結構(内容が)無理してる夏祭り。は〜じま〜るよ〜!
さあ、やって来ました夏祭り。昨日のアレはもう諦めて楽しむだけ楽しんでやる。そんな俺達の服はもちろん浴衣。シュナちゃんが『予備の浴衣です!』と貸してくれた。
俺は白地に彼岸花の模様が入っていて、帯は赤色。
特ヲタは紺色にアジサイの模様で帯は白色。
ブラン姉ちゃんは赤い生地にシロツメクサと四葉のクローバーで帯はピンク色。
ジョーヌ姉ちゃんは黒地にマツヨイグサで帯は黄色。
ヴィオレ姉ちゃんは緑地に黄色いヒヤシンスの模様。帯は黒。
以上、全員美しくて辛いです。いやさぁ…。でも1つ言いたい事がある。
「なんで俺も女性向けを着ているのでしょうか。」
「「「だってかわいいし。」」」
姉ちゃん達(用意してくれたシュナちゃん含め)は口を揃えてそう言うし、
「俺好みの男の娘で草。」
特ヲタは訳の分からん事を言い始めるし。ってお互い転生者とは言え速攻で俺を受け入れてくれたのってビジュアルのおかげかよ!
「ま、いいや。んで何処から周る?」
「私はあの射的っていうのがしてみたいわ。」
「私はあっちの紙芝居とやらが気になるね。弟くんが主人公らしいし。」
「俺は久しぶりに焼きそばとかかき氷を食べたいな。こっちじゃなかなか食べられないし。」
「ボクは弟くんと一緒なら何でもいいよ?」
「あ、ずるいわ!私だって弟くんとなら何をしても楽しいもの!」
「私はやっぱり弟くんと紙芝居を観てみたいかな。」
「俺はシュナっちと周るからいいや、そっちは4人で動けば?」
「ちょっと待て。お前いつの間にシュナちゃんと仲良くなった?」
単純に気になって訊くと、
「昨日一緒に作業してたら服の趣味が一致したの。じゃあまた後でね〜。」
そう言って特ヲタは走って行った。なんか盛り上がってるとは思ってたけどまさかそんなに仲良くなってたとは…。
「まあいいや。取り敢えず近いのから順に周って行かない?」
面倒くさいのでそう提案すると、
「ボクは弟くんに任せるよ。」
「そうだね。」
「私もそれでいいわ。」
という感じで収まったので俺達も動き始め、宣言通りまずは射的の屋台にやってきた。ちなみにコルク銃は俺が『射的をやるなら弓矢じゃなくてコルク銃だろ!!!』と、半ギレで作ったものである。『物質創造』ってホント便利。まあ、
「白くんなんでコルク銃の仕組みなんて知ってるの?俺も知らなかったよ?」
「中学生の頃に1回
なんて会話がリムルさんと俺の間で起こっていたりする。
「んで、誰からやる?」
そう姉ちゃん達に問いかけると、
「はいは〜い!ボクがいっちば〜ん!」
と、いつの間にか弾を込めたヴィオレ姉ちゃんが引き金を引き、コルクがポンと飛び出して大当りと書かれたライター(見た目だけ)の下の方に当たるが弾かれる。
「あれ?落ちないよ?」
そう言いながらヴィオレ姉ちゃんはどんどん撃ちまくるが、何度当たっても落ちず、結局ヴィオレ姉ちゃんは残念賞のベッコウ飴を貰って舐めていた。
「………。おいしい。」
「全く、ヴィオレも下手くそだな。次は私がやってみようか。」
なんて言いながらジョーヌ姉ちゃんも挑戦するが…
「糞!なんで当たらないんだ!?」
結局ジョーヌ姉ちゃんもベッコウ飴だった。
「…なかなかおいしい。」
「でしょ?」
「やっと私の番ね。ジョーヌやヴィオラとは違う所を見せてあげるわ!」
「ブラン姉ちゃんそれ負けフラグ!」
なんて言葉も虚しく…
「あ、ほんとうにおいしいわ。」
ブラン姉ちゃんもベッコウ飴を舐め、原初3人が虚空を眺めてベッコウ飴を舐めるというシュールな光景が……ってこっち見んな。
「ま、たまには本気でやるか。」
そう言葉を零しながらレバーを引き、銃口に軽くコルクを詰める。
そのまま片手で保持し、大当りのライターに向けて発砲。ライターはバランスを崩して前に倒れる。
「いっヨッシャー!」
「大当り!白さん上手いね〜。」
つい声を上げると、店主がそう言ってくれる。
「コツがあるんだよ。景品の上の角に当てると…」
そう話しながら弾を込め、〈ぬいぐるみ〉と書かれた箱を撃つ。箱が落ちる。撃つ、落ちる。撃つ、落ちる。
そんな感じで当てまくり、景品も5つ貰った。尚、うちわけはランガのぬいぐるみ、トレントの果実×3、そして…、
「いや、クロベエさんの打った渾身の一振りって…貰っていいのか?」
俺の手の中には白い鞘に納刀され、柄の先に五芒星の飾りがついた黒刀があった。
「いいんですよ!元々リムル様もそのつもりだったそうですし。」
「それってどういう?」
店主さん曰くあのライターもどき、魔鋼塊だったらしく『どうせ白くんぐらいしか落とせないだろうし、ちょっといいのをプレゼントしちゃおう』とかリムルさんが言っていたらしい。ちょっとどころかコレ絶対最高級じゃん。
なんて思ったがまあ、クロベエさんの打った刀は普通に使えるので貰う事にした。マジ最高!
「弟くん。速く他もまわろ?」
「そうだね。そろそろ紙芝居が始まるらしい。」
という事で紙芝居を観に来たのだが…、はっっっず!ヤベーイよこれ…。何がってさ〜。ベースは多分なんかのおとぎ話だと思うんだけど…。てかこれは、
「そう、人魚姫のブラン、ジョーヌ、ヴィオラ、特ヲタは見事に全員が白王子に恋をしたのです!」
なんで人魚姫!?しかも主役というかめっちゃ鈍感系になるやつだろそれ!
そうこう考えているうちに姫達は全員舌を切られて変わりに足を手に入れたが話せないから王子は気付かな…アレ?
「人魚姫達は喋れなくなってしまい、王子は気づかない…かに思われましたが、王子は不思議な力によって四人が自分を救ってくれた人達だと感じ取ったのです!」
いや流石に無茶があるわ!?
「更には王子は不思議な力で人魚姫達と心を繋ぎ、事情を知るとそのまま魔女、ヒナタ・サカグチの住む海底まで泳いで行き、人魚姫達を元に戻してくれ、と頼み込んだのです。」
アイエー!ヒナタ!?ヒナタ・サカグチナンデー!?
「すると魔女は言いました。あの様に自らの恋の為に国を捨てるような愚か者共にはもうやるものは無い。帰れ!」
いやおっも。いちいちセリフが重い。なんて考えていると物語は終盤。王子は誰かと結ばれると他の姫達が消えてしまうと誰も選べずに迷っていたが、そうこうしている内に四人は海に飛び込んでしまい、風の精霊になったのだが…、
「それに納得出来ない王子は四人の精霊達に自らの力で体を作り、1人ずつその体に憑依させ、こう言いました。君達なしではもう生きていけない。ひとりひとり平等に愛情を注ぐから、全員で僕のお嫁さんになってください!と。」
「人魚姫達は喜び跳ね回り、もちろん!と、返事をして人魚姫達は王子様だけのお姫様になったのです。」
「「「お終い」」」
……。なにこれ?つい思考が止まっていたがブラン姉ちゃんが右手をホールドして来た事で正気に戻った。
「ねえ弟くん。もしも、私達を異性として見てくれてるなら、ね。私達はあの人魚姫達と同じでもいいと思うの。」
そう言いながら耳をフ〜とされて、また俺の頭はオーバーヒートしたのだった。
そこからは特に何をするわけでもなく、色々食べまくっていた。いや全部再現度高いんだよな〜。さて…今は盆踊り中か…。そろそろ、だな。そう考えてその場をはなれ、花火の打ち上げ場所に行く。
「カイジンさん。どうです?いけそうっすか?」
「おう、白さんか。問題なし、だぜ。例のやつも用意してるから持っていけ!」
「あざっす!」
適当に会話を切り上げて急いで祭り会場に戻る。
「あ、弟くん!何処に行っていたんだい?」
「ハァハァ、ジョーヌ姉ちゃんか。まあ、ちょっと用事があってさ。」
「もう、ボク達結構焦ったんだからね?もう花火も打ち上げが始まるし…」
「そうよ。せめて一声かけてからにしてほしいわ。」
「ごめんって、ヴィオレ姉ちゃん、ブラン姉ちゃん。」
そうしていると花火が上がり始めた。序盤は普通の花火。色とりどりの火花が人々の心を魅了していく。
「わ〜!きれ〜い。」
「ふむ。私の核撃魔法にも勝る美しさだ。」
「ええ、きれいだわ。」
続いて第二陣。こっからは俺達が作ったとっておき。薔薇の花、お化け、ベルドラの顔、UFO、クローズの仮面、って誰や俺の顔花火にした奴。
「あ〜、弟くんがいる〜。」
「」
そして第三陣、俺の出番だ。
《クローズドラゴン!イエア!》
「さて、派手に打ち上げるか!」
カイジンさんから貰ってきた花火玉を軽く放り投げ、レバーを回す。
《Rady GO!ドラゴニックフィニッシュ!》
落ちてきた花火玉を蹴り上げると、それに伴ってクローズドラゴン・ブレイズが花火玉をくわえて空高くまで昇っていき…ちょうど同時に上がってきたもう一つの花火と同時に破裂した。
「わあ〜!」
と、ヴィオレ姉ちゃんは感嘆をもらし、
「これはまた派手だね。最高だよ。」
ジョーヌ姉ちゃんは称賛し、
「さっすが弟くん!大好き♥」
ブラン姉ちゃんはそう言って変身解除した俺に抱きついてくる。
「もう…恥ずかしいじゃん。また、やれたらいいな。夏祭り。」
「そうね。」
その夜、空には魔を統べるスライムと、クローズドラゴン・ブレイズを模した龍が浮かんでいた。
そのうち本編も進む…はず。
番外編の方をいくつか思い付いたんですが書いていいですか?
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イッテイイヨー!
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ダメです!
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何でもいいからさっさと書くんだよ