【一発ネタ】ラノベ風「八宮って絶対俺の事好きだよな…」【短編】 作:裏図書室
何の意味もない日々が続いた。
八宮は『なんだか元気ないね。悩み事?』と言って心配してくれたけれど、俺はそれすらも勝手に苦痛に思って、またそんな自分が嫌になって、引きつった笑いを返す事しか出来なかった。
今日も、何の意味もない学校が終わった。
帰り道、何の事もなしに街中のショップに寄った。
店内にはアイドルのブースも設けられていて、小さなモニタにPVなんかも流していた。
モニタはいくつかあり、うち一つがちょうど『L'Antica』の映像を流していた。
未練がましく、まだアイドルの姿を追いかけている。
自分が嫌になる。けれどその場から足は動かせなかった。
PVが切り替わり、よりにもよって『illumination STARS』の映像になってしまう。
まだ絶望が後を引いていて、映像を直視出来ない。
こんなにも痛むならすべて捨ててしまえばいいと思うのだが、結局、自分の気持ち含めて何一つ捨てられなかった。いつも通り、CDもピンナップも水着グラビアも、大事に取っておいている。
「はぁ」
ため息を一つ。
……きっと、未練は時間が解決してくれる。そう信じて、その場から立ち去ろうとした。
「――それを捨てるだなんて、とんでもない」
「え…………」
気がつかなかったが、知らないおじさんがすぐ隣でCDを吟味していた。今のは、俺に話しかけた、のか……?
「若い君には分からないのも無理はない。だから、おじさんが教えてあげよう」
「何を?」
「恋も愛も、勝ち負けじゃあないって事をさ」
ドキ、とさせられた。見透かされたような物言いに驚き半分、苛立ち半分と何とも複雑な気持ちになる。
「……そんなの、言い訳だ」
「そうかもしれない。けれどね、この何万何億と続く世界で、僕らは彼女たちと同じ時を生きる機会を得た。それは、とてつもない奇跡じゃあないかな。故に、この奇跡を手にした僕たちはもう勝っている」
「それも――」
「言い訳、そうだね。けれど事実でもある。過去の偉人も未来の子供たちも、彼女たちに会う事は出来ない。この焦がれるような恋も愛も抱けない。僕たちはもう、特別なんだよ」
特別……。ち、違う……俺は特別なんかじゃない。ただの愚か者で……。
「恋を、愛を、それらを抱いた時点で、もう僕たちは勝ちなんだよ。敗北を知りたいね」
「…………それでも、俺は、もう……」
もう、愛せる自信がない。
俺は何者でもなくて、無意味な存在だ。そんなのが星の傍にいたら、星の熱に焼き尽くされるか、その眩い星灯りの邪魔にしかならない。そんな自分にいったい何が出来るだろう……。
「ふむ……。どうやら君はまだ、迷える子羊のようだ。それじゃあ、おじさんが少しだけ導いてあげよう」
おじさんはやっぱり、俺に顔を向ける事なかったけれど、とても不思議な声音で、こう言った。
「輝きの色を追い求めなさい。君の答えはそこにある」
「!!」
「合言葉は【チエルアルコは流星の】、だ。それじゃあ、いつかまた会う日まで。『上』で待ってるよ」
そう、おじさんは不思議な言葉を残し、CDを一枚手に取ってレジに向かった。
「チエルアルコは、流星の……」
☆ ☆ ☆
「なぁ、また八宮のやつ告白されたってさ」
「へぇ」
もう何度目になるか分からない、八宮への玉砕報告。
友人の茂武にまた教えてやると、興味ないような反応をして、スマホを眺めていた。この前までは面白いように食いついてきたのに、つまらない奴だ。
「てか、何見てんの?」
「エスペラント語。勉強中」
「えんぺら……?」
聞いたことのない単語に面食らう。それ、そんなに夢中になるものなのか。八宮の事を目で追わなくなるぐらいに?
「なぁ、茂武って八宮の事好きなんじゃないのか」
「何だ、急に。……好きだぞ。愛してる」
「お、おう……」
まるで照れた様子もなく言う茂武にまたも面食らう。やっぱこいつなんか雰囲気変わったよな……。
「告らないのか?」
「あー、そういうんじゃなくて、何? めぐるの存在が好きっていうか……。分かるか?」
「だから、彼女にしたいんだろ?」
「違うんだよなぁ……。そういうのを超えたっていうか……俺は今のめぐるを愛してるんだよ。分かんねえか……」
そう言って、茂武はエンガワ語とかいう勉強を再開していた。
…………あんなにも好き好きオーラ出してた茂武からそんな言葉を聞くとは思わなかった。茂武って八宮と仲良い方だと思ってたし。
「はっ……何だよ」
けど、やっぱり身の程を知ったって感じか。ダッセェ奴だ。それって逃げだよな。負け犬だよお前は。
でも仕方ないよな。茂武って別にイケメンでもないし、スポーツ万能とかそんなモテ要素もないし。
(前から、もしかして、って思ってたけど)
俺はその日、何となく機会を探って、八宮に訊いてみた。
「八宮って、茂武の事どう思ってんの?」
「茂武くん? 友達だよっ! 中学生の時からクラス全部一緒なんだー! すっごい偶然だよね!」
そんな、まるで異性として見ていないかのような答えをくれた。
俺が思わず笑ってしまうと、八宮もにこにこと気の良さそうな笑顔を返してくれていた。そうだよな、うん、友達だよな!
だって、
(八宮って、絶対俺の事好きだよな……)
完
ニジニナレー
対戦ありがとうございました。めぐると一緒に学校生活を送りたいだけの人生でした。
あんなの勘違いしない方が無茶やろ……駄目だって八宮……(限界ヲタ)
ハーメルンっておシャニの作品意外と少なくて困ってたので自給しました。
おシャニ自体の人口ってそんな少ないのかな……ゲームは難しいけどいい作品だと思うんだけどな……。
そして二次小説もっと増えろ増えろ……。
「風野……」「田中……」「園田……」「杜野……」「大崎(姉)……」「芹沢……」「浅倉……」ってなってる男子絶対いるから誰か書いて♡(提案)
俺もやったんだからさ(同調圧力先輩)
おふざけはこれぐらいにしまして。
私はこのように一発ネタ思いついたらジャンル問わず書いていくスタイルなので、また思いついたら何か書きます。その際はまたお付き合いいただけると幸いです。
ではまた次の作品で、対戦よろしくお願いします。
追記
見たよ、バレンタインめぐる。
八宮って(ry