新日常はパステルカラーの病みと共に(Rev.)   作:咲野 皐月

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 皆様、おはこんばんにちは。

 どうも……お久しぶりです!長期の休暇より只今戻って参りました、咲野 皐月でございます。ここ暫く執筆のモチベーションがなかなか戻らず、番外編にコラボにと書いてましたら、もう気づけば12月……早いわぁ!


 とま、そんな戯言はさておいて。

 今回は本編の最新話をお届けします。そして……作者は病み上がりなので、多少の誤字などは目を瞑って貰えると幸いです。


 それでは……スタートです。


第一章
第十一話


「〜♪」

 

 

 私の愛しい彼──颯樹が帰郷して数日が経ち、お仕事やパスパレのレッスンも、滞り無く順調に軌道に乗り始めてきたこの頃……私は朝早くに彼の家を訪れ、キッチンを借りてお弁当を作っていたわ。

 

 

 颯樹とは小さい頃からの幼馴染で……彼のご両親とは家族ぐるみで付き合いがあったから、度々食卓を囲む事も少なくなかったわ。その事もあって、彼の家の中の何処に何があり、彼が何を好むのかは、私の頭の中に全部入っている。

 

 最も……離れ離れになって6年経ったから、今も変わらぬ味や食の好みをしているのかどうかは、少し怪しい所ではあったけれど。

 

 

「ダーリンとまた同じ学校に通えるなんて……神様も粋な事をするじゃない?」

 

 

 ……颯樹は、絶対に渡さないわ。例え、それが同じバンドメンバーであっても……もっと言うのなら、親友の花音にもね。

 

 

「……よし、これで良いわね。彼の為に朝ご飯を作るなんて、ぶっつけ本番でやって見たけれど、最初にしてはなかなか良いんじゃないかしら」

 

 

 私はそう言って、白いお皿に盛った卵焼きやサラダに味噌汁をテーブルの上に置いた後に、前日の間に彼が準備しているであろう、炊きたてホカホカのご飯をお茶碗に装い、お箸と一緒に配膳したわ。

 

 そしてその向かいに、先程彼に用意した物と同じ物を置き、自分の着ているエプロンを畳んで、彼から見て斜めにある椅子の上に置く事にした。

 

 

「……時間はもうすぐ6時、当初の計画通りね」

 

 

 頃合だと思い時計を見た私は、テーブルの直ぐ傍にあった階段を登り、二階にある颯樹の部屋へと向かったわ。ここは彼が元々住んでいた家……言い換えれば、お互いに小さい頃よく遊んでいた場所。で、あるのなら。

 

 

「ここね。あの時と同じなら」

 

 

 私はそう呟いた後、部屋に建付けられているドアノブを回して、彼の部屋の中に入った。カーテンは閉め切られていて全体の明かりは暗かったけど、部屋の主である彼が寝ているのは直ぐに分かったわ。

 

 

 ……ふふっ、いつまでも変わらない……良い寝顔。このまま許されるのならば、一思いに奪い去ってしまいたい……彩ちゃんたちの目が届かない、私だけのアナタとして。

 

 でも、今はそこまで欲張らないわ。まだ帰って来たばかりで、それを感じる余裕すら無いでしょうから。貴方には時間をかけてゆっくり思い出させてあげる……そして、身体と心に確り消えない様に刻み込むの。

 

 

「……私はアナタのモノ、アナタは私のモノ。それをこれからたっぷり教えこんであげるから、覚悟なさい?」

 

 

 そう言った後に頬へ軽くキスを落とし、私は彼が起きるまで傍で見守る事にしたわ。……そして少し時間が経った、その瞬間。

 

 

(〜♪(BGM:『しゅわりん☆どり〜みん』))

 

 

「ん……あ、アラーム止めなきゃ……」

 

 

 自分の枕元に置いてあるスマホから鳴る……事前にセットした目覚ましのアラームを止める為に、颯樹は身体を起こしてスマホを操作しようとしたわ。まだ目が若干寝惚けている所を見るに、さっきまで夢現な状態だったのね……なら、これが効果覿面ね♪

 

 

 少しスマホを拝借して……右側にスワイプ♪

 

 

「アラームは止めておいたわよ、ダーリン♪」

「あ、ありがとうちーちゃん……え?」

「おはよう、颯樹♪ 気分はどうかしら?」

 

 

 私から言われた言葉に対して、颯樹はしどろもどろになって、返事をどう返そうか迷い始めたわ。

 

 

 まあ……無理も無いわよね。防犯の為に家の戸締りだって確りしていたし、寝坊しない様に事前にアラームをセットしてから就寝した……その上、朝起きてから早く準備できる様に、炊飯器のタイマーセットまでしていた。

 

 ここまで用意周到にしていたのに、いざ蓋を開けてみたらこの有り様。驚かない方がおかしいわね。

 

 

「……な、なんで……ちーちゃんが、ここに……?」

「愛しいダーリンの姿がいち早く見たくて、お母さんに承諾を貰って、色々と準備をして待っていたのよ♡」

「は、はぁ……さいですか。それじゃあ、朝の支度をするから少し離れてくれるか『ちゅっ♡』んっ……!?」

 

 

 颯樹からの質問にそう答えた私は、彼が布団から出てくるタイミングを見計らって、勢い良く唇を奪ったわ。もっと濃密で激しいのをやりたいと思うけれど、今は朝方……彼も私も学校がある。

 

 だから、今はここまで。本当のお楽しみは、一日が終わった夜まで取っておく物……そうでしょう?

 

 

「んはぁ……」

「ち、ちーちゃ……」

「朝のお目覚めのキス、ご馳走様でした♪ 朝ごはんは既にできてるから、洗顔と着替えが終わったらリビングまでいらっしゃい♪」

「……あ、うん……了解」

 

 

 颯樹との朝の挨拶を終えた私は、彼にそう言って部屋を出て、階段で一階へ降りる事にしたわ。実の話、颯樹が着替える瞬間も見ていたいのだけれど、そう言うのはもう少し関係が進んでから。

 

 

 何事もタイミングと言う物があるし、何も考えずにそれをしようものなら、颯樹からかなりキツイお説教を受けてしまう……それだけは何としてでも避けないと。

 

 で無ければ、私は彼の未来のお嫁さんとして高々と名乗れないもの!

 

 

「あのー、こっちまで聞こえてるんだけどー?」

「あら、ごめんなさい♪」

 

 

 ……コホン。取り敢えずは、一階に降りて彼の着席を待たなきゃ。今日からまた一緒に通学路を歩くもの……恥ずかしくない私で居なければ。

 

────────────────────────

 

「ふふっ♪ これぞ、幼馴染の特権よね♡」

「あのねちーちゃん。誇らしく最もな事を言っているみたいだけど、絶対に違うからね? 自宅を出発してからずっと右腕を絡めたままの若手女優が何処に居るんですか」

「私よ♪」

「聞く気無し!?」

 

 

 朝ご飯や学校に行く支度を済ませた私たちは、花咲川学園へと続く通学路を歩いていたわ。隣で歩いている颯樹から少し苦言を貰ったけど……私は絶対にこの状態をやめるつもりは無いわよ? だって貴方の温もりが心地好くて、離れようにも離れられないんですもの♪

 

 勿論、学校に着いたら離れないと行けないけど、通学中のこの時間くらいは、流石に目を瞑って欲しいと思うのが本音かしら。

 

 

「颯樹♪ さーつーき♪」

「あー、ハイハイ。このままで居て良いけど、学校に着くまでだからね」

「さすが、話がわかるわね♡」

 

 

 少し腕を絡ませる力を強めたら、流石の颯樹も観念したのか、学校までの条件付きで承諾を貰う事が出来たわ。それじゃあ失礼して、着くまではこうしてようかしら♪

 

 

「ねぇ、颯樹?」

「ん、どうしたの急に」

「私と久しぶりに登校出来てる感想を聞きたいわ♪」

「……本気で言ってる?」

「あら、私は冗談で頼み事をする女じゃないわよ?」

 

 

 私がそう答えると、颯樹は少し戸惑った様子で考え始めたわ。この時の彼は真面目に考えている時と私に迫られてる時で反応が違っていて……前者だと眉が逆八の字をしているのがその証拠で、後者はその逆。

 

 だからこそ見ていて楽しいし、ふとした時にからかいたくなって来るのよね♪

 

 

 

「んー、何だか懐かしいかも。昔に戻ったみたいで」

「そうね。でも、これからはずっと一緒なのだから、少しは気を緩めても良いんじゃないかしら。 今のアナタ……すごくピリピリしてるわよ?」

「え、嘘」

「本当よ。……えいっ」

 

 

 そう言って私が身体を寄せると、颯樹の顔が傍から見ても分かりやすいくらいに赤くなって行ったわ。ふふっ、こんな事で恥ずかしがるなんて……身体は確り大きくなっていても心はまだ子供のままなのね♪

 

 

「な、な……何してんのさ街中で!」

「何って、貴方のその強ばった表情を解しただけよ?」

「だからって、ここでそんな事をしなくても……」

「なら、人目に晒されながら濃厚なキスでもされたいのかしら?『それだけは勘弁してくださいお願いします』はい、よろしい♪」

 

 

 私がこうして詰め寄ると、思わず面食らって恥ずかしくなるのも相変わらず。颯樹自身は、私よりも何もかも成長したと思っているけれど……実際はまだまだ初心な所も残ってる。

 

 

 常に貴方の傍に居る私であっても、こんなに狼狽えて顔を真っ赤に出来てしまうのだから……彼がいざ外に出た時がとても大変。貴方の様な純粋な人が私の様なサポートも無しに世間に出て行くと、立ち所に他のオンナが直ぐに寄り付いて、あの手この手で颯樹の事を陥落させて行くに違いない。

 

 そして仕舞いには、彼の全てを欲する所まで行ってしまうかもしれない。……それだけは、何としてでも回避しないといけないわ。例え全てを敵に回しても、私は颯樹を守るって決めたもの。

 

 

「ねぇ、颯樹……いえ、ダーリン?」

「あのー、外でその渾名はやめてくんないかな。結構小っ恥ずかしいんだけど」

 

 

 颯樹が私の方を振り向いて答えた……今よ。

 

 

「んっ……」

「!?!?!?!?!?!?」

 

 

 これは家に帰ってからと決めていたけれど……貴方の可愛い顔を見てたら、もう我慢できなくなっちゃった。いきなりキスをされて目を見開いてるけど、そんな事は私にとっては些事と同じ。

 

 

 ……貴方は誰にも渡さない。私の、この今まで生きて来た全てを失おうとも。全力で守り抜いて、永遠にずっと貴方の傍で寄り添って行きたい……それが私の願い。

 

 

「んっ……はぁ……」

「えっ、ちょっ……」

「私は、何があっても貴方を守るわ。その為ならば何でもする……だから、私に全てを預けて欲しいの。私も自分の全てを貴方に預けるわ、それは変わりない」

「え? え?」

 

 

 周りを歩く人がどよめき立っているけど、今この至福の時間を邪魔される筋合いは無い。ならば、このタイミングで言い切るわ。

 

 

「……私の傍から一生離れないで。例えこれから何があったとしても、私の所に戻って来て。必ず、絶対に」

「……あ、はい。わかりました」

「ふふっ、言質は取ったわよ? 私を貴方のお嫁さんにしてくれるまで、絶対に諦めないからそのつもりでね♪」

 

 

 

 私は彼にそう言いきって、もう一度颯樹の右腕と自分の左腕を組ませて歩き始めたわ。ちょっとだけ彼には申し訳ない事をしたと思うけれど、これだけは譲れない。

 

 

 ……今に見てなさい、彩ちゃん。

 

 貴女がどれだけ颯樹の事を好きで好きで堪らなくなったとしても、絶対に私は彼を渡す気は無いわ。泣いて頼んで来たって結果は変わらない……幼馴染の私から奪えるものなら、奪ってみせなさい。全力で阻止してあげるから。




 今回はここまでです。如何でしたか?


 次回の投稿日は未定ですが、成る可く間隔を開けぬ様努めます故何卒ご了承くださいませ……



 それでは、また次回です。

 最後にお知らせですが、丸山彩生誕祭記念回の合同企画小説の参加申し込みを……昨日の23時59分59秒を以て締切と致しました。これから暫くは提出期間となりますので、各々の考案した自信のある作品をぜひぜひ持って来て貰えたらと思っています。
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