妖怪学園Y Night Emperor   作:bustered

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どうも、busteredです。
クソ!遅くなりました!!(某海賊並)
ちょっと周りで忙しくなり、文章が出てこないこともあり、挙げ句の果てには、書きたいことを詰め込みすぎて字数がものすごく多くなってしまいました……
加えて後半がちょっと雑になっているかもしれません……
とはいえ、今回でようやく1話が終了となります。
それでは本編へ。


第1話 新たな出会いと思わぬ再会 後編

一通り自己紹介が終わった所で、シロウが話を切り出した。

 

「そうだ、自己紹介したって言ってもまだ名前しか言ってないし、何か聞きたいことがあれば答えるよ」

 

「マジか!じゃあ聞いていいか!?」

 

シロウの提案にジンペイが早速乗ってきた。

 

「シロウの好きな女性のタイプって何だ!?」

 

「ジンペイ君、いきなりそれを聞くの!?」

 

「うーん……(ケツ)身長(タッパ)が大きい人かな」

 

「マジで!?」

 

「そして答えちゃうの、シロウ君!?」

 

「まあ嘘だけど」

 

「嘘かい!」

 

ジンペイとシロウのやりとりにマタロウが次々にツッコミを入れていった。

 

「まあ本当のことを言うなら、優しくてリードしてくれる人が好きかな」

 

「本当に答えてくれるんだ……」

 

シロウが素直に答えてくれたことに、コマは驚いていた。

 

「何!?シロウ、犬になりたいのか!?」

 

「そっちのリードじゃないから!」

 

「ちぇ~最初の答えの方が俺好みの答えだったのに……」

 

ジンペイはシロウが冗談で言った好きなタイプの方がよかったようだった。

 

「じゃあ次は僕が聞いてもいい?」

 

次に聞いてきたのはマタロウだった。

 

「シロウ君、フブキさんやメラ先輩と知り合いのように見えるけど、どんな関係なの?」

 

「あー……そういえば言ってなかったね。じゃあメラ兄さんの方から説明しようか」

 

シロウはメラを隣に座らせ、一緒に説明を始めた。

 

「俺とシロウは、従兄弟(いとこ)なんだ」

 

「従兄弟?」

 

「うん、俺とメラ兄さんの母親は姉妹同士でね。そういうこともあって、年に数回会ってはよく一緒に遊んでいたんだ」

 

「まさかの血縁者!?」

 

「まあな」

 

「よく一緒に遊んでくれたし、本当のお兄さんみたいだったから、いつしか"メラ兄さん"って呼ぶようになったんだ」

 

「そうか!そんなに面倒見がいいんだな!メラ!」

 

「やめてくださいよ兄貴。恥ずかしいぜ……」

 

シロウが説明をすると、シロウとメラが血縁者であったことにコマとフブキが驚き、ジンペイはメラの面倒見のよさに感心していた。

シロウは、また"兄貴"というワードに引っかかった。

 

「じゃあ、次はフーちゃんとの関係について説明しようか」

 

シロウはメラとフブキをチェンジして説明を始めた。

 

「私とシロウは小さい時からの幼馴染みなの」

 

「幼馴染み?」

 

「そう、俺とフーちゃんの家が隣同士で、3歳くらいだったかな?その頃からよく一緒に遊ぶようになったんだ」

 

「そうだったんだ……」

 

「ちなみにその時から既にフブキさんはメカが好きだったの?」

 

「あったりまえじゃない!」

 

「そうだったね。遊びと称してフーちゃんが開発したメカの実験台とされたのはいい思い出だよ……」

 

「実験台って……」

 

「ちょ、ちょっと、それは言わなくていいでしょ!」

 

「それに開発したメカが壊れて失敗したとわかった時にはわんわん泣いてたっけ」

 

「そんなに泣いてたの?」

 

「今の姫川からは想像もつかないな」

 

「もういいでしょ!この話は終わり終わり!!」

 

「泣いた時には泣き止むまでずっと慰めたり、お菓子をあげて機嫌をとったり、挙げ句の果てには──」

 

「シ~ロ~ウ~?いい加減にしないと、また実験台にするわよ?」

 

「ははは、ごめんって」

 

シロウが小さい頃のフブキのことを次々と暴露しまくったせいか、流石にフブキがドスのきいた声で怒り、実験台どころか今にもヘッドロックをかけてきそうな構えだったので、シロウは笑って話を中断するしかなかった。

 

「何だよ、せっかく面白くなりそうだったのに」

 

ジンペイはいいところで中断されて、ちょっと不満そうだった。

 

「でも何だかフブキさん、とっても楽しそう」

 

「そうか?」

 

「うん。メカの時と方向性は違うけど、あんなにいきいきとしたフブキさんはそれの時と同じように見えるよ」

 

「確かに……あんなに素を出してるフブキさんは初めて見るかも」

 

マタロウ、ジンペイ、コマの三人がフブキを見ると、シロウに圧をかけてはいるものの、その表情はとてもいきいきしていた。

シロウは三人の視線を感じ、話を戻すことにした。

 

「話を戻すと、小さい頃から一緒に遊んではいたんだけど、小学4年生の時にフーちゃん家が引っ越しちゃって、それから疎遠になっちゃったんだ。その時はまだ、ケータイとかは持ってなかったから連絡もできなかったし」

 

シロウは少し寂しそうにそう語った。

 

「でも、こうしてフーちゃんと再会できて本当に嬉しいよ」

 

「シロウ……」

 

シロウはフブキに向き合ってにっこり笑いながらそう言うと、フブキも口元に笑みを浮かべた。

 

「なんか……二人の間に誰も入れないような雰囲気が……」

 

シロウとフブキの出す雰囲気にマタロウが唖然としながらも質問を続けた。

 

「そういえば、その呼び方はいつからするようになったの?」

 

シロウは、はっと我に返り、質問に答えた。

 

「ああ、えっと……初めて会った3歳の時にまだ"フブキ"って言えなくてね。それがちょっと訛って、"フーちゃん"って呼ぶようになったんだ」

 

「そうだったんだ……」

 

「実は私も今初めて知ったわ……」

 

「まあ言ってなかったし、それにこっちの方が親しみやすいかなって」

 

「そうだな!なあフブキ、俺たちもフーちゃんって──」

 

「ダメ」

 

「即答……」

 

ジンペイはシロウの話を肯定し、自分たちもそう呼ぼうとしたが、フブキがそれを即座に却下し、その速さにコマは唖然としていた。

 

「ちょっと長くなっちゃったけど、これで二人に関する話は以上かな」

 

「うん、ありがとうシロウ君!」

 

「じゃあ、次は僕が聞いていいかな?」

 

「どうぞ、コマ君」

 

メラとフブキについて話し終えたことをシロウが伝えると、マタロウはお礼を言って戻っていき、次にコマが質問をしてきた。

 

「僕にとってのコマジロ、ジンペイ君にとってのバケーラのように、シロウ君にもパートナーはいるの?」

 

「うん、もちろんいるよ」

 

「ホント!?」

 

「マジで!?見たい見たい!!」

 

「僕も!」

 

「私も!」

 

「俺も見てみてえな」

 

「わかった、ちょっと待ってね。

 ───()()()、もう出てきていいよ。」

 

YSPクラブ全員がシロウのパートナーを見たいと言ってきたので、シロウはそのパートナーの名前を呼びかけた。

すると、シロウの体から妖気が表れ、それがシロウの体を離れて形を変えていった。

妖気が晴れるとそこには、赤と青の毛並みの獣がいた。

 

「ようやくお呼びかよ、待ちくたびれたぜ」

 

「何だ?犬の怨霊か?」

 

ジンペイがそう言うと、獣は青筋を立てて怒鳴った。

 

「犬じゃねぇ!!オオカミだ!!!」

 

その怒鳴り声は凄まじく、猫であるが故に犬が苦手なバケーラはもちろん、コマジロやモモ、さらにはコマやマタロウまで怯えてしまった。

オオカミは、はっとなって話し始めた。

 

「すまない、俺は"ガルル"。見ての通り、オオカミだ。」

 

「ガルルは犬と間違われることをすごく嫌っていてね。間違えると今のようにめちゃくちゃ怒るんだ」

 

「それ先に言ってよ!」

 

ガルルはバケーラたちのもとへ行くと、いきなり怒鳴ってしまったことを謝罪した。

 

「知らなかったとはいえ、いきなり怒鳴ったりしてすまなかった」

 

「ちょっとビックリしたけど……オメエが悪いやつじゃないのがわかったド。これからよろしくダド、ガルル」

 

ガルルが深々と頭を下げて謝罪したのでバケーラたちは少し困惑したものの、悪いやつではないことがわかったので、それを許した。

 

「ほらジンペイ君!そう言っちゃったのはジンペイ君なんだから、ジンペイ君も謝って!」

 

「ああ……ゴメン」

 

「こちらこそ、いきなり怒鳴ってしまってすまない。ただ……以後気をつけてくれ」

 

ジンペイがガルルに謝罪し、ガルルもジンペイに謝罪したが、ガルルは二度と言われないように釘を刺しておいた。 

 

するとガルルはフブキの方を見て、少しニヤッとしながら話しかけた。

 

「よう、小娘。会うのは()()()()以来だな」

 

「え?あのとき?」

 

「フブキさん、ガルルと知り合いなの?」

 

「いや、そんなことは……いや、ちょっと待って……」

 

マタロウはガルルがフブキのことを知っていることに驚いたが、当の本人であるフブキには覚えがないようだった。

しかしフブキは少し考えた末に、一つのことが思いたった。

 

「あのときって……まさか、()()()()()!?」

 

「どうやら、思い出したようだな」

 

「ちょっとシロウ!こんなやつをパートナーにして本当に大丈夫なの!?」

 

「言い返せないが、酷い言いようだな……」

 

「大丈夫だよ。あのときに比べれば、ずっとね」

 

「なあ、さっきから言ってる、"あのとき"ってなんだ?」

 

「それは……また機会があったら教えるよ」

 

ジンペイは二人が言っている"あのとき"が気になっているようだが、シロウはいつか話すと言ってごまかした。

 

「まあいろいろ言われているが……よろしく頼む」

 

「うん、よろしくね、ガルル」

 

ガルルは全員に挨拶をすると、質問者であるコマが返事をした。

 

 

 

 

「そうだシロウ君、何か僕達に聞きたいことはないかな?さっきから僕達ばっかり聞いちゃってるし」

 

「いいの?」

 

「ああ!何でも答えてやるぜ!マタロウがな!」

 

「僕まかせにするのはやめて!?」

 

「ジンペイ君はああ言ってるけど、僕達で答えられるくらいならまかせてよ」

 

「本当?それじゃあ、まずは……」

 

シロウはさっきからずっと気になっていることを聞いてみた。

 

「メラ兄さん。さっきからずっとジンペイ君のことを"兄貴"って呼んでるけど、あれは何なの?まさかメラ兄さん、"そっち"に目覚めちゃったんじゃ……」

 

「そっちって何だ!そんなんじゃねぇよ!」

 

シロウはメラのジンペイに対する"兄貴"呼びに、そっち側にいってしまったのかと危惧していたが、メラはツッコミながら否定した。

 

「コホン。それについては僕が説明しましょう」

 

と名乗りをあげたのは、マタロウだった。

マタロウはシロウにそうなった経緯を教えた。

 

メラの母親が病気で倒れたこと。

その影響で学費を払うことが難しくなってしまったこと。

"学園マフィア"という組織に学費を貰う代わりに、それに従って番長になって生徒会へのヘイトを集めていたこと。

ジンペイたちと対峙し、やがて敗れたこと。

ジンペイがメラの現状を理解し、何とかすると言ったことでジンペイを慕い、"兄貴"と呼ぶようになったこと。

そして今は、学園マフィアからは離脱し、学園から修学金をもらいながら、バイトをしてそれを返していること。

 

「……っとまあこんな感じかな」

 

「今思い出しても、いい感じはしねぇな……」

 

マタロウの説明を聞き終えたメラはとても苦い顔をしていた。

そんなメラの肩に手が乗せられた。

メラがそちらに顔を向けると、シロウが手を乗せていた。

……涙を流しながら。

 

「うぅっ……大変だったんだね、メラ兄さん……」

 

「お前もか!確かに大変だったけど、お前まで泣くんじゃねぇ!」

 

「よかったな、メラ。お前のことをこんなに心配してくれるやつがいて」

 

「ありがとう、ジンペイ君。気付いてあげられなくてごめんね、メラ兄さん……」

 

「だぁ~っ!わかったからもう泣くなシロウ!そういうところは昔から変わらねぇな!」

 

自分を責めて泣いているシロウを泣き止まそうとするメラに熱い言葉をかけるジンペイ。

そんなちょっとカオスな場面が残りの三人の目の前で繰り広げられていた。

 

「ジンペイ君とシロウ君って、ちょっと似てるかも……」

 

「シロウ君って結構涙もろい……?」

 

「"情に厚い"って言ってあげて……」

 

マタロウとコマはジンペイとシロウに似たところを感じ、フブキはそれに少しのフォローを入れてあげた。

 

 

 

 

 

 

シロウが泣き止んだところで、シロウが次の質問をした。

 

「俺、新入りだからよくわからないんだけど、YSP能力って実際にはどうやって使うの?」

 

「新入り……」

 

シロウがそう質問をするとジンペイが"新入り"というワードに反応し、何やらリズムを取り出した。

 

「♪ヤバいくらいの 新入り パーソン!

  シロウにマタロウ クラブに入ろう!♪」

 

「いやもう入ってるから!」

 

ジンペイがラップのようなものをとり、それにマタロウがツッコミを入れた。

シロウが困惑していると、そこにコマが解説を入れてくれた。

 

「ジンペイ君はラップをするのが好きでね。何かにつけてラップをすることがあるんだ」

 

「そ……そうなんだ……」

 

シロウは困惑しつつも、ジンペイのことについてさらに知ることができたと感じた。

 

「それで……YSP能力ってどう使うの?」

 

すると、ジンペイとコマが顔を合わせ、

 

「それだったら」

 

「実際に見てもらった方が早いね」

 

と言うと、部室の窓を開け始めた。

 

「視界良好!前方に障害物なし!」

 

「じゃあ実際にやってみるから、よく見ていてね」

 

ジンペイが窓の外に何もいないことを確認すると、コマがシロウによく見るように言った。

 

コマが気を集中し、構えをすると、コマの挙に妖気が集まる。コマがその妖気を飛ばすと、ジンペイがそれを蹴り、窓の外へと飛ばした。

 

「……っとまあこんな感じなんだけど、わかったかな?」

 

実演したことがないコマは伝わったかどうかが心配だったが、シロウは大いに納得していた。

 

「ああ、なるほど!それがYSPだったのか!俺はてっきり……」

 

どうやらシロウにも心当たりがあったようだ。

 

シロウは先程の二人のように集中すると、右手が赤く、左手が青く光り始めた。

そして、左手、右手の順番に妖気を放出すると、青い妖気に赤い妖気がぶつかり、小さな爆発を起こし、そこから白い煙……いや、水蒸気が出ていた。

 

「すごい!シロウ君、二つの違う力が使えるんだね!」

 

「これをすると、右手が熱くなって左手が冷たくなるから、勝手に『ヒート&クール』って呼んでるよ」

 

「おお!何か、かっこいい名前だな!」

 

シロウの力が珍しいからか、コマは驚き、ジンペイはワザの名前をかっこいいと感じた。

 

「この力を使って、YSP案件を解決していくんだね」

 

「うーん……まあ確かにこの力も使う時はあるけど、主に使うのは、"妖怪(ようかい)HERO(ヒーロー)"の力かな」

 

「……妖怪HERO?」

 

コマがまた気になるワードを出してきたので、シロウに新たな疑問ができた。

 

「妖怪HEROは、YSP能力者がパートナーの怨霊の力を借りて変身することで、戦う力を格段に上げた姿なんだ」

 

「怨霊の力を……」

 

(ということは、俺はガルルの力を使うことになるのか)

 

シロウはそう思いながらガルルの方を見た。

ガルルは今、コマジロに懐かれ、一緒に遊んでいた。

 

「クムクム!」

 

「ははは、やめろよコマジロ。くすぐったいじゃないか」

 

かなりほほえましい光景だった。

 

「今の僕達は、YSP案件の中でも一番のミステリーとされている、『Y学園の七不思議』っていうのを調査してるんだ」

 

「七不思議って……あのよく聞く、七不思議?」

 

「そう。僕達はその中の一つ、『恋愛禁止の呪い』を解決して、残りの七不思議もこれから調査するところだよ」

 

「ああ……俺がいない間に既に1つ、解決してたんだね」

 

「でも、これからの七不思議の解明のためには、きっとシロウ君の助けがいると思う。一緒に頑張ろ!」

 

「……うん!任せて!」

 

シロウは七不思議の解決に向けて、決意を新たにするのだった。

 

 

 

決意を新たにしたところで、シロウは最後の質問を投げかけた。

 

「そういえば、YSP能力者ってYSPクラブ以外にいるの?」

 

シロウがそう聞くと、明らかに嫌そうな顔をした人物がいた。

それは、メラである。

 

「ん?どうしたの、メラ兄さん?」

 

「な……何でもねぇよ」

 

シロウが聞いても、メラは、はぐらかすだけだった。

 

「もちろんいるわよ」

 

「そうなの?どんな人?」

 

「やめとけやめとけ!そいつのことを聞いてもロクなことがないぞ」

 

メラが話さないため、代わりにフブキが話そうとしたものの、メラはまるでその人物のことを聞きたくも話したくもないようにしていた。

 

すると突然、

 

「僕を呼んだかい?」

 

という声がして、その声の方を向くと、クラブの扉が開いており、そこに薄紫色の長髪の少年が立っていた。

 

「なっ……テメェ、九尾!何しに来やがった!」

 

「何って、園等先生に新しいメンバーと顔合わせしとけって言われたから、そのメンバーの顔を見に来たのさ」

 

九尾と呼ばれた少年は、部室を見回して見馴れない人物を見つけ、話しかけた。

 

「君がその新メンバーかな?」

 

「あ、はい。はじめまして、狩谷シロウです。」

 

「自己紹介をする時にまず自分から名乗るなんて……君はとても礼儀正しいね。僕は二年の"九尾(きゅうび)リュウスケ"。YSPクラブには入ってないが、YSP能力者だ。よろしく、シロウ君。」

 

「はい。よろしくお願いします、九尾先輩。」

 

九尾はそう言うと、シロウと握手をした。

次に九尾は、シロウの隣にいるガルルに目を向けた。

 

「君は、シロウ君のパートナーかな?」

 

「ああ、ガルルだ。見ての通り、オオカミだ。よろしくな」

 

「オオカミ……わかった。よろしく、ガルル」

 

ガルルの一言でだいたいわかったのか、九尾はオオカミであることを理解しながら、ガルルに挨拶した。

 

「おい!自己紹介が終わったんなら、さっさと帰れよ!」

 

「ちっ……うるさいな。これだから暑苦しいゴリラは……」

 

九尾が来てからずっとイライラしているメラは九尾に早く帰るように言うが、九尾はメラの言葉にカチンときたようだった。

 

「どうしたのさ、メラ兄さん。そんなにイライラして」

 

「どうしたもこうしたも、このスカシ野郎の発言はいちいちムカつくんだよ!」

 

「ちょっとした発言だけでイライラするなんて、そんな君のおつむは、たかが知れてるね!……というかシロウ君、君今、彼のことを"兄さん"って言った?」

 

「え?あ、はい」

 

「もしかして……兄弟なのかい?」

 

「兄弟というか……従兄弟です」

 

「従兄弟……」

 

九尾はそう言うと、シロウの横に立ち、そっと肩に手を置き、頷いた。

 

「君に……激しく同情するよ」

 

「え?」

 

「こんな粗暴で暑苦しいゴリラが従兄だなんて、君はとても苦労しただろう……」

 

「いや、別にそこまででは……」

 

九尾の同情に、シロウは困惑し、メラはさらに激怒した。

 

「テメェ……俺だけじゃなく、シロウまでバカにしやがったな!?」

 

「これだから知能のないゴリラは!こんなにも礼儀正しい彼をバカにする理由がないだろう!彼は、ね!」

 

"彼は"を強調させているということは、九尾は本当にシロウをバカにするつもりはないのだろう。

つまり、この言葉が示す意味は……

 

「もう我慢ならねぇ!表出やがれ!今日こそ決着つけてやらぁ!!」

 

「上等だ!コテンパンにしてあげるよ!!」

 

「待ってろシロウ!今すぐこいつをブッ飛ばして、お前へ土下座させてやるからな!!」

 

「えっ?ちょっと、メラ兄さん!?」

 

シロウが驚く間もなく、メラと九尾はメンチを切ったまま、部室を出ていってしまった。

 

「行っちゃった……」

 

呆然としていたシロウだったが、やがて近くにいた獅子黒に聞いてみた。

 

「獅子黒さん。メラ兄さんと九尾先輩って、いつもこんな感じなんですか……?」

 

「ああ、しょっちゅうやっている。」

 

「全く、世話の焼ける奴らだ。」

 

聞き馴れない声を聞いたシロウが獅子黒の隣を見ると、そこには足枷のような物をつけた狐の怨霊がいた。

 

「えっと……君は?」

 

「おっと、紹介が遅れたな。私は"イズナ"。先程の九尾のパートナーだ。君達のことも先程聞いた。よろしくな、シロウ、ガルル」

 

イズナがクールに挨拶をしていると、不意に部室の扉が開けられた。

 

「みんな、揃っているかしら?」

 

入ってきたのは、園等先生だった。

 

「さっきまで揃っていましたけど、約2名ほど出ていってしまいました……」

 

「ああ、そう……」

 

フブキが2人ほどいないことを伝えると、園等先生はだいたい察して、少し呆れていた。

園等先生はシロウにある物を渡した。

 

「シロウ君、これを」

 

渡されたのは、黒を基調として赤い煙のようなものが装飾された、大きめの腕時計だった。

 

「あっ!"YSPウォッチ"だ!」

 

「YSPウォッチ?」

 

マタロウが園等先生が渡した物の名前を言い、シロウがそれについて聞くと、園等先生が説明した。

 

「これは、YSP能力者の力を最大限引き出すことができるウォッチなの。これを使えば、怨霊の力を借りることもできるわ」

 

「怨霊の力……それって、もしかして」

 

シロウは先程の話を思い出し、コマに顔を向けた。

 

「うん、さっき言ってた妖怪HEROになるためには、このYSPウォッチが必要なんだよ」

 

「やっぱり……!」

 

「あら?もうそれについて話していたのね。なら話は早いわ」

 

園等先生はそう言うと、今度はガルルに話しかけた。

 

「あなたがシロウ君のパートナーね?」

 

「ああ。俺はオオカミのガルルだ。よろしく頼む」

 

「ええ、よろしく」

 

園等先生は再びシロウに顔を向けた。

 

「シロウ君、そのウォッチをつけて、ガルルに近づけてみて」

 

「あ、はい」

 

シロウは園等先生に言われるがまま、ウォッチを左腕につけて、それをガルルに近づけた。

すると、ガルルの体から虹色の靄──もとい妖気が溢れ出て、それがウォッチに吸い込まれた。

そしてウォッチが光り輝き、その輝きの中から4枚のメダルのような物が飛び出した。

 

「これは……メダル?」

 

「そう、それが"Yメダル"。ウォッチを持った人間がYSP案件を解決したり、怨霊と絆を結んだりすることでメダルが発生するのよ」

 

4枚のメダルを見ると、それぞれ違う種類ことがわかる。

1つは、ガルルの名前と姿が描かれたメダル。

1つは、左上に歯車のマークがあり、人型の何か──恐らくこれが妖怪HEROである──が描かれたメダル。

そして残りの2つは、その妖怪HEROであろう人物が技を使っている様子が描かれたメダルだった。

 

「このメダル……見る限り、3種類くらいあるみたいだけど、それぞれどういったメダルなの?」

 

シロウがそう聞くと、園等先生が1つずつ説明した。

 

「まず、あなたのパートナーが描かれているこのメダルは、"召喚メダル"。これを使うことで、いつでもそのメダルに描かれた怨霊を召喚することができるわ」

 

「なるほど。つまり俺はいつ呼ばれるかわからずにビクビクしなきゃならないってことか」

 

「ガルル。言いたいことはわかるけど、言い方……」

 

「ははは、冗談だ。いつでも俺を頼ってくれよ、シロウ」

 

そんな二人のやりとりを見つつ、園等先生は次のメダルの説明を始めた。

取り出したのは、歯車のマークが描かれたメダルだった。

 

「さて、これが本命になるけど、このメダルこそ貴方が妖怪HEROになるために必要なメダル、"変身メダル"よ。これを使うことで、怨霊と合体して、妖怪HEROに変身することができるわ」

 

「妖怪HEROに変身するためのメダル……」

 

シロウが自分の変身メダルを見ていると、マタロウがとてもキラキラした目でこちらを見ていることに気付いた。

 

「最後は"コマンドメダル"。これは妖怪HEROが必殺技を使う時に必要なメダルよ」

 

「必殺技……この2枚のことですね」

 

シロウは残りの2枚のメダルを見せながら、そう言った。

 

「これで貴方が手に入れたメダルの説明は以上ね。本当はそれ以外にもメダルの種類はあるのだけれど……それはまた今度ね」

 

「え?どうしてですか?」

 

「だって──」

 

園等先生がそう言いかけると──

 

キーン、コーン、カーン、コーン

 

と、チャイムが鳴った。

 

「もう下校時間ですもの」

 

 

 

 

 

 

シロウは今、ジンペイ、コマ、マタロウと共に、寄宿舎へと向かっていた。

あの後結局、メラと九尾は戻ってこず、フブキは大事な用があると言って、先に帰ってしまった。

 

4人が廊下を歩いていると、4人の前に、普通ではありえないほど肌が白く、青紫色のタラコ唇で、眼鏡をかけた男性が現れた。

 

「あ!臼見沢先生!」

 

「こんにちは!」

 

ジンペイとコマは臼見沢と呼ばれた人物に挨拶をした。

 

「こんにちは、ジンペイ君達。おや、君は……見馴れない顔ですね」

 

「初めまして。狩谷シロウです」

 

「ああ、君が噂の。初めまして、シロウ君。君の話は学園長から聞いていますよ。私は"臼見沢(うすみざわ)ハルヒコ"。このY学園の教師の一人です」

 

「臼見沢先生は俺たちのクラスの"杏仁"なんだぜ!」

 

「"担任"ね……」

 

「臼見沢先生はここで何をやっていたんですか?」

 

「そろそろ下校時間なので見回りをしていたんですよ。君達も暗くなる前に下校してくださいね」

 

「はい、先生さようなら!」

 

「さようなら。お気をつけて」

 

4人は臼見沢に別れを告げて再び歩きだした。

4人が遠く離れた時、臼見沢はシロウを、眼鏡を妖しく光らせながら見つめていた。

 

「なるほど、彼が……」

 

 

 

 

 

 

 

4人が校舎を出て道を歩いている時、ふと、シロウが思い立って聞いた。

 

「そう言えばさっき聞きそびれたんだけど、YSPクラブの看板の下に何か貼り紙のようなものがあったけど、あれは何?」

 

とシロウが聞くと、ビクッと反応した人物がいた。

マタロウである。

 

「どうしたの、マタロウ君?」

 

「えっとね……実は僕、YSPクラブだけに入ってるんじゃなく、独自に『特撮ヒーロー同好会』っていう、ヒーローを好きな人のためのクラブを作ったんだけど、今のところ誰も入ってこなくて……」

 

「そうか……マタロウ君は、ヒーローが大好きなんだね」

 

「うん!僕、かっこいいヒーローに憧れてるんだ!シロウ君は、ヒーローは好き?」

 

「うーん……昔は好きだったかな。特に『リケイド』とかは結構ハマってたな」

 

「え!?シロウ君、『リケイド』ファンだったの!?」

 

「あ!それ俺も見てた!確か科学と計算を使うヒーローだったよな?」

 

「そうそう!僕も見てたよ!リケイドには文章や歴史を使うライバルヒーローの『ブンケイド』がいたんだよね!」

 

「そうそれ!最初、ブンケイドは敵だと思われてたんだけど、中盤以降で実は味方だったってわかった時にはビックリしたよ!」

 

「だよね!しかもリケイドたちの本当の敵の正体が──」

 

……と、しばらくの間、4人は『リケイド』トークに花を咲かせていた。

 

 

 

 

 

 

 

しばらく歩いていると、4人の目の前に少しレトロな雰囲気の建物が見えてきた。

 

「あれが僕達の住む寄宿舎だよ」

 

中に入ってみるとかなり広く、木造建築ゆえか、とても落ち着いた感じだった。

 

シロウはここで働いているであろう人物を見つけ、話しかけた。

 

「すみません、今日ここに来る予定の狩谷ですが……」

 

「ああ、君が。それならお部屋に案内しますね」

 

シロウたちは従業員についていき、部屋に案内された。

シロウは従業員にお礼を言うと、早速部屋の中に入ってみた。

 

部屋の中は広く、そこに2つのダンボール箱が置かれていた。

ダンボールの中には、配達してもらった荷物が入っていた。

 

「じゃあ俺は、荷物を部屋の中に出しておくね」

 

「わかった。でも、そろそろ夕食の時間だから、その時間には来てね」

 

「オッケー」

 

シロウは一度三人と別れ、荷物を部屋に置き始めた。

それが終わる頃には、ちょうどその夕食の時間になっていた。

 

食堂へ降りると、すでに三人が待っていた。

 

「おーい、シロウ君。こっちこっち!」

 

「ああ、ありがとう」

 

「荷物は置き終わった?」

 

「うん、おかげさまでね」

 

「腹減ったし、早く食べようぜ!」

 

「そうだね、それじゃあ」

 

「「「「いただきます!」」」」

 

 

 

 

夕食を堪能した4人はその後、風呂に入ったり、ゲームをしたり、雑談をしたりしていたが、あっという間に消灯時間になっていた。

 

「今日は本当にありがとうね」

 

「全然いいよ。明日からも一緒なんだし」

 

「じゃあ、また明日だな」 

 

「おやすみー」

 

「うん、おやすみ」

 

そう言うと4人はそれぞれ自分の部屋へと戻っていった。

 

 

 

シロウは自分の部屋のベッドの中で、今日一日の出来事を振り返っていた。

 

「Y学園に遅くに入ったと思ったら、フーちゃんとメラ兄さんに再会して、新しい人たちと出会って、色々な怨霊と知り合って、YSPや妖怪HEROについて知って……色々ありすぎる一日だったな」

 

そんなシロウにガルルが話しかけた。

 

「むしろ今日はこれで済んだかもしれんが、明日はさらにヤバいかもしれんぞ?」

 

「それは、ちょっと困るかも……」

 

シロウは少し苦笑いをしたが、すぐに元の表情に戻った。

 

「まあでも……それも楽しみではあるかな」

 

「……そうだな」

 

シロウもガルルも、これからのことが楽しみであり、二人はうっすらと笑みを浮かべていた。

 

「さて。それを楽しむためにも、早く寝なければな」

 

「そうだね。おやすみ、ガルル」

 

「ああ、おやすみ」

 

そう言うと、シロウは目をとじ、深い眠りへと落ちていった。

 

 

 

 

 

──翌日。

 

「なあ、シロウってどこのクラスに入るんだ?」

 

「さあ……シロウ君も知らないって言ってたけど……」

 

「案外、俺たちのクラスだったりしてな!」

 

「いや、そんな偶然あるわけ……」

 

ジンペイたちは朝のホームルーム前に、シロウがどのクラスに入ってくるのかを談義していた。

 

そうこうしているうちにホームルームの時間になり、担任の臼見沢が入ってきた。

 

「皆さん、おはようございます。早速ですがこのクラスに新しい仲間が入ってきます。どうぞ、入ってきてください。」

 

臼見沢が呼ぶと、教室のドアが開けられ、一人の生徒が入ってきた。

 

「「「……あ!」」」

 

ジンペイ、コマ、マタロウは同時に声をあげた。

 

「では、自己紹介をお願いします」

 

臼見沢は黒板に名前を書くと、その生徒に自己紹介をするように促した。

生徒は元気よく、自己紹介を始めた。

 

「狩谷シロウです!よろしくお願いします!」

 




フブキちゃん周りに関してはこの前のアニメと矛盾のないように作るつもりですが、どうしても矛盾が発生する場合は、独自設定と割り切るつもりです。
さて、次回からは基本的にアニメに沿ってやるつもりですが、時々オリジナルエピソードも入れるつもりです。
こんなに優柔不断ですが、これからも見ていただけると幸いです。
それでは。
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