新日常はパステルカラーの病みと共に(Rev.)   作:咲野 皐月

19 / 54
 皆さま、おはこんにちばんわ。咲野 皐月です。


 今回は……本編18話を投稿したいと思います。

 とあるキャラを推している方は、大ッ変長らくお待たせいたしました!!!!!! その話を書こうかと思い立ったは良いものの、ネタがなかなか浮かばないのなんの……非常に大変でした(A^_^;


 最後に。このお話の投稿予定日はバレンタインデーなんですけれど……この下より始まるお話は、バレンタインデーと全く関連がありませんのでご了承下さい(*・ω・)*_ _)


 それでは……スタートですッ!


第十八話

「ふんふ〜ん♪ 颯樹くんの家でお泊まり、今から楽しみだな〜♪」

「あ、あはは……。まさか、彩の親御さんから社長の所へ連絡が届いてるとは思わないんだよ。しかも何でこんな何処の馬の骨とも知れない野郎の家に」

 

 

 パスパレのレッスンを終え、夕飯の買い物を帰宅途中にあるスーパーで済ませた僕と彩は、二人並んで自宅へと向かっていた。尤も、自宅とは言うが……実際は僕の家なのだけれども。僕の右手には大量に買い物をした証拠のエコバッグが提げられていて、背には通学カバンを背負っている。

 

 片や彩の方はと言うと、筋トレの一環として荷物を半分持たせようかとも考えたのだが、これ以上追い詰めさせるのも酷だと考え、背負っている通学カバン以外は持たせない様にしている。

 

 

 実は事務所を出発する数分程前、彩に必要な荷物があったら通学カバンを置く次いでに、家から持ってきて構わないと言う話をしたのだが、その提案を彼女自身が断ったのだ。しかも、満面の笑みを浮かべてのオマケ付きである。

 

 その答えを聞いた時は、ただ不思議に思って何も言わなかったが……よく漫画やドラマ等の展開で使われてるシチュエーションを思い出した時、軽く脳内で警鐘を鳴らす様に警告のアラームがけたたましく鳴り始めたのは言うまでも無い。

 

 

「颯樹くん、どうしたの? そんなに難しそうな顔をして」

「えっ、ああ……ごめん。ちょっと考え事をしてた」

 

 

 ……こう言うのはよく気付くよな、彩って。

 

 

「そうなんだ……えっと。気を取り直して……今日は一晩お世話になりますっ♪」

「了解。普段生活してる家とは違うから、落ち着かないかもしれないけど……気負わずいつも通りにして居てくれたら助かるよ」

「は〜い♡」

 

 

 こうして素直に話を聞いてくれるのが……僕は非常に有難いんだけど、一度暴走したが最後、余程の事がないと止められないのが彩だったりする。今のままなら特に不安も無く今夜を越せそうだが、ここ数日の様子を見ていると、どうしても何かやらかすのでは無いかと疑っているのもまた事実だ。

 

 

 ちーちゃんから厳しく注意をされているとは言え、彼女もれっきとした一人の思春期の女子高生である事に変わりは無い……その為、想い人である僕に何かしらのアピールをする事が恒例のご挨拶になって来ている節がある。

 

 

 ……さて、この状態をどう潜り抜けたものか。

 

 そんな事を思いながら歩いていると、見慣れた街並みの風景が見えて来た。いつも通学の際によく使用している、自宅と学校を結ぶ通学路だ。そしてその道を通り、暫く歩いていると。

 

 

「やっと帰って来た……」

「颯樹くんの家って、何度見てもやっぱり大きいね」

「ま、ウチは貧乏じゃないからね。そこそこだよ」

 

 

 見慣れた我が家に到着した。

 

 僕はブレザーの左ポッケの中にある鍵を取り出し、ドアの鍵穴に鍵を挿して、彩を先に家の中に通した後で、扉をゆっくり締めながら僕も家の中に入った。パスパレの練習をする際には、日菜が勢い良くドアを開けるので、少々力加減を考えて欲しかったりする。

 

 

「お邪魔しま〜すっ♪」

「ゆっくりして行ってね。着る服に関しては後で似合うサイズの物を持って来るから、それを着て欲しい「ねぇ、颯樹くん……」ん?」

「颯樹くんのお部屋、見てみたいな♪」

「お泊まりだからって事か……わかった。付いて来て」

 

 

 僕は彩からのリクエストを受けて、買い物の際に買った荷物をテーブルの上に置いた後、2階にある自室へと彩を案内する事にした。まあ、自分の部屋は誰かに見せても恥ずかしくない様にしているので、見られる事に関しては特に気にはしていなかったりする。

 

 

 ……だが、問題としては別の所にある。

 

 ちーちゃんは家中の隅々を知り尽くしてる都合上、僕が何処にいるかと言うのを直ぐに把握し、そのうえで先回りをして行動をするのが常だ。日菜に関しては泊めた回数こそ少ないものの……所構わず駆け出すから見つけ出すのに苦労してしまうのだ。

 

 

 だからこそ、頼むから余計な事だけはしないで欲しいと思っているのが本音なのだ。

 

 

「彩。暗くて見えにくいなら……僕に構わず電気を着けても「その必要は無いよっ」えっ、ちょっ」

 

 

 自分の部屋に入ってそう言葉を続けた時、僕は勢い良く彩に押し倒されてしまった。リュック等は事前に床に下ろしてるから問題は無いのだが……突然の事だったので、受け身を取るので精一杯だった。

 

 

 そして落ち着いた頃合いで上を見上げると……そこには笑顔を浮かべては居るものの、ほんの少しだけ顔を赤らめて此方を真っ直ぐに見つめている彩の姿があった。

 

 

「やっと……二人っきりになれたね♪」

「ど、どう言うつもりなのさ彩。ちーちゃんから注意を受けてたはず「颯樹くんは私と話をしているのに、今ここで千聖ちゃんの名前を出すんだ?」え、何かマズった……ちょ、ちょっと待て……そんな力が何処に……ッ!?」

 

 

 僕が彩の行動に対して疑問を述べたのだが、その問い掛けは彼女には届かず……更に言うなら、ベッドに押さえられている両腕の方の片方───左腕に力を加えられ、身動きが完璧に取れない状況になってしまった。

 

 そんな彩の表情を見てみると、顔は笑顔を保っているものの……目が全くと言って良い程笑っておらず、先程の発言が彼女の地雷を無意識のうちに踏んでしまったのだと後に悟る事となった。

 

 

「千聖ちゃんってば酷いよねっ。私も颯樹くんの事が好きなのに、全然居ないモノ扱いにしちゃうんだから」

「えっ、ちょっ……ええ?」

「最初はね? ただ颯樹くんの事が好きなのかな〜と思っていたんだけれど……私が関わると途端に目の色を変えて敵視して来て。それで話を聞いていたら『私の颯樹だから』とか『私と颯樹は許嫁なのよ』と言う発言……まだ何も颯樹くんから返事を聞いていないのに、そんな風に勝手に決めつけるなんて、本当に颯樹くんの幼馴染を名乗るのなら、絶対にやる事じゃないよね?」

 

 

 確かに彩の言った事は僕も思った所だし、別に今そこを突く必要は無かったのでは……と反論するより先に、彼女の方から更に言葉が続けられた。

 

 

「でも、千聖ちゃんは私のそんな考えは気にしてない振る舞いだった。私が何も言わないのをいい事に、思う存分颯樹くんとイチャコラしてた……それはさっきの衣装合わせの時でもそうだったし、練習開始前のストレッチでもそう……そんな事を言ったら、学校の時はもっと激しかった……それを考えたら、家の中だと果たしてどうなのかなぁ」

「え、ちょっと待て。彩、もしかして……」

「だから私も……もう、素直になって良いよねっ」

 

 

 そう言われるや否や、僕は彩から思いっきり抱き締められた。彼女とは性別が違うので、自然と惹き付けてしまう様な香水等は付けていないのだが……彩から香るとても甘い香りに、一瞬だけ頭が真っ白になりそうだった。

 

 更に極め付きには、女子特有の身体の部位がこれでもかと密着していた為、抱き着かれた驚きと一緒に目を覆いたくなる程の恥ずかしさに見舞われてしまった。

 

 

「はぁ……颯樹くんっ、颯樹くんっ♡」

「いきなりどうしたのさ、彩……んんっ!?」

 

 

 先程の言葉で我慢の限界に達したのか、彩が少し夢見心地な表情と声色で僕に声を掛けてきた。それに警戒しながらも答えた次の瞬間、僕は勢い良く彩から濃厚なキスをされる事になった。

 

 

 その行為は僕に対しての好意の表れなのか、それとも少し酔いが回ってしまって人肌が恋しくなった物か……と言う所は分からなかったのだが、今この場でハッキリと言える事は、彼女は家に入る前までに一度たりとも酔いが回る様な事象を経験していないと言う事だ。

 

 だとすれば、どこでその好意を抱くキッカケになったのかが気になる所ではあるのだが。

 

 

「んはぁ……」

「あ、彩……いきなり、どうして」

「私……あの日、颯樹くんに助けて貰わなかったら、今頃アイドルにはなれなかったんだよ。志半ばの中途半端なタイミングで、自分はここで終わる物だと思ってた……助けは来ないんだ、もう夢も何もかも諦めるしか無い……そう思った、そんな時なんだよ。颯樹くんが助けてくれたのは」

 

 

 ……あ、あの時か!

 

 確かにあれは恋心を抱く理由にもなるし、そう思われて何の不思議も無い……でも、ここまでなるは相当なんだよっ!

 

 

「だから……先ずはお礼を言わせて?」

「い、良いけど……」

「颯樹くん、あの時は助けてくれてありがとうっ♪ そのおかげで夢だったアイドルへのスタートラインにも立てたし、これからの未来が楽しみなんだ♪」

 

 

 僕は少し頬を紅く染めた彩からお礼を言われた。

 

 

 ……あの時は本当に何とかしなくちゃと言う勢いでやってたし、そう言われるのも自然だから特に気にはしていないんだけど、まさかその彩を助けた翌日にアイドルバンドのマネージャーになるとは、思ってもみなかったのが本音かな。

 

 それに東京に帰郷してからかもだけれど、関わるのは贔屓目に見ても見目麗しい女の子が殆ど……どれだけ徳を積んだら一体そうなるのか、過去の自分から言わせて貰うなら、この場で正座をさせて小一時間問い詰めたいくらいだ。

 

 

「それと同時にね、私……」

「?」

 

 

 そう言った途端、彩は僕を見下ろす態勢から降りて僕と向かい合うように立った。その眼差しはアイドル活動や普段のバイトや学業に向ける物とはまた違った物だった。

 

 

「私……颯樹くんの事が好きですっ。まだ颯樹くんの事を何もよく知らないけれど、気持ちの強さなら千聖ちゃんや日菜ちゃんにだって遅れは取らない……そう自負してるよ」

「彩、その気持ちは嬉しいんだけど、何もここでやる必要は無いんじゃ」

「……だったら……」

 

 

 そこまで言い終わった彩は、手を自分の着ている制服のリボンに伸ばすと、ゆっくりと下に引いて解き始めた。それを受けた結び目が徐々に緩くなり、仕舞いには音も無くするりと抜けて床へ落ちてしまった。

 

 それを見た彼女は、今度は制服のボタンを外そうと試みようとしていた……いやいや、ちょっと待てよ!

 

 

「あ、彩……何してんだよお前!」

「私の颯樹くんに対する気持ちの強さ……言葉で言って分からないなら、行動で示す他に無いよねっ」

「いや、言わんとしてる事はわかる。だが、そんな簡単にやって良い事では無いだろ!」

「じゃあ……颯樹くんは、私の事が嫌い……?」

 

 

 突然の行動に対して僕は言及をしたのだが、思わぬカウンターが彩から飛び出して来た。先程全てのボタンを外し終わって制服のジャケットを脱ごうとしてた手が力無くぶら下がり、彼女の目許には涙が少しずつ溜まって来ていた。

 

 余程さっきの言葉が彩は堪えた様で、何かもう一押し拒絶の言葉を掛けられれば、間違い無く泣き出してしまいそうな勢いだ。

 

 

 ……どうしたものかなぁ……全く。

 

 こう言う時に気の利いた言葉が掛けられたら、僕としても願ったり叶ったりなんだが……うぅむ。

 

 

「私……颯樹くんの事、大好きなのに……せっかく二人っきりでお泊まりだから、もっと大胆に行こうってそう決めてたのに……っ」

「あ、彩……? ど、どうした……?」

「やっぱり、私じゃダメだったのかな……。千聖ちゃんみたいにお淑やかで博識な美人な人が、颯樹くんは好きなのかな……私なんて、全然目に入らないのかな……」

 

 

 なんて事考えてたら既に泣きそうだし!

 

 あー、もう! 我ながら何と手のかかるやり方をしたもんだよ全く……先ずは泣き止ませる、全てはそっから!

 

 

「……悪い、さっきは言い過ぎた」

「さつき、くん……っ」

「彩が僕の事を好きなんだって気持ちは、もう今ので充分わかった。だから、簡単に他人にそんな言葉を言わないでくれ。今この場に居たのが僕だったからまだ良いものの……下手をすれば彩自身が危険に晒されてたんだぞ」

「う、うん……でもね、わたし……本当に……っ」

 

 

 自分でも泣いてる女の子を抱き締めて宥めるとか、正気の沙汰とは絶対に思えない。一歩間違えたらその先まで進んでしまいかねない勢いだったし、それこそ違った選択をしてたら、この場で何か起こってしまいそうな物だった。

 

 ……僕の中の第六感が、絶え間無く危険信号を脳内で流すくらいには。

 

 

「然るべき時に必ず答えは出すよ。満足の行く物が返せないかもしれない……もしかしたら、彩の事を精神的にかなり追い詰めてしまうかもしれない」

「……さつき、くん……?」

「その時は好きなだけ責めれば良い。そう言われて仕方が無い事をしたんだ……その報いは全て受けるよ。でも」

 

 

 僕はそう言った後に、彩の顔を見て涙を左手の親指で軽く拭った。……もうここまでやったなら、どうにでもなれだ!

 

 

「どんな立場であれ、僕は絶対に彩の事を守り抜く。それだけはわかって欲しい」

「……うん、わかった……」

「すまない、こんなにも強く僕に想いを寄せてくれているのに、それにこんな形でしか応える事が出来なくて」

「ううん、大丈夫だよ……っ。私の気持ちが颯樹くんに届いていた、と言うだけでも……、すごく、嬉しいから……」

 

 

 ……本当に、彩は優しいな。信じた物や志した夢には凄く真っ直ぐで、分け隔て無く誰とでも仲良くなれるし、思った事を素直に表に出せるのは彩の強みだ。……でも、その純粋さは、時として自分を苦しめてしまいかねない。

 

 それこそ……誰かの支えが無ければ、堕ちる所まで落ちてしまいかねない程に。

 

 

 なら、僕がいつまで彩の事を支えてあげられるか分からないけど……彼女の心の支えであり続ける、それは変えちゃ行けない事だ。もちろん、ちーちゃんや他の三人の事も同じく支えるのは大前提として、ではあるけどね。

 

 

「さつきくん……」

「……今度は何?」

「……キスして、抱きしめて……。そして、二度と離さないで……っ」

 

 

 僕からのその質問に対する回答を待つ事無く、彩はキスをして来た。多少強引なのは否めなかったが、最初のに比べたら衝動性が無い為、ここら辺はまだ良かったのかな。

 

 

 ……そして僕と彩はキスをして抱き締め合った。

 

 翌日にちーちゃんから何か言われるのはもう確定だろうけど、事実を全て話せばわかってくれるだろう。そんな事を考えながら、この一時の逢瀬を感じる事となったのだった。

 

 

 その後は難無くお泊まりも進み、翌日には無事に予定通り進める事が出来た。大事なファーストライブ前に何をやってるんだと言われかねないが、そこに関しては濁して答えさせてもらおうかな。

 

 

「(颯樹くんの事は……絶対に、誰にも死んでも渡さないからね……っ。もちろん、千聖ちゃんやパスパレのメンバーにも絶対に……!)」




 今回はここまでです。如何でしたか?

 次の更新予定日は未定ですが、予定としてはホラゲー回かコラボの第三話を執筆しようかと考えている所です。また更新ができそうなタイミングでTwitterを使ってご報告いたしますので、今暫くお待ちくださいます様お願い申し上げます(>人<;)


 それでは……次回の更新にてお会いしましょう。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。