新日常はパステルカラーの病みと共に(Rev.)   作:咲野 皐月

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 皆さま、おはこんばんにちは。咲野 皐月です。

 今年の彩の生誕祭記念回の執筆も終わってるので、後はパス病みを始めとした作品の投稿作業を少しずつ行なっていきたいと思います(恐らく、パス病みがここ暫くは多めに投稿されるかと思われる)。


 今回のお話は……気分転換にはなりますが、彩をメインとしたお話をお届けしようと思います!実はこれって、ある人が先日投稿されていた小説の影響を受けて書いたものなんですよね(だからと言って、湿っぽい話では無い)。


 それでは……本編をどうぞお楽しみ下さいませ。


真夏の恋に鮮やかな彩りを添えて:①

「颯樹くんっ!」

「何、急に。宿題中だから話しかけないで貰える?」

「そんなに連れない事を言わないでよ〜」

 

 

 ジリジリと夏の太陽が地面を焼き、コンクリートはまるで鉄板の様な暑さをしていて、日に日に外に出ているのも億劫になる程の日が続くこの頃……僕は自宅の自室内で、唐突に呼び掛けられた声に反応する事になった。

 

 

 今現在は夏休みの課題をしている真っ最中なので、出来る事なら終わるまで待っていて欲しい所だったのだが……声を掛けて来た人物の性格を考えると、そうもいかないと判断したので応答している。

 

 こんな暑っつい日が続く中、何処にそんな元気があるんだろうか、と僕は心の中で毒を吐く事となってしまった。

 

 

「で? 僕に何の用なの、彩?」

 

 

 先程僕に声を掛けて来たのは……事務所発のアイドルバンド『Pastel*Palettes』のリーダー兼ボーカルを務めている、桃色の髪をセミロングにした女の子──丸山 彩である。服はパステルピンクと白を基調としたボーダーの入ったフリル付きのシャツと同じ色合いのスカートで、頭には白いカチューシャを身に付けていた。

 

 

 彼女は今の僕と対照的に元気満々な様子で、今にも何処かへ遊びに行きたい、とすらせがんで来そうな程だった。急なお仕事も無く、取り立てている用事も無い、たまにしか訪れない平和な休日……頼むから厄介事だけは勘弁して欲しいが。

 

 

「颯樹くん、今度の日曜日……私と二人っきりで海に行きませんかっ「却下」即決!?」

「予定では次のその日は、外す事の出来ないお仕事が入ってるんだよ。相手方に迷惑をかけたくないから今回はパス。誘うならどうぞ他を当たってくれ」

「えぇ〜!? せっかくこの時の為にと思って、可愛い水着を用意して、颯樹くんと一緒に遊びに行きたいな〜と思って誘ったのに……」

「ごめんね。でも、遊びよりもお仕事が優先。それは理解して欲しいかな」

 

 

 僕が彩に一言そう言うと、彼女は分かりやすい程に肩を落としてしまった。彩の気持ちはわからないでも無いが、仕事の場に私情は持ち込めない……ならば、ここは心を鬼にしてでもキッパリと断る必要性があったのだ。

 

 先程の答えで諦めてくれたかな、と思った僕は再び目の前の課題に取り組み始めた。

 

 

「……」

「ねぇ、颯樹くん?」

「……」

「ねぇってば〜」

 

 

 課題の邪魔にならない小さな声であるが、僕の肩を軽く叩いて彩が呼びかけて来た。別にここら辺で彼女との談笑をしても良いが、正直な話を言うと……夏休み明けに実力テストが控えているので、あまり構っていられないのが本音だ。

 

 彩の場合は油断しなければ赤点回避はできるので、そこまで口酸っぱく言う事はしていないが、課題の取り組みの遅さについては少し頭を悩ませている所だ。

 

 

 学生の本分は勉強である以上、確り課題に向き合って欲しいのだが、彩の言う事も多少なりとも理解出来てしまうのが難しい所ではあるが。そりゃあ適度に息抜きをしないと疲れてしまうのは至極当然だが、それで本分が疎かになってしまっては元も子も無いと思っている。

 

 だからこそ、僕の事は構わずに友達と遊びに行くなりして欲しい……と思っているのが本音だ。

 

 

「こうなったら……」

 

 

 と、思った矢先、何やらイヤーな予感が僕の背後から伝わって来た。今は勉強をしている途中なので、応答したくても思う様に返せなかったりする。……そう考えていると、その一言の後に何かが擦れる音が聞こえ始めた。

 

 そして全て脱ぎ終わったであろう彩は、自らの鞄の中を手探りで探し始めた。そうしていると。

 

 

「あ、あった♡」

 

 

 ……んん? こんな真昼間から彩は一体何をやってるのかな? ちょっと待って? こんな所で何してるんですかね? 近くに男が居るって事、まさかまさかの気づいてないパターン?

 

 いやいや、さっきはキチンと彩と会話をしてたし、僕が男だってのは今まで関わって来たのならば、絶対にわかっているはずだ。だとしたら、一体何の理由があってここで服を脱いでいる……? 唐突にスキンシップに走る日菜やイヴじゃあるまいし、彩はそこら辺をキチンと理解してるはずだと思ってるが……?

 

 

 そこまで考えている間に、背後に居るであろう彼女からもう一度声を掛けられた。ただし、その際に取った行動は予想の斜め上を行く物で。

 

 

「颯樹くん。私の新しい水着……颯樹くんに見て貰いたいんだけど、良い? もちろん、私の事をいーっぱい愛してくれるなら、別に無理にとは言わないよ。でも〜」

「〜〜〜〜〜ッッッッ!!!」

「賢い颯樹くんなら、この後どうすれば良いのか……わかってるよね? ねっ、私の大好きで大切な王子様♡」

 

 

 ……ここまで言われたのなら、もうやむ無しだ。

 

 

「いい加減にしろ彩、僕は今課題中だ……って……」

 

 

 今まで彩が聞いた事が無いであろう迫力で後ろを振り返ったのだが、そこに飛び込んできたのは、過去に経験した物とは明らかに別の衝撃だった。

 

 

「ふふっ、どうかな♪ 颯樹くんと二人っきりで海に行く為に、昨年からずーっと目を付けてたんだ〜♡」

 

 

 僕が振り返ったのを見た彩は、その場で軽くくるっと回ってポーズを取って見せた。

 

 彼女がターンをしてる最中に見えたヒラヒラと舞うスカートのフリル……そして、可愛くポーズを決めた時に目に入った、女の子特有の二つの大きな揺れ。その後に見せた、見た者全てを一瞬で魅了する様なその笑顔。

 

 

 ……してやられた。彼女は最初からそのつもりだったのだ。

 

 

「あ、彩……おま……」

「ふふっ♪ 千聖ちゃんが言ってた通り、颯樹くんの驚く顔ってすごく可愛い〜♡ かく言う見せてる私自身もちょっと恥ずかしいけど……でも、キミの為ならこれくらい何て事無いよ♪」

 

 

 僕は驚きのあまり、言葉を続けられなかった。彼女の水着は昨年もこの時期に見てはいたのだが、今年はかなり攻めたもんだと心の中で思う事になった。

 

 

 全体的に可愛さが強めなそのビキニは、白を基調としたピンクのフリルが着いた物であり、腰に巻かれているリボンもフリルと同じ色で、着用者である彩の魅力をこれでもかと余す事無く引き出していた。

 

 更にはフリルの着いたバングルらしき物を両腕に付けていて、少しのアクセントとして申し分無い存在感を出していた。

 

 

「どう? 可愛い? 似合ってるかなぁ」

「え、えっと……待て、彩。いきなり見せられて感想をと言われても……」

「ん〜?」

 

 

 僕に感想を求める彩の目のハイライトが、次第に光を映さなくなって来ていた。彼女は去年のこの時期も似た様な事があり、その時の対処法はと言うと……海の家での昼食を奢る事で許して貰った経験がある。

 

 

 だが、今回の場合は話が別だ。

 

 今にも僕の事を存在ごと呑み込んでしまいそうなその暗い眼は、多少の事では揺るがないと言う意思の表れと、余計な行動を取ればさらに事態が悪化する事を予感させていた。

 

 だからかは分からないが、彩の質問に対してどう返せば良いか分からなくなって来ていたのだ。

 

 

「あれれ? 颯樹くん、急に黙っちゃったけど、一体どうしたの〜? お~い」

 

 

 そんな事を考えてる間に、彩は此方に対して目の前で手を翳して左右に振るなどのアプローチをして来た。彼女との距離は次第に少しずつ縮まって来ていて、下手をすれば直接口の触れるキスやら、耳から甘い声で囁かれる精神攻撃まで受けてしまいそうな程だった。

 

 

「さーつーきーくーん♡」

「あ、彩……何をする気だ……!」

「何って……はむっ♡」

 

 

 僕のささやかな反抗には目もくれず、彩は僕の耳朶を軽く噛んで来た。こう言うのは今まで感じた事が無く、何をするんだと言う前に、抗う事の難しい快楽が全身に伝わって行った。その感覚は下手をすれば理性さえも溶けてしまいかねない物で、何かの拍子に声が出てもおかしくない程だった。

 

 

 今の僕は彩にされるがままなので、表情などを窺うのが難しかったりするのだが、やってる張本人としては、さぞ恍惚な笑みを浮かべながら弄んでいる事だろう。

 

 耳朶を甘く噛んだり舌で舐めたり……たまに息を吹きかけながら、僕の理性を着実に壊し続けていた。

 

 

「あぁ……颯樹くん……。好き……大好き……♡」

「な、何をするんだ彩……こ、これは一体何のつも「ちゅっ♡」んんっ!?!?!?!?」

 

 

 彩の零した良からぬ一言に反論した僕は、間髪入れずに攻撃を受けてしまった。先程耳朶を軽く噛まれているので、無理矢理引き剥がしたくても思う様に力が入らないのだ。だからかもしれないが、彩が満足するまで受け続ける羽目になった。

 

 

「ちゅっ……はぁ……んっ♡くちゅ……じゅるっ♡」

 

 

 ……ここまでやられっぱなしなのは、男としては凄く情けないし、これ以上好き勝手にさせてたまるか……!

 

 

「んはっ、ダメだよ? 颯樹くんはここからどう頑張ったとしても、私からは絶対に逃げられないんだから……んんっ♡」

 

 

 未だにキスをし続ける彩を引き離そうと、僕は自らの両手を使って押そうと思っていたのだが……それは彼女が首の後ろまで手を回してきた事で不発に終わり、更なるディープキス攻撃を受けてしまった。

 

 その様子はまさに精魂を全て奪おうと目論むサキュバスそのものであり、僕の後頭部にまで手を伸ばして来た所を察するに、もはやどの方法を用いても脱出が出来なくなった。

 

 

「好き……大好き……♡はぁ……颯樹くん……♡」

(た、頼む……誰か、気付いてくれ……!)

 

 

 彩が色気のある表情で迫って来ていて……僕が心の中で助けを求めた、その時だった。

 

 

「私の愛おしくて大切なダーリンに……何をしているのかしら、彩ちゃん?」

 

 

 そこまで声が聞こえた時、キスをしようとしている彩の動きが止まり、行為の激化を防ぐ事が出来た。そして彩が後ろを壊れたロボットの様に首を回しながら見ると、そこには黒い笑顔を浮かべた……ちーちゃんがそこに居た。

 

 

「ち、ちちち……千聖ちゃん!?!?!?!?!?!?!?」

「ふふっ、こんにちは♪ さて、これは一体全体どう言う事なのかしら」

「え、ええ、えっと……そ、それは……」

 

 

 何か必死に言い訳をしたいらしいが、ちーちゃんが満面のすっごく良い笑顔で見ている手前、下手な事を言えば余計に悪化しかねないのだ。

 

 

「彩ちゃん、貴女には少し厳しめに……」

「あ、あぁ……あああああああああ……!」

 

「お説教が必要かしら?」

 

「ご、ご、ごめんなさーーーーーーい!」

 

 

 太陽も真南に昇った夏の暑いこの日に、一人の少女の大絶叫が響き渡った。そしてそれは後に、ちーちゃんも含めた三人で海に行く事で何とか話が纏まる事となった。

 

 

 ちなみに日程の方なのだが、彩が指定した日の二週間後が三人ともお仕事も無いオフの日だったので、その時に実施しようと言う事で何とか話が纏まった。

 

 そして彩も自宅に帰宅したその後、ちーちゃんにどうやってこの状況を把握出来ていたのか、少し理由を聞いてみる事にした。

 

 

「ちーちゃん」

「なにかしら?」

「どうして僕が、彩に何かされてるってわかった?」

「全て窓から見ていたのよ♪」

 

 

 ……この幼馴染、色んな意味で怖すぎるんだが。

 

 そんな事を思いながらも、僕は夏休みの課題に再び取り組み始めた。途中でちーちゃんから素麺の差し入れを貰い、それを食べてひんやり涼みながら課題を終わらせる事となったのだった。




 今回はここまでです! 如何でしたか?

 今年中にもう一話書こうか……と思いますが、それが本編になるかこの続きになるかはまだ未定なので、更新まで気長にお待ち頂けますと幸いです。


 それではまた次回の更新にてお会いしましょう。
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