カチカチカチカチ!』

「『うーわー』」

 

 ……で、辿り着いてみると、そこは地獄絵図でした。

 

「ウツボットだらけじゃん」『ラランテスにマスキッパもいるな』

 

 ウツボットが十匹、ラランテスが八匹、マスキッパが十二匹も集まり、イワンコたちを滅多打ちにしている。

 そう、これがオルタリカの森の恐ろしさ。自然豊かなこの森には、食虫植物系のポケモンが多く生息しており、生態系の上位を担っているのである。むしポケモンはもちろんの事、人間でさえ餌食になりかねない。それ程に危険な場所なのだ。

 

『そう言えば……』

 

 しかし、肝心のライトがいないのだが、どこに行ったのだろう。

 

「……、…………っ!」

 

 何か一匹だけいる色違いウツボットの腹が、もごもごしているような。ついでに言えば、顔や手の形がクッキリと浮かび上がって――――――、

 

『……って、食われてんじゃねぇ!』

『カァアアアアアアアアアアアッ!?』

 

 俺は手にシャドーボールを溜め、色違いウツボットの腹を殴り飛ばした。

 

「……ぁっ」「おっととっ!」

 

 途端にライトがポーンと飛び出し、リリスがナイスキャッチ。よし、いいぞ。

 

『クァッコァアアアアアッ!』

 

 おやおや、お怒りか。腹を殴られたからな。他の連中もターゲットをこちらに鞍替えして、一斉に襲い掛かって来た。

 だが、真面目に付き合ってやるつもりはない。

 

『飛ぶぞ!』「うひゃあ!?」「うっ……戻れ、イワンコ、ゼニガメ、コイキング……!」

 

 俺は荷物を二つ抱えると、空中へ退避した。

 どんなに恐ろしくとも、所詮はくさタイプ。空を飛ぶ事は出来ない。マスキッパは特性が浮遊だった気がするが、気にしたら負けだろう。

 

『喰らいやがれ! 「ヘドロウェーブ」!』

 

 さらに、空からヘドロウェーブを垂れ流して差し上げる。毒々を忘れて(・・・・・・・)思い出して(・・・・・)覚えた技である(・・・・・・・)

 ポケモンは技を四つしか覚えられない。

 より正確に言うなら、咄嗟に使える(・・・・・・)技の枠が四つだ(・・・・・・・)。それがポケモンと言う(・・・・・・・)生物群に(・・・・)課せられた枷(・・・・・・)である。

 そして、ポケモンの技は自力で習得出来る物と、“何らかの刺激”によって覚えられる物がある。それは技マシンや技レコードだったり、遺伝だったり、直伝だったりと様々だが、基本的には“素養があるかどうか”で習得の可否が決まる。不可能な事は絶対に出来ないのだ。

 しかし、俺の中身は暗黒破壊神であり、今の身体はティアーザポリゴン、器は人。それら全てを組み合わせれば、“レベルアップで覚えられる技”であれば自由に入れ替える事ぐらい朝飯前である。

 むろん、俺とて今はポケモンなので、四つの柵からは逃れられないが、こうして好き勝手に技構成を変えられるのは明確な利点だろう。技マシンや技レコードで後発的にレパートリーを増やす事が出来れば、ますます便利になる。そうなれば倒せる敵も増えるし、レベルカンストだって夢ではない。

 だからこそ、こんなマシンもレコードも、ましてやポケモンすら手に入らない森の奥地で手を拱いている場合ではないのだ。さっさとお暇してやる。

 ウツボットはくさ/どくタイプなので等倍だが、ラランテスはくさ単タイプなので効果は抜群である。足止めくらいにはなるだろう。

 

『……あ?』

 

 だが、そうは問屋が卸さないようだ。

 

『ヒュルァアアアアッ!』

 

 森の一角に突如として青白い光が螺旋状の軌跡を描き、見た事もないポケモンが巨大化して現れた。

 サラセニアを擬人化したような蠱惑的な胴体に、マスキッパの口を開いて形を成したスカートを穿いているという、非常に女性的なポケモンで、美しいが何処か悪意の見え隠れする独特の雰囲気を纏っている。人は見掛けによらないと言うが、こいつは絶対に性格が悪いに違いない。

 とりあえず、図鑑の出番だな。

 

《『ドロッセア:こわくポケモン』。タイプはくさ/あく。マスキッパの進化形で。口が開いてスカートのようになり、内部の棘が人型になったンガ。その蠱惑的な姿で獲物を誘い、人型の身体に触れた瞬間スカートを閉じて捕らえて、ゆっくりと抱くように消化してしまうンガ。性格は悪役令嬢そのもので、マスキッパを扱き使って悦に入る酷い奴ンガ》

『ヒデェ言われ様……』

 

 つーか、マスキッパの進化形なのか。ハエトリソウがサラセニアに進化する辺り、ポケモンの神秘は尽きない。

 それを言ったらユーカリが加工品に進化した姿をついさっき見たし、世の中には魚が蛸に進化する系統もいるので、今更と言えば今更なのだが……。

 ともかく、カプセル怪獣みたいにして現れたという事は、何らかの外的要因があったって事だ。

 もしかして、

 

『あれが「レボリアル」か?』

「そうだね。たぶん、あいつのすぐ近くに“巣穴”があったのよ」

『そうか……』

 

 巣がどんな形なのか、どういうプロセスで変化するのか、是非とも見てみたかったが、今はそんな場合じゃない。リリスの話を信じるのなら、レボリアルはHP以外のステータスも上がっているので、今の俺でも勝ち目は無いだろう。となれば、

 

『「ヘドロウェーブ」で目潰しだぁ!』

「ゲンガー、「ヘドロウェーブ」!」『ンガハァッ!』

『キィィィィッ!』

 

 俺とリリスのゲンガーが同時にヘドロウェーブを放ち、人型部分の目を潰した。図鑑の説明を見るに、あの人型は口の中の棘が変化した、謂わば疑似餌のような物なので、大したダメージにはならないだろうが、マスキッパの頃の習性が残っているからか、刺激に反応してスカートが閉じてしまい、一時的に行動不能に陥っている。食虫植物の性である。

 

『ヒィルァアアアアアアアッ!』

『ドワォ!?』「に、逃げて! 早くぅ!」「どひゃーっ!」

 

 しかし、所詮は一時凌ぎ。すぐさま怒ったドロッセアがヘドロ爆弾を連打しつつ、パワーウィップで攻撃して来た。

 

『……コォオオオオオッ!』

 

 さらに、生長でステータスを上げ始める始末。

 クソッ、確かに厄介だな、技が自由に使えるのは。ダイマックス技の追加効果は美味しいが、やはり小回りが利く方が便利ではある。

 しかも、Z技のように技の一つを必殺技に変化する事が出来るので、火力もそこそこ出る。技でパワーを発揮するのがダイマックスで、技で火力を補うのがレボリアル、と言えるだろう。

 

『キョァアアアアアアアアック!』

「あ、ヤバい! レボリアル技の「レボルバースト」だ!」

 

 とか何とか言っていたら、ドロッセアがエナジーボールをレボリアル技のレボルバーストに変えて撃って来た。ソーラービームを超える極太のビームが、ドロッセアの頭部から放たれる。エメリウム光線かな?

 

『お前ら、俺にしがみ付け! このままじゃ手が使えん!』

「は、はい!」「お、おう!」

 

 よし、これで手隙になった。撃ってくると言うのなら、受けて立とう。

 

『フッ! ハァッ! ヴォォォォ……カァアアアアアアアアアアアッ!』

 

 俺はダークフィールドを展開しながら、ライトニング・ザギを放つように破壊光線を撃った。心なしか威力が上がっているような気がする。

 ……もしかして、破壊光線じゃなくなってるのか?

 まぁ、強くなるならどうでもいい。これで終わる気はないが――――――だからこそありったけの一撃を、食らいやがれっ!

 

『ヒュルァアアアアアアアアッ!』

『ギャヴォオオオオオオオオッ!』

 

 破壊の力と進化の光がぶつかり合い、火花と稲妻を散らす。

 しかし、勝つのは俺だぁ!

 

『ヒュルァッ!』

 

 押し負けたドロッセアにレボルバーストと破壊光線が同時に直撃、爆発を伴いつつ瀕死となった。

 

『うっ……!』「「あっ!」」

 

 もちろん、俺も反動で動けなくなってしまったのだが。その先に待っているのは、墜落死だ。

 

『ウルゥッ!』『クラァッ!』『ボルゥッ!』『ンガァッ!』

 

 だが、飛び出して来たウルフル、クラトン、ハウボル、ゲンガーの技がクッションになって、どうにか激突せずに済んだ。それでも痛かったが、この場合は仕方ない。命あっての物種だからな。

 

「あ、ありがとな。それと、ごめんな、迷惑掛けて……」

 

 すると、助かった安堵感からか、ライトが恥ずかしそうにこめかみを掻きながら感謝してきた。可愛いなこいつ。

 

『そんな事より(ヤク)だよ、(ヤク)。さっさと薬をよこしやがれ』

「ブレないわね、あんたも……」

 

 ほっとけ。どうせお前も金目当てだろうが。

 

「……ったく、分かったよ、ほら。あとポケモンのアメもあるから、好きに――――――」

 

 おや、ライトの動きが止まったぞ?

 

「さっき飲み込まれた時、全部溶けちゃったみたい……」

 

 どうやら、ズルは出来ないようだ。はーつっかえ。

 ちなみに、図鑑と財布は無事だったらしく、俺たちはそれぞれ30000円の賞金を貰った。金持ってんなぁ、ブルジョワめ……。

 その後、俺たちはハイキングコースに合流し、そのままミュートシティのポケモンセンターに戻った。日もスッカリ暮れたし、何より俺たちは疲れ切っている。ここで無理をしてまでジムに挑む必要はない。

 

「ハイ、ポケモンたちは元気になりましたよ!」『ソーナンス!』

 

 ……とりあえず、ラッキー系統の代わりに何故ソーナンス(♀)を採用しているのかは置いておこう。

 

「あんたは治療を受けなくていいの?」

『受けたよ、分身の方がな』

「分身?」

『正確には分裂だな。俺の大部分を実体化した状態で空のモンスターボールに収まり、回復してから器に戻せば、それでOKなのさ』

「へぇ、便利ねー」

 

 とにかく、これで完全回復である。後は空いた腹を満たして、明日からの旅に備えるだけなのだが、

 

『――――――お前、本当に付いてくんの? 正直、もう用済みなんだけど。薬も無いし』

「本当に正直だな、お前は!」

 

 いや、だってねぇ?

 俺が死神なら、こいつ絶対に疫病神だもん。貧乏神はリリスね。

 

「ちょっと、何か失礼な事考えてなかった?」

『いや、別に? それより、こっちとしてはマジでお断りなんだが。タイプバランスが悪過ぎるし』

 

 俺はリリスを無視しつつ、ライトの手持ちについて指摘した。何せいわとみずしかいないからな。俺もいわタイプに偏ってるけど、腐っても御三家だから、こいつ程はアンバランスではない。

 

「うっ……それは、そうだけど……」

 

 その辺はライトも分かっているのか、言葉に詰まってしまった。

 

『まぁ、まずは腹ごしらえと行こうか』

 

 だが、いつまでもモゴモゴされるのも面倒だし、今日はもうお開きにしようかと思う。

 

『どうするのか、明日までに考えておくといい。もちろん、俺が納得しなければ付き合う気はないがな』

 

 ここまで相手にされなくても付いて来ると言うのなら、勝手にすればいいさ。邪魔したらぶっ殺すけど。

 

「………………」

 

 ライトは何も言わず、ポケセンを出て行った。ここで一宿一飯を共にする気はないのだろう。あるいは“説得力”を身に付けに行くのか。

 ま、どうでもいいがね。

 

「さぁ、ザギ! 今夜は御馳走よ! 何食べる? やっぱりステーキ!?」

『……俺が言うのも何だけど、お前最低だな』

 

 ライトへの心配を微塵も感じさせず、人から貰った金で豪勢に振舞うその姿勢、嫌いじゃないぜ。

 つーか、御馳走=ステーキって、お前の中のリッチさの基準、えらく古臭いな……。

 

 ※この後、滅茶苦茶ステーキした。




◆オルタリカの森

 R-1番道路の道中にある森林公園。今時珍しい原生林を味わえるハイキングコースとして人気だが、一歩でもコースを外れると東西南北が一切分からなくなる樹海が広がり食虫植物系のポケモンが群生する、超危険地帯でもある。その為、事前準備無しで立ち入るのは自殺行為であり、ピクニック気分で入山した者は二度と帰って来れない。
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