新日常はパステルカラーの病みと共に(Rev.)   作:咲野 皐月

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 皆さんこんばんは、咲野 皐月です。


 今回は前回からの続きのお話になります。リメイク前とは変わっている所がありますので、少し新鮮な気持ちで読む事ができるかなぁと思うこの頃です。


 それではスタートです!

 そして……お気に入り登録を早速してくれた方々、本当にありがとうございます!これを励みにして、これからも頑張ります!


第二話

「……え」

「うふふっ♪」

 

 

 僕の眼をずっと見つめながら、意味のありそうな笑みを浮かべる女性……白鷺さんは、僕の傍から全く離れようとしなかった。それを見た僕はと言うと、覚えも無い人に衝撃的な発言を貰い、唖然とする他無かったのだが。

 

 

 今僕と白鷺さんが立っているのは、羽田空港国内線ターミナルの到着ロビー前である。飛行機から降りて来る人が通る道で、たくさんの人が集まりやすい場所でもある。

 

 ……海外から有名な人が来た時には、その周辺に大きな人集りが出来る所だ。

 

 

 そしてその場所で告白されて、尚且つキスまでされてしまえば……どうなってしまうのかは想像に難くない。そんな僕の思いが現実となる様に、ある一人の客が慌て始めた。

 

 

「白鷺……千聖、って。あの……有名な女優の!?」

「え、嘘……マジで!? なんでこんな所に!?」

「しかも、目の前の人の事を《ダーリン》とか言っていなかった……?」

 

 

 一人の客が慌て始めれば、それに伝染するかの様に他の人たちも同じ様な状態に至ってしまい……僕としては冷や汗どころでは済まない話になってしまう。

 

 そしてそんな状況を作り出した彼女はと言うと、未だに不敵な笑みを浮かべていた。

 

 

「あー、もう! ちーちゃんが色々とやってくれたお陰でややこしい事になるな……!」

「ふふっ、思い出してくれた? 愛しのダーリン♡」

「……おかげさまで。聞きたい事は色々とあるけど、まずは走るよ!」

「はい♪」

 

 

 僕は短くそう言うと、白鷺さん……否、ちーちゃんの右手を掴んで走り始めた。空港から出る途中で、転がり落ちている彼女が先程まで被っていた帽子を回収して、僕たちは駐車場の方まで向かう事にした。

 

 目的の車が見つかるまで、どよめきの中を走り抜ける事になってしまったのは、後から思い返せば赤面モノだったと後悔する事になったのだった。

 

────────────────────────

 

「颯樹くん久しぶりね♪ 向こうでは元気にしてたかしら?」

「ありがとうございます、美凪さん。この通り変わり無くです」

「それは良かったわ♪」

 

 

 今現在、僕とちーちゃんが乗る車を運転しているのは……母親である白鷺 美凪さんだ。明るめの茶色の髪をセミロングにしていて、活発な印象を第一印象で持たれやすい女性である。

 

 

 ターミナルから出る事が出来た僕たちは、今さっき駐車場から出ようとしていた美凪さんの車に乗せて貰って、羽田空港を後にした。その際には追っ手の人たちが迫って来ていたけど、美凪さんが巧みなドライブテクニックで躱して行っていて……正直、命の危機だったと後に覚った。

 

 今は空港に繋がる橋を通り、市街地の方へと抜け出そうとしている真っ最中である。

 

 

 そして、一連の騒動を引き起こした張本人はと言うと……僕の右腕を確り抱き枕の様に抱き抱えていて、満足そうな笑みを見せていた。

 

 

「それにしても、あんなお出迎えの仕方はさすがに肝が冷えますよ。ちーちゃんに何を言って聞かせたんですか」

「あら、簡単な事よ? あなたが到着ロビーから出て来たら、少しからかってあげなさい……って言っただけよ♪」

「そう言う事ね……」

 

 

 美凪さんから返された返事に、僕は呆れた表情で答える事になってしまった。……まさにこの親にしてこの子あり、である。悪戯が成功した時の微笑みが、二人ともそっくりだったからだ。

 

 

 小さい頃は事ある毎に美凪さんにからかわれ、何度胃が詰まる思いをした事か……想像すれば肝が冷えてしまうほどである。

 

 ……それはお泊まりやお出かけしている時に限らず、家でゆっくりしていたり、ちーちゃんやかおちゃんと遊んでいた時だって例外じゃ無かった。

 

 

「もうすぐ市街地に入るわよ。今日は盛大にお祝いでもしましょうか……私がご馳走を作るわ♪」

「え、良いんですか?」

「ええ。アナタの新しい家への荷物の搬入は、引っ越し屋さんにお願いしているから、今日はウチに泊まっちゃいなさい♪」

「私もダーリンと一緒に、素敵な一夜を過ごしたいわね♪ どうかしら?」

 

 

 うーん、僕としては新居に行って荷解きをしたかったんだけど……この逆らったらタダでは済まなさそうな状況は、大人しく従ってしまう他無いだろうなぁ。

 

 それに、隣に居るちーちゃんからの視線が何やら獰猛な獣の様に熱いもんだからさ……断ろうにも断れないんだよこれは。

 

 

 ……やむ無しだけど、ここは。

 

 

「ありがとうございます。お言葉に甘えさせて下さい」

「はい♪ そうと決まったら、少し夕飯のお買い物をしましょうか。ショッピングモールへと行くわよ」

 

 

 そう言って美凪さんは、車が交差点に近づいたのを見ると、信号機前30m地点でハンドルの横にある方向指示器を下へと降ろして、右へ進む様に指示を出した。

 

 そしてハンドルを回して、右折専用レーンへと車線変更を行なった。

 

 

 ……だが、この時の衝撃で少し厄介な事が。

 

 

「ひゃんっ♡」

 

 

 ……何だろう、この冷や汗が止まらなくなりそうな嫌な展開は。それに僕の気の所為で無ければ、その声は隣から聞こえて来たはずだ。

 

 そう思って僕は恐る恐る横を見てみたのだが、そこに拡がっていたのは……。

 

 

「ダーリン……♪ いきなり、激しいわよ……♡」

「んなっ!?!?!?!?」

 

 

 ちーちゃんからの言葉で、僕は今のこの状況のマズさに気付いてしまった。ある意味で一番想像したくなかった事だし、何ならやっては行けないと戒めていた事だったからだ。

 

 

 その状況はと言うと……僕の右手が、彼女の胸を鷲掴みにしていたのだ。そのせいで右手には、柔らかい感触が伝わって来ていて、この上ない恥ずかしさで僕の理性がどうにかなってしまいそうだった。

 

 恐らく、車が右折した時の衝撃が大きく……それに堪えきれなかった僕がちーちゃんにもたれかかる態勢になり、反射的に彼女の胸を掴んでしまったのだろうと後に悟った。

 

 

「大丈夫だったかしら……? あら、早速やる事はやってるのね♪ 将来の義母としては、見ていて微笑ましいし嬉しいわ♪」

「み、美凪さん! こんな非常時の時までからかわないで下さい!」

「ウチは千聖を嫁にやる準備はいつでもできているし……それか、颯樹くんが私たちの所にお婿さんに来るかしら? どっちでも構わないわよ♪ 旦那だって快く賛成してくれるわ♪」

 

 

 毎度毎度思うんだけどさ、僕の母さんや美凪さん達は……もうちょっと危機感を持てないのかな!? 然るべき時にはまだ早い時に、自分たちの息子と娘が巣立とうとしてるって言うのに……。

 

 それに、早くくっつけようとして色々あーだこーだとさせるし……僕の個人的な思いはと言うと、嬉しい事には変わりないんだけど、この先が心配なのが現状なんですが。

 

 

「……懐かしいな」

「あら、思い出して来たかしら?」

「うん。でも、僕が離れてる間に変わってる所が多いね……明日か明後日くらいに、一回は街中を見て周りたいかも」

「それなら、私が付き添うわ♪ 明日は用事があるけれど、ダーリンとずっと一緒に居られるもの♡」

 

 

 僕がそう言うと、隣に居たちーちゃんから提案が持ちかけられたので、僕はそれを快く了承した。……最後に聞こえた『明日は用事がある』の所で、なぜ僕と一緒に居られると言ったのが少し気になったが、あえて突っ込まない事にした。

 

 

 そして、少し街中を走っていると。

 

 

「……ん?」

「何かあったかしら?」

「いや、公園で踊ってる人が……」

 

 

 僕の言葉を聞いたちーちゃんは、僕と同じ方向を覗き込む様に見始めた。そこでは、桃色の髪をセミロングにして肩まで降ろしていて、花柄のワンピースに身を包んだ女の子がリズムに合わせて踊っている様だった。

 

 

 そうしていると、ちーちゃんには少し心当たりがあった様で……僕に説明をしてくれた。

 

 

「あれは彩ちゃんね。事務所で研究生として所属しているのだけれど、なんでも……憧れのアイドルになる為に頑張っているらしいわ」

「へぇ、憧れのアイドルになる為に……ねぇ。夢が大きくて良いね。頑張って欲しいね」

「そうね」

 

 

 そんな事を思いながら、僕とちーちゃんは彩の様子を少し見る事になった。車内に乗っている為、自然と光景が流れてしまうのは仕方ないのだが……少し、気になる所が。

 

 

「ん?」

「今度は何かしら?」

「ねぇ、あれ……不穏な空気じゃない?」

 

 

 僕の言葉に彼女は疑問符を浮かべるも……直ぐに思考を切り替えて、先程彩が踊っていたその場所に視線を向けた。するとそこには二人組の男が居て、彩を取り囲んでいた。

 

 

 車が時差式信号で止まっている事もあり、僕たちはその様子を細かく確認する事が出来た。

 

 ……最初は彩の知り合い、と言う感じなのかと思ったのだが、ちーちゃんが言うには『私の時もあんな風に囲まれる事がある』と言う事らしいので、友好的な者では無い事は直ぐに確認出来た。

 

 

 ……そして、次の瞬間。

 

 

「なっ!?」

「彩ちゃんが連れて行かれた!?」

「どうかしたの、二人とも!」

「美凪さん、近くに車などは止まってますか!?」

 

 

 僕が美凪さんにそう聞いてみると、僕たちが居る所から少し離れた所に黒の少し大きなワンボックスカーがあるとの事だったので、それを追いかけてもらう事にした。

 

 そして、一方の僕はと言うと。

 

 

「……あ、もしもし。警察ですか?」

「ダーリン?」

『はい、こちら警視庁通信司令室です。どうかなさいましたか?』

「現在、二人組の男に中学生か高校生ほどの女の子が誘拐されました。今その誘拐を実行した者たちの乗る車を追跡しています」

 

 

 僕は自分の説明口調が早口になるのも構わず、電話に応答してくれてるスタッフさんに事情を説明した。……そして、少し話していると。

 

 

『あれれ? その鋭敏な観察眼、的確な判断の持ち主は……もしかして、颯樹くん?』

「お久しぶりです、浩未さん」

『久しぶり。元気にしてた?』

 

 

 僕は通話をしている浩未さんと、少し久しぶりの談笑に耽っていた。浩未さんとは従姉弟同士で関わりがあり、たまに勉強などを見て貰っていて、仲良くなったのがきっかけだ。

 

 ……まあ、母は彼女……と言うか、浩未さんの親関連で少し苦手な節があったらしいが(主に自動車の運転関係で)。

 

 

 そして話をキリの良い所で切り替え、簡単に起こった状況について改めて説明した。そうしたら直ぐに捜査に当たってくれるらしく、少しばかりではあるが支援もしてくれるのだとか。

 

 

「ありがとうございます」

『別に気にしなくて良いよ。……でも、無茶だけはしないでね。キミは昔から正義感が強くて、学校でもいじめっ子たちからの標的になりやすかったって聞いてるから』

「……肝に銘じます」

『それで良いよ。暫く通話はこのままにしておいてくれたら、あとはこちらから指示を出せるよ』

 

 

 そう言われて僕は通話状態をそのままにして、美凪さんに少し頼み事をした。……そうしたら、あるひとつの条件と共に快く承諾してくれた。

 

 ……その条件と言うのは『いつか千聖を必ず娶ってね』と言う事だったのだが。

 

 

 そんなこんなで話した僕たちは、誘拐された彩が乗る車を追い始めるのだった。……だが、この出会いが後にとんでもない修羅場を迎えてしまう事を、この時の僕は未だ知る由もなかった。




 今回はここまでです! 如何でしたか?


 かなり話の内容を描くのは大変ですね……これは毎度毎度思う事なんですが、本当に実力のある作家さんは、濃密で尚且つ面白いお話を続けて書く事ができるので、リスペクトしたいんですよね……大真面目な話です。

 その作家さんには及びませんが、僕も負けずに頑張って書いて行きたいと思いますので、コンゴトモ=ヨロシクの精神でよろしくです。


 それではまた次回! 次回も今回の続きですのでよろしくお願いしますm(*_ _)m(本編で出て来た新しいオリキャラに関しては、後に何処かで自己紹介のシーンを作ろうと思いますので、もう少しお待ち下さい)


《作者のモチベーションアップ:その1》
https://syosetu.org/?mode=rating_input&nid=249478

《作者のモチベーションアップ:その2》
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