新日常はパステルカラーの病みと共に(Rev.) 作:咲野 皐月
今回はすこぉし息抜き感覚で、千聖さんの生誕祭記念回をお届けしようと思います!これを機に主人公の身の上とかが、少し分かるのではないかな……なんて思ってたりします。
そして、更新を長らくお休みしていて……誠に申し訳ありませんでしたァ!
それではスタートです!
【白鷺千聖生誕祭記念回】貴方が居たから
「はぁ、はぁ……。撮影のお仕事がこんなに遅くなるなんて想定していなかったわ……」
今日の私は、ドラマの撮影のお仕事へと出向いていたわ。撮影を行う現場に赴いた時、いつも一緒に居る彼が居ないのを監督さんや共演者の人たちに気付かれ、その対応に一苦労したのは苦い思い出ね。
「こんな時にダーリンがいてくれたら……なんてわがままがすぎるわね」
普段は私の我儘に付き合って貰ってるのだから、今回は自分の力で頑張ろうと思ったのが今回の出来事。
そしてそう意気込んだは良いのだけれど……蓋を開けて見れば、このザマ。これを彼が聞いたら、私の事を何と言うかしらね……。
「はぁ……。本当にどうしてしまったのかしら、今日の私は……」
いつもならこんな失敗をするはずが無い……いえ、普段から気をつけていたはず。
……かといって、いつまでもくよくよ落ち込んでいたらダメよね。こんな気持ちだと……ダーリンにも、一緒に仕事に来てくれる人にも申し訳ないわ。
「早く帰りましょう。ダーリンも待ちくたびれてる頃でしょうし」
私は帰りの挨拶をしてその場を後にしたわ。家に帰ってダーリン達を安心させてあげないと。
そして電車に揺られながら帰宅の途に着く事にした。
……やっぱり、彼が居ないと普段ならしないミスも少し多くなってしまうわね……。それだけ、私の中でダーリンの存在が大きなモノになってると言う事よね。
そうしてる内に電車は目的の駅に止まり、私は迷いながらも駅を出た。もうすぐダーリンに会える……そう考えると足取りは軽くなっていったわ。
「ふふっ♪ 待っててね、ダーリン♡」
────────────────────────
「着いたわね♪」
暗くなった帰り道を暫く歩き、漸く目的地へと帰りつく事が出来た。家の明かりは点っていて、中からは良い匂いがして来たのが分かったわ。
「でも……何かしら、家の中からダーリンがいるような気配がしないのよね……私を置いてどこかに行ったなんてことだったら許さないわよ?」
そう危惧した私は、まず電話をかける事にした。
「電話にも出ないなんて……どうしたのかしら……」
もしかして……何か作業をしているのかしら? そうじゃ無かったとしたら、まさか……。いえ、それは考えすぎかしら。彼は私の事を忘れて、他の事に現を抜かす人では無いし……その辺は無いだろうと、タカをくくっては居るのだけれど。
私は少し考えた後、家のドアノブを捻ったわ。鍵は……開いてるわね。
「不用心じゃない……空き巣や不審者に入られたらどうするつもりなのよ……」
私は靴を脱ぎ、家の中に入ったわ。そしてリビングには、呑気と言うか……何と言うか、不用心にもソファーでうたた寝をしているダーリンがそこにいた。
必死な思いをして私が帰って来たと言うのに、当の彼はゆっくりとお休みモード。あまりの気の抜け様に、私は疲れより先に呆れが出て来てしまった。
「全くもう……ダーリンったら」
「んぅ……」
あら、私の声で起きたみたいね。寝惚け眼を擦りながら起きて来る彼を見れるなんて、一緒に生活をしている私だからこそ見られる光景。
けど、私が気になったのは……ダーリンがこうなってしまった理由。
こんなになるまで一体何をしていたのかしら。
「ん……ああ、ごめんちーちゃん。準備し終わってから疲れたからか眠ってたよ」
「準備? 何の……って……」
彼の指差した方向を見ると、そこには湯気が立っていて……見るからに美味しそうな雰囲気を漂わせている晩ご飯が、既に人数分並べられていたわ。
そして、テーブルの横には何やら包みの様な物が。
……これって、もしかして。
「もちろん……ちーちゃんの誕生日パーティだよ。ちーちゃん、誕生日おめでとう」
「ええ……! ありがとう……」
「ほら、今日の主役は早く席に座って。といっても今日は二人きりだけど」
「良いじゃない♪ 二人っきりの誕生日会なんて、ムードがあってとても嬉しいわ♡」
「それならよかった。それじゃあ2人きりの誕生日パーティ、楽しもうか」
そう言われて私は、彼の向かい側へと座ったわ。いつもと変わりない夕食の光景だけれど、今日みたいな特別な日は……心が軽やかになるのよね♪
「今日のためにちーちゃんの好きなものをたくさん作ったからね」
「ありがとう♪ それじゃぁ、頂きましょうか」
「それじゃあ……」
『いただきます』
そうして私たちは食べ始めたわ。彼の作る料理はいつも美味しくて……女の子として負けた気になってしまうのは少し考えものね。
「……そう言えば、二人っきりでこうして誕生日会をするなんて、初めて……になるのかしら?」
「そうだね。いつもはパスパレのみんながいるから、二人きりの誕生日パーティは初めてだね」
「ふふっ。じゃあ……今だから言える事、言い合いましょうか? 小さい頃からの付き合いですもの……それなりにあるはずよ♪」
「だね。たくさん言えることがあるし……」
そう言って私たちは、お互いに話し合う態勢になったわ。ダーリンの眼も本気になった事だし、私もその気にならないと♪
……さて、何を言ってからかおうかしらね♡
少しして話すことが纏まったので、私の方から仕掛けてみる事にした。
「ダーリン。アナタ、三つの頃まで私の傍から離れなかったわよね? 服の袖をギュッと掴んで」
「それは僕のセリフだよ? ちーちゃんこそ、泣いた時は僕のそばを離れなかったよね?」
「仕方無いじゃない……アナタ以外に頼れる人が居なかったのよ……」
「あの時はかおちゃんは傍にいなかったもんね。寂しい時はジャングルジムのてっぺんに登ったりもしてたよね」
そう言われて思い出したのは、幼少期の頃。
その当時……母親とお買い物に来ていた私は、探検感覚でショッピングモールをウロウロしていたのだけれど、結局迷ってしまって、なかなか母親と再会出来ず……その時、たまたま同じく買い物に来ていたダーリンに抱きついた事があったわね……。
「は、恥ずかしいわよ! ……それを言うならアナタも、小学一年生の頃、柄にも無く大泣きして抱きついて来たわよね?」
「くっ……そんなことよく覚えてたね……」
「ふふっ♪ あの時のアナタの顔……心がキュンキュンして来て、一生守り抜きたいと思えたのよ♡」
「僕だって、あの時泣きついてきたちーちゃんを……ずっと守りたいって思えたんだよ」
……彼の家は、普通では無かった。
これは彼の口から実際に聞いた話なのだが、その時は家庭内の様子が……想像を絶する事態になっていたのだと。父親が短気で暴力癖がある人だったらしく、一つでも不満事があれば、彼や母親に当たっていたみたいで。
そしてその時ぶつかっていたのは……彼の父親が原因の不倫騒動。聞けば、彼は父親から口止めをされていたらしく、それを母親に気付かれ……ありのままの事実を話した事が崩壊のきっかけになったとの事だったわ。
それを知った私は、彼の置かれた状況がものすごく辛くて……抱き締めたのよね……。
「……お互い、辛い事があったわね。それこそ、こんな和んだ雰囲気の場では絶対に言えないくらいの」
「こんなところだからこそ言える場面もあるんだよ」
「……そうね。一度離れ離れになったけど、またこうして巡り会えたのは紛れも無い事実。お迎えの時はびっくりさせてごめんなさいね」
「あれはびっくりしたよ……いきなりだったから」
「ふふっ♪ でも、私のアナタに抱いている気持ち……アレでわかってくれたわよね?」
「うん……」
私がそう言うと、彼の顔が……熟れたリンゴの様に真っ赤に染まったわ。弱点を突かれて弱っているのかしら……ふふっ♪ そうだとしたら、大成功ね♡
「私はアナタの事が大好きで……ずっと愛してるわ♪ アナタ以外のオトコなんて興味すら湧かないわ♡」
「そうなら僕も他の男に渡したくなくなるほどにちーちゃんを受けさせるよ……?」
「ええ♪ その言葉を待ってたわ♡」
「今日は……寝かさないからねちーちゃん」
「良いわよ……来て……♡」
「あ、その前に渡す物があったんだ」
「何かしら……?」
そう言って彼が箱から取り出したのは……これは、バレッタかしら? 形はひし形で中央には犬の写真があったわ。さらにそれは……写真を覆う様に、金色の枠で囲まれていた。
……これ、どこで見つけたのかしら。
「これ……どこで見つけたの?」
「ん? あぁ、いつも行くショッピングモールの雑貨屋さんで見つけたんだよ。リボンだと切れやすいけど、バレッタなら留めてても外れにくいし、何よりずっと大事にしてもらえるからね」
「……すごく嬉しいわダーリン♪」
「……はい。食後のデザートも用意してるから、ちーちゃんも食べ……」
そこまで言わせる事無く、私は彼に抱き着いた。離して欲しいと抗議するが、私としてはそんなの知った事じゃないので、そのまま抱擁を続ける事にした。
そして、夕食を済ませて……。
「ダーリン♡」
「あ、あのねちーちゃん……引っ付かれると動きづらいのですが?」
「これくらいいいでしょう……? それとも引っ付かれるのは嫌かしら……?」
「嫌じゃないよ。……でも、動きづらい」
「嫌じゃないならいいじゃない♪」
ダーリンからその答えが聞こえたので、私はそのまま抱き着いている事にしたわ。聞いていると……これからお風呂の支度をするところらしくて。
「……♪」
「(すっごくご満悦って感じだな、ちーちゃん……。喜んでもらえたなら良いけどさ)」
「(早く風呂が湧かないかしら……♡)」
ダーリンの体……凄くあったかい♪ そして少し待っていると、お風呂ができたみたい。……なら、ここでやる事は一つしか無いわよね♪
「ダーリン……♪ 風呂で愛を育みましょう♪」
「逆上せるって……」
「なら湯船に入らないでシましょ♡」
「うーん、スるのはせめて部屋……とかどう?」
「しょうがないわね……♡でも事質は取ったわよ♡」
「それを言うなら言質だよ……」
「いいじゃない少しくらい♪ ほら、早く入ってシましょ♪」
「ハイハイ……」
私たちは脱衣場で服を脱いで風呂に入ったわ♪
「こうして一緒に入るのも、ほんと何年ぶりだろうね?」
「何年ぶりかしらね……♪ あの頃はお互い恥ずかしがってたわね♪」
「と言うか、ちーちゃんはちょっとだけワクワクしてたんじゃない?」
「あら、そうかしら♪」
ダーリンからの問い掛けに、私はわざとらしくそう答えたわ。あの時のアナタも良かったけど、今のアナタもカッコイイ♪
「ふふっ♪ あの頃はお互いの身体を洗うのも躊躇ってたわね♪ 主にダーリンが♡」
「そりゃそうでしょ……普通の男の子なら、一緒に入る事すら拒むと思うよ?」
「でも今は……こうして、普通にお風呂に入っているわよね♪ あの頃とは大違い♪」
……そう、私たちは今こうしてお風呂に入っている。それも、恥ずかしげも無く普通に。まあ……、ダーリンはと言うと、まだ少し恥ずかしさが抜けきってないところがあるけれど♪
「ほら、昔とは違うのだから……身体をお互いに洗いっこしましょう♪」
「そうだね。じゃあ……どっちからする?」
「そんなの……聞かれるまでもないわ♡お互いに洗いっこするのよ♪」
「いや、洗いっこするって言ってもさ、そんなのどうする訳」
「そんなの簡単よ♪ 向かい合ってお互いに右手を使って洗いっこするの♪ そうすればできるでしょう?」
そう言って私たちは、お互いに洗い合い始めたわ。ダーリンの体……逞しくて、触るだけでも成長が感じられるわ……♪
「あら、どうかしたの? 顔が紅いわよ?」
「そういうちーちゃんだって、顔赤いよ?」
「私は嬉しいから紅くなってるのよ♪」
「僕も嬉しいな……」
……なんだか、お互いに洗いっこをしてるだけじゃあ物足りなくなって来たわね……。
「ダーリン……♪ もうこのままシたいわ♡物足りなくなってきちゃった♪」
「本番は部屋! それを守って!」
「もう……ダーリンのいけず♪」
「行けずでも何でもいいけど、本番は部屋で。それが聞けないなら、別に布団を敷くからそこで寝て」
「わかったわよ……」
私はダーリンからの注意を受け、渋々と湯船に浸かったわ。その横に居る彼はと言うと、ただ無心で浸かっていた。
「ねぇ、ダーリン♪」
「なに? ちーちゃん」
「本番……と言うのは、本格的に繋がる事でしょう? カラダとカラダで」
「そうだね……それがどうかした?」
「だったら……それ以外の事だったら、何でもしていいのよね?」
「うん……うん? それって……?」
私からの問いに、彼は未だに気づいてないのか……まだ頭に疑問符を浮かべていた。それを見た私は、少しずつ話を整理して返答する事にしたわ。
「アナタ……本番は部屋でしたいって言ったわよね?」
「言ったけど……それがどうかした?」
「それって裏を返せば、それ以外の事だったら、何でもしていいって事になるのよ?」
私が投げ掛けた答えに、彼は言葉を詰まらせた。
アナタが言った事を、そのまま素直に解釈して言っただけなのだけれど……これは効果テキメンね♡顔を紅くしたアナタも可愛い♪
「そ、そうなるね……」
「じゃあ……アナタの事、本格的に私のモノにしちゃうわね……?」
「……!!」
「先ずは……アナタの、その柔らかそうな唇から……♪」
私がキスをしようと顔を挟もうとしたら、彼はそっと首を横に向けて拒否する反応を見せた。……強情なのは女性にあまり受けないわよ? まあ、私はどんなダーリンでも大好きなのだけれど♡
「逃げないで……? これはアナタがそう言うからじゃない……受け入れないとダメよ?」
「逃げるつもりは無いよ。言ったことを取り消すなんて僕らしくないからね。今日はちーちゃんにつきあうよ」
「ふふっ♪ その意気よ♡じゃあ……キス、しましょう?」
私と彼はキスを交わしたわ。それも今までの比じゃないくらいの……濃厚で深いキス。もし彼が逃げようとしても、私はそれを逃がしはしない。……ただ、目の前の彼が欲しくなった……それだけの事。
その後私は、ダーリンのありとあらゆる所を味わい尽くしたわ。普段は彩ちゃん達に頼られてるけど、こんな表情は私にしか見せない……そう思ったら、とても優越感に浸れるわ♪
今回はここまでです! 如何でしたか?
次回更新予定日が未定なこの作品ですが……次のお話を気長にお待ち頂けると嬉しいです(次回は本編の内容を進めたいと考えています)。
それでは次回に……待て、しかして希望せよ!