新日常はパステルカラーの病みと共に(Rev.)   作:咲野 皐月

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 皆さま、おはこんばんにちは。咲野 皐月です。

 このPartの更新はエラくお久しぶりになってしまいましたが……今回も張り切って投稿していきますよ〜!


 と言う訳で、前回に引き続いて『Dream Palette』とのコラボ回……第2話目となります!


 それでは……スタートです!


夢を彩る者たちの小休止【②】

「……遅いな」

「ええ、約束の時間になるまで、もうあと少ししか無いのだけれど……彩ちゃんったら、一体何処で油を売ってるのかしら……」

 

 

 ここ数日の天候にも恵まれ、暖かな陽射しが降り注ぐ土曜のこの頃。僕たちは一泊二日の旅行をする為に、駅前の噴水広場にて待ち合わせをしていた……のだが、ここに居るのは僕とちーちゃんと花音の三人だけであり、イサムと彩の二人はまだ到着していなかった。

 

 

 当初計画していたプランとしては、10時には駅前に全員集合を終え……その後23分出発の電車に乗って、神奈川方面へと向かう手筈になっており、そして目的地に到着し次第、宿のチェックインを済ませた後に軽く観光をすると言う形だ。

 

 予定を立てたのは急だったが、その時は日付が変わる寸前まで話し込んでいた為、就寝が少しいつもよりズレてしまった。

 

 

 まあ、今日の事を考えたら妥当な選択だったと思ったのだが、案の定と言うか何と言うべきか、遅刻者が一人出てしまっていた。しかも、連れも一緒にである。

 

 

「彩の事はイサムに任せようと思っていたが、これはミスキャストだったかな……」

「そうね。可能ならば、今直ぐにでも電話をかけて呼び出す他に道は無i…」

「待たせてしまって本当にごめんね! 千聖ちゃん、颯樹くん、花音ちゃ〜ん!」

「ごめん、彩を起こすのに手間取ってしまった」

 

 

 僕が電話をかけようとしたその時、大通りの方から僕たちに向かって呼び掛ける声が聞こえて来た。その方向を見てみると、今さっき起きて髪や身支度等を整えていたであろう彩と、息を切らしながらもお出かけの服装に身を包んでいるイサムが此方に駆け寄って来ていた。

 

 

「時間ギリギリ、かな」

「はぁっ…はぁっ…。遅れちゃってごめんね……今日の旅行が楽しみで眠れなくて……」

「彩ちゃん? 今日は朝から遠くに出かけると言っていたのだから、時間通りにキチンと来るのが筋でしょう? それに髪がボサボサじゃない……何があればそうなるのかしら」

「まあまあ千聖さん、とりあえず落ち着いて……彩に悪気は無いんだから、どーどーどー」

 

 

 寝坊して集合時間ギリギリに到着した彩は、ちーちゃんに向けて弁明を始めた。それを聞いたちーちゃんはお説教を始めていたが、それを宥めようとイサムが動いていた。

 

 

 ……あ、その宥め方は……ちーちゃんにやると。

 

 

「あら、イサムくんは私の事を犬だと思っているのかしら?」

「いや、これ馬の宥め方なんだけど」

 

 

 その言い放った言葉が引き金になったのか、二人は雲一つ無い晴れやかな青空の元で、ちーちゃんからのお説教を正座をして聞く事になってしまった。周りを行く人たちから感じる視線は何か珍しい物を見る様な物であり、彩は半泣きになっていて、イサムは何で怒られてるのかサッパリ分からないと言った具合だった。

 

 それを遠巻きに見ていた僕と花音は、揃って苦笑いをする羽目となった。ちーちゃんを怒らせたら怖いからね……幼馴染である僕は慣れっ子なので何も言わないが。

 

 

 ……そして数十分後。

 

 

「それじゃあ、電車に乗りましょうか。次の電車はあと20分もすれば来るわ……時間は有限、急いで向かいましょう」

「わかったよ、千聖さん」

「そうと決まれば早く行こっ!」

 

 

 彩のその軽快な一言で、僕たちは駅の中に入って目的地へ向かう電車に乗り込む事にした。その際、花音が人混みに流されて迷子になったり、ちーちゃんが反対の乗り場に来ていた電車に乗りかけ、危うく目的地に向かう前に離れ離れになってしまう事態こそあったが、何とか全員乗る予定の電車へ乗車する事ができた。

 

 

「ふぇぇ……さっきはごめんね、助けて貰って……」

「別に良いよ、このくらい。花音の方向音痴はいつもの事だし、駅の中は人も多かったしね」

「ふふっ、ありがとう……♪」

「それにしても、千聖さんでもうっかりミスをするだなんて意外だなぁ。いつも何事も自然と完璧にこなすイメージだったから、今日のはちょっと新鮮かも」

 

 

 その言葉を聞いたちーちゃんが再びイサムに怒りかけていたのだが、それは何とか僕が彼女の頭を撫でる事で阻止する事が出来た。ちーちゃんが頭を撫でられると落ち着くのは知っているし、先程の外での一件もあった為、どうにかして止めようとすら思っていた所だった。

 

 

「ふふっ、気持ちいい♪ 颯樹の頭を撫でる時の強さは私好みだわ♡」

「お褒めに預かり光栄です、お姫様」

「え? 何この扱いの差? さっきの俺に対する雰囲気と全然違うよね? え、どゆこと?」

 

 

 ……慣れてくれ、これがちーちゃんだ。

 

 そしてその事を花音がイサムに伝えており、イサムは未だに信じられないと言った顔で僕とちーちゃんを見る事となった。最初こう言う姿を見られた時は、やり過ぎと言われるまで謝り倒したのを覚えている。その横で当の本人はと言うと、小悪魔な笑みを浮かべて微笑んでいたのだが。

 

 

 その後無事に箱根に辿り着き、先ずは活動拠点の確保をする為に……宿へ立ち寄って、チェックインをする事にした。

 

 

「すみません、5名で予約した盛谷ですが」

「……盛谷様で、5名様ですね。確認致しますので少々お待ち下さい」

 

 

 僕の名前と人数を聞いた仲居さんは受付カウンターの奥に行き、何やら話をし始めた。様子を察するに、館長かオーナー等の責任者に話を通している……と思う事が出来た。

 

 そして少し時間が経ち、先程のスタッフさんと一緒にもう一人の女性が出て来た。顔立ちからして30代前半……いや、もっと言うなら20代くらいだと思わせる程の出で立ちをしている人だった。

 

 

「盛谷様、この度はようこそおいで下さいました。オーナーの益川と申します。貴方の事は叔父より話は伺っております、有名女優に好かれている敏腕マネージャーが居ると」

「は、はぁ……よろしくお願いします」

「えっ、何。颯樹ってもしかして有名人?」

「まさか。一応公にしない様にはしてるけど、知ってるのはごく一部だよ」

 

 

 そんな事をイサムと話していると、チケットの提示を求められたので、僕は財布を取り出してお札入れに仕舞ってある五枚のチケットを広げて益川さんに見せた。

 

 

「……はい、確かに。このチケット1枚で大人1人分の料金になります……それが5枚あるので、5名様分の料金として頂戴致します。それではお部屋の方にご案内致します、こちらの方へどうぞ」

 

 

 そう指示を受けた僕たちは、宿泊をする部屋へと案内を受ける事になった。この旅館の中には、和室と洋室……更にはその両方を備えた客室があるに限らず……空き時間を有効活用出来る書籍コーナーやお土産コーナーもあり、更にはプレイルームの一つとして、カラオケや卓球場等も設けられてるらしい。

 

 また、外から見える景色は絶景であり、その景色を眺めながら堪能する広々とした露天風呂は格別なのだとか。

 

 

 そして僕たちが案内されたのは……とある一室で。

 

 

「「「おぉ〜」」」

「ふふっ、なかなか良い所じゃないかしら?」

「眺めもすごく良くて、風も気持ちいい〜」

 

 

 そこは和室と洋室が合わさった形式の部屋で、手前には畳の敷かれたテレビやお茶を淹れる為の諸々が揃った和室があり、奥にはダブルサイズのベッドが二つ備え付けられていた。

 

 そして花音の言う様に、窓から見える景色は正しく絶景を思わせる物で、僕も見た時は息を呑んでしまう程だった。

 

 

「此方が、今回ご提供させて頂くお部屋になります。何かご不明な点がございましたら、備え付けの固定電話でお申し付け下さいませ。入浴の時間は夕方の5時から深夜2時までで区切り、翌朝は朝6時からお昼12時まで可能となっておりますので、お好きなタイミングでご利用されて構いません」

 

 

 はぁ……こんな良い所を知ってるって、今回のドラマ撮影の監督さんは相当名が通ってる人みたいだね……思わず語彙力が消えてしまうよこんなの。

 

 

「ありがとうございます、学生である僕たちにここまでして頂いて」

「お構いなく。それでは、夕食のお時間は19時となっておりますので、ごゆっくりと旅の一時をお過ごし下さいませ」

 

 

 そう言って益川さんは、部屋を後にして行った。

 

 その後の室内には、旅行カバンを持った僕たち5人だけがその場に残されていた。そして各々宿泊に際して必要な道具を定位置に置いた所で、イサムがふと疑問を口にした。

 

 

「マジで布団どうする? なんだったら颯樹と千聖さんは2人で寝た方が良いんじゃないかな?」

「いや、それはなんか悪いよ……」

「いや、なんか千聖さんが夜中颯樹の事を襲うとか言ってたし二人っきりの方が「え、今何て言ったの!? すっごく聞き捨てならない事を小耳に挟んでない!?」」

 

 

 本っ当にちーちゃんは油断ならないね、全く!

 

 ……いっその事、禁欲の習慣を付けさせようかな。それとも、お仕事を今までよりももっと沢山ギチギチに用意させるか……?

 

 

「いや……ただボヤいてただけだから、そこまであまり気にしなくても「いや、僕の諸々がピンチだからねそれ!」うーん、ちょっと何言ってるか分からない」

「何でわかんないんだよ!」

「てかアレコレって何?」

「え?」

「ゑ?」

 

 

 ……え、まさかまさかのイサム、この事わかんないパターン来ちゃった……? 彩と付き合ってるなら多少なりとも理解はしてるかなと思ったけど、こりゃあちーちゃんから話を聞いた以上に驚いたよ……。

 

 

 その後はお互いがやいのやいのと言い合い、そのやり取りは数十分近く続いたのだが、結局互いが納得する結果では終わらず、未だに拮抗状態となっていた。

 

 

「いやホント埒が明かないって」

「うーん、じゃあいっその事女子3人と男子2人で分ける? それなら安定だし、いざと言う時も大丈夫だけど」

「まあ無難な分け方だけどさ……それだと……」

「………あ」

「そういう事よ」

 

「「誰得の展開なんだよこれ」」

 

 

 と、僕とイサムの声がシンクロする瞬間だった。

 

 その後話し合いを進めた結果、まだ互いに納得する答えが出ないままとなってしまい……観光をして夕飯や入浴まで済ませてからもう一度決める事になってしまった。

 

 

 ……さて、今回の旅行は無事に終わるだろうか……。




 今回はここまでです。如何でしたか?


 次の話の更新日は未定としていますが、なるべく遅くならない様に投稿して行きますのでよろしくお願いします。


 それでは、また次回の更新にて。
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