シャングリラ・フロンティア 赤猫亭の冒険   作:タマヤ与太郎

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気が付けば約一年ちょっと……今後は月一ぐらいで投げていけたらいいなぁ……

2020/06/10
・ミオの職業に関して「サブが料理人」となっていたものを「メインが料理人」に変えました。


3:巨鯨の腹の中で恨み節を叫ぶ

 

 

【実質】征服人形契約検証掲示板 part.22【婚活】

 

 

 

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56:ドルメン

 

しかし契約者も大分増えてきたのかな?

ぺむてりお氏の一件以来密林の向こう側に行こうとする連中は増えたようだが

あんまりここで契約できたぜ! みたいな話は聞かないよな

 

57:グリーンアイズ

 

まあここの存在自体知らんやつもいるだろうしな

エルマ型の人気は相変わらずだが。

俺もエルマ型と契約したい……

 

58:侘真椎

まず自分のスタイルに合っているかどうかだよな……

場合によってはビルド再構築も辞さない

 

59:牙拓

ライブラリは今どのぐらい情報持ってんのかね……

今いくつぐらいタイプ確認されてたっけ? 20種くらい?

あ、そういや昨日見慣れない型の征服人形を見たな、

声かけたら契約済みだと断られて絶望したが

 

60:ドルメン

は!?

 

61:侘真椎

マジで? いつぞや見たいにフカシじゃねえだろうな!?

 

62:グリーンアイズ

牙拓大先生詳しいお話をおきかせやがりくださいませんこと?

 

63:ミオ

盛り上がっているようだな、独身貴族共

ほれ差し入れをやろう、釣りは要らんぞ

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64:グリーンアイズ

ファッ!?!?!?!?!?!?!!?

 

65:牙拓

この子ー! この子だよ! 昨日見た奴!!!!

 

66:重曹軍曹

マジで未確認のタイプやんけ!!!!!

 

67:侘真椎

何……この……爽やかスポーティーな感じ……

しかもダイバースーツにに軍服っぽいというか……

ちらっと見えてるのは水着……!?

ちょっと属性盛り過ぎては?!

 

68:ミオ

マナ型289号、だそうだ

 

69:牙拓

詳しいお話をお聞かせ願えませんかね……?

出会いの経緯とか……

 

70:ミオ

別に構わんが……参考になるかどうかは怪しいぞ?

まず出会った経緯だが。こう見えてメインが料理人系でな、

材料調達に定置網仕掛けてたら半壊状態のこいつが引っかかって、

その後世間話してたら契約持ち掛けられた

 

71:グリーンアイズ

漁て

半壊状態だったって事は戦闘で損傷してたってこと?

 

72:ミオ

だそうだ。マナ型は海洋調査タイプだとかでな?

調査中海中で戦闘に巻き込まれて行動不能に、

あとは海流に乗って漂流していたんだそうだ

 

73:ドルメン

あっ

 

74:牙拓

海は……ヤバい……

 

75:侘真椎

そりゃあ半壊しますわ……というかよく原型残ってたな

なんつう豪運

 

76:ミオ

まあ、運が良ければ流れ着いてるののいるんじゃないか?

じゃあな、これからリヴァイアサン攻略だ、またちょくちょく覗きにくるぞ

見てる分には楽しいしなここ

 

77:侘真椎

おのれリア充……!

でも俺も気持ちはすげーわかるし同じことするだろうからなんも言えねえ

 

 

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―――

 

 

そして、赤猫亭へと舞台は戻る。

 

「ははは、飢えた狼に肉を見せびらかすのは実に楽しいな、愉快愉快」

 

忠告(あのー):あまり良い趣味とは言えないのでは……」

 

掲示板でひとしきりツバキの自慢をし、満足げに鼻を鳴らすミオと、

眉根を寄せながら常識的な発言をするツバキ。

それを幼馴染2人は苦笑しながら眺めていた。

 

「いやあミオってこういうとこあるからねえ」

 

「大人げないというかなんというか……」

 

「うるさいだまれ。ユイはともかくライアは同じことするだろうが」

 

「なんもいえねえ……あ、そういえばさあ」

 

「どうした」

 

ミオに睨まれ視線を逸らすライアだったが、ふと何かに気が付いたように他の3人を見回すと、

ふうむと何かを考え込むように顎に手を当てる。

 

「いやさ、ウチらタンクいねえよなー、って。今までは野良ったりしてたけど、

 ツバキちゃんも入ったし、新メンバー欲しいよねえ。

 でもウチら身内団じゃん? 縁もゆかりもない相手引っ張りこむのもなんかなー。

 ツバキちゃん目当ての下心見え見えの奴らに来られても困るし」

 

「出来れば私たちの身内に来てほしいけど、そんな都合よくいかないもんね……」

 

2人の言も最もである。しかし【赤猫亭】は身内団、

リアルで親交のある相手でもなければ入れる気にもならず、

気心の知れた相手だからこその居心地の良さというのもあり、

今までは野良のプレイヤーや他のクランのメンバーと共同で攻略を進めていたのだ。

黙り込む2人。その沈黙を破ったのは、誰あろう、リーダーのミオであった。

 

「まあ、伝手がなくはないが。一応私のリアルの知り合いで、

 タンク職に伝手はある。確かフリーだったはずだな……」

 

「え、マジで? あたしら以外に友達いたんだ」

 

「よし殺すか」「ミオちゃんどうどう……」

 

インベントリから肉叩きのようなハンマーを取り出し振り上げようとするミオをユイが抑え、

ライアがツバキの後ろに隠れて膠着状態に。

少しして、深く深くため息をついて、ミオは振り上げた手を下ろした。

 

「一応な。確か連中もリヴァイアサン攻略中だったか……

 運が良ければ会えるかも知れん。

 さて、準備はできているな。いざリヴァイアサン!

 赤猫亭、出撃する!」

 

 

提案(あのー):そろそろ先へ進みませんか……?」

 

「……まだ馬肉を確保しきれていない……」

 

「ボス部屋目の前じゃん、早くいこうよミオー。霜降りだぜ?」

 

「そろそろインベントリもいっぱいだし……これ以上はボス戦に差し支えるから、ね?」

 

リヴァイアサン・第二殻層「教道」。赤猫亭の面々は、ここで思わぬ足止めを喰らっていた。

据わった目でインベントリを眺めるミオ。

そのインベントリにはドロップアイテムであろう大量の肉類が表示されており、

リアルで飯屋の娘、シャンフロでも料理人系統をメインジョブとするミオにより、

各種「お肉」達が乱獲されたことを示していた。

パーティー総出でどうにかこうにかんだ宥められていたミオだったが、

流石に観念したのか、ため息をつくとインベントリを閉じ、草原の先へと目をやった。

 

「スペリオルオマージュ・フロストボディ(霜降り身体)……

 まあなんというか……ネーミングがオッサン臭くないか、勇魚」

 

『わ、私がつけたんじゃないですよぅ!』

 

ミオの呟きに、ミオの横に出現したデフォルメされたホログラムの女性が答える。

勇魚。今ミオたちがいるダンジョン、バハムート級アーコロジーシップ2番艦「リヴァイアサン」の統括AI。

移民船であったこのリヴァイアサンを大陸規模ダンジョンへと作り替えた当人である。

 

『ともあれ、ここを越えれば第三殻層! 皆さんのご健闘を期待しています!』

 

「勿論だ。ここを越えればファストトラベルが使えるんだろう?

 そうすればここを超えて先へ進んでもすぐに肉を集めに来れるからな……!」

 

『……なんというか、かつてのリヴァイアサンの民の食文化への熱意を彷彿とさせますね……』

 

くくく、と笑うミオを、やや引いた眼で見ている勇魚。

しかし赤猫亭の面々がボス部屋へと踏み込むのをくすりと笑って見送り、ホログラムが消えた。

 

 

 

 

 

「うわわわわこっち来たぁー!」

 

「ツバキとライアは足を狙え! 転べば儲けもの、転ばなくても動きは封じられる!

 ユイ、魔法のタイミングは任せる! こいつは大分賢い、挙動を見逃すな!」

 

「おっけぃ!」「了解:(わっかりました!)」「うんっ!」

 

そして開戦。

真っ先にユイがバフを撒き、ツバキがガトリングに変形させた「化粧箱」で掃射。

ライアがロープを振り回して足を狙い、ミオが鯨包丁のような大剣で斬り込む。

ツバキを交えた四人での戦いは、一層、二層を経て一応の完成を見ていた。

しかし敵もさるもの、ミオにタックルするかと思えば足を縛っていたライアを引っ張り寄せて蹴り、

踏み込もうとしたところに氷魔法を撒いては、足が止まったところにタックル。

二層を突破しようとした多数の開拓者をして「クソボス」と言わしめた所以をいかんなく発揮していた。

 

「ああもう、鬱陶しい! おい勇魚! お前本当に何もしてないんだろうな!?」

 

『一応私の統括するところではありますが……人間でいう、

 臓器や不随意筋の運動を『何かしている』というのならまあ、何かしているとも……』

 

「うわー腹立つぅー! でもこいつ、攻撃は喰らってるはずだから消耗はしてるよね!?」

 

「そのはずだ! 再生するにもエネルギーを使うらしいからな!」

 

叫びながらも走り回り、ツバキやユイの援護を受けながらもダメージを積み重ねていくミオ。

このボスは強力な再生能力・優秀なAIを兼ね備えるが、

その分再生能力の代償に自分の生命エネルギーを削る。

表面上は無傷のように見えるが、その無傷を維持するためのエネルギーは確実に減っているはず。

ある種の希望的観測を支えに、あるいはこのようなボスを設置した勇魚への恨みをバネに、

3人は果敢に敵に立ち向かっていった。

 

「いい加減……倒れろ!」

 

タックルを避けながらもすれ違いざまに一撃。

鯨包丁が、首のない牛、といった外見の体を大きく切り裂いていく。

そして、切り裂かれた痕がまた再生しだした。

その速度を見て、ミオが声を張り上げる。

 

「総員短期決戦用意! わずかだが再生速度が遅くなった! 底が見えたぞ!」

 

「フリじゃないのー!?」

 

「どっちにしても魔力がもう……大技1発ぐらいしか持たないよ!」

 

観測(見て見ると):先程斬った部位にわずかに傷痕を確認!

 再生能力も限界のようです!」

 

「どっちみちこっちもリソースが尽きかけだ! 『杭打ち作戦』!

 ユイ、でかいのをぶちかませ! ツバキはユイに合わせて一瞬でいい、足を止めろ!

 ライア、ユイの魔法に合わせて仕掛けるぞ、合わせろ!」

 

「了解!」

 

言うなり、ミオは鯨包丁を投擲。レベルキャップ解放を成した前衛職、

そのSTRをもって投げ込まれた大剣が、半ばほどまでスペリオルオマージュの胴体に突き刺さる。

 

「通告:一斉掃射行きます、離れてください!」

 

ツバキがスラスターをふかして飛び上がり、上からたたきつけるようなガトリング掃射を行う。

豪雨に降られたかのような攻撃に、数瞬スペリオルオマージュの足が止まり――――――

 

「「詠唱丸暗記」からの……【クラスター・マギストーム】!」

 

ユイの放った魔法が着弾し、暴風雨のごとく吹き荒れる魔法の矢が、

スペリオルオマージュの肉体を容赦なく捉え、削り取っていく。

 

「合わせろライア!」「合点承知ぃ!」

 

「「「フォートレスブレイカー」!!!」」

 

【クラスター・マギストーム】の終わりに合わせて、ミオとライアが突っ込む。

ミオの手には少し前にライアの頭を叩き割りかけた巨大肉叩きが、

ライアの手にはスレッジハンマーが握られ、先にスキルエフェクトを纏った肉叩きが鯨包丁の柄尻に着弾。

次いでスキルエフェクトの尾を引いてスレッジハンマーが肉叩きの背に着弾。

根元まで深々と鯨包丁が叩き込まれ、スペリオルオマージュの肉体がぶるりと震え……

一瞬の後、ポリゴンの塊となって爆散。その場には、ドロップアイテムらしい霜降り肉の肉塊が残された。

 

「……やったか?」

 

「ミオ、それフラグ……いや爆散してるしドロップもあるし死んだろうけど」

 

「良かった……もう魔力もポーションも空っぽだよ……「詠唱丸暗記」も使っちゃったし……」

 

祝賀(おめでとうございます!):皆さんご無事ですか!?」

 

ハンマーを振り抜いた体制のままぼてりと草原に転がるミオとライア、

杖を支えにするも座り込むユイ。

慌ててツバキが駆け寄り、ミオに膝枕する形で座る。

 

『おめでとうございます! さあ、次なる殻層、「戯盤」へとご案内しますね!』

 

「そうだな……ボス部屋にいつまでも居座るのもマナー違反だ……

 だがその前にやることがある。ユイ、ツバキと私を映すような感じでスクショを……

 そうだ、撮れたら送ってくれ。……よし」

 

『……何をしているんです?』

 

「何、征服人形と契約できないと嘆く独身貴族共に餌をな……」

 

『……ミオ、性格悪いとか言われたこと、ないです?』

 

「勇魚、鏡とか見た事あるか? ともあれ、それでは行くか。

 お前ら、準備はいいな?」

 

「おっけおっけ。早くいこうぜー!」「うん、早く一休みしたいしね……」「了解です!」

 

どの面で言うんだお前、と勇魚を睨みながらも、ミオは仲間たちと共に第三殻層へと歩を進める。

第三殻層「戯盤」、勇魚のサービス精神と悪戯心に溢れた次なる殻層で、

赤猫亭の面々はまたひと暴れすることとなる。

 




ミオはサンラクとサバイバアルを足して二で割ったような戦闘スタイル。
各メンバーのジョブなんかに関しては次回紹介できたらいいなあ。
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