新日常はパステルカラーの病みと共に(Rev.)   作:咲野 皐月

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 皆さん、おはこんばんにちは。咲野 皐月です。


 ついに……長らくお待たせ致しました、パス病み本編の十話目を投稿致します。そしてこのお話をもちまして、全十話に渡りました序章を終了し、次回の更新より第一章へと突入しようと思います。


 そして今回のお話は、前回からの続きとなっておりますので、気になる方はぜひ前話を閲覧してから読んで頂けるとわかりやすいと思います。

 それでは、スタートです(今回はかなり急ぎ急ぎで書いたので、ややお届けする文章の中に稚拙な表現などが見受けられる場合があります。読む際はそこにご注意の上、ご覧下さい)。


第十話

「……そんな事があったのか」

「颯樹にしては珍しく帰りが遅いと思ったら、そう言う理由だったのね」

「……やっぱり、持つべき者は幼馴染だね」

 

 

 買い物からの帰り道で、バイト帰りのリサと一悶着あって暫くした頃、僕は夕食後の時間を使って、紗夜と洸夜に相談をしていた。そしてその隣では、日菜が頬擦りをしながら僕に抱き着いているので、好い加減拘束を解いて欲しかったりする。

 

 

 ちなみに、僕が今現在居るのは……氷川家のリビングである。そうなった事の発端はと言うと、日菜に強引に連れて来られた事が起因していて、ここで洸夜と再会出来たのは単なる偶然だったのだ。

 

 もし僕がキッパリ断れていたなら、この光景は有り得なかったのだが、何方にしても……この状況になったのだろうな、と割り切ってすらいる始末だ。

 

 

「偶然会ったとは言え、災難だったな……」

「本当だよ。それに、初対面の相手に対してあそこまでグイグイ行ける人なんて、早々居ないと思うけど」

「ええ、私も颯樹の意見に賛成。その今井さんや日菜が無警戒過ぎるだけね」

 

 

 そんな事を愚痴りながら話していると、日菜が食い付き気味に反論して来たので、僕は一声かけて大人しくさせる事にした。彼女のその無鉄砲さや明るく能天気な性格は、一体何処からそうなってしまったのだろうか、と思ってしまった。

 

 

 そうして暫く話していると、今度の話題は僕が帰郷する前の話へと移り変っていた。

 

 

「なるほどね……何処にでもそんなアホみたいな事をするヤツらが居たもんだ」

「まあ、僕としては良い経験になったけどね。ずっと東京に居たら狭い世界しか知らなかっただろうし、人の事を玩具としか思ってない人たちが居るって事がわかっただけ値千金だよ」

「さっくんは素直だもんねー。それも本っ当にわかりやすいくらいに『余計な事を言い出すのはこの口かー?』ふぉふぇんなひゃいぃ(ごめんなさい)~」

 

 

 僕がある程度の話をすると、洸夜は少々呆れた様な声音でその感想を述べた。それを聞いた日菜が、ちょっとばかし余計な事を言ったので、僕は彼女の両頬を抓ってお仕置をする事にした。

 

 ……まあ、日菜に関して言うなら、先程の事務所での一件もあったので、反論なんて出来るはずも無いのだけれど。

 

 

「そう言えばさー、さっくんって千聖ちゃんと付き合ってるの〜? 事務所のスタッフさんがかなり持ち上げてたけど」

「付き合ってない。ただの幼馴染だよ」

「そうなんだ〜。でもさ、さっくんなら彼女の一人や二人くらいは余裕で作れるはず」

「日菜」

 

 

 日菜がそこまで言った時、突如として洸夜から制止が入った。その隣に居る紗夜の表情を見ても、日菜が何か踏んじゃいけない地雷を踏んだ様な物であり、かく言う僕ですら少し気分が悪くなっていた所だ。

 

 

「なーにー?」

「お前、颯樹がなぜ彼女を作らないか、理由は知っていたりするのかな?」

「え? 単純に自信が無いから……とか?」

「違う。全く違う」

 

 

 ……どうして踏み抜くかな、聞かれたくなかった所を何でこうも的確に……!

 

 

「颯樹がそうなってしまったのには、キチンと理由があるんだ。けど、今のお前の姿を見ていると、それについて話す必要は無さそうだな。軽率に口を滑らせそうで怖いまである」

「……」

「もし颯樹のその理由を聞きたいと言うなら、今ここで俺と約束して欲しい。この先、どんな事があってもアイツを見捨てない……その先でお前がもし後悔したとしても、絶対に他人を怨んだり蔑んだりしないと」

 

 

 その言葉を聞いた瞬間、今まで笑顔だった日菜の表情が少し暗くなってしまった。それを見た僕たちは彼女には悪いとは思ったのだが、こればっかりは本当に興味半分で口外しては行けない事なのだ。

 

 もしも、ふとした時に口を滑らせてしまうなんて事があれば、それこそ一大事だ。だからこそ、日菜に対してあの様な言い方をしたし、洸夜もそう考えて念を押したからね。

 

 

 そして少しした後、日菜は洸夜の眼を真っ直ぐに見据えながら(その範囲にはキチンと僕や紗夜も居た)こう答えた。

 

 

「うーん、どうだろう。それは聞いてみないと分からないかなー。けど、あたしやお兄ちゃんやお姉ちゃんがさっくんの幼馴染って事実はその話を聞いても変わらないよね? なら、あたしは聞いてみたいな、さっくんの過去」

「……わかった。そこまで本気なら、話すよ」

 

 

 そう言って洸夜は、日菜に向かって話し始めた。

 

 一応、この事に関しては僕がその場に居た数少ない証人なので、彼と一緒に補足をしながら説明を行なった。

 

 

「……さっくんに、そんな事が……」

「日菜。お前が今聞こうとしていたのは、颯樹の闇を呼び覚ます物だ。その事で、アイツは深く傷ついたし、さっきお前も言った様に素直な性格が災いして、真実を打ち明けるタイミングが遅れてしまった。そんな事があったと知った上でその話を出したのなら、俺は妹であったとしても許す事が出来ないと思っている」

「……」

「日菜、分かって頂戴。颯樹は何も意地悪で教えなかった訳じゃないの。貴女の性格を知った上で、敢えて言わなかったのよ」

 

 

 話を聞いたばかりの日菜は、そんなの信じられないと言った様な顔をしていたが、直ぐ様先程聞いた内容を思い返していた。事実、僕も二人に打ち明けた際には同じ様な注意をした上で話したから、日菜にはあまり洸夜と紗夜を責めないであげて欲しいが。

 

 

 そして少しだんまりした状況が続くと、その沈黙がとある一つの音によって途切れた。

 

 

「……さっくん」

「何、日菜……て、ちょっと!?」

 

 

 短く言葉を発した日菜は、僕の渾名を呼ぶや否や右手を掴んで引っ張り始めた。それに連れられて行くしか無かった僕は、彼女の後を付けて行く事になった。

 

 

「日菜! 貴女はまた勝手に『やめろ』兄さん……」

「アイツはアイツなりに思う所があったんだろ。ここで俺たちが何か言っても、返って逆効果になる可能性が高い」

「でも、颯樹はあんな体験をした……それを日菜も聞いたはず『だからだ』?」

「だから日菜は、自分の今出来る精一杯のやり方で伝える事にした。だからこそ、颯樹をわざわざ連れていく真似をしたんだ」

「兄さん……」

 

 

 その様な会話が裏で行われていた事は、僕たちの知る所では無かったのだが。

 

 

「……入って、さっくん」

「え?ここって……日菜の部屋じゃ「良いから」」

 

 

 日菜の先導を受けて僕がやって来たのは、日菜の部屋だった。この様なプライベートルームに入るのは少し気が引けたのだが、彼女からの一声を受けて、僕は中に入る事にした。

 

 

「日菜、今のは一体何」

「さっくんってさ、直ぐに言えば良い事をひた隠しにするよね。迷惑をかけたくないって最もらしい理由をつけて」

「……だから?」

 

 

 僕が彼女の方を振り返ったその時、彼女は後ろ手でドアの鍵を締めながら問い掛けて来た。部屋の中は暗く、お互いの姿も見えないので日菜の表情やら何も分からないのだが、言葉を聞いているだけでも、かなりトゲがある事がわかった。

 

 

「あたしはね、さっくんと関わり始めてからすっごく楽しいんだよ。めくるめく毎日がるんっ♪てして、この時がずっと続けばいいのに……なんて思ってしまう程には」

「……そうか」

「でも、なんで隠すの? 直ぐに言えば対処出来たかもしれない問題を、そうやって大事になるまでひた隠しにしてさ。さっくんにとって、あたし達って結局そんな存在だった?」

 

 

 日菜から発せられる言葉が次第に強さを増して行き、気づかない間に彼女のベッドまで押し寄せられていた。その瞳は光を写しておらず、僕が今までに見た事が無い顔だった。

 

 

「違うよね? あたし達は幼馴染……辛い事や苦しい事も全部共有し合う、かけがえの無い特別な存在だよね?」

「それには変わりないし、これからもそれは同じだと思ってるよ」

「だったらさ……」

 

 

 そこまで言われた後、ふわっと何かで包まれる様な優しい感覚に見舞われた。その正体を確認してみようとすると、いきなり声が掛けられた。

 

 

「もっとあたし達を頼ってよ。何かあったら直ぐに言って欲しい。幼馴染ならこれくらい当然でしょ?」

「……悪い、心配かけた」

「なんでそういっつも一人で抱え込むかなぁ……あたしがさっくんの事を放っておけないの、分かってる癖に」

「……日菜?」

 

 

 日菜はそう言った後、僕をもう一度抱き締めながら言葉を続けた。

 

 

「……あたし、さっくんが好き。一人の男性として」

「……ごめん、今その気持ちには答えられないよ」

「わかってる。帰って来たばっかりだもん。けど……あたしはどんな手を使ってもさっくんを手に入れるよ? 他の女の子なんて目に入らないくらいに」

 

 

 

 ……ここまで言うかよ、普通。けど、彼女にそう言わせてしまったのは、僕なりの甘さが招いた結果。なら、ここからどうするのかはこれからを過ごす中で決めようかな。

 

 

「日菜、その答えに関しては纏まってから」

「うん! あたしはいつでも待ってるからね!」

 

 

 そう話をつけて、洸夜と紗夜の待つリビングへ二人で戻る事にした。日菜の部屋で何があったのかを説明した後、僕は夕飯をご馳走になった礼を伝えて、自宅へと帰宅する事にした。

 

 

 ……だが、この時の僕は未だ知る由もなかった。

 

 僕の知らない間に、周囲を取り巻く環境が大きく変化している事に。




 今回はここまでです。如何でしたか?


 前書きでもお伝えしました様に、次回の更新より第一章へと突入しようと思います。序章ではまだ登場していない原作キャラも出す予定なので、楽しみにお待ち下さいませ。

 それでは、また次回です。


 そして最後に……この度は、更新が遅れてしまい大変申し訳ありませんでした! 普段からツイートで更新予定などはお伝えしているのですが、今回は想像以上に時間を要してしまいました!本当に申し訳無いです(´;ω;`)

 今回のこの更新で罪滅ぼし、とは絶対になる訳がありませんが……小説の執筆自体を忘れていた訳ではございませんので、そこはご勘弁頂きたいです。



 改めましてにはなりますが、この度は小説の更新を長らくお待たせする形となってしまい、大変申し訳ありませんでした! 不定期更新が続く現状ではありますが、失踪しない様にコツコツと書いていく所存ですので、これからもよろしくお願いしますm(_ _)m
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