新日常はパステルカラーの病みと共に(Rev.)   作:咲野 皐月

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 皆様、おはこんばんにちは。またまた最新話投稿から数日しか経ってねぇじゃねぇか!な状態の咲野 皐月です。いやー、小説を執筆するのって楽しいですね(ならもっと書いてたでしょ)ハイ、マッタクモッテソノトオリデス...(lll-ω-)チーン


 今回は前回の続きとなりまして……かのちさとの一時をお届けしようと思います。前回のお話で無事に顔合わせと自己紹介を終えた主人公と花音さんですが、果たして今回はどうなるのか……?


 それでは、本編スタートです。


第十三話

「ふふっ、颯樹くんはそんな子だったんだ〜」

「ええ、まさに目に入れても痛くないくらいよ♡」

「……何でこうなった」

 

 

 始業式や実力テストの一部を終えた僕たちは、中庭でお昼ご飯を食べていた。この学園は内部生と外部生と言う区分がどうやらあるらしく、前者は中等部からエスカレーター方式で高等部に進学した者を指し、後者がそれ以外なのだとか。

 

 

 そして、その内部生曰くになるのだが……『中庭で食べるお昼ご飯は最高で、昼休みなどの休憩時間はそこに集う生徒が多い』との事なので、午前の授業を終えるチャイムが響き、荷物を持ってそこに向かおうとした矢先に、冒頭の始末である。

 

 その時に聞いたのだが、花音は極度の方向音痴と言われる質らしく、常に誰かに手を引かれないと目的地に着けないとの事で。

 

 

 ……全く、そう言うのは先に言って欲しかったな。

 

 

「あら、私の居る所には必ず貴方が居る……そして、貴方の事を花音が知りたがっている。これ以上に何が必要なのかしら?」

「ふふっ、私は大丈夫だよ♪ 本人から聞ける事だって多いし、それにこれから仲良くしていきたいと思ったから……じゃあ、ダメ……かなぁ?」

 

 

 ……うっ、その涙目が一番弱いんだよな……。

 

 

「いや、全然構わない。僕も花音の事はよく知っておきたいし、僕が居なかった頃のちーちゃんについても聞きたいからね」

「ち、ちーちゃん……って、千聖ちゃんの事?」

「ああ、そうだった。うん、千聖の事で合ってるよ。昔からの癖でさ、この呼び方がなかなか抜けないんだよ」

「そうなんだ……」

 

 

 花音の涙目に負けた僕は、三人での昼食会に参加する事にした。多少理由が強引な気がしないでも無いのだが、変に断って花音を泣かせてしまうよりは、この方が得策だったりするのが現状だ。

 

 そこまで話していると、今度はちーちゃんの話に移り変わった。

 

 

「へぇ……花音は最初、ちーちゃんに揚げパンを渡そうとしてたんだ」

「う、うん……いきなりぶつかっちゃったし、かなり怖い雰囲気もあったから……咄嗟に自分の持っていた揚げパンを出して、これで許して貰おうと思ったんだよ」

「ああ、あの時はごめんなさいね。ちょっとピリピリしていたもの……そう思ってしまうのも無理無いわ。でもその事があったから、私と花音は仲良くなったのよ」

「そうだったんだね」

 

 

 そんな事を話しながら、僕たち三人は各々のお弁当を食べていた。あとから話を聞いたのだが、花音の方は自分で朝早くに起きて作った物らしい。なんでも弟が居る様で、その弟の分のお弁当を作る事を考えたら安い物だよ……との事。

 

 

 僕も今日はお弁当を作ろうとしてたんだけど、隣にいるちーちゃんが全部用意してたからな……全く、いつもの事ながら恐ろしい幼馴染だよ。

 

 

「何か言ったかしら?」

「いえ、なにも?」

 

 

 ……本ッ当に勘の良い幼馴染である。

 

 

「あ、颯樹くんだ!おーい!」

「?」

「この声は……彩ちゃんね。颯樹、花音。場所を移動するわよ。ここに長居すると『あれ? 何で颯樹くんが千聖ちゃんと一緒に居るの?』」

「あー、ヤバい」

 

 

 僕の胸中に抱く思いもいざ知らず、彩が自分のお弁当の包みを持って此方に駆け寄って来た。それを見たちーちゃんが別の場所に誘導しようとしたが、運悪く彩と鉢合わせしてしまう事となった。

 

 二人の間には見えない火花が散っていて、何方も一歩も引かない状況となっていた。傍から見れば胸アツな展開だろうが、巻き込まれている僕と花音の立場からすると、正直迷惑千万である。

 

 

 ここは何も手出しをせずに、少し見守ろうかな。

 

 

「何で千聖ちゃんが颯樹くんと一緒にいるの? 颯樹くんは私と一緒にお弁当を食べるはずでしょ? それなのに何で千聖ちゃんがここに居るの?」

「あら、そんな事一言たりとも聞いていないわ。颯樹は私や花音と同じクラスなの……だから昼食を一緒に食べるのは自然な事だと思うわ。邪魔をして来たのはそっちでしょう? 少しは状況を考えたらどうなのかしら」

「そんなのは関係無いよ。私と二人っきりでお昼ご飯を食べる方が颯樹くんにとっては良いと思うんだけどな〜」

「冗談は寝てから言いなさい、彩ちゃん。私は花音と颯樹と一緒にご飯を食べていたの……邪魔をして来たのはそっちのはずよ。だから大人しく退いて頂戴」

 

 

 ……あー、もう何方も売り言葉に買い言葉だよ。

 

 あまりに見てられないし、何だったら隣に居る花音が涙目になって慌ててる。なら……是が非でも止めないといけないよね、これは。

 

 

「あのー、二人とも。喧嘩はよしてくんないかな」

「あ、颯樹くんちょうど良かった♪ 私と一緒にお弁当食べよっ♡ お休みの日にお母さんに料理を教わって、何品か手作りして来たんだ〜♪」

「ダーリンは私たちとお昼ご飯を食べていたのよ……もちろん、私の手作りのお弁当を♡ だから、彩ちゃんの手作りおかずは食べられないと思うわよ?」

「そんな事無いよ! ねっ、私と一緒に食べよっ♡」

「ダーリンは私たちと一緒よね♡」

 

 

 あー、もう。お互いああ言ったらこう言う、言ってしまえば……どこから手をつけた物かな状態だよ。互いに一歩も引く気は無いらしいし、このまま膠着状態が続くと、お昼休みの時間が終わるんだよな……。

 

 

 ……あまりやりたくなかったが、致し方無しか。

 

 

「はいはい、今日のレッスン量を二倍にされたくなければ大人しくする事だね。増やされても良いんなら、そのまま喧嘩してても良いけど?」

「「それだけは勘弁してくださいお願いします」」

「はい、よろしい」

 

 

 僕が怒気を強めて二人にそう言うと、余っ程それをされるのが嫌の様で、彩とちーちゃんは揃って綺麗に頭を下げていた。そんな事になりたくないなら、始めから言わなければ良かったものの……この二人はレッスンの時も似た様な節があるので、少し度が過ぎてるかなぁと思う事もしばしば見受けられるのだ。

 

 

 だからこそ、二人には念ッ入りに釘を刺すけれど、今の所それが有効だと見られた機会が無いのが残念な所だったりする。まあ……その気持ちは彼女たちの中での本心だと思うので、大切にして欲しいと思うのだが。

 

 

「え、えっと……私は迷惑じゃないし、彩ちゃんさえ良ければ一緒にお昼食べよ? ほら、モタモタしてたら時間も無くなっちゃうよ?」

 

 

 ……か、花音……な、何て良い子なんだ……。

 

 

「そうね、花音の言う通りだわ♪」

「えっ、何この花音ちゃんと私とでのこの対応!」

「花音だから良いのよ。もちろん、ダーリンでもOKなのだけれど」

「な、なるほど……」

 

 

 うん、僕も彩と同じ事を感じてしまったのは言わないでおこうかな。さっきまで剣呑な雰囲気だったのが一変して、急に借りて来た猫の様に、ちーちゃんが大人しくなってしまった。これには彩も僕も面食らってしまい、状況の整理に時間がかかる事となった。

 

 

 そして数分後、何とか彩を輪に加えて残りの昼休みを過ごす事にした。話に出て来た内容はと言うと、先程とあまり変わらない物だったのだが、次に出て来たあるフレーズによって、場の空気が一変したのだ。

 

 

「……えっ、誘拐されたって……」

「花音、信じられないかもしれないけれど……彩ちゃんの言っている事は一言一句間違いないわ」

「……彩ちゃん……辛い事を経験したんだね……」

「うん……私、あの時はもう自分は助からないかと思っちゃった……颯樹くんが助けてくれなかったら、今頃私、何してたんだろう」

 

 

 その言葉で思い起こされるのは、始業式が行なわれる一週間前……僕がちょうど東京に帰って来た当日の事だ。羽田空港にてちーちゃんの熱烈な歓迎を受け、彼女と彼女の母親である美凪さんと共に家までの道を車で移動していた時に、公園で一人踊っている彩を見かけたのだ。

 

 

 最初は寄って来た男たちを、彩の友達かと思っていたのだが、何やら車に連れ込まれている様を見掛け、直ぐ様警察に通報して追ってみたら、その有様だったと言う訳だ。

 

 あの時の事があったお陰で……彩と出逢えたと思えばポジティブ思考にはなるのだが、如何せんその時の状況が予断を許さない物であった為、あまり軽々しく言って欲しくは無いと思うのが本音だったりする。

 

 

「でも、その事があったから……アイドルになれているのだし、颯樹とも出会えた。彩ちゃんは自分では気づいていないでしょうけど、すごく恵まれているのよ」

「そうだったんだ……颯樹くんと出会えて、アイドルにもなれて、本当に良かったね彩ちゃん♪」

「うんっ! 私、これから精一杯頑張るから!」

「ふふっ、先ずは曲を一曲通してもバテてしまわない様に体力作りからかしら。あとはボイストレーニングやMCの練習に、それから……」

 

 

 ちーちゃんが何やら右手を指折り数えて、一つずつ列挙するのを見た彩は、自分の置かれている状況を理解する事となってしまった。仮にもPastel*Palettesのリーダーを担う身なので、そこの辺りはキチンと心得ていると思っていたのだが……どうやら、まだ実感が持てていなかったらしい。

 

 

 まあ、研究生からの大抜擢でリーダーになった彩の気持ちを汲むのなら、いきなりそんな量を熟すのは至難の業……とまでは言わないが、少々新人に対して突き付けられた課題の厚さが尋常では無いと思う。

 

 だが、一度任された以上止むを得ないので、弱音を吐かずに頑張って欲しいと願うばかりだ。

 

 

「……あら、もう時間ね」

「は、早く戻らないと!」

「そうだね、教室に戻ろっか。……花音、自分で教室まで行け……ないよね……」

「ふぇぇ、ごめんなさいぃ……」

 

 

 午後の授業開始前の予鈴が鳴り響き、僕たちは中庭を後にしようとする。するのは良いんだけど……花音が方向音痴だと言う事をすっかり忘れてた……。

 

 

「それじゃあ……花音」

「は、はい……」

 

 

 僕は一息吐いてから、右手を差し出して軽く一言。

 

 この一連の動作を……二人の目の前でしても良いかどうか悩んだけど、背に腹はかえられぬ、と言う事で!

 

 

「お手をどうぞ?お嬢様」

「は、はい……よ、よろしくお願いします……」

 

 

 花音は少しビクビクしながらも、僕の右手に自分の左手を重ねる事で答えた。それを見た僕は花音の手を優しく握り、自分の教室までの道を行く事になった。

 

 この行動をする直前に……ちーちゃんが黒い笑顔でにっこりと笑っていたので、僕は後で何かされてしまうんだろうなぁ……とこの時に感じてしまうのだった。

 

 

(ダーリンったら……今日会ったばかりの花音まで落とし込んでしまうなんて、流石私の未来の旦那様だわ♪ でも、幾ら親友であっても彼は渡さないわ……そう、絶対に♡)

(颯樹くんってば、私以外にそんな事するんだ……。これはパスパレのレッスンが終わったら、私が颯樹くんの彼女なんだって、骨身に染みて分からせないとダメだよね……♡)

 

 

 ……本当に、平穏無事に過ごさせて欲しいもんだよ。

 

 取り敢えず先ずは、パスパレのデビューライブを成功させないとね。それが、東京に帰って来てから最初の大仕事だ。




 今回はここまでです。如何でしたか?

 次回も早めに内容が思いつきましたら、数日中に投稿できるかもしれないので、その時まで首を長くしてお待ち頂けますと幸いです(次回はパスパレのお話を予定)。


 それではまた次回。次回の更新にてお会いしましょう。

【追記】
 本小説とは全く関係ありませんが、このお話が投稿される12月7日は……RAISE A SUILENのプロデューサー兼DJ担当、珠手ちゆ(Chu²)のお誕生日です!

 チュチュ……Happy birthday!
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