妖怪学園Y Night Emperor   作:bustered

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どうも、busteredです。
後編に続くと言ったのを覚えているな?
あれは嘘だ。
すみません、書きたいことが多すぎて、やむなく中編という形をとらせていただきました。
それでは本編へ。


第1話 新たな出会いと思わぬ再会 中編

シロウとYSPクラブのメンバーは学園長室を離れ、YSPクラブの部室へ向かっていた。

園等先生は必要な物を取りにいくと言って、一旦別行動となった。

 

「いやー、まさかフーちゃんとメラ兄さんに会うなんて思いもしなかったよ……」

 

シロウにフーちゃんと呼ばれた少女──姫川(ひめかわ)フブキと、メラ兄さんと呼ばれた少年──雷堂(らいどう)メラも、シロウと再会できたことに驚いていた。

 

「それはこっちのセリフよ。まさかシロウまでY学園に入学するなんて思わなかったもの」

 

「それは俺も思ったな。というか、電車で遅れた新入生徒ってシロウのことだったんだな」

 

「そこ掘り返さないでよ……結構気にしてるんだから……。でも……本当に大変だったよ……」

 

「なんか……すまん」

 

「っていうか、メラ先輩とシロウが知り合い同士だったことに一番驚いてるんですけど。」

 

「そのセリフ、そっくりそのまま返すぞ、姫川。」

 

「でも二人に会えて本当によかったよ。この学園で一人で生活するのも不安だったし……」

 

シロウはフブキとメラに久しぶりに会えたことが嬉しく、二人とずっと話しながら歩いていた。

 

ただ、その一方で、

 

「ねえ、僕たち……」

 

「うん、完全に……」

 

「ああ、"火薬(かやく)ソード"だな」

 

「ジンペイ君、もしかして"蚊帳(かや)(そと)"って言いたかったの……?」

 

残りの三人の少年たちは、シロウたち三人の話に入れずに置いてけぼりになっていた。

 

それに気付いたシロウは慌てて三人に話しかけた。

 

「ああ、ゴメン!久しぶりに二人に会えたことが嬉しくって、つい話したくなっちゃって、みんなのこともあとでゆっくり聞くから!」

 

慌てて話そうとしたせいか、少しテンパっているような話し方になっていた。

 

 

 

そんな会話をしているうちに、一行はYSPクラブの部室の前までやってきた。

 

シロウが部室の看板を見ると、確かにYSPクラブの部室であるようだった。

ただ看板の下に剥がれかけている貼り紙のようなものも見えるが……

 

「ここが、私達YSPクラブの部室よ!さあ入って!」

 

フブキに促されるまま、シロウは部室の中へと入った。

 

部室は何かの準備室ほどの大きさで、部屋の中心にはいくつかの机と椅子が置いてあった。

 

「これが部室……」

 

部室には既に、体の大きな赤い毛の猫のような生物、背中に大きな刺が生えた小さなアルマジロのような生物、ピンク色のモモンガのような生物、そして顔半分に火傷跡がある上級生と思われる人物がいた。

 

「えっと、彼らは……?」

 

「ああ、それは──」

 

「そうだ!せっかくだからアイツらのこと教えるついでに俺らのことも教えようぜ!」

 

「自己紹介ってことだね!賛成!」

 

「ちょ、ちょっと!いきなり決めないでよ!」

 

シロウが部室にいる者たちについて、眼鏡の少年に聞こうとすると、いきなり赤毛の少年と小柄な少年が自己紹介をすることを決め、それに眼鏡の少年が困惑した。

 

「それいいわね!私も今のシロウについて知りたいし」

 

「兄貴がそうしたいんなら、いいんじゃないんすか?」

 

フブキとメラも賛成のようだ。

ただシロウはメラの"兄貴"という言葉に引っかかった。

 

「そうだね。じゃあ改めて自己紹介しようか!」

 

しかし、シロウはこの三人の少年たちのことが知りたかったので、今はそのことについてスルーすることにした。

 

「じゃあまずは俺から!」

 

最初に名乗り出たのは、赤毛の少年だった。

 

「俺は、"寺刃(じば)ジンペイ"!好きなものは、熟女とエビマヨ春雨餃子パンだ!」

 

(エ……エビ……何て?)

 

ジンペイは元気よく自己紹介をしたがシロウはジンペイの好きなものの名前に少し困惑していた。

そんなジンペイの近くに体が大きな赤毛の猫のような生物がやってきた。

 

「オデ、"バケーラ"。ジンペイのパートナーダド。好きなものは強いやつダド。よろしくダド。」

 

「うん。よろしくね、バケーラ!」

 

シロウがバケーラと挨拶すると、シロウはモジモジしながら尋ねた。

 

「ね……ねえ、バケーラ」

 

「何ダド?」

 

「毛……触ってもいい?」

 

「いいド♪」

 

「ありがとう!」

 

シロウはバケーラに許可を貰い、顔を擦りつけながらバケーラの毛を堪能し始めた。

 

「えへへ……ふかふかだあ……」

 

毛を堪能しているシロウの表情は、何というかすごく蕩けていた。

 

「バケ~♪」

 

バケーラの方も満更ではなさそうだった。

 

「あんな顔をしてるシロウ、久しぶりに見たわ……」

 

「奇遇だな姫川。俺もだ」

 

シロウを知る二人は、同じ感想を抱いていた。

 

「ほらシロウ!自己紹介の続き、やるんでしょ!」

 

「……はっ、そうだった!」

 

本来の目的を忘れかけていたシロウに向かってフブキが元に戻るように言うと、シロウは我に返った。

シロウはバケーラにお礼を言うと、元の位地に戻った。

 

「じゃあ次は僕の番だね!」

 

そう言って名乗り出たのは一番小柄な少年だった。

 

「僕は"小間(こま)サン太夫(だゆう)"だよ。よろしくね、シロウ君!」

 

「よろしくね、えっと……コマ君、でいいかな?」

 

「うん!」

 

コマは自己紹介をするとシロウと握手をした。

そこへジンペイがコマについてさらに教えてくれた。

 

「コマ君は落語家の息子なんだぜ!」

 

「え!そうなの?」

 

「うん……でも僕、落語は全然できなくて……」

 

どうやらコマは自分の落語に自信がなく、それが自分への負担になっているようであった。

シロウは少し考え、コマにこう言った。

 

「……今は自信がなくったっていいんじゃないかな?」

 

「え?」

 

「最初から完璧にできる人なんてそうそういないし、コマ君はコマ君のペースで克服すればいいと思うな」

 

「シロウ君……」

 

「それにほら、こういうのって、伸びしろがあるって言うし……ってゴメン、初対面の奴がどうこう言っていい話じゃなかったね……」

 

「ううん、少しだけ自信を持てるような気がしてきたよ。ありがとう、シロウ君!」

 

「いやいや、大したことは言ってないよ……」

 

コマにちょっとしたアドバイスを言ったことでシロウはコマにお礼を言われた。

 

((そういうところは変わってないなあ……))

 

フブキとメラは心の中で同じ言葉を呟いていた。

 

「クムクム!」

 

そんなシロウとコマの近くに背中に大きな刺が生えた小さなアルマジロのような生物がやってきた。

 

「コマ君、この子は?」

 

「この子は"コマジロ"。僕のパートナーなんだ!」

 

「そうか、よろしくね、コマジロ!」

 

「クムクム!」

 

よろしく、と言わんばかりにコマジロは背中の刺を軸にしながらクルクルと回り始めた。

 

「なるほど、"コマ"のように回る"アルマジロ"だから"コマジロ"か……」

 

と、シロウは一人で勝手に納得していた。

 

「じゃあ最後は僕だね」

 

そう言ってきたのは眼鏡の少年だった。

 

「僕は"玉田(たまだ)マタロウ"。YSPクラブに入っているって言っても、実は僕、YSP能力者じゃないんだけどね……」

 

「えっ、そうなの?」

 

「マタロウ君だけじゃなくて、私もYSP能力は持ってないわよ?」

 

「フーちゃんもなの!?」

 

YSPクラブは部員全員がYSP能力者かと思われていたが実はそうでもなかった。

 

(まあ、マネージャーとかっていうのもあるし、多少はね?)

 

シロウがまた心の中で勝手に納得していると、

 

「もひょーい!」

 

ピンクのモモンガのような生物がシロウの元に飛んできた。

 

「ミーはモモンガの"モモ"ですねぃ!決してネズミではないでねぃ!よろしくですねぃ!」

 

訂正、モモンガだった。

 

「ネズミ?……まあ、よろしくね、モモ」

 

何故ネズミなのかはわからなかったが、そこはスルーすることにした。

 

これで、動物の姿をした怨霊たちとの全ての自己紹介を終えた。残るは──

 

「……」

 

さっきからずっと無言の、顔半分に火傷痕のある上級生らしき人物だけになった。

 

「え……えっと……はじめまして……」

 

その人物は威圧感がすごく、シロウは少し、いやかなりビビっていた。実際、涙目になりかけている。

 

「……"獅子黒(ししぐろ)カズマ"だ」

 

獅子黒は低く、これまた威圧感のある声でそう答えた。

 

「よ……よろしくお願いします……えっと……獅子黒先輩……」

 

シロウが震えた声でそう言うと、獅子黒はきょとんとした顔をした。

 

「あー……えっとな、シロウ。言い忘れてたんだが……」

 

「えっ?えっと……何、メラ兄さん?」

 

獅子黒に怯えていたせいか、シロウはメラに対しても若干震えた声で答えた。

 

「そいつ……俺のパートナーなんだ」

 

「……え?」

 

「つまり、そいつも怨霊なんだ」

 

「……え?」

 

シロウはメラと獅子黒を交互に見て、

 

「えええええぇぇぇぇぇ!?」

 

と、かなり大きな叫び声をあげた。

 

「いや、怨霊だったの!?てっきり先輩かと思ったよ!というか、メラ兄さんのだったのかよ!?」

 

「まあ、誰でも最初はそう思うよね……」

 

「ホント、スマン……」

 

シロウがツッコミをする中、マタロウがそれに共感し、メラはまた謝っていた。

 

「すまない、親分の知人であったからどんな奴かと見極めようとしたのだが……怖がらせてしまったな」

 

「親分って呼ばれてるのか、メラ兄さん……」

 

シロウはまだ少しだけ恐怖感が抜けていないものの、獅子黒がただ怖いだけの人物──いや、怨霊ではないことを理解した。

 

「これからよろしくお願いします、獅子黒さん」

 

「……"さん"は別につけなくてもいいんだぞ?」

 

「うーん……俺がつけたいだけです。迷惑ならやめますけど……」

 

「……別に好きにしてかまわん……こちらこそ、よろしくな」

 

さっきまで睨む蛇と睨まれる蛙のような雰囲気だった二人は、あっという間に和解した。

 

YSPクラブ全員が自己紹介を済ませ、次はシロウの番となった。

 

「じゃあ、改めて……狩谷シロウです!これからよろしくね、ジンペイ君!コマ君!マタロウ君!」

 

「こちらこそ……」

 

「「「よろしくな(ね)!シロウ(君)!!」」」

 

「バケーラ、コマジロ、モモ、獅子黒さんもよろしくね!」

 

「ダド!」 「クム!」 「ですねぃ!」 「うむ」

 

「フーちゃんとメラ兄さんも、これからもよろしく!」

 

「ええ!」 「ああ!」

 

こうして、シロウは正式にYSPクラブに入部することができたのだった。

 

 




次はちゃんと後編になります。
それからは基本的にアニメ沿いになると思います。
それでは後編で。
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