新日常はパステルカラーの病みと共に(Rev.)   作:咲野 皐月

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 皆さま、こんばんは\(^▽^)/!


 お待たせ致しました、三話目でございます!

 今回のお話は前回からの続きになります!そしてサブタイの件ですが……先にお知らせしますと、何処かのタイミングで変えたいと思いますので、把握をお願いします!


 それではスタートです!


第三話

「んっ……んんっ」

 

 

 私は微睡んだ意識を覚醒させる様に、少しずつ目を開けました。すると伝わって来たのは、コンクリート特有の冷たい感覚と何かでキツく縛られている苦しさでした。

 

 この感覚からして、練習をしていた公園から何処かに連れて来られたのはわかるんだけど……。

 

 

「先ずはここが何処か確認を……あ、あれ?」

 

 

 最初に状況の判断をしようと思った私は、身体を起こして立ち上がろうとしたけど……足元が上手く支えきれず、近くにあったソファーに倒れ込む形になってしまいました。

 

 

 眼と口は使えるから良いんだけど、手足が使えないとなると、ここから大変だよね……。叫んで助けを呼ぶにしても、応答してくれるかどうかなんて分からないし……かと思ったら、両手が使えないからスマホだって操作できない……。

 

 何か良い方法は無いかなぁ……と思っていた、その時でした。

 

 

「おっ、気がついたかい?」

「あ、貴方は誰なんですか?」

「まあ……名乗る程のモンでもねぇよ。それより、お前は落ち着いてんのな。普通のお嬢ちゃんだったら、慌てふためいて叫び散らす所だろ?」

 

 

 私の所に近づいて来たのは、身長が175かそこいら位の男の人でした。短く後ろに刈り込んだ頭が特徴的で、この状況を楽しんでいる様にニヤついた笑みを浮かべていました。

 

 

「ど、どうして私をここに連れて来たんですか?」

「あのなぁ……俺らは公園に一人で踊っているお前を見て、ここへ運んだのよ。ま、お嬢ちゃんにはやる事はキッチリやって貰わないと行けねぇけどな」

「え、それってどう言う……ひいっ!?」

 

 

 その男の人が袋から何かを取り出したので、私はそれを見る事になったのですが……その正体はと言うと。

 

 

「な、ナイフ……」

 

 

 その人が取り出したのは、折り畳み式のバタフライナイフでした。刃が出し入れしやすくて便利な機能になっていて、刃先も綺麗な光沢や艶が見えていました。

 

 

 けどその男性は……刃を出したナイフを右手に持つと、器用に片手で弄び始めました。上に軽く投げ飛ばしたり、それに回転を付けて同じ事をしたり……まるで自分の手足の様に扱っていました。

 

 そして、その様子を見て驚く私に向かって説明を始めました。

 

 

「ああ。これは最近買ったばかりの新品なんだが、使っているうちに手に馴染んで来てよ……そして斬れ味も最ッ高に良いって代物と言う訳よ」

「そ、それじゃぁ……!」

 

 

 そこまで聞いた私は、思わず後退りをしたのですが……男性に右肩を抑えられ、ソファーの上に跨がられる事になりました。

 

 

「離して下さい! ここから帰して下さい!」

「さっきの会話をもう忘れたのかよ? やる事はキッチリやって貰わないと行けねぇけどな、ってのは……早い話が、こう言う事だ」

 

 

 そう言ってその男性は、私の頬に軽くナイフの平たい面を叩くと……私が着ているワンピースの肩紐に刃先を向けました!

 

 それは、紐の生地とナイフの刃先がちょうど接触する程に触れていて、軽く力を入れただけでも切れてしまいそうな所まで来ていました。

 

 

「それっ!」

「いやっ!」

 

 

 私が僅かに抱いた希望も儚く散り、先程まで着ていたワンピースは呆気なく切られて……そして床に力無く落ちると、楕円を描く様に形を維持していました。

 

 

「そ、そんな……なんで……」

「まだ察しが付かねぇのかよ……動くんじゃねぇ!」

「離して下さい! 嫌です!」

「そんな事をまだ言えるのかよ……なら!」

 

 

 私はその男の人が手に持つナイフで、右頬を左下から右上に切り上げる形で切り付けられました。そして下着の紐もそのついでと言わんばかりに切断し、周囲へ乱雑に投げ捨てました。

 

 

 その後に私は自分の頬を触ったのですが、そこには斬られた後がくっきり付いていて、紅くドロっとしたモノが流れ始めていました。

 

 手に触れたのを感じた私は、その手を自分の目の前に持って行ったのですが……。

 

 

「……ひっ」

「これでわかったろ。大人しく俺の言う事を聞かなければ、次はそんな掠り傷じゃ済まねぇ位の痛々しい跡が付く事になるぜ。……まぁ、その時にお前が理性を保てていたら、の話にはなってしまうがな」

「ど、どう言う事ですか!?」

 

 

 私は目の前に居る男性にそう聞き返しました。

 

 ……すると男性は、何処かと連絡を取り始めました。少し気になった私は聞き耳を立てる事にしました。その際に聞こえて来たのは。

 

 

「あぁ。女がギャーギャー騒ぐから、少し傷付けちまった」

『全く……ソイツは今から犯すんだからよ、手荒な真似はくれぐれもしない様にな。お前がやり過ぎたせいで何人の女が過去に使い物にならなくなったか……』

「わーってるよ。じゃ、手筈通りに10分後」

『あぁ。その女はくれぐれも丁重にな』

 

 

 ……ぇ。な、なんで……? 私、これからどうなってしまうの……?! さっきの話を聞く限りだと、私以外にもたくさんの女の子が犠牲になってるんだよね……しかも、目の前の人の様な人に……。

 

 早く……誰か、助けて……! 私、こんな事をする為にアイドルを目指していた訳じゃないのに! まだ……こんな所で、死にたくないよぉ……!

 

 

 ……と思っていた、その時でした!

 

 

『ぐああっ!』

「どうした! おい、返事しやがれ! ……おい!」

 

 

 突如として聞こえて来た呻き声に、私の目の前にいた男性は声を荒らげて呼び掛けましたが……少しして反応が無くなったのを察すると、ヤケクソになった様に通話を切りました。

 

 

「クソが! ……おい、お前」

「は、はいっ!」

「ここから一歩も動くんじゃねぇぞ……。動いたら、次こそは殺すからな」

 

 

 私が頷いたのを見た男性は、その場から駆け出して仲間の居る所へと向かって行きました。その様子は何処か慌てていて、予想外な事を知らされた様でした。

 

 

 誰か来たのならお願い……。私を、早く助けて!

 

────────────────────────

 

「……ここか」

 

 

 彩が連れ去られて数十分後、僕は美凪さん達と一緒に波止場の近くにある廃倉庫の前へと来ていた。近くには東京湾が見えていて、一度外に出れば心地好い潮風が感じられる場所だ。

 

 

 そしてここに来た理由はと言えば、先述した様に彩の救出を行う為だ。先に伝えられた事としては、ちーちゃん達には車の外には出ずにここから数km離れた駐車場にて待機……突入は僕が先行すると言う事らしい。

 

 一応、警察の方からも増援は少し準備してくれるとの事だが……それまでは時間が少しかかるとの事で、僕が中に居る男たちの相手と人質の救出を受け持つ事になった。

 

 

『最後に警告するね? 絶対にやり過ぎてはダメ。間違っても相手を殺す寸前まで痛めつけてはいけないよ。あくまでも最優先事項は、誘拐された女の子の救出。それをメインに動いて欲しいな』

「わかりました、浩未さん」

『……本当は、民間人の貴方には頼んでは行けない仕事なんだ。……でも、今は頼れるのが貴方だけ。頼めるかな』

「わかりました。全力を尽くします」

『お願いね。相手は武器を所持しているかもしれないから、行動する時は慎重に』

 

 

 浩未さんからそう諌言を貰いつつ、僕は全ての荷物をちーちゃんに預けて、美凪さんの車を一旦降りようとした。……だが、すんでの所で腕が掴まれる感覚が。

 

 その出処を見てみると、涙目を浮かべたちーちゃんがそこに居た。

 

 

「ちーちゃん」

「必ず無事で帰って来て……? 貴方が居ないと、私がどうにかなっちゃいそうなの……」

「……」

「もう私を独りにしないで……。寂しいのは嫌……、独りぼっちは嫌なの……」

 

 

 そう言ってちーちゃんは、僕にゆっくり抱き着いて来た。その様子は何かにしがみつく様な感じで、是が非でも離したくないと言った思いが感じられた。

 

 

 ……まあ、一度離れてしまったから、そう思うのも無理は無いよね。そんな事を思いながら、僕は彼女の頭を軽く撫でた。

 

 それを見ていた美凪さんからこんな言葉が。

 

 

「颯樹くん」

「何でしょうか?」

「たぶん、この車から降りて向かう所は……下手したら二度と貴方の元気な顔を見る事が出来なくなるかもしれない場所なの。それは覚悟していて頂戴」

 

 

 僕は美凪さんから伝えられた言葉を、しっかりと自分の心に刻み付けた。そして、それを硬い楔として戒める事も忘れなかった。

 

 

 そうした所で、更にこんな言葉を聞く事に。

 

 

「貴方が行った後」

「?」

「千聖の異様な変わり様は、私にとってとても耐え難い物だったわ。家に居る時はずっと貴方と映った写真の入ったアルバムを抱き締めていたわ……それも、手に本の跡が付くくらい、ずっとずっと泣きながら」

「……」

 

 

 美凪さんから告げられた言葉に、僕は驚きの余り二の句を告げる事が出来なかった。その拍子に彼女のハンドルを握る力が強まっていて、その時がかなり大変だったのだろうと察する事が出来た。

 

 

 ……そして、続きを話し始めた。

 

 

「だから、千聖の事は……貴方に任せたいのよ。千聖が一番信頼をおいているのは、後にも先にも貴方しか居ないだろうと思うの。もう……千聖のあんな悲しみに暮れた様な顔は、私も見たくないのよ……」

「美凪さん……」

「お願い。貴方が困ってる人を助けるのは咎めないわ。寧ろ、それは誇って良いと思うの。けど……千聖を悲しませる様な事だけはしたらダメ。それは約束して」

 

 

 ……そうか、ちーちゃんには僕が引っ越した後にそんな事があったんだ……。馬鹿だよね、大切な幼馴染をそこまで泣かせてしまった挙句、今の今まで思い出せなかったなんて。

 

 

 ……だとしたら、僕が今出来る事はこれくらいな物だろうか。そして散々待たせてしまったお詫びは、ここから確り耳を揃えてして行かないと行けないな。

 

 そう思った僕は、ちーちゃんの顎を軽く持ち上げる事にした。所謂『顎クイ』と言うヤツだが、この際選り好みはして居られない。

 

 

「だ、ダーリン……?」

「悪い。少しここから離れるけど、必ず無事にキミの元に戻って来るから」

「え、それってどう言う……んっ」

 

 

 僕はちーちゃんの唇を、勢い良く自分のソレで塞いで重ね合わせた。それを受けて彼女は少し驚いていたが、直ぐに身を任せてくれた。

 

 

 ……少しビックリしただけらしいな。最初は何が起こっているのか理解出来てなかったのに、今では積極的に重ねて来ているからね……。

 

 そして、暫くのひとときを終えて。

 

 

「「んはぁ……」」

「……行ってくる」

「……行ってらっしゃい、ダーリン♪」

 

 

 僕はちーちゃんのその言葉を受けて、美凪さんの運転する車から降りた。そして、廃倉庫へと駆け足で向かう。……未だに自分の唇に手を当てている彼女と、優しい視線で見送る美凪さんを背にして。




 今回はここまでです! 如何でしたか?


 今回のお話では、千聖さんが颯樹くんの事がどのくらい好きかがよくわかったのでは無いのかな〜って思います。そして冒頭の部分では何やら嫌な予感が……。


 次回のお話も今回からの続きになります!

 このルートを書くのは何分初めてですので、どうなるのか楽しみにしていて下さいね!


 それではまた次回に……待てしかして希望せよ!


《作者のモチベーションアップ:その1》
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《作者のモチベーションアップ:その2》
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