新日常はパステルカラーの病みと共に(Rev.)   作:咲野 皐月

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 皆様、おはこんばんにちは。咲野 皐月でございます。


 今回は本編では無く……ちょこっと番外編をお届けしたいと思います。

 『え、なんで本編やらねぇんだよ作者』と思う方もいらっしゃると思うのですが……言い分は全くその通りです。ですが、ここ連日の暑さにビックリした僕はですね……この暑さを利用して、それに因んだ番外編をやろうと思い立った訳なのです。


 番外編の更新時期に関しましては、本編と同じく不定期になってしまうのがネックなのですが……なるべく作品のクオリティを落とさない様に書いて行きたいと思います。


 今回のお話の主題である『プール』は……全部で4回程やろうかと予定しています。まずはその導入から見て頂けたらと思っています。


 それではスタートです。


パスパレのみんなでプール!?:①

「来たよ〜、トコナッツパーク!」

「皆さんとお出かけするのは機会が少ないので、とても楽しみです!」

「そうだよねっ! イヴちゃん、行こっ♪」

「はい!」

 

 

 いつもの元気な調子で、夏の暑さ等も気にせず……彩とイヴは、今回訪れた水のテーマパークである《トコナッツパーク》へと駆け込んで行った。

 

 一応、二人には……『あまり僕たちの目の届かない所には行かない様に』と釘は刺しているのだが。

 

 

「しかし、よく当てたよね……日菜。ここは人気の観光施設だから、チケットだって取るのも難しくなかった?」

「んー、そうでも無かったかなー。単純にリサちーから譲って貰っただけだしー」

「今井さんには感謝しか無いですね……」

 

 

 僕からの問いかけにはいつもの調子で答え……僕の隣に居た麻弥からのボヤきにはと言うと、何でもないかの様にあしらっていた。そして少し背伸びをしたかと思えば、日菜は僕の右手をガッシリ握って、こちらへと眩しい位の良い笑顔を見せて来た。

 

 ……くっ、こんな時にめちゃくちゃ良い笑顔で見て来るなよ日菜! 二人きりだったら抱き締めたいけど、今この状況では危険すぎる!

 

 

「ダーリン、日菜ちゃん? アナタ達は一体私の目を盗んでナニをしているのかしらね?」

「ほらほら行くよ、さっくん! 時間は待っちゃくれないんだからねー!」

「ちょっ、日菜!? そんなに急かさなくても一緒に行くから待ってってぇ!?」

 

 

 眼のハイライトが消えていた、ちーちゃんからの威圧も気にせずに……日菜は僕を引っ張ってパーク内へと入って行った。彼女の手を引く力が異様に強いので、下手したら腕一本持って行かれそうな程だった。だが、そこまで感じない辺りは、さすが《天才》と言った所か。

 

 それを見た麻弥とちーちゃんは、少し溜め息を吐きながらも僕たちの後を追っていた。

 

 

 どうしてこんな事になったのかと言うのは……時間を数週間前まで遡って、一から話さなければならない。

 

────────────────────────

 

 日に日に暑さが少しずつ増し続けている、八月上旬のこの頃……僕たちパスパレは、事務所のレッスンスタジオを借りてバンド練習を行なっていた。

 

 

 普段はちーちゃんがドラマの撮影だったり、それに僕が付き添っていたり……何なら、バイトやらユニットとしてのお仕事などもこれまでに複数回あり、まともにバンド練習が出来た試しは無かった。

 

 だから、学校が夏季休暇期間中に入ったこのチャンスを利用し……朝から半日かけて行なっている、のだが……完全にバテた者が二人ほど出て来ていた。

 

 

「暑いよぉ〜」

「暑い……るんっ♪てしなぁーいー!」

「まだ朝の10時だぞ……と言うか、久々の全員で音合わせなんだから、怠けてる暇は無い」

 

 

 確かにココ最近は雨も降らず、清々しいほどの晴天が続いてはいるのだが……朝の早い時間から、かなりの暑さが襲いかかって来ていた。

 

 だから二人の言い分も、充分僕としてはわかっているつもりなのだが……普段があまり練習できない分、ここで遅れを取り返さないと行けないのもまた事実だった。

 

 

「そうよ? ダーリンはこんなに暑いにも関わらず、打ち合わせだったり、私たちのスケジュールを組んでいたり……猫の手も借りたい程に忙しいのよ? 現に、この後だって外さないといけないでしょ?」

「そうだね。11時から僕が仕事になってる。その前にプロデューサーさんと軽く打ち合わせをしてからお仕事だね。だから、ここに居られるのもあと数分くらいかな」

 

 

 僕の言葉を聞いた瞬間、ある一点から喚き声が聞こえて来た。その一点と言うのは……言わずもがな、アソコからである。

 

 

「えー!? なんでさっくんがお仕事に行かないといけないのー!? ヤダヤダヤダ〜! あたしはさっくんと一緒に練習したーいー!」

「我が儘を言わないの。私たちだけでも出来る事だってあるわよね?」

「……それはそうだけどー」

 

 

 ちーちゃんから発せられた一言で、日菜はその場に黙り込んでしまった。そして僕の所へと来て……て、えぇ!?

 

 

「さーっくぅーーーーん! 千聖ちゃんがあたしの事をイジメてくるよー、助けてぇぇぇ!!!!!!」

「そんなに泣きながら、しがみつく様に僕に抱き着くんじゃないよ……と言うか、ちーちゃんの言った事は本当でしょうが」

「やーだー!」

「日菜!」

「うああああああん! さっくんのケチー!!!!!!」

 

 

 そんな事を言いながら、日菜はボロボロと泣き崩れていた。それを遠目に聞いていた三人の表情が、さっきまでは『まぁお仕事なら仕方ないか』と思っていたのが……次第に怒られている日菜がなんだか気の毒に思えて来ていた。

 

 

「あれ? そう言えば日菜ちゃん、リサちゃんから何か貰ったんだ〜って言ってなかった?」

「そうなんですか?」

「うん。数日前かな……バイト先に来ていた日菜ちゃんが、るんるん気分で私に教えていたから、よく覚えてるよ」

 

 

 そして何かを思い出した様に、彩が何やら話をし始めた。それを聞いたイヴはと言うと、少しそれに興味関心があるのか……彼女の話を聞く態勢に入っていた。

 

 

 彩からの話を纏めると、要は『リサがバイト先の店長から、水のテーマパークとして有名な《トコナッツパーク》のチケットを6枚貰ったのだが、諸用で行けなくなり……その代わりとして貰った』と言う事らしい。

 

 もし本人がこの場に居たのであれば、確実に『せっかくだし……パスパレ全員で楽しんで来てよー、思い出話を楽しみにしてるからさ☆』なんて言って来そうな物である。

 

 

「ねーねー、一緒に行こーよー!」

「ひ、日菜さん……颯樹さん達は普段からお忙しいんですから、そんなに駄々を捏ねては『ヤダ! あたしはパスパレ全員で行きたいんだもん!』聞いちゃいないッスね」

「それに……良いの、麻弥ちゃん?」

「は、はい? 何が『良いの』なんですか?」

 

 

 僕の服の裾を掴んでジタバタとしている日菜を、見かねた麻弥が仲裁しに入ろうとしたのだが……更なる喚きを聞いてしまい、彼女は折れてしまった……が、日菜から何やら気になる事が聞こえた様で、その話を聞く事になった。

 

 

「ちょ〜っと、耳を貸して〜?」

「な、なんですか……日菜さん?」

 

 

 そうして麻弥は日菜の言う通りに、彼女へと少し耳を傾ける形になった。……そして、聞こえて来たのは。

 

 

「麻弥ちゃんの水着姿で……さっくんを悩殺しちゃおうよ☆ そうしたら……いつもよりもっともっと、さっくんに見て貰えちゃうかも♪」

「……!!!!!!」

 

 

 ……は? 何を言った、この天災は?

 

 

「したくないの?」

「何もジブンは、それを『したくない』と言う訳では無いッスよ? ですが……ジブン、水着なんてあまりにも恥ずかしくて、こう言う休日などでそれを着た試しが、一回も無いんです……」

「だったら、この機会を活かそうよ! せっかくのこのチャンスを活かさないなんて、女の名が廃るよ!」

「ジブン、あまり気は進まないんすけど……」

 

 

 ……何やら嫌な予感がするな。しかも話を遠巻きに聞いている限りだと、どうやらその目論見は、日菜が首謀者と言う認識で間違い無さそうだ。

 

 そんな感じで僕が自己完結をしていると……スタスタと麻弥が此方に歩いて来た。

 

 

「……ど、どうした……麻弥? うわぁっ!?!?!?」

「サツキさん!?!?!?!?!?」

「颯樹くん(ダーリン)!?!?!?!?」

 

 

 僕は歩み寄って来た麻弥に押し倒され、尻もちを着いてしまう羽目になった。他の4人が驚いているのを他所に、麻弥の顔は次第に紅くなっていた。

 

 

 ……いやいやいや、待て待て待て待てぇ!

 

 麻弥ってそんな事をする様なタイプでしたか……ってくらいにはビックリだよ!? 現にこの状況の判別が未だに着いてないし、頭の理解だって追いついていないし!

 

 

 どうすりゃ良いのさ……ねぇ! 今がこうやって押し倒されてるからこそ分かるんだけど……麻弥の人一倍大きいナニカが当たっちゃってるし!

 

 それを見た彩とちーちゃんなんて、今にも嫉妬オーラ全開で迫ってきそうな勢いだし(イヴにもこう言う事を、後々にやられるんだろうな……と言うのは心の片隅で思うだけにしておいた)!

 

 

「颯樹さんは……ジブンの水着姿、見たいですか?」

「見たいか見たくないかで言えば、見たいけどさ……」

「ジブンは、颯樹さんになら……良いですよ、水着姿を見せても……」

 

 

 麻弥が唐突にもそんな事を言うもんだから、今にも僕の後ろに居る二人が襲いかかって来そうだ。その証拠に……彩はうずうずさせてるし、ちーちゃんはコツコツと靴の片方でリズム良く床を叩き始めていた。

 

 

 どうしたもんかなぁ……これ。

 

 

「はぁ……わかったよ。時間があったらになるけど、プロデューサーや社長に掛け合って、全員一斉に休みを取れる日があるか聞いて来るよ」

「本当!?」

「仕方ないだろ……ここで僕が否を唱えでもしたら、確実に誰かさんが暴れるだろうし」

 

 

 その言葉を聞いた僕とちーちゃんを除く4人は、お互いに手を合わせてたり……飛び跳ねたりして喜びあっていた。余程行ける様になったのが嬉しいのか、見てるこっちまで伝わって来そうなくらいだ。

 

 ただし、その誰かさんはと言うと……さっきまで何処吹く風だったのだが。

 

 

「全くもう、ダーリンは甘いのよ……」

「それは自覚してる。まぁ、ちーちゃんはそれ以上に甘やかしてるけどね」

「……もぅ♪」

 

 

 未だにご機嫌ナナメなちーちゃんを宥める為、僕は彼女の頭を軽く撫でてあげた。そうしてあげると、ちーちゃんの機嫌は良くなったのだが……また他のメンバーが嫉妬すると言う形になってしまった(これを俗に言う《無限ループ》と言うのです)。

 

 その後は何とか練習も滞り無く進み、請け負っていた件も無事に承認を貰えたので……日菜の頼み通りに、三週間後の日曜日は晴れて全員オフと言う形になったのだった。




 今回はここまでです。如何でしたか?


 次回の話はこの続きから始まりますので……待て、しかして希望せよ。の精神でお待ち下さいませ(次はどっちをしようかと言うのは、未だに考え中ですすみません)。


 それではまた次回。
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