新日常はパステルカラーの病みと共に(Rev.) 作:咲野 皐月
今回は本編……では無くて、随分とお久しぶりのコラボ回をお届けしようと思います。そのお相手となる方とは、時間を見つけては直々お話していた方でして、この度本格的にコラボをする形になりました!
本当にありがとうございます!
コラボPartの作成や投稿の際……お互いに苦労すると思いますが、共に頑張って行きましょう!よろしくお願いします!
それでは……記念すべきコラボ回の初回、どうぞお楽し下さい!最後に、コラボ相手の方の作品とオリキャラプロフィールをご紹介しますので、其方も併せてご覧下さい。
(※コラボPartのお話では、今までに投稿している内容とは全く別の、俗に言う「パラレルワールド」と言う設定の元に作成しております。閲覧される際はその点にお気をつけ下さいませ※)
「はい、今日はここまで!お疲れ様〜」
『お疲れ様でした!』
そんな監督さんの景気の良い一言で、今日のお仕事が終わりを告げた。この言葉は、終始作品制作の舵取りをしていた監督を始め、一日中忙しなく動いていた僕たち撮影スタッフやマネージャー達、そして与えられた役を表現する演者たちに対して、労いの意味も含まれている。
そんな言葉が掛けられた後、僕の元へコツコツと靴の音を鳴らしながら歩いて来る人物が居た。……全く、こう言う時はちゃんと弁えられてるんだけどな……。
「ダーリン、お疲れ様♪」
「ありがとう、ちーちゃん。だけどさ、前にも言ったはずだよね? 外とプライベートでは使い分けてって」
「私と貴方の仲でしょう? 今更隠したってもう手遅れじゃないかしら。それに」
僕の元へと歩いて来たのはちーちゃん……白鷺 千聖、その人だった。彼女が今身に纏っているのは、演じている役柄に合わせた服装で、胸元にリボンの着いた女子用のブレザーである。一方で僕はと言うと、カジュアルな服装でその首元から関係者PASSを提げていた。
服装などを見ただけでは、ただの女優とマネージャーとしか思われないのだが……先程のやり取りが示す通り、これはそんな言葉一つでは片付けられない有様だ。
そしてそれを体現するかの様に、ちーちゃんは言葉を途中で切った後、僕の方にするりと抱き寄って来た。これがいつもの事となってしまったので、何となく心の中で諦めも着いたのだが、やられた当初は精神がゴリゴリ削れていたのをよく覚えている。
……全くもう。抱きついて来るやら何やらについては言及しないけど、少しは時と場合を考えて欲しいな。
「いやー、随分と見せつけてくれるね〜」
「「!?!?」」
そんなやり取りをしていた僕たちに声をかけて来たのは、先程まで撮影の指揮を執っていた監督さんだった。直ぐにその体勢から離れてキチッと姿勢を正したが、表情がかなりニヤついていて嫌な予感がするのだ。
……ホント、これでお説教食らったら恨むよ?
そんな思いを抱く僕を他所に、その監督さんから話がかかった。
「仲がよろしいのは実に結構。それに……アイドルとマネージャーの禁断の恋ってのも、なかなかインパクトがあって面白いんじゃないかな〜?」
「は、はぁ……」
……多分、次にかかるのはお説教だな。
そう思った次の瞬間、監督からこんな事を言われる事になったのだ。
「……決めた。明日と明後日は一日撮影の予定を入れていない……その期間を使い、充分に羽根を伸ばして来たまえ」
「「えっ!?!?」」
「い、良いんですか監督……そんな簡単にポンとお休みを貰ってしまって……」
「構わないよ。それに、キミたちの事務所に居る社長とは中学時代からの腐れ縁でね。僕が上手い事話を通しておくよ」
なんと、僕たちに告げられた言葉は……二日間の休暇だった。どう言う風の吹き回しなのかと疑いたくなったのだが、後々に話を聞いてみると、ここ連日の僕と彼女の働き様を見ていて、事務所側がそうする様に手回しをしていた様で。
……まあ、暫くお仕事やらバンド練習とかで、そう言うのはかなり少なかったので、それを考えたら妥当なのかな……と思う事が出来た。
「それに……休暇先に一つ、僕から心当たりがある」
「?」
「実はだね、ここから2時間ほど交通機関を使って南西方面に行くと、神奈川県の箱根と言う所に着く。そこはガイドマップに掲載される程の人気観光地なのは知っていると思うが、僕の親戚がそこの一角で旅館を経営しているんだ」
……詰まる所、話を纏めるとこうである。
明日明後日の休暇を使い、そこの旅館を訪れて欲しいとの事らしい。宿泊をするならうってつけの場所なのは勿論、その地域一帯が人も賑わう観光地である事も理由の一つみたいで。
「……千聖、どうする?」
「私は大丈夫よ。貴方の返答次第にはなるけれど」
「そっか。千聖が良いって言うなら」
「決まったかい?」
「はい。そのお話、有難くお受け致します」
僕の返答に満足したのか二度頷いた後……僕は監督さんから、黒のゼムクリップで留られたチケットの束を渡された。そのチケットは宿泊する予定の旅館の名前が書いてあり、更には場所もわかる様に地図まで記されていた。
そのチケットを受け取って、捲りながら枚数を確認してみると、予定の枚数よりも少し多い様な印象を受けてしまった。
「え、ええっと……これ、三枚ほど多いのですが」
「ん、ああそれは友達の分も一緒に、と思ってだよ。キミたちはまだ学生の身……であれば、友達と一緒に行きたいと思うだろう? 親戚からチケットを余分に貰ってたんで、迷惑じゃなければ使ってくれ」
「良いんですか?」
「構わんさ。僕が持ってても無駄になるだけだから」
そう言った監督さんのご厚意に甘える事にし、僕とちーちゃんは撮影の為に訪れたスタジオを、更衣と事務所に戻る準備をした後に出発した。
……そして、そこから数十分後。
所が変わって、現在羽沢珈琲店にて。
「……で、俺たちに白羽の矢が立った訳か」
「その通りよ。私と颯樹だけで箱根に行っても良いのだけれど、折角5枚のチケットがあって、友達も誘って良いと言われている……なら、これ以上無い良い話だと思うの。イサムくんや花音はどうかしら?」
お互い注文した紅茶やコーヒーを傍に置きながら、事の経緯から話の本題に至るまでを詳しく説明していた。ちーちゃんの目の前に座っている花音は、スケジュール帳を見ながら確認をしていたのだが、もう一方の少年───僕の向かい側に座る、佐倉 イサムは少しこちらを疑う様な目線で見て来ていた。
彼とは今日この場で初めましてなのだが、ちーちゃんの姿を見た途端に怪訝そうな顔をされた事は、未だに記憶に新しい所だ。イサム曰く、彩に関しての事で色々暴走しかねない保護者感覚……と、言う事らしい。
現に僕が向かい側に座ってこそ居るが、その厳しい眼が解かれていない辺り、お互い苦労するな……と思えてしまった。
「その日は一日バイトも入れてないし、私は……颯樹くんや千聖ちゃん達と一緒に行けるよ♪」
「ありがとう、花音♪ やっぱり、持つべきものは信頼出来る友達ね♪ ……で、イサムくんの方はどうなのかしら?」
「ほんとに良いの? 彩は兎も角……ほら、麻弥さんとか日菜とかイヴちゃんとか……他に人は居るけど、ホントに俺で良いの?」
ちーちゃんからの問い掛けに、イサムは少し戸惑いながらもそう聞いて来た。確かに彼の言う通り、誘おうと思えば同じバンドメンバーも候補に挙がる。けど、その日の予定を見てみると、揃いも揃って三人とも外せない仕事が入っている。
麻弥とイヴは特に心配して居ないが、日菜が一番の心配要素だ。彼女の場合だと、仕事をサボってでも此方に合流しようと計画して居そうで怖いまである。
なので、彼女には成る可く勘づかれない様に、僕もちーちゃんも動かなければならなかったりするのだ。
「ええ。この一件は、他の誰でも無い、貴方にお願いしているんですもの……断る理由なんて始めから無いわ」
「じゃあちょっと予定確認してみるよ。それと、彩にも話通さなきゃ……。ちょっと席を外すね」
「わかったわ」
そう言ってイサムは一度席を立つと、スマホのスケジュールアプリを片手に、彩へと電話をかけにその場を離れた。一応、僕たちは通話中でも気にはしていないので、気にせずにその場で話してくれても良かったのだが。
「ふふっ、良かったわねダーリン♪」
「本当に。けど、これから行く旅行先では絶対にその渾名は言わないでね。まだ秘匿にしてる状態なんだから、誰かに知れたらこっちが損害を被るんだ」
「心得ているわ♪ 私だって貴方との関係を迂闊に喋りたくは無いし、お互いに不利益になる事は避けたいもの。それに……」
そこまで言った後、ちーちゃんはするりと僕の方に身を寄せて来た。僕の方が窓側に近い為、自然と彼女に追い詰められる形になる上に……下手をすれば、身長差が逆転する程に見下ろされるので、どうあっても逃げられない状況になってしまった。
……そして、その光景を見て顔を真っ赤にしている花音には、今度何か埋め合わせをしよう……と、心の中で決める事になった。
「貴方だって、私が何処の馬の骨ともしれない男に取られるのは嫌でしょう……?」
「……ま、まあ……そうだけど」
「なら、お互いに悪い話では無いわよね♡」
「……ハイ、ソノトオリデス」
詰め寄る彼女に対してそう答えると、ちーちゃんは満足したかの様に元の位置へと戻っていた。それを見た僕は、直ぐ様さっきの態勢に戻る事にした。……相も変わらず、状況の切り替えが早い事で。
そして少しした頃に戻って来たイサムからは、ちーちゃんの表情がやけににこやかになっている事を指摘されたのだが、僕は当たり障り無い返答で返す事にしたのだった。
「とりあえず、その日のスケジュールも空いていたし、彩にも連絡はできたよ」
「それじゃあ……大丈夫なのね?」
「ああ、大丈夫。俺も彩もその箱根への旅行に一緒に参加するよ。よろしく、千聖さん。それと……えっと」
そこでイサムが言葉を詰まらせたので、僕はそのままの体勢で右手を差し出した。テーブルを軽く跨いでいるので、多少強引さが拭えないのが事実だったりするのだが。
「盛谷 颯樹……颯樹で良いよ。普段はパスパレのマネージャーをしてる。千聖とは幼馴染だ。敬語は崩してくれて構わない。よろしく頼む」
「じゃあ、こっちも。俺は佐倉 イサム……俺の方もイサムと呼んで欲しい。よろしくね」
「こちらこそ」
そう言って僕とイサムはお互いに手を取った。
そしてその後は、翌日のプランニングを軽く打ち合せた後にティータイムを挟んでお開きになった。その際に花音は帰り道で迷子になりやすいので、イサムに同伴を頼む事にしたのだった。
今回はここまでです! 如何でしたか?
サブタイトルの中に【】とあります回は、コラボ回を示すマークとして残しますので、閲覧の際に間違う事は無い……と思います。基本的にコラボPartは番外編の枠組みで執筆致しますので、よろしくお願いします。
それではまた次回です。次の更新は、まだ未定としていますが……今年中にコラボ回をもう一話、本編で二話ほど……誕生日回で一話制作を予定しておりますので、気長にお待ち頂けると幸いです。
【コラボしているお相手】→ キズカナ 様
【コラボのお相手方の代表作】→「Dream Palette」
[URL]→ https://syosetu.org/novel/184944/
【オリキャラプロフィール】
[名前]佐倉 イサム
[学年]高校2年生[誕生日]9月10日
[好きなもの]卵料理、バニラシェイク
[嫌いなもの]匂いが強い食べ物
[趣味]音楽鑑賞、入浴
[性格]過去の経験から多少やさぐれ気味だったが、彩との関わりによって大分前向きになった。割と天然系なところがあり、時々ズレた発言や思った事をそのまま口にするが、当の本人は至って真面目である。