ポケットモンスター カオス ~暗黒破壊神は陽の目を見たい~   作:ディヴァ子

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ダークザギ:「RPGの基本はレベルを上げて物理で殴る事!」


ライトからの贈り物

「おい、バトルしろよ」

 

 ミュートジム戦が終わり、ポケセンでポケモンたちを回復させた、ちょうどその時、ライトにリベンジを挑まれた。

 ああ、そう言えばそんな事言ってたっけ。ただの方便だったんだけどな。

 

『え、嫌だけど?』

 

 何で連戦で疲れているのにバトルしなきゃならんのだ。それも手ぶらなお子供を相手に。馬鹿なの?

 

「ええっ!? だって明日までに決めろって言ったじゃん!」

『いや、言ったけどさ。こっちはジム戦で疲れてるし、別の機会という事に――――――』

「何だ、今頃ミュートジムのバッチ手に入れたのかよ」

『あ?』

 

 何だ、その呆れた物言いは。

 

「悪いけど、オレ昨日の時点で手に入れてるぜ? ザギもすぐに手に入れられると思ってたから、こっちはずっとポケモン鍛えて準備してたってのによ。拍子抜けだなぁ~?」

 

 うわー、クソムカつくわ、このジャリガール。

 

『……いいだろう、勝負してやる』

「やった!」

 

 我ながら低い沸点だが、ここで退くのも何か違うだろう。ガキに舐められたままでは、それこそ立つ瀬がない。器は女だが、俺は男であり、邪悪なる暗黒破壊神なのである。

 立ち塞がる敵は、全て撃ち砕くのみ!

 

「それじゃあ、移動しようか」

 

 すると、喧嘩を売っておいて、ライトが踵を返した。ポケセンの真ん前でバトルするのもどうかと思うから、別にいいんだけどね。

 

『……何処にだよ?』

「「バトルフィールド」にだよ。街中でバトルするのは禁止だからね」

 

 そーなのかー。

 いや、当たり前か。街中でドッタンバッタン大騒ぎしていては、建物の被害がエラい事になるし、順当なルールだろう。

 という事で、俺たちはミュートシティの中でも割かし珍しい、開けた場所に移動した。面積は約2.5ヘクタール。広場と言うより、デカい公園だな。

 しかし、ここはあくまでポケモンがバトルする場所。フィールドの真ん中にはモンボマークがある。これ見ると、今まさに戦いが始まるって感じがするよな。

 

「ここはオルタリカの森にあった巣穴と同じく、パワースポットだ。当然レボリアルも出来るし、道具を持ち込めば“それ以外”も出来る」

『御託はいい。さっさと始めるとしよう』

「……話は最後まで聞いた方が良いと思うぞ。まぁいいか。負けた時の言い訳くらいにはなるだろうからな!」

 

 ほぅ、中々言うね。その自信が一体どれ程の物か、見せてもらおうか。

 

「『勝負!』」

 

 ――――――短パン娘のライトが勝負を仕掛けて来たっ!

 

『行けっ、ウルファング!』『ウルファァアンッ!』

「頼むぞ、ルガルガン!」『ルガァォオオオオン!』

 

 初手は俺がウルファング、ライトがルガルガン(まひるのすがた)を繰り出した……って、ルガルガンだとぅ!?

 ヤ、ヤバい。まさか進化させているとは。進化レベルが25だから、確実にレベルで負けている。ついでに言えば相性も悪い。

 

「ルガルガン、「ダイヤブレイク」だ!」『ウガゥッ!』

 

 さらに、ルガルガンがいわタイプ版の噛み砕くである「ダイヤブレイク」で先手を打って来た。もちろん、効果は抜群だ。

 

『ウルゥァ……!』『くっ、戻れウルファング!』

 

 チクショウ、一撃で落とされちまった。さすがにこのレベル差(図鑑で調べたら向こうは29レベル)でタイプ一致の弱点攻撃は耐えられないか。元々耐久には期待出来ないし。

 さて、さっそく勝ち目がまるで見えないのだが、どうしようか。残りの面子は全員未進化だし、このまま続けても100パーセント3タテされる事にだろう。

 よーし、ここは潔く負けを認めるか。回復薬が勿体無いし、負け戦をする趣味もない。

 

『降参だ』

「何だよ、もう終わりか?」

『こっちはまだ鍛えてすらいないんだよ』

 

 いるよねー、こういう最初の町で無駄にレベル上げて無双しようとする奴。努力は認めるけどさ。

 

「なら、俺が鍛えてやるよ! ライバルが雑魚のままじゃつまらないからな!」

 

 ほーら、こうやってすぐにイキる。だから嫌いなんだよ、この手の奴は。面倒臭いから。親切心なのかもしれんけども。

 かと言って、負けっぱなしで引き下がるのは気分が悪い。ここはその育成能力に期待してやろうではないか。精々頑張ってもらおうか、俺の踏み台としてな。

 

『余計なお世話だ……と言いたい所だが、ご教授願おうじゃないか、自称ライバルさん』

「自称じゃなくてちゃんとライバルだよ!」

 

 とまぁ、そんな感じで、ポケモン育成の為にオルタリカの森へ移動。今回はちゃんとハイキングコースから離れないように気を付けながら、野生のポケモンたちとバトルした。ポケモンは基本的に相手を倒さないと経験値が入らないからな。

 ……で、肝心の特訓方法であるが、

 

「ルガルガン、「ダイヤブレイク」!」『ウガゥッ!』

『キィィィ……!』

『……よし、ウルファング、「はじけるほのお」!』『ウルファッ!』

 

 まずはライトのポケモンが敵を弱らせてから、俺のポケモンが止めを刺す――――――所謂“養殖”を行った。おかげで経験値がどんどん入ってくる。相手が格上ばかりだからね、この森。

 えっ、それはちょっと手抜きじゃないかって?

 有効活用と言ってくれたまえ。そもそも教育役を買って出たのはライトの方だしな。俺が遠慮してやる筋合いはない。

 

『ボルボルゥ……!』

「おっ、ハウボルが進化するぞ」『ホントだ』「おー」

 

 そして、遂にハウボル(Lv16)進化の時。眩い虹色の光がハウボルの身を包み、その姿を変化させる。

 

『ギギャァアアヴォゥ!』

 

 ――――――おめでとう、ハウボルはボルデビサスに進化した!

 

『結構強面だな』

 

 ハウボルの頃は間抜けな蟻みたいな顔だったが、進化により大分様変わりしており、眠そうなジト目は尖った複眼に、触角はノコギリクワガタの大顎のように変化し、頭の形も怪獣然としている。前脚は巨大な鎌になり、葉っぱの尻尾は薔薇の鞭を思わせる物に変質し、背中には扇子のような翅が生えていた。

 ある意味予想通りの、凶暴な進化だった。

 ついでにくさタイプ版切り裂く技「ソーラースラッシュ」を覚えた。見た目はソーラーブレードの小型版であり、急所に当たり易い他にも、晴れていると先制攻撃になる追加効果もある。

 ティアーザ地方は天晴れな土地なので、いわタイプだけでなく、くさタイプやほのおタイプの研究もお盛んであり、様々な技が開発されている。ソーラースラッシュもその一つである。

 リリス曰く、ボルデビサスは古代ティアーザ語で“疾風の通り魔”を意味するらしいので、ある意味お似合いの技だ。ツルク星人かな?

 

『……カァァァァッッ!』『クラァッ!?』

 

 と、何故かクラトンに襲い掛かるボルデビサス。何でや。みず/いわタイプのクラトンにソーラースラッシュなんて食らわせたら、275回死んでしまうだろ。やーめーなーさーい。

 

『ギギャァオオオ……ギィッ!』『フォヴァァアッ!』

 

 それでもしつこくクラトンを攻撃しようとしたので、悪の波動砲でお仕置きしてやった。何なんだ、こいつは。マジで通り魔気質なのか。

 

「ボルデビサス、ウルファング、クラビトン(クラトンの進化形)は、元々太古の昔にアザスト大陸の覇権を競い合った間柄なの。だから、進化して凶暴性が上がった事で、太古の記憶が目覚めたのかもね」

『ああ、だから三匹連れて歩く奴がいないのか……』

 

 街行くトレーナーたちが、どれか一匹もしくは二匹しか御三家を連れていないのは何でかなー、と思っていたけど、そういう理由があったのね。

 だが、それならそれで、どうしたものか。ハウボルの頃にあった理性を闘争本能が上回っているというのなら、それを抑えれば共存出来る理屈なのだが……しょうがねぇなぁ。

 

『――――――ボルデビサス。何を勝手な真似をしている? 俺の命令が聞けないと言うのならば……ここで始末してやるぞ?』

『………………!』

 

 俺は身体から闇を放出し殺意を迸らせながら、ボルデビサスにシャドーボールを打ち込む。野生の獣を屈服させるには、ビビらせるのが手っ取り早いからな。基本的に生き物は死なない為に生きているので、自分より強い相手に襲い掛かる事は殆どない。あるとしたら、それこそ天敵同士やラーテルみたいなキ○ガイくらいだろう。

 だので、こうして圧倒的な破壊力を見せて付けてやれば、少なくとも俺の目が届く内は大人しくなる筈。ようするに調教である。決して虐待ではない。これは教育なのだ、うん。

 

『……ボルゥ……』

 

 しばし葛藤していたボルデビサスが、やがて恐怖に理性も闘争心も折れてしまったのか、しおらしくなった。よしよし、それでいい。使えない道具に用は無いからな。俺(の器)が犯罪者にならない為にも、しっかりと言う事を聞いておくれよ。

 

「おい、ザギ。あんまりそう言うのはどうかと思うぞ?」

『知らんね。所詮、ポケモンは道具だ。欠陥品に執着する程、俺はセンチじゃないからな』

「………………」

 

 俺の道具発言に、ライトが押し黙る。

 いや、本当の事だろうに。ポケモンはバトルをする道具で、トレーナーはそれを使う者。愛情の差はあれど、その事実だけは変わらない。“ポケモンは道具じゃない”なんて奇麗事は、ブリーダーになってから言え。

 

『……とは言え、道具は大事に使う方だ。使い潰すにしても、上手く使ってからそうするさ』

 

 バトルに勝てないのはポケモンが弱いせい、何て頓珍漢な事は言わない。道具を使い熟せないのは、トレーナーがヘタッピだからだ。強いポケモン、弱いポケモン、そんなの人の勝手なのである。

 だからこそ、俺はまだボルデビサスを切り捨てない。使えるだけ使ってから土に埋めてやるさ。それがトレーナーとしての責任でもあるからな。前科者にはまだなりたくないし。動き辛いから。

 

「――――――まぁ、お前はそういう奴だよな」

 

 ライトは呆れ半分に呟き、この話を終わらせた。納得は出来ていないようだが、お前の矜持なんぞ知らん。

 

「そーそー、釈迦に説法するより効果無いって」

 

 おい、パートナー。言っておくけど、お前も大概だからな、マッドサイエンティスト。

 

『クラビィトォオオン!』

 

 その後も養殖作業を続け、クラトンも無事にクラビトンへ進化。

 さらに、ようやく真面ないわ技「ストーンバレット」を覚えた。小型の岩を弾丸のように発射する物理攻撃で、能力的にはいわタイプ版「かみつく」だ。牙技じゃないけど、効果は全く同じである。

 鈍足のクラビトンには微妙……と言いたい所だが、こいつ何故か進化するとそこそこ素早くなる。具体的に言うと亀ポケモンではかなり速い方であるカジリガメよりも素早い。ゲンガー図鑑曰くアクアジェットの使い方が上手く、空を飛ぶ事も出来るのだとか。ガメラか。

 ちなみに、さっきの一合が効いたのか、今回はボルデビサスとの喧嘩は起きなかった。平和が一番だな(笑)。

 こうして、俺の手持ちは全員が進化に成功した。レベルも平均で25くらいにはなったし、次のジムに挑むだけなら充分だろう。ライトには未だに勝ち筋が見えないけど。何だよ、ルガルガンとカメールにギャラドスって。道具もしっかり持ってやがるし。

 ……ただ、ここで一つ問題が発生する。

 

「――――――ティアーザの御三家って、一進化しかしないのよね」

 

 それは、何気なくリリスが放ったこの言葉。なん……だと……!?

 

『そうなのか?』

「正確には、最終進化に至る条件がよく分ってないの。少なくとも、レベルアップだけではないわね。それが分かれば受賞物よ。進化出来ないせいで、結構な確率でスタメン落ちするからね」

『なるほど……』

 

 絶対に出来ない訳ではないのか。

 まぁ、ポケモンの進化はたまに意味不明なのがあるからな。カラマネロとかネギガナイトとか。

 うーん、そうなると、御三家だけじゃキツいか。博物館にでも行くか?

 

『よし、博物館で新しいポケモンを見繕うか』

 

 確か、ティアーザ地方の博物館は研究所も兼ねているから、金さえ払えば化石系のポケモンを手に入れられた筈だ。うーむ、倫理観。

 しかし、いざ引き返そうとした俺の前に、見覚えのあるポケモンが現れる。

 

『きゅー』

「あっ、あの時のドードー」

 

 それは、最初にオルタリカの森へ足を踏み入れた時に出会った、白いティアーザドードーだった。相変わらずキリンリキみたいな頭の生え方をしている。

 

『きゅー』

『そんな目でこっちを見るなよ……』

 

 まだバトルすらしていないのに、何だか仲間になりたそうにこちらを見ているが……?

 ウム、こういう時は一先ず図鑑だな。

 

◆ドードー(ティアーザのすがた)

 

・分類:こどくとりポケモン★

・タイプ:じめん/ひこう

・レベル:7

・性別:♀

・特性:にげあし/びびり/はやあし(隠れ特性)

・種族値: HP:35 A:75 B:35 C:25 D:35 S:105 合計:310

・図鑑説明

 ドードーのあるべき姿。尻尾の頭で死角を無くし、敵を発見すると脱兎の如く逃げ出す。深い森の奥にひっそりと暮らしているが人懐っこく、大人しい性格をしていおり、ニュージーランディア諸島の国鳥として親しまれている。暖かい地域に棲む為か、寒さに弱い。

 

 セカンド・コンタクトである為か、数値を含むかなり正確な情報が表示された。

 原種よりも精錬された能力値を持つ高速アタッカーであり、じめん/ひこうの複合タイプとなる事ででんきタイプに抵抗力を得たが、逆に図鑑通りこおりタイプが弱点となっている。進化前でこの素早さなのだから、進化すれば更に速くなるだろう。特性も速さに関する物ばかり。少なくとも原種よりは使い易そうだ。

 図鑑説明を信じるなら、あのティアーザドードーは俺に一目惚れした、という事になる。ちょうど雌だし。人懐っこいとは言え、チョロ過ぎませんかね?

 さて、どうすべきか。一応、珍しくはあるんだが、現状戦力になりそうもないからなぁ……。

 

「何だよ、捕まえないのか? なら、オレが貰っちゃうぜ!」

『………………』

 

 そう言ってライトがボールを構えたので、俺は先んじてプレミアボールを投げた。向こうも白いからピッタリだろう。

 

「素直じゃないなー」

 

 やかましいわ、このジャリンコが。お前は俺の何を知っているんだ。

 

『あんまり調子に乗るなよ』

「あー、ハイハイ。スイマセンでした。それより、これからどうするんだ? 博物館に行くのか?」

『………………』

 

 フム……今の面子だと、化石ポケモンを加えても焼け石に水か?

 いや、せっかくだから一匹くらいは手に入れておきたいな。出来ればタイプが被らない奴。はがねやこおり複合はいらん。あまりにも弱点が多過ぎるから。

 というか、ずっと森に引き籠っているのもアレだし、いい加減に町へ戻るとするか。ポケモンも回復させたいしね。

 

『とりあえず、町に戻ろう。まずはポケセンで回復させてから、博物館で一匹くらいポケモンを買う。それから次の町に向かうとしようか』

「おっ、ミュートシティに戻るのか! なら、オレも付いて行っていいよな? 色々と貢献したし、何より勝ってるし」

『勝手にしろ。行くぞ、リリス』「あいよー」

 

 そして、俺たちは諸々の用事を済ます為、一旦ミュートシティへと戻った。




◆ウルフル

・分類:フクロいぬポケモン
・タイプ:いわ/ほのお
・性別:あり
・特性:もうか/もらいび(隠れ特性)
・種族値
 HP:45
 こうげき:50
 ぼうぎょ:30
 とくこう:60
 とくぼう:30
 すばやさ:65
・図鑑説明
 尻尾の炎は命の証。消えると死んでしまう。子供ながらに気性が荒く、積極的に攻撃を仕掛ける凶暴な捕食者だが、持ち込まれたイワンコとの生存競争に敗れた上、家畜を襲った害獣(実際はルガルガンの仕業)として駆除され、絶滅した。
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