妖怪学園Y Night Emperor   作:bustered

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どうも、busteredです。
今回はシロウがY学園に入学する話を書きました。
ちなみにこの話は、映画妖怪学園Yの終了後からアニメ妖怪学園Yの2話の開始前の間の話となっています。
それでは本編へ。


第1話 新たな出会いと思わぬ再会 前編

シロウが校門をくぐると、そこにはノースリーブの服の上から白衣を羽織った女性が立っていた。

 

「あなたが、狩谷シロウ君ね?」

 

「あ、はい、狩谷シロウです。初めまして」

 

シロウがそう答えると、女性はにっこりして会釈をした。

 

「初めまして。私は園等(えんら)なつき。この学園の保健室の先生をしているわ」

 

園等先生はそう言うと、後ろを向いてシロウを手招きした。

 

「まずは、学園長に挨拶をしに行きましょう。学園長室に案内するわ。ついてらっしゃい」

 

「はい、よろしくお願いします」

 

シロウはそう言って、園等先生の後をついていった。

 

 

Y学園の校舎の中心にはタワーのような建物がそびえ立っている。

学園長室はそのタワーの最上階にあった。

 

 

学園長室の前まで来ると、園等先生が学園長室の扉をノックした。

 

「学園長、狩谷シロウ君を連れてまいりました」

 

「うむ、入りたまえ」

 

園等先生が扉越しにシロウを連れてきたことを報告すると部屋の中から学園長らしき人物の声が聞こえた。

シロウは園等先生に導かれるまま、学園長室の中へと入っていった。

 

学園長室は思いの外広く、部屋の奥にはYの形をした机が置かれていた。

その机に備え付けられている椅子に座っている荘厳な人物こそ、このY学園の学園長であることは誰の目にも明らかであった。

 

「ようこそ、Y学園へ。私がY学園の学園長、大王路(だいおうじ)キンヤだ」

 

学園長は少し赤みがかった肌に白い髭と、それと同じく白い髪の中に頭頂部だけが坊主頭をしていて、そして体が人一倍大きかった。

……縦も横も。

 

チラっと横を見ると園等先生が誰かと話しているようだった。

 

「さて、早速だが──」

 

「あの……学園長、その前に少しだけいいですか?」

 

「うん?何だね?」

 

学園長が話をしようとすると、シロウはおずおずと学園長に申し上げ、学園長はシロウの話に耳を傾けた。

 

シロウは少し深呼吸をして──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……すみませんでしたあああああぁぁぁぁぁ!!」

 

──土下座をした。

 

突然のことに困惑した学園長と園等先生だったが、すぐにその理由を察した。

 

「もしかして、()()()()()()()()()を謝っているのか?」

 

「あれは仕方のないことよ……君のせいではないわ」

 

学園長と園等先生はシロウを宥めた。

 

 

先に言っておくと、この狩谷シロウという男、交通……特に電車における運がすこぶる悪いのである。

 

シロウの住む地域からY学園まではかなり遠く、相当な距離がある。

そのため、彼の住むところからY学園に行くためには電車を利用する必要があった。

 

しかし、ここで彼の持ち味である電車運の悪さが発揮された。

なんと彼が乗ろうとしていた電車の線において、事故が発生したのだ。

ここまでなら、ただ単にちょっと運が悪かった、で済んだだろう。

 

だが、その事故はその同じ線上で5件も、加えてほぼ同時に発生したのだ。

ただし、事故の内容は、落石、地盤沈下、老朽化など、それぞれ違っていた。

 

シロウは本来、入学式と同時に入学するつもりだったのだが、それらの修復工事も相まって、かなり遅れて今日やっと入学することができた、というわけだった。

 

 

「それよりも、君が事故に巻き込まれていなくてよかったわ」

 

「そうだ、何より生徒の安全が第一だ。君が怪我一つなくY学園に来ることができたことに心から感謝している。それに今、君からこの遅延証明書をもらった。今回の件はこれでいいではないか」

 

そう言って学園長はシロウから受け取った遅延証明書を見せながら、そう提案した。

 

「うぅ……ありがとうございます……」

 

シロウはニ人に感謝しながら土下座をやめて立った。

 

 

 

「さて、話を戻すが……」

 

学園長は仕切り直しをして話を進めた。

 

「我がY学園では様々な分野から推薦した子どもたちを集めていることは知っているね?」

 

「あ、はい」

 

「そしてシロウ君、君の合格基準は何だったか、覚えているかな?」

 

「えっと、確か……"YSP"……でしたっけ?」

 

「そう、その通りだ」

 

「あの……YSPって……何ですか?」

 

「よくぞ聞いてくれた!!」

 

シロウがYSPについて聞こうとすると、待ってましたと言わんばかりに学園長が立ち上がった。

 

「YSPとは、妖怪(Youkai)スペシャル(Special)パワー(Power)の略称で、それぞれのイニシャルからとったものなの」

 

「な……なるほど……」

 

園等先生がYSPの名前について説明したものの、シロウはイマイチ、ピンときていなかった。

 

「YSP能力をもっている者は"妖怪"や"怨霊"といった、普通の人には認知することのできない存在を認知することができたり、時にはその力を使ってそれらと戦うことができるのよ」

 

「君にはその能力を駆使し、学園の謎、YSP案件を解明してほしいのだ!」

 

ニ人の話をまとめると、シロウの持つYSP能力を使って妖怪や怨霊と接触し、この学園の謎を解明してほしい、ということだった。 

 

しかし、シロウには懸念することがあった。

 

「YSPがどういったものかや、自分のやるべきことはわかりました。しかし、自分一人でこれらのことを全てやりきれるでしょうか?」

 

それについて、園等先生が説明した。

 

「そこについては心配する必要はないわ。YSP能力を持っているのはあなただけではないの。YSP能力を持った子を集めたクラブ、"YSPクラブ"には、あなたと同じようなYSP能力者がいるの。あなたには彼らと一緒にYSP案件を解決してもらうわ」

 

「えっとつまり……俺にYSPクラブに入ってほしい、ということですか?」

 

「そういうこと。ちなみに私はYSPクラブの顧問もしているのよ」

 

「そうだったんですか!?」

 

YSPクラブの関係者がこんなに近くにいたことに驚いたシロウだった。

 

「それに……そろそろ来る頃ね」

 

「来るって……誰がですか?」

 

「決まってるじゃない」

 

園等先生はもったいつけて言った。

 

「YSPクラブのメンバ-、よ」

 

 

 

 

 

 

一方その頃、学園長室に向かって歩いている5人組がいた。

 

「学園長室に呼び出されるなんて……何かあったのかな?」

 

5人の中で一番小柄な少年が呼び出されたことに疑問を持ちながら呟いた。

 

「あー……何か園等先生によるとYSPクラブに新しいやつが来るみたいだから顔合わせとけって」

 

小柄な少年の疑問に対して赤毛の少年が園等先生の伝言をざっと伝えた。

 

「新メンバー、キターー!!特撮ヒーローの展開的にも、このタイミングの新メンバーはきっとすごい人だよ!」

 

玉ねぎのような頭の眼鏡をかけた少年が興奮しながら、これから会うメンバーに期待していた。

 

「でも、このタイミングで新メンバーってちょっと変じゃない?転校生にしてはちょっと早すぎる気がするし……」

 

5人の中での唯一の少女が新しいメンバーについて考察していた。

 

「そういや、乗ろうとした電車の線で事故があって入学式に参加できずに遅れている新入生徒がいるって聞いたことがあるな。そいつなんじゃねえか?」

 

5人の中で一番背が高い少年は、風の噂で聞いた人物が新メンバーなのではないかと予想していた。

 

そうこうしているうちに5人は学園長室の前までやってきた。

 

眼鏡をかけた少年が学園長室の扉をノックした。

 

「YSPクラブです。園等先生に呼ばれてきたのですが……」

 

 

 

 

 

 

 

シロウが園等先生に誰が来るのかを尋ねてすぐに、学園長室の扉がノックされた。

 

「YSPクラブです。園等先生に呼ばれてきたのですが……」

 

「おお!ちょうど来たようだな!入りたまえ」

 

学園長室の扉が開かれ、5人の少年少女が入ってきた。

 

「シロウ君、彼らが君と一緒に学園の謎を解明するYSPクラブのメンバーだ」

 

学園長に促され、どんなメンバーなのかとシロウが気になって振り返った瞬間──

 

 

 

 

「「「……え?」」」

 

約三名の声が重なった。

 

声の主の一人はシロウ、一人は少女、そしてもう一人は背が高い少年からである。

 

「YSPクラブの諸君、彼が君たちと共に──」

 

 

 

 

 

 

 

 

「「シ、シロウ!?」」

 

「フーちゃん!?それにメラ兄さんも!?」

 

学園長がシロウを紹介しようと話し始めたが、三人の驚きの声に遮られてしまった。

 

「えーと……知り合いだったかな?」

 

学園長は話を遮られたことに若干ショックを受けながらも、三人が知り合いであることを理解した。

 

 

そして残りの三人の少年は──状況を呑み込めず、置いてけぼりをくらっていた。

 

 




今回はちょっと話が長くなりそうだったため、前編と後編に分けることにしました。
それでは後編で。
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