ペルソナ4 Another Story,Another Hero 作:芳野木
新年ってことで、何か新しいことにも挑戦したい…なぁ……うん、しよう。
ってわけで、何かします。詳しくは活動報告を、簡単な告知は後書きを見ていただければ幸いです。
あと、やっとですがヒロインをマリーと千枝に決定しました。
新年ですしね!
本編始まりましたしね!
※二股フラグじゃありゃしません。たぶん。
四目内書店。茶色の紙袋。4月9日。
その三つが何を意味するのか俺は知らない。中津先輩に教えてもらった魔法の言葉だ。
『モロキン関連で困ったときに使うとええよ』
そう電話越しに言われたのだが、中津先輩の声は何やらよからぬことを考えてそうなものだった。
ま、先に「よからぬこと」に使ったのは俺であるんだが。
◇◆◇◆◇◆◇
遠くからサイレンの音が聞こえてきた。それと同時に教室に放送が入る。
『先生方にお知らせします。只今より、緊急職員会議を行いますので至急、職員室までお戻りください。また全校生徒は各自教室に戻り、指示があるまで下校しないでください』
俺は閉じていた目を開けて、半分寝かけていた意識をはっきりとさせた。
「……何事?」
「さぁ……?」
隣の天城に訊ねるが、天城も首を傾げている。
「むむ、いいか? 指示があるまで教室を出るなよ」
諸岡先生も現状を把握できてないようで、怪訝そうな表情を浮かべて教室を出ていった。霧野さんは僅かに顔を強張らせて、諸岡先生に続く。
どうも、嫌な感じがするな。窓辺に近寄り外の様子を見ようとするクラスメートに視線から外し、胸騒ぎを覚えていた。
「はー、何これ。いつまでかかんのかな」
頬杖をつき千枝がため息をつく。その横の鳴上は窓の外を眺めていた。
「うん、何だろうね」
不安気な様子の天城。
教室内では様々な感情がひしめきあっている。天城のように不安に思う生徒から、好奇心にかられて窓辺に集まる生徒、中には早く帰れないことを不満に思う生徒もいるだろう。
さて、それなら俺はどう思っているのだろうか。
窓の外をもう一度見る。外にはうっすらと霧がかかっていた。ふと首筋に濡れた感触が甦る。首筋に触れ、さらに考えた。
怖れ、か。今の俺が抱いている感情を言い表わすとすればその言葉がぴったりだ。けれど、何に怖れているのかがわからない。肝心の利用もわからずに俺は怖れていた。
──何が怖いの?
頭の中で響く声が、答えを促すよう問いかける。いつか聞いた少女の声だ。
『全校生徒にお知らせします。学区内で、事件が発生しました。落ち着いて速やかに帰宅してください』
その放送で一気に意識や思考が現実へと戻ってくる。軽く頭を振った。
妙なことを考えていた気がする。……思い出せないが。
一度だけ首を傾げて、俺は席を立つ。放送が流れたことでクラスメートは帰り仕度をはじめていた。
「千枝、天城。一緒に帰っていいか?」
俺は二人の了承をとった後、帰り仕度を済ませたばかりの鳴上にも声をかける。
「あぁ、それと鳴上も一緒にどうだ?」
鳴上はまた瞬きを繰り返してから、ゆっくりと頷いた。
◇◆◇◆◇◆◇
「あれ、何だろ?」
通学路の途中、立ち止まった千枝は不思議そうに首を傾げる。視線の先に人集りができていた。
近付くにつれ、その人集りが何を見ているのかがわかる。思わず顔を顰めそうになった。
そこは、放送で言っていた事件の現場だった。すぐ近くにパトカーが停められているのが見えて、人集りの隙間からは何人か警察官の姿が見える。
「あら! 日向君じゃないの!!」
人集りの中にいた主婦らしき女性がそのまま通り過ぎようとする俺に声をかける。買い物帰りに現場に居合わせたのかわざわざ見に来たのか、その手には買い物袋が下がっていた。
「あ、ども。こんにちは」
もう条件反射になっている対応をする。顔もよく知らない他人に声をかけられることは、よくあることだ。
冗談混じりに「八十稲羽で橘を知らない大人はいないんじゃないか」と言われることがあるが、まったくその通り。俺を知らないのは、そうだな……引っ越してきたばかりの人じゃないだろうか。
「学校帰り?」
「日向君? あぁ、橘さんとこの…」
女性の隣にいた人も俺を見て、顔をと言うより目を変える。
先を歩いていた千枝と天城が立ち止まり、心配そうに俺を見ている。何も知らない鳴上も同じ様子だ。
「ええ、学校帰りです」
「日向君も見に来たの?」
見に来た。あぁ、この現場をだろうか。知っていたなら、もちろん通らなかったさ。
こんな場所、見たくもない。
「さっきまで、アンテナにあったんだけどねぇ。少し遅かったわねぇ!」
「怖いわねぇ。こんな近くで、死 体 だなんて…」
そのまま、二人は主婦同士の会話に発展してしまった。そこまで付き合う義理はないので、そっとその場から離れる。
『死 体』。色々と聞き慣れない物騒な話題に俺を待っていた三人の顔色が悪くなっていた。
それが、普通だ。話のネタにするような内容ではないし、俺みたく顔色に出さずただ冷たい目をするだけの内容でもない。
「ん…? 悠…と日向か。お前らこんなとこで何してる」
一難去ってまた一難。呼ばれた鳴上と俺の動きが止まる。
振り返ると、訝しげに俺達を見る堂島さんの姿があった。
「ただの帰宅途中です。なぁ?」
「帰る途中にたまたま通っただけです」
俺と鳴上は顔を見合わせて頷きあう。下手な言い訳を並べると軽く説教をされそうなので、なるべく迅速にこの場を切り抜けたい。
「それよりも、堂島さんは鳴上と知り合いなんですか?」
二人が知り合いだったのは意外だ。まぁ、鳴上にしたら、俺と堂島さんが知り合いなのが不思議なんだろうけど。
「そういやお前は知らなかったな。こいつは俺の甥だ」
「へぇ、甥っ子さんなんですか」
そこまで話して、堂島さんは俺達の他に二人連れがいるのに気が付いたようだ。訝しげな表情がばつの悪そうな表情に変わる。
「あー……こいつの保護者をしてる堂島だ。……まあ、その仲良くしてやってくれ」
不器用ながらに千枝と天城に軽く堂島さんは挨拶をした。性格や職業柄、どうしても厳しい印象を与えてしまうからな。
俺もあまりこの場には長居したくはないし。
「とにかく四人とも、ウロウロしてないでさっさと帰れ」
そう言われて、俺達はその場を急ぎ足で離れる。
「うっ…うええぇぇ…」
「足立! おめえはいつまで新米気分だ! 今すぐ本庁帰るか? あぁ!?」
そんな、足立さんの
◇◆◇◆◇◆◇
──霧は蠢く
気分が悪い。
玄関で靴を脱いだ途端に目眩がした。傾く体を壁に手をつくことでなんとか支える。
目眩はやがて頭痛に変わった。久しぶりの頭痛だ。最近はめったに来なかったからな。
事件現場を見て思い出したのが原因か。……少し舌打ちをしたくなった。
痛みを落ち着けようとこめかみを指で押さえる。そのまま壁伝いに俺は二階の自室へと目指していった。
部屋に入っても俺の頭痛は治まらなかった。ってか、さらに酷くなった気もする。
上着を脱ぎ捨て、ベッドに腰掛けた。
酷い顔だ。
電源の入っていないテレビに俺の顔が映っている。
「────?」
違和感を感じた。立ち上がり、俺は黒い画面に近づく。手の平を画面に押しあてた。
触れた時に感じるひんやりとした感覚。ただの画面だ。
神経質になりすぎだな。何を警戒しているのやら、俺は自分自身を鼻で笑う。そして、画面から手を離──せなかった。
いきなり画面から伸びてきた手が手首を掴む。
「っ!?」
真っ黒な画面と対照的に見える真っ白な手。かわそうと体を咄嗟に引くが間に合わなかった。
手首を掴まれた俺はそのまま画面へと引っ張られる。片腕が画面に沈み込んだ。掴まれているはずの腕が、まるで沈み込んだ先に存在していみたいに感覚がない。
そうして俺は、少しも抵抗などできないまま、テレビの中へと引っ張り込まれてしまった。
──やっと……来た。
誰かが歓喜している。そんな感じがした。
◆◇◆◇◆◇◆
「……ここ、は……?」
知らない場所だ。そこで俺は横たわっていた。
体を起こし、周りを見る。薄暗い部屋。すぐ近くには白いソファーがある。
そう、白いソファーだけがある。薄暗い空間に白色だけが鮮やかに映えていた。
……よし、状況確認をしてみようか。額に手をあて、覚えている限りの記憶を呼び起こす。
帰宅して気分が悪くなったから自室で休もうとしたら、テレビから生えてきた手に引っ張り込まれた。……以上。
立ち上がってソファーに腰掛ける。どうでもいい話だが、こっちよりもベルベットルームのほうが座り心地がよかった。
上下左右を見渡す。窓なし、扉なし、脱出経路なし。完全な密室だ。これまたどうでもいい話だが、こんな密室に限って殺人は起こるんだよな。密室に守られている安心感が人を油断させてしまうってことか。
さて、状況確認はすんだ。後はその原因と疑問の解消だな。
まず一つ目。
ここはどこだ?
普通にそのまま考えればテレビの中か。いや、テレビを媒介としている異空間のようなものかな。
二つ目。
誰に引っ張られた?
握られた手首を指でなぞる。色白の手だった。そして冷たい感覚が残っている。マーガレットさん、ではないな。俺をいたぶることを趣味にしているであろうあの人でも、こんな場所へは引っ張り込まない……はずだ。…………しないよな?
……………………。
それなら、誰だ。もう一度だけ手首に触れてみた。敵意や悪意はなかったんだ。感じたことを思い出してみる。俺がこの場所に入れられた一瞬だけ感じた感情、それは歓喜だった。純粋な喜び。この場所に俺を入れることをずっと望んでいるような。
該当者が思い浮かばない。俺が覚えていないだけかもしれないが。
結論から言って何もわからなかった。ここがどこなのかも誰が引っ張り込んだのかも。
改めて密室内を見渡す。殺風景だ。けど、どこかで感じたことのある殺風景さだ。どこだったかな…。
そう、冷静に思い出そうとした俺だったが前を見て思考が止まる。
『ただいま』
聞こえてきた幼い声に耳を疑い、目の前に現れた見たことのある景色に目を疑った。
玄関で靴を脱ぐ男の子。行儀正しく靴を揃える後ろ姿。
『お母さん、今日は……』
ランドセルを背負ったその男の子は、リビングへと通じる扉を開ける。
リビングには誰もいない空間が広がっていた。綺麗に掃除された部屋の窓から夕日が射し込んでいる。
『…………』
男の子は顔を曇らせ、テーブルの上の置き手紙に気がついた。
徐々に顔から表情が消え、手紙はくしゃりと握りつぶされる。
視界がぼやけ、思わず目を擦った。男の子へと手を伸ばしている自分に気がつき、すぐに手を戻す。
干渉なんてできない。あれはただの幻だ。
『おっ! 祭りやってる!』
場面が変わり、壁にかけられた時計は昼過ぎを示している。
窓からは暖かな日差し、微かに聞こえてくるのは祭ばやしの音。
男の子はテーブルの上に乗り、窓に手をついて外の景色を見ている。さっきと違って、まだ比較的明るい雰囲気だ。
『見えないのか? だったら──』
男の子が誰かに話しかけている。その誰かに視線が移りそうになり、俺は──――
「やめろっ!!」
たまらずに叫んだ。
嫌なことから目を逸らす臆病者のように、目を閉じて耳を塞ぐ。あれは過去の俺だ。あの出来事があったから。俺は。
目を開けて何もないことを確認すると、力が抜けそのままソファーに座る。
「悪趣味なもん見せやがって」
声が震える。背もたれに体をあずけて、手のひらで目を覆った。
忘れたことはない。未だ、夢にまで見る光景のだから。
忘れるなんてできない。あれは俺の責任なんだから。
『……ごめんなさい』
聞こえてきたか細い謝罪の言葉。視線を戻すとテレビがあった。画質の悪い画面には小さな人影が映っている。金色の瞳が俺を見ていた。
『ぼくが悪いんだ』
虚ろな表情で言葉を紡ぐ。あぁ、そうだ。お前が──俺自身が悪い。
そんなことはわかってるんだよ。
何かしたい(理由:新年だから)。
まぁ、理由のとこは無視してください。その場のノリなので。
で、後書きなんで簡潔に短くするとこんな感じです。
↓
【オリキャラ募集】
【ネタ募集】
無期限で募集予定です。
興味を持たれた方は活動報告をご覧下さい。