新日常はパステルカラーの病みと共に(Rev.)   作:咲野 皐月

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 皆様、おはこんにちばんは。咲野 皐月です。

 今日も今日とて、パス病みの方を更新して行きたいと思います。最近は連日投稿が続いておりますが、また内容が直ぐに思い付きましたら、少ししか期間を空けずに投稿できると思いますので、楽しみにお待ち下さい。


 それでは、本編スタートです。


小さな迷い子たちとのお泊まり会:②

「〜♪」

 

 

 近々テレビで披露する新曲を鼻歌で歌いながら、愛する彼のために夕食を用意している。今日のメインは肉じゃが。家庭の味と言われるメニューだけど……丁寧に下ごしらえを行い、完成させた自信作だ。

 

 彼が『美味しい!』と言ってくれる姿が目に浮かぶ。

 

 

「早く帰ってこないかなぁ♪」

 

 

 心の声が漏れるほど、待ち遠しくて仕方ない。副菜と汁物も用意して、もう準備万端だ。

 

 

ガチャリ

 

 

 私しか居ないこの空間に、無機質な鍵の解錠音の後に家の扉が開いた音がした。それは彼が帰ってきた事を知らせる、幸せの鐘に等しい音だった。

 

 私は即座にガスの火を消して、身に纏っているエプロン姿で彼の帰宅を笑顔で出迎える。アイドル活動で日々笑顔は保つ様にしてるけど、彼関連だと楽しい事が盛りだくさん。だからこそ、彼と一緒に居たいと思うし、彼の事を誰にも渡したくない。

 

 

 颯樹くんを笑顔で出迎えて、彼の笑ってる顔を見たい。

 

 そんな私の思いは……扉が空いた後に見えた、彼以外の人の姿によって粉々に打ち砕かれた。

 

 

「颯樹くん、おかえり! ーーーあっ」

「あれ、彩ちゃん?」

「どうして彩ちゃんがここに?」

「oh……………」

 

 

 それぞれ三者三様の反応を見せる。千聖ちゃんと花音ちゃんは疑問で、颯樹くんは後悔の表情。対して私が抱いたのはーーー怒りだった。

 

 

「何で二人がここに?」

 

 

 私の表情に笑顔なんてありはしない。千聖ちゃんは元からそうだけど、花音ちゃんまで………。次々と現れる邪魔者(ライバル)の出現により、拳に力が入り爪が手にめり込む。

 

 頭に上った血を出せれば理想だけど、そうもいかない。

 

 代わりにと流した血液は、頭を冷やすどころか……痛みにより私をさらに激昂させる材料にしかならなかった。

 

 

「あら、私たちはダーリンから正式に許可を貰ってここに来ているの。その私たちが、そんな謂れを受ける筋合いは無いと思うのだけれど?」

「それに……彩ちゃんはどうしてここに居るの? 颯樹くんから許可は貰ったの?」

「あー、多分彩がここに居るのはこれが理由かも」

 

 

 颯樹くんは思い出した様にスマホを取り出して、私とのメッセの画面を花音ちゃんに見せた。それを見た花音ちゃんの表情は固まっていて、それが千聖ちゃんに伝わったらしく、その表情が更に怒りに染まったのを私は感じた。

 

 

 颯樹くんのお嫁さんは私なんだからね……。

 

 いくら彼に認められたとは言っても、それは姑息な手段を使って迫ったから承諾されたのであって、本心から前向きな返事を貰った訳じゃないよね…?

 

 

「それじゃあ私からも質問を良いかしら?」

「うん、良いよ千聖ちゃん。尽く私の邪魔ばっかりして……今日こそは私の方が颯樹くんに相応しいと『ストーップ!! 二人ともそこまでだ!』」

 

 

 千聖ちゃんから尋問がかかる直前、それは颯樹くんに寄って制止された。先に言い出した千聖ちゃんに関しては、直ぐに対応を切り替えて話を聞く状態になっていたけど……私としてはまだ怒りが収まらない。

 

 

 でも、ここで颯樹くんを怒らせられない。

 

 彼の傍でずっと寄り添うと決めた私自身が、そう言うのは一番やっては行けない。……仕方ないよね。

 

 

「とりあえず中に入ろう。話はそれからだ」

「……そうね。お邪魔するわね」

「お、お邪魔します……」

 

 

 颯樹くんからの催促を受けて、花音ちゃんと千聖ちゃんが家の中に入って来た。それを見た颯樹くんは鍵を閉めて、自分も靴を脱いで中に入った。

 

 ……颯樹くんをどうやって丸め込んで、こんな事態まで起こさせたのか……確り問い詰めさせてもらうからねっ。

 


 

 玄関先での言い争いを諌めた後、僕たちは夕食を食べる事にした。来客である花音とちーちゃんに関しては、僕の自室に荷物を置いた後、リビングに降りて来てもらう事で話を纏めたのだ。

 

 

「……」

「……」

「ふぇぇ……」

 

 

 自宅に帰って来てからどのくらい経っただろうか……その時間が経過しても尚、彩とちーちゃんは互いに睨み合ったままだ。何方も一歩も引かないと言う意思の表れなのか、視線を合わせた状態で片方が動き出す瞬間を伺っている様にもとれる。

 

 

 いや、たぶんこの状況を生んでしまった原因は僕にあるんだろうけれど……今回ばっかりは、流石に彼女たちの方に非があると思う。家主の予定も聞かずに自分勝手な振る舞いをした挙句、テーブル1個の間隔こそあれど、未だこうしてお互いへの警戒心を解いていない。

 

 こう言うのが後々始末に追えないんだよね……無論、それが例え誰であったとしても、この状況は褒められた物では無いと思うのだが。

 

 

「で、彩ちゃん。貴女は今日如何してダーリンを誘ったのかしら?」

「もちろん、デートに行くつもりだったよ? ショッピングをしたりカフェでお茶をしたり、景色の良い所で未来を語り合ったり……。それなのに、今日は千聖ちゃん達の方に行くって話だったから、お泊まりしようと思って来たんだよ。千聖ちゃんは如何して?」

「私は花音に誘われて、羽沢珈琲店でとても大事なお話をしていたのよ。もちろんその場には颯樹も居た方が話しやすいって事だったから、彼を連れて行ったの。ああ、貴女の様に無理矢理じゃないわ。きちんと彼から承諾を貰ったのだから、貴女にそう言われる筋合いは無いと思うのだけれど?」

 

 

 ……マジでこの二人は、そのやり取りはいい加減にして欲しいな。正直高校生活全体を通して、かなり目に余る行為が多かったのは、他でも無い彩とちーちゃんの二人だ。僕の事を好きで居てくれるのは嬉しいけど、度が過ぎるとこの様に言い争いにまで発展しかねない。

 

 

 だから僕は事ある毎に諌めて来たし、キチンとその後には仲直りもさせて来たけど……今回は事が事なだけに、二人とも互いに譲らない雰囲気を出している。

 

 それに、僕の真正面に居る花音なんて……あと何かの刺激が加われば、本気で泣き出しかねないほどだ。

 

 

「え、えっと……そろそろ、ご飯食べよ……っ? 喧嘩ばかりしてたら、せっかく彩ちゃんが作ってくれた肉じゃがが冷めちゃうよ……」

「そうそう。それに、僕は常日頃言ってるはずだけど? 喧嘩するんだったら後日トレーニングメニュー2倍の刑だって。今後は仮卒業期間中で練習時間も沢山取れる……だから通常の2倍で計画してたけど、更にそこから上乗せさせる気?」

 

 

 ……とりあえず、言いたい事は言わせて貰ったが、後は二人がどう受け取るかだな……。

 

 

「……先ずは食べましょうか。話はそれからよ」

「……うん、そうだね」

 

 

 ホッ、何とか落ち着いたかな……。これで快方に向かえば一安心……と思ったのも束の間、少しした後にとんでもない状況となってしまうのだった。

 

 

「はい、ダーリン。あーん♡」

「……その肉じゃが、私が作ったんだけどな〜」

「あ、あはは……。んむっ」

 

 

 僕は隣に座っているちーちゃんから、執拗な食べさせ合いを受けていた。いや、これから一緒に生活する事を考えればまあ有り得たんだろうけど、彩からのジト目が解かれてない状況でよくやろうと思ったよね!

 

 それを見て花音は苦笑いしてるし……そして彩に至っては心底不満そうにじゃがいもを頬張ってるし! ……あ、このじゃがいも、確り火が通っててホクホクで美味しい。

 

 

「そこまで肉じゃがが好きなら、今度私がたくさん作ってあげるわね♪ 彩ちゃんよりももっと美味しくて、頬が落ちそうなくらいのを♡」

「ありがとう、その気持ちだけでも嬉しいよ。さて、そろそろ自分の取り分の方も食べないと」

「……そうね。作ってくれた人には感謝を持たないと」

 

 

 よ、ようやく収まった……ちーちゃんからばかり食べさせていたから、そろそろ何処かで区切らないととは考えてたんだけど、このタイミングで良かったよ。花音に至っては笑顔で食べてるから、この瞬間にすごく癒されるんだよね……。

 

 

「……ふんっ」

「ん、どうしたの彩」

「……何で花音ちゃんや千聖ちゃんばっかり。私にも構って欲しいなー、な〜んて」

「それは、本当にごめん……」

「別に良いよっ、颯樹くんが女の子に優しいなんて、今に始まった事じゃないもんねっ」

 

 

 僕が花音で癒されていたのが不満なのか、彩は頬を膨らませてそっぽを向いてしまった。その際に色々言われたが、心当たりがあり過ぎてかなりグサッと来てしまうのはもう慣れっ子だ。

 

 

「はぁ……どうしよう、花音ちゃん。颯樹くんが私以外の女の人と結ばれようとしてるよ……。私は一体どうすれば……」

「え、えっと……ごめんね…っ?」

「ま、まさか……花音ちゃんも……?」

「……うん…っ♡」

 

 

 あの、僕たちの知らない所で彩と花音は一体全体何を話してるんでしょうかね。もしかして、羽沢珈琲店で話した事を伝えてたりするんかな? そうなると、余計に彩の暴走が後々酷くなると思うんだが……今更突っ込んでももう手遅れか。思考を切り替えよう、そうしよう。

 

 そんなやり取りもありつつ、夕飯や後片付けを済ませて……少しお腹を落ち着かせた後にお風呂へ入ろうとしたのだが。

 

 

「今日は花音ちゃんと千聖ちゃんに予定を譲ったから、お風呂は私が颯樹くんと一緒に入るんだよねっ♪ ね〜、颯樹くん♡」

「あら、寝言は寝てから言いなさい? ダーリンと一緒にお風呂に入るのは私よ。それは譲れないわ」

「え、えっと……私も、颯樹くんと一緒に入りたいなっ」

 

 

 またこの三人は……。花音は自宅に来た回数が少ないから良いとしても、彩とちーちゃんはそれなりに来てるし、何だったら二人とも強引ではあるものの、一緒に風呂に入っていたりもするんだよね……。

 

 

 ……ん、お風呂のお湯が貯まったかな。

 

 それがわかったのならば、ここはこれを使おう。

 

 

「あのさ、三人とも」

『ん?』

「僕は含めずにグーとパーで分かれようよ。そして各々の代表一名がジャンケンをして、勝ったら一番風呂で負けたら二番目で最後の掃除までする。これで良いんじゃない?」

「なるほど……確かにその方法なら、公平かつ均等に分かれるわね。それじゃあ」

 

 

 ちーちゃんがそう言うや否や、三人の間に唯ならぬ緊張感が走った。こんな些細な事で喧嘩しなくても良いのに、とは前々から思ってはいるのだが、三人がもうその気らしいので僕は何も言わずに見守る事にした。

 

 

 よく諺で言うけど、触らぬ神に祟りなしと言うしね。

 

 下手に触れて自分が大怪我をするってのは、どう転んだとしても避けたいし。

 

 

「行くわよ。せーのっ!」

「グーと」

「パーで」

『分かれましょっ!』

 

 

 ……さて、決着はどうなるやらね……。非常に心配。




 今回はここまでです。如何でしたか?


 次回も内容が思い着き次第、執筆して投稿しようと思いますので、気長にお待ち下さいませ。


 それでは、次回の更新にてお会いしましょう。

【追記】

 投稿日である本日……5月10日は、『高嶺の華と路端の花』を始めとした、BanG Dream!二次創作小説を執筆されている、ハーメルン作家《山本イツキ》さんのお誕生日です!

 先日はコラボして頂き、ありがとうございました!

 これからも末永くよろしくお願いします!そして、良い一日となりますように!Happy birthday!
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