新日常はパステルカラーの病みと共に(Rev.)   作:咲野 皐月

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 性懲りも無く、描きました。


 さて、今回は《新日常はパステルカラーの病みと共に》のリバイバル版を書いてみました!改稿前とはいくつか差異があるかと思いますが、読みやすくなってはいるかなぁと思います。


 そして、本日……BanG Dream!公式から二次創作のガイドラインが発行されましたので、それに合わせまして……今後僕の小説では、クロスオーバーのネタは採用せず、あくまでも純粋なバンドリ二次創作を書いて行こうと思いますのでよろしくお願いしますm(*_ _)m

 ちなみに補足ですが、オリキャラなら大丈夫かなぁと思いますので、そこら辺はどんどん絡ませていけたらなって感じなのでよろしくです(出せても一人くらいなのはご了承ください)。


 それではスタートです。


第一話

〔六年前〕

 

「本当に……行っちゃうの?」

「すまない……」

 

 そんな言葉が、二人の間で交わされる。彼の横には母親の車が停まっていて、物事の深刻さを匂わせていた。

 

 

 そして言葉を交わしているのは、歳が8つか9つくらいの一組の男女である。先程まで必死に引き留めていたのは……金色の艶やかな髪をロングヘアにしていて、ひと房だけ白いリボンで留めた少女で、それを聞くのは黒髪をショートヘアに切り揃えていて、一見すれば女の子に見えなくもない少年であった。

 

 その二人の様子から察するに、仲の良き幼馴染と言った所だろうが……今はそんな様子など、見る影も無くなっていた。

 

 

 その場に漂うはただ一つ……悲しき光景である。

 

 

「さつくん……」

「かおちゃん、ちーちゃん……」

「わたし、決めた」

 

 

 意を決して発せられた『さつくん』と呼ばれた少年に、その金色の髪をした少女は……少しずつ歩みを進める。そして彼に思いっきり抱き着いた。

 

 

「……」

「さつくんに相応しい女の子に、なってみせる」

「ちーちゃん……ありがとう」

「颯樹〜、そろそろ行くわよ〜」

「わかった!」

 

 

 少女の決意を聞いた少年……颯樹(さつき)は、少女にゆっくりと微笑んだ。……が、そんな時間は長くは許して貰えないもの。颯樹は母親の呼び掛けに応じると、その方向へと歩き始めた。

 

 だが少しして止まり、颯樹はもう一度二人の少女へと目を向ける。

 

 

「いつか必ず……この街に帰って来るよ。だから待っててくれ!」

「約束……だよ」

 

 

 颯樹の言葉を聞いたその少女は、涙を浮かべながらも笑った。そして颯樹を乗せた車は、二人の居る方向とは反対の方向へと走り出した。

 

 その時、彼女の眼から一筋の涙が伝い、それは時間を追う毎に勢いを増して行った。それを見た『かおちゃん』と呼ばれた少女は、ただ泣き出した幼馴染を慰めるしか無かったのだった。

 

 

 その後颯樹を乗せた車が居なくなると、先程彼から『ちーちゃん』と呼ばれた少女は、車の走り去った方角を見て立ち上がった。

 

 

「さつくん……絶対、絶対に……また会おうね」

「ちーちゃんが信じるなら、また会えるよ」

 

 

 紅く燃える夕焼けが見えるこの頃に、二人の少女はここには居ないもう一人の幼馴染に対して、強き思いを抱いていたのだった。

 

──────────────────────

〔現在〕【長崎県大村市:長崎空港】

 

「忘れ物は無い? 辛くなったらいつでも帰って来るのよ?」

「もう、大袈裟だなぁ母さんは」

 

 

 子を心配する様子の母に、颯樹は平然と声をかける。

 

 

 現在この二人が居るのは、空港の二階にある出発ゲート前だ。旅行にでも行くのでは無いか、と言う大きなキャリーケースとベースケースを背負い、その傍らにはリュックまで持った少年こそ、母が心配する存在である。

 

 昔から母は過保護すぎる所が少々有り、その厄介さには颯樹も頭を悩ませていた。今回もその一環だろう。

 

 

「一応、千聖ちゃんのお母さんには連絡入れといたからね。迷惑はかけないようにしなさいね」

「はいはい……ありがとう、母さん」

「偶には連絡するのよ?《連絡が無いのは元気の印》とは言うけど、貴方がそれに当て嵌るとは限らないからね」

 

 

 そんな感じで軽くお小言を貰うと、タイミング良くアナウンスが掛かった。颯樹はこの後30分後に出る、羽田空港行きに乗らねばならないのだ。

 

 それを聞いた颯樹は母に背を向けて、出発ゲートの向こうへと歩きだそうとする。

 

 

「それじゃあ、婆ちゃんや他の人によろしく」

「えぇ……気を付けてね、颯樹」

「行ってきます」

 

 

 その言葉を最後に、颯樹は母と別の道を歩き始めた。今まで過ごして来た母の故郷である、長崎に……自分がついこの間まで生活していた、大村の大地に別れを告げて。

 

 

 そして暫く颯樹は、東京への空旅を楽しんだ。

 

 その途中で経由先の神戸空港に降り立ち、軽く小腹等を満たした後にもう一度飛行機へと搭乗する。今度のフライトは一時間半との事だったので、軽く飛行機内で睡眠を摂る事にした。

 

────────────────────────

 

「千聖、颯樹君がそろそろ着くみたいよ?」

「さつくんが……? ふふっ、楽しみ♪」

 

 

 そんな会話が二人の間で交わされる。一人は渾名で呼んでいる事から、その人物とはかなり良好な関係なのだろうと察せる。母から『千聖』と呼ばれたその人物の口許が、三日月を描く様に歪む。

 

 そして千聖は徐ろに歩み寄り、自分の愛犬の頭を撫でながら、言葉を交わすのだった。

 

 

「レオン……さつくんが帰って来るみたい。私は出迎えて来るから、また目一杯遊んで貰いましょ」

「ワンっ!」

 

 

 千聖から交わされた言葉に、レオンは一声鳴いて返答する。その尻尾がかなり振られている事から、余程その人物が帰って来るのが待ち遠しかったのが伺える。

 

 

「千聖〜、そろそろ行くわよ〜?」

「わかったわ。……じゃ、行って来るわね」

 

 

 母からの呼びかけに答えた千聖は、レオンにそう言って自宅を後にするのだった。

 

────────────────────────

 

「……ん、んぁっ?」

 

 

 颯樹は飛行機の車輪が地面に着く音で、漸く目を覚ました。周りを見てみると、長崎空港とは比較にならない程の広さのターミナルと飛行機があった。

 

 そしてスマホを見てみると、時間はキッチリ一時間半後の時間を指していた。

 

 

『皆さま、当便は長崎空港より離陸し、目的地である羽田空港へと到着致しました。長旅お疲れ様でございました』

「……帰って来たのか、東京に」

 

 

 零れたそんな呟きと共に、颯樹は荷物ケースの中から荷物を取り出し、飛行機の中から降りる。そしてバスを経由してターミナル内へと移動し、正式に到着口を抜けると。

 

 

「また会えたわね……♪ 颯樹」

「……!」

 

 

 颯樹は突如として聞こえた……自分を呼ぶ声に、思わずその方向を振り返った。そこに居たのは、颯樹と同じか一つ上くらいの見目麗しい少女で、颯樹の方を真っ直ぐに見据えていた。

 

 金髪のサラサラとした髪が揺れ、紫紺色の瞳をした少女は颯樹の方へと歩みを進める。そして颯樹の目の前まで来ると、歩みを止めて目を見つめて来た。

 

 

「……え」

「久しぶりね、颯樹」

「え、えぇっと……?」

「ふふっ♪」

 

 

 目の前の少女は悪戯な笑みを浮かべて、今か今かと颯樹の返答を待つ。その表情は何かを待ち望んでいる様で、純粋な気持ちが見えていた。

 

 

 ……だがしかし。

 

 時間の流れと言うのは、その当人の記憶をボヤかす要素に成り得るもの。……だから、ほとんど久しぶりに会う相手には……こうなってしまうのだ。

 

 

「えっと、何方様でしょうか?」

 

 

【千聖視点】

 

 

 やっと颯樹に会える……。六年よ……六年もこの時を待っていたの! 私は空港に着くなり、お母さんに断りを入れて直ぐに駆け出したわ。

 

 途中で変装も整えるのは、忘れるはずが無かった。こんな所で無防備に女優が出歩いて良いはずが無いもの……何事も対策はしっかりしないと。

 

 

 一方の彼はと言うと、何食わない顔で淡々と此方の方に歩いて来た。……出迎えるなら今ね。

 

 

「また会えたわね……♪ 颯樹」

 

 

 思い切って少し苛めちゃったわ♪

 

 そう思って彼の顔を見ると……ふふっ、驚いてる驚いてる。良い顔をしてる。そう思った私は、彼の前へと姿を見せる事にしたわ。

 

 

 相変わらずの黒い髪に黒い眼。目許は少し吊り上がっていて、感じだけ見れば『怖い』と感じそうよね。……けど、私はそうは思わない。背が高くなっても、少し雰囲気が大人っぽくなっても……颯樹である事に変わりないのだから。

 

 

「……え」

「久しぶりね、颯樹」

「え、えぇっと……?」

「ふふっ♪」

 

 

 これで彼は気付いてくれるかしら……? これでも小さい頃は、薫と一緒に遊んでいたのだから、私の姿を見て何とも思わない理由無いわよね。

 

 この時の私は『颯樹は絶対に私の事を覚えている』……そう信じて疑わなかった。だって幼馴染ですもの♪ 忘れる方が無理ね。

 

 

 然し、私の妄想は意外な形で崩れ去った。私の一番予想をして居なかった展開で。

 

 

「えっと、どちら様でしょうか?」

 

 

 ……ぇ? 覚えて……居ない? あの颯樹が? ……滅多に人の事を忘れない颯樹が、私の事を……覚えてないの? 一緒に遊んだりして、仲良くしたじゃない……小さい頃には、よくあるお巫山戯もしたわよね……?

 

 もしかして向こうのオンナに何か吹き込まれた……? そうよ。そうじゃないと、颯樹が私の事を忘れる訳が無いわ!

 

 

「本当に覚えてないの? 颯樹……」

「本当に、どちら様でしょうか? 僕覚えてないんですけれども……」

「そう……なら。んっ……」

 

 

 私はそう続けた後、勢い良く彼の唇を私のソレで塞いだ。身長は私が低いから、自然と背伸びはするのだけれども。

 

 

「ん、んんッ!?」

「……ん」

 

 

 私は引き剥がそうとする颯樹の動きを阻止し、自分の舌を彼の舌と絡めさせた。人目に付きやすい所でやってる分、ロマンの欠片は無いけれど♪ 

 

 その拍子に先程まで被っていた帽子が落ち、床をコロコロと転がるけれど……私は気にせず彼の唇を堪能したわ。

 

 

 そして暫くのディープキスを堪能した後、私はゆっくりと口を離した。かなり深いキスをしたから、ピアノ線みたいな糸が私と颯樹の間を伝ったわ。

 

 

「な、何やって……!」

「私は白鷺 千聖。貴方の幼馴染で……」

 

 

 私は目の前にいる颯樹に、本当はするべきでは無いのだけれど……改めて自己紹介をする。そして途中で区切り、彼の反応を見る。

 

 何か一押しが必要みたいね。……それもとびっきりの一押しが。私は少し息を落ち着けてから、こう言い放ったわ。

 

 

「貴方の……将来の、未来のお嫁さんよ。また会えたわね、ダーリン?」




 今回はここまでです。如何でしたか?


 次回のお話は今回の続きとなりますので、どうぞ完成をお待ち下さい(前の話を少しリメイクするだけなので、特に変わった点は無いかも?)。


 それではまた次回! 今回も感想をぜひ!

 いつもの様に……高評価やお気に入り登録の程をよろしくお願いしますm(*_ _)m(ちなみに低評価を付けた人は、その理由を合わせて教えてくれたら嬉しいです(今後の執筆の参考にさせて頂きます))
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