新日常はパステルカラーの病みと共に(Rev.)   作:咲野 皐月

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 皆様、おはこんにちばんは。咲野 皐月です。


 前回の第二十話を持ちまして第一章を終了し、今回から第二章へと突入したいと思います!予定としてはこの第二章と第三章を長く取ろうと計画していますので、更新をお待ち頂けると幸いです。


 それでは、本編スタートです!

 ……ちなみに、今回から結構描写が際どくなる可能性大ですので、読む際はお気をつけて……。


第二章
第二十一話


「……」

『お願い、花音……貴方が頼りなの!』

「千聖ちゃん……」

 

 

 自室にある鏡の前で、今着ている寝間着から制服に着替える私の頭の中で響く、約2ヶ月前のあの光景。周りの人たちには勿論の事、私にですら弱い所を見せなかった……そんな千聖ちゃんからの藁にも縋る様な、必死のお願い。

 

 あの時はただ慰める事しか出来なかったけど、実際に颯樹くんと出会って、ある程度お話をして理解出来た……彼の人柄の良さと、千聖ちゃんが取り乱す程にお願いをして来た、その理由が。

 

 

「……颯樹くんと千聖ちゃんは、私が守らなきゃ……。例え何を犠牲にしたとしても、絶対に……!」

 

 

 私は決意を固め、自宅の扉を開ける。

 

 携帯には千聖ちゃんから『今日は仕事があるから、学校に来れない』と言うメッセージが届いていて、二人で話すには絶好の機会だ。……彼と会ってキチンと話をしなきゃ。私は貴方の味方だよ、って。

 

 そう考えていた通学路の途中に、同じく歩いていた颯樹くんの後ろ姿が目に入って、そこに向けて私は駆け足で寄って行く。

 

 

「おはよう!」

「花音か。おはよう」

 

 

 笑顔で私に挨拶を返す颯樹くん。

 

 

「今日はいい天気だね。ポカポカしててすっごく気持ちいい」

「少し風が強いのが玉に瑕だけどね」

 

 

 太陽の温もりを感じる暖かな気温と一緒に、彼の言葉通り風は辺りの木々を激しく揺らし、雲を勢いよく動かす。それは、身近な物にまで影響を齎してーーー。

 

 

「……きゃっ!」

「っ!?」

 

 

 下から巻き上げた突風はスカートを捲りあげ、お気に入りの水色のベーシックな下着が顕になった。私は急いでそれを押さえるけど、その色と形は完全に彼の視界に入ったらしく、咄嗟に私から目を背けては居ても、颯樹くんの顔は燃えるように真っ赤に染まっていた。

 

 

「……見えた、よね?」

「ご、ごめん……」

 

 

 下手な言い訳をせずに潔く頭を下げる颯樹くん。私は気にしてないよ、と慰めるけれど、やはり彼はそれからも謝り続けた。こう言う所も、千聖ちゃんの話していたあれが影響していたりするのかな?

 

 今はまだ、確信には至っていないけれど、彼がもし何か悩みを抱えているんだったら、力になってあげたい。私で気が休まるのなら、彼を癒してあげたい。

 

 

 そして学校に辿り着いて、午前の授業が終わった後。私は颯樹くんを連れて、中庭の方へと出て来ていた。

 

 

「そう言えば、颯樹くんってお昼に食べるお弁当っていつもどうしてるの?」

「ん、ああ。手作りしてるよ。既に出来上がってる物を買うより、作った方が節約にもなるしね。おかずに関しては夕飯の残り物とかが入る事もあるよ」

 

 

 そう言って颯樹くんは包みを開けて、蓋を取って中身を見せてくれた。その中に入っていたのは、卵焼きやウインナーと言った王道のおかずの中に……颯樹くんの好みなのかどうかは分からないけど、ふりかけが振られているご飯と、小鉢にハンバーグが入っていた。

 

 

 彼曰く、この形式なのはお母さんからの知恵らしく……毎日お弁当を買っても良いけれど、それだと日々食費に費やす費用が生活費の中で膨らんでしまうので、少し手間はかかるけど、お弁当を作って持って行く方が効率的だと聞いたみたい。

 

 

 私自身は弟が居るし、家族全員分のお弁当を日頃から用意しているけれど、一人暮らしの颯樹くんはそうも行かない。電気代にガスに水道に……それに加えて家賃も食費も、と考えると彼の母親が如何にして颯樹くんをここまで育てて来たのか、その大変さが伺えた気がした。

 

 

「そ、そうなんだ……実は、私も手作りなんだよ…っ?」

「へぇ……花音も手作りなんだ」

「うん。よかったら一口どう?」

 

 

 私は自分のお弁当箱の中にある卵焼きを箸で掴み、彼の口元へと運ぶ。やってる途中で、この行動の意味を思い出して顔が赤くなったけれど、そんな事を考えている余裕は無い。

 

 そして颯樹くんはそれを一口で食べて、驚いたように眼を見開いた。

 

 

「うまっ……。美味しいよ、花音」

「えへへ、嬉しいなぁ」

 

 

 素直な感想は純粋に嬉しい。彼はきっと、将来結婚しても奥さんに料理の感想を伝えてくれる、優しくていいお婿さんになると思う。

 

 

「じゃあ僕のも、よかったらどうぞ。花音の口に合うかはわかんないけど」

 

 

 颯樹くんから差し出されたのは、ジューシーで見てるだけでも美味しそうなハンバーグ。さっき言ってた、昨日の夕飯の残り物なのかな?

 

 デミグラスソースのかかったそのお肉を、私も頬張る。

 

 

「……っ、美味しい!」

「ありがとう、花音。そう言ってくれると嬉しい」

「颯樹くんって料理も上手なんだねっ♪」

「今はスマホで簡単にレシピを検索できるからね。それを真似して作ってるだけだから、僕は何も驚く事はしてないよ」

「それでもすごいよ。颯樹くんはもっと自分を誇ってもいいと思うよ?」

「誇るって……」

 

 

 あまり褒められる事に慣れていないのか、颯樹くんはちょっぴりバツが悪そうに笑った。でもその笑みには、自然と私も心を打たれる物があり、彼に連られて私も笑った。

 

 

 できれば将来は二人で並んでキッチンに立って、お互いに料理の腕を磨いて……なんて想像をしてみたけど、私にできるかちょっぴり不安だ。

 

 何せ、彼の周りにはたくさん女の子がいるから、少し私が目を離した隙に奪われてしまわないか、と言う懸念もある。

 

 

 そしてお互いにお弁当も食べ終えて、少し時間も過ぎた頃合いを見て、私は彼にこう話を持ちかける事にした。

 

 

「颯樹くん」

「ん、どしたの花音」

「……聞いたよ、あの時の事」

 

 

 私がそう話を切り出すと、彼は目を見開いて驚いた。

 

 ……無理も無いよね。だってあの事は、自分や幼馴染以外の人が絶対に知るはずが無い事なのに。

 

 

「……なんで、花音がそれを知ってるの? もしかしてちーちゃんから聞いた?」

「うん、ごめんね。実は私、颯樹くんが帰ってくる前に、千聖ちゃんから聞いたんだ。でもね、私は……颯樹くんの味方で居るよっ」

「えっ……それって……ちょっ!?」

 

 

 彼がそう驚くのも構わず、私は颯樹くんを勢い良く抱き締めていた。男の人の香りってあまり馴染みが無いけど、すごく落ち着くそんな感じ……でも、私が言いたいのはこれじゃない。

 

 ……確りしないと。颯樹くんに、伝えなきゃ。

 

 

「ねぇ、颯樹くん」

 

 

 一呼吸おき、気持ちを落ち着かせてから告げる。

 

 彼の瞳を見ていると、気を抜いていたら一気に吸い込まれてしまいそうな程に綺麗で……確り光もある。でもその裏には、この私がとった行動に対しての驚きもあるのかもしれないが。

 

 

「……キス、しよっか」

「えっ……ちょっ……」

 

 

 私の言葉に戸惑う颯樹くん。

 

 それに私は構わず……背中に合わせていた手で彼の頭を掴んで強引に私の唇へ導いた。初めは唇同士が軽く合わさる様なキス。それが次第に深く結び付いて、ぷはぁっと酸素を求めて深く息を吸う。

 

 

 私の初めて(ファーストキス)……こんな形で気になる男の子にあげて良いのかな、と言う迷いはあったけど、颯樹くんに私が貴方の味方だと教えるには、これくらい思い切った方が話が早い。

 

 

「花音……なんで、こんな事を………?」

「私は颯樹くんの味方って言う証拠を見せたかったの」

「それは良いけど、何もキスで見せなくても……」

「ううん、それだけじゃないよ。颯樹くんの事を心から信頼してるから、もっと恥ずかしい私をみせることができるの」

 

 

 先程のキスで頬が赤くほんのりと染まり、少し頭の中がふわふわとして来た私は、自然な流れで自分のスカートに手をかけた。それを捲ると、朝彼に偶然見せた水色のベーシックなショーツが顕になった。

 

 ……これは偶然ではなく、必然。

 

 みんなに言いふらさない事を信頼しての行動だ。

 

 

「ちょっ、何やってるの!?」

「ほら、こっちも良いよ……」

 

 

 スカートを捲っている手とは別の手で彼の手を掴み、自分の胸へと誘う。ゴツゴツとした男らしい手が柔らかい胸をギュッと握る。私自身でこの大きさを大きいと思った事は無いけれど、一般的な男の子から見たら、それなりにある……かもしれない。

 

 

「んっ……♡」

「え、えぇ……」

 

 

 驚く颯樹くんと、唐突に襲う快感に身を震わせる私。

 

 すごく恥ずかしくてたまらないけど、彼のためだったらなんだってできる。もちろん、その先も……もう彼の準備が出来ているのなら、今すぐにでもシてしまいたい気分。

 

 それくらいには……もう、私は全て颯樹くんにあげても良いと思ってる。

 

 

「か、花音……」

「私……ず〜っと颯樹くんの傍に居るからねっ。離れようと思ったとしても、絶対に逃がさない……」

「本気……なんだね?」

「うんっ、それくらい私は……颯樹くんの事、気になってるよ。もっと知りたい……このまま、許されるなら……もうひとつの初めても、奪って欲しい」

 

 

 千聖ちゃんと話してた中にこの展開は無いけど、二人で守っていこう……って言うのは、たぶんこう言う事も含まれてる。それに、放っておいたら本当に誰かが奪ってしまいかねない。そんな事は千聖ちゃんが一番良い顔をしないし、かく言う私だって同じ気持ちだ。

 

 ……だったら、他の誰ともしれない(ヒト)に奪われる前に、彼をその気にさせてしまおう。それが今出来るのは、他でもない……私だけなんだから。

 

 

「……ちーちゃんから聞いたなら、あとは分かるね?」

「うんっ。私の方も今朝の事は黙っていて欲しいから、これで条件は同じだよ。それに、覚悟なんてもう出来てる」

「……了解。なら、僕もそれに応えないと失礼だよね」

 

 

 そこまで言葉を交わした後、私たちはお互いに顔を近づけてキスをする態勢に入った。目も閉じて準備バッチリだし、この先は何をすれば良いか、もう自分で言わなくても分かる。

 

 そして……唇が再び触れ合うまで、数cm……。すると。

 

 

キーンコーンカーンコーン

 

 

「「……っ!」」

「鳴っちゃったね……予鈴……」

「そうだね。……戻ろう、授業に遅れる」

「うんっ……」

 

 

 颯樹くんからの言葉を受けて、私はお弁当の入ったバッグを持って彼に手を引かれて教室へと戻った。……は、良かったんだけれど、お互いにさっきの光景を思い出してしまい、授業をほぼ上の空で聞いてしまっていたのはまた別の話。

 

 ……ちなみに、颯樹くんはノートに全部板書を書き記していたとの事らしい。ええっ、私ですら書けて無いよぉ〜! 一体どんな精神の鍛え方をしてるの〜っ!?

 

 

 ……でも、颯樹くんの唇……すっごく柔らかかったし、手はかなり大きくてゴツゴツしてて……その先まで出来てたら、私はどうなってたんだろう……ふぇぇ、想像しただけで恥ずかしいよぉ〜っ!!!!!




 今回はここまでです! 如何でしたか?


 次回の更新は未定としていますので、更新予告の掲載をお待ち下さいませ(本編の続きか、久しぶりにそっち系の話もやろうかと計画中)。


 それではまた次回の更新にてお会いしましょう。

【追記】

 このお話の投稿日である5月11日は……『ハロー、ハッピーワールド!』のドラム担当で「迷宮のジェリーフイッシュ」の二つ名を冠する少女───松原(まつばら) 花音(かのん)ちゃんのお誕生日です!


 ……Happy birthday、花音!
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