新日常はパステルカラーの病みと共に(Rev.) 作:咲野 皐月
そして皆々様……投稿が遅くなってしまい、大変申し訳ありませんでした!
普段は仕事をしている都合上、小説執筆の時間を設ける事が難しかったのですが……誕生日の日から3日も空けてしまうオチになった上、完璧に忘れてしまっていました!本当に申し訳ありませんでした……。
そのせいか、あまり見直しをロクにしてないので、お見苦しい点などもあるかと思います……ですが、お楽しみ頂けますと幸いです。
それでは、スタートです!
そして……千聖さん、ハッピーバースデー!
「……は〜い、カット! 今日の撮影は終了! それじゃあお疲れ様〜!」
『お疲れ様でした!』
そんな監督の景気の良い言葉と共に、今日のお仕事が全て終わった。一日中撮影に引率している僕としては、終始メモ帳にペンを走らせながら演者をサポートするのはあまり苦にならなかったりする。
……これが普通の人なら、最初の段階で根を上げているのかもしれないが。
そう思いながらも、自分が持っている手帳カバーのペン立てにそれを挿し込んで、この場所から切り上げようとしたその時だった。
「今日も一日お疲れ様、颯樹♪」
「ありがとう、ちーちゃん。流石に回数を積み重ねて来ると慣れも出て来るね」
「ふふっ、貴方らしいわ♪ でも……油断は禁物よ?」
「わかってるよ。どんな時でも何が起こってもいい様に備えなきゃ」
そんな言葉をかけて僕の所に来たのは、今さっきまでドラマの撮影をしていたちーちゃん───白鷺 千聖である。彼女とは産まれた頃からの幼馴染で、互いの両親(特に母親)の仲が良好だった事が関係し、時折もう一人の幼馴染も交えて遊ぶ事があった。
現在になってからは、それぞれにやるべき事が出来た都合上、そう言う事をする機会も減ったのだが、目の前の彼女とは以前と変わらずの状態となっている。
ただし、以前と変わらずの状態とは言っても、ある一部分を挙げれば差異点と成り得るかもしれない。その事は後々に分かると思うので、この場での説明は割愛させて貰おうかな。
「今は18時13分か……ちょっと時間が押したね」
「そうね。キャストの方の到着が予定よりも遅れてしまった影響で、普通なら9時ジャストに始める予定が、10分伸びたのよね」
「僕はこの後書類を軽く書いて、FAXで事務所の方に届けてから帰ろうかと思うけど……ちーちゃんはどうする?」
「私も行くわ。颯樹を一人でこんな夜道を帰らせる訳には行かないし、私の様なか弱いレディーを一人寂しく置いてけぼりにするなんて、貴方のやり方では無いでしょう?」
……よくわかっていらっしゃる。
書類作業はそこまで時間がかかる物でも無いので、彼女の気を遣わせまいと考えていた。けど、ちーちゃんはそれを知ってか否か、僕にこの様な言葉を投げかけて来る事が多くなった様な気がする。
僕自身も、暗い夜道を女子高生一人で歩かせるのは何かと抵抗があったので、それに関しては良いのだが、この人目が多い状況でそれを恥ずかしげも無く……平然と大胆に言うのかな、と軽く頭を悩ませていた。
「……わかった。まずは着替えて、その後に書類作業をするよ。10分か15分で済むと思うから、帰り支度をして待っててね」
「わかったわ♪」
その様に話をしてから、僕とちーちゃんは共に控え室へと向かった。彼女には先に着替えと帰り支度を済ませて置く様に伝え、控え室に着いた所で一旦別行動を取った。
その書類作業と言っても、そこまで難しい事を書く訳では無く、単純に担当アイドルの様子はどうか……とか、仕事中に何かトラブルは無かったか……だったり、あとは仕事内容の大まかな纏めと説明文を3行ほど書くと言った物だ。
なので、時間的にはほぼ予定通りの配分で済ませる事が出来、ちーちゃんの待つ控え室へと向かう事にした。
「お待たせ、ちーちゃん」
「あら、ナイスタイミング。ちょうど私の方も帰り支度まで済ませた所よ。颯樹の方は大丈夫かしら?」
「僕もOK。それじゃあ行こうか」
「そうね。それと……」
そう言った後少し言葉を途切れさせた彼女は、スッと自分の左手を僕に差し出して来た。まず普段からちーちゃんを見ている僕以外の人からして見れば、こんな光景など滅多に見られる物では無いだろう。
それに加え、今はまだ撮影スタジオの中なのだ……早めに済ませないとまた揶揄される時のネタにされかねない。そう考えた僕は、彼女の言葉に素直に従う事にした。
「エスコート宜しく頼むわね、私の愛しい旦那様♪」
「……わかりました」
ちーちゃんからのリクエストに応え、彼女の左手を優しく握った僕は、二人揃って今回のお仕事で訪れていた撮影スタジオを後にした。
その帰り道の途中で、事務所からの送迎が待っていた事を知らされたのだが、今回は予定よりも時間が遅くなった為、少し寄り道をしてから帰宅の途に着く事にしたので、待ってくれていた人にお礼と謝罪をする羽目になったのだった。
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「綺麗な桜……ゆっくり見たのはいつぶりかしら」
「もうそんなに見てないんだ」
「ええ、私は普段から忙しかったもの……こう言う、落ち着いた頃に桜を見に来ると言う事が殆ど無かったの」
僕たちが寄り道として訪れている場所は、今日のお仕事で訪れた撮影スタジオから20分程歩いた所にあり、最寄りには駅がある、東京都内北東部に位置する公園だった。そこそこ広さはある所の様で、あちらこちらに屋台が点在していたり、桜の木の下で宴会などをしている人たちを見掛ける事が出来た。
「でも、今日は貴方が居るから最高の気分よ♪」
「それは何より。もうちょっと中に入ってみる?」
「そうね。それも確かに良いと思うのだけれど……私から一つ提案をしても良いかしら?」
「何かな、ちーちゃん?」
そこまで言った彼女は、ある所に視線を伸ばしながら僕の服の裾を少し摘んで引っ張った。そして一言。
「……あの東屋に行きましょ♪ 歩き回りながら見る夜桜も綺麗だけれど、特等席で見る桜も良いと思うの。どうかしら?」
「……わかった。じゃあそこにしようか」
「ええ♪」
そうして僕たちは、入口の所から少し離れた池の近くにある東屋に向かう事になった。その道中でちーちゃんが撮影のリクエストをして来た為、僕がカメラマンとしてその光景を写真に納める事にしたのだが……その一つ一つに目を奪われてしまった。
彼女が今着ているのは、淡い桃色を基調とした長袖シャツの上から黒の薄いカーディガンで、下はグレーのロングスカートだ。傍らには小さなショルダーバッグを提げており、如何にも『お出かけスタイル』と言った具合だ。
それを踏まえた上で容姿端麗なちーちゃんを写真に撮るとなった場合、まず間違い無くこうなってしまうのだ。
「……え、めちゃくちゃ綺麗……」
道中で桜の木を両端に置きながら撮影をしたなら、彼女が微笑む度に一枚の絵と成り得るのだ。それに追い撃ちをかけるように強く風が吹き、桜吹雪が舞うのだから、目の前の光景に完全に見惚れてしまうのである。
そして極めつけは、その強い風を受けて髪を直しながらも此方を優しく見て来るちーちゃんの表情……これがまた堪らなかったりする。
久しぶりに彼女と桜を見に来たのだが、暫く会わない間にここまで綺麗になっていたのか……と錯覚してしまう自分が居たのも、また事実だった。
「……颯樹、どうかしたのかしら。さっきから黙ってシャッターを押しているのだけれど……私、何か間違ってたかしら?」
「……はっ。ううん、全然大丈夫。むしろすごく綺麗で見惚れてた」
「そう……なら良かったわ。行きましょ♪」
そう言って僕を連れて行く彼女の様子を見てたら、何だか立場が逆転したみたいだった。本来は気の利いた言葉を男がかけて、そして女の子をそつ無くエスコートすると言うのがお約束だったりするのだが。
そんな一コマもありつつ、僕たちは無事に近くの東屋へとたどり着く事が出来た。そこは誰も居らず、不思議と人に見られる心配の無い場所だったので、僕たちは一先ず安心して近くにあった椅子へ腰掛ける事にした。
そして大きく開けた窓から見えた桜は、僕たちに圧巻の景色を見せてくれた。見渡しても所狭しと桜が咲いている為、ただ見に来た人たちはこれだけでも満足してしまう程だった。
「綺麗ね……」
「そうだね。ま、ちーちゃんには敵わないけど」
「ふふっ、その癖は昔から変わらないのね♪ そんなお世辞を言えるのなら、これからも上手くやって行けるわよ♪」
「どうだか。それに事実を言ったまでだから、別にそこまで謙遜する必要は無いと思うけどな」
……ま、あの風景を見てしまうと、誰でも同じ事を言いそうな気がしないでも無いが。
「ありがとう。それじゃあ有難く受け取っておくわ」
「是非そうして欲しいな。それと……ちーちゃん」
「……? 何かしら?」
僕はちーちゃんからの問い掛けを他所に、自分のカバンの中を探し始めた。昨年は帰って来たばかりでドタバタしていたので、あまりそれが出来る時が無かったのだが……今年はタイミングも良いし、ここで渡そうかな。
ちなみに今日は、予定通りに行けば他のメンバーとも一緒にやりたかったのだが……まさかの日菜を除く全員がお仕事だったので、仕切り直しで翌日する事になったのだ。
「えっと……。ハッピーバースデー、ちーちゃん」
「えっ……、これって……」
「開けてみて。僕からの気持ちだよ」
突然の事で呆気に取られている彼女に、僕は静かに細長い箱を手渡した。その中に入っているのは……これからの彼女にとって、それは必要最低限の身嗜みとして持っておいて損は無い物を選んだつもりだ。
ただ、一つだけ付け加えさせて貰うとすれば、あまりその手の話題には疎かった為、店員さんの助力を得たのは彼女には内緒である。
「……これ、ネックレスかしら?」
「そうだよ。これからのちーちゃんに絶対……とは言わないまでも、必要になる時が必ず来るからね。それを見越して、事前に買っていたんだよ」
「ありがとう……。付けて貰っても良いかしら?」
「……お易い御用だよ」
そう言われた僕は、箱の中にあるネックレスを慎重に取り出し、彼女の首に付ける事にした。途中でちーちゃんから物凄く良い香りがして、少し作業をする手元が狂いそうになってしまったのは苦い思い出だ。
「どうかな。それなりに形になったと思うんだけど」
彼女から離れた後にそんな事を口にした。
実際の事を言えば、これは誰にでも合うタイプのネックレスなのだ。よくドラマなどで見る様な高価な物では無いが、付けているだけでもそれなりに雰囲気が変わったりする。
だからこそ、ちーちゃんには普段の真面目さや美しさの他にも、一人の大人となる道の過程の真っ只中に居るので、気品の良さやそれで居て身形も確りしている物……まあ、端的に言うなら、こう言った普段から身につけられるアクセサリーを贈ろうと決めていた。
「……凄く嬉しいわ。ありがとう、颯樹。これを買うのは相当勇気が必要だったでしょう?」
「いや、大切な幼馴染の事を思えばこれくらい何て事無かったよ。それよりも、喜んでくれて良かった。大切にしてくれたら僕も嬉しいよ」
「そう……わかったわ。大切に使わせて貰うわね」
そんな事を話しながら、僕たちは二人夜桜を見ながら春を満喫するのだった。
……まあ、これはちょっとした余談になるのだが。
そのお仕事が終わってお花見をし、自分の家へと帰宅した……したは良いのだが、中でとんでもない事態に遭遇する羽目になったのだ。
「お帰りなさい、颯樹くん♡」
「……は? 何故お前がここに居る?」
「先ずは靴を脱いで、そして手を洗って来てね? 今から颯樹くんには、私から少しオハナシが有ります♪」
……帰宅した直後に、彩からの詰問を小一時間受けてしまう事になるのだった。ちなみに何故ここに居るのかと理由を聞いたが、それに関しては事前に母親などに申告をしていた為、自宅に来れたと言う事だったみたいで。
質問を一つ一つしていく毎に、彩はスキンシップをして来たので、もう僕としては何が何だか分からない上に理性の崩壊待ったナシだったのは言うまでも無い。
その尋問が終わった後に食べたオムライス……まあ、彼女から言わせて貰えば『彩特製!ドキドキふわとろオムライス』なのだが、それは凄く美味しかったです(本音9割、言わされた感1割)
今回はここまでです!如何でしたか?
次回の更新はまた不定期となっておりますが、首を長くしてお待ち頂けますと嬉しいです。
それでは、また。