ペルソナ4 Another Story,Another Hero   作:芳野木

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戦闘描写は苦手。

もう少し上手く書けたらいいのですけれど、ね。

では、今回はペルソナを使っての初戦闘シーンです。


-005- 白きペルソナ

 

「今日は貴方の力の性質について、実戦を交えて教えていくわ」

 なるほど、よく分かるペルソナ実戦講座というやつか。

 うん……そこはかとなく不安を感じる。ついさっき手渡された木刀が頼りない。

 

 召喚器を取り出そうとウェストバッグに手を伸ばした。

 

「その召喚器でペルソナを出すのは、今はやめなさい」

 制止され、手に取った召喚器とマーガレットさんを交互に見つめる。

 

「何でですか?」

「それは元々、あなた専用に造られた召喚器じゃないの。だから通常よりもペルソナ召喚の際に精神力を使ってしまう。……それは最後の切り札として使いなさい」

 

「最後の切り札に…」

 

 握る召喚器が途端に重く感じる。

 

 

「ええ。召喚の仕方は以前……いえ、覚えてなくても体は覚えているはずね。じゃあ、行くわよ」

 楽しげな様子を声に含ませ、ペルソナ全書が開かれる。

 

 

「……へっ!?」

 

 

 慌てて顔を見れば不敵な笑み……いいや、サディスティックな笑みだな、あれは。

 

 あんな表情の時は…考えるよりも遙かに早く俺はその場から急いで遠ざかる。

 

「メギド」

 

 光が落ちてきた。

 さっきまでいた場所がうっすら焦げている。あれ、当たったらどうなんだろう。

 

「大丈夫よ。メギド、メギドラ、メギドラオン。どれも貴方は死ななかったから」

 まるで俺の思考を読みとるようにマーガレットさんは答える。

 

 って、床が焦げてんのに昔の俺はよくご無事で。焼き日向とかなったんじゃないか。こんがり焼けて、あら美味しそう…みたいな。

 

 

 

「……大丈夫、メギドラオンで少し目が覚めないだけ」

 

 

 

 さっきまで考えていた冗談が頭から吹き飛んだ。

 

「それ全然大丈夫じゃないですよ!?」

 多分、生死の境目とかさまよってる。焼き日向なんて目じゃなかった。

 

 花畑見えてたのかな、俺。

 全然シャレにならない。

 

 

 

 

 とりあえずメギドラオンさえ、当たらなければと距離をとろうと後ろに下がる。

 

 

 そして、そこではじめてマーガレットさんが前方にいないことに気づいた。

 

 

「…っ!」

 慌てて振り向くと、どこか妖艶な笑みでマーガレットさんはペルソナ全書を振りかぶっている最中だった。

 

「くっ…!」

 とっさに手にした木刀で振りかぶられたペルソナ全書を受け止める。手が痺れ、メキッと木刀から不吉な音がした。見ると木刀にひびが入っていた。

 これは、もう使えないな。次あたりで折れる。

 

 物理攻撃は無理、やっぱりペルソナにはペルソナで対抗するしかないのだろうか。

 

 

 って言っても、そのペルソナが出せないわけで。

 

 

 次々と容赦ないマーガレットさんの攻撃を、懸命にかわして距離をとることに専念する。

 

「ガル!」

 

 疾風が横切って頬が切れた。風に煽られ、バランスを崩す。

 

「ブフ!」

 

 体勢を整えていた俺に冷気が足下にまとわりつく。下を見ると足が氷で固定されていた。無理に動かそうとしてもびくともしない。木刀で叩いてみるが、少し欠けただけだ。

 

 

 ……逆に木刀が折れた。

 

 

 そんな俺に「待った」なんて優しい選択は与えられず、ってかより一層いい笑みを浮かべてるよ、マーガレットさん。

 今の俺には「絶対絶命」その言葉が似合う。

 

 

「倒れちゃだめよ……メギドラオン!」

 

 

 頭上を仰ぎ見ると、巨大な光の塊が現れていた。逃げようにも範囲が広すぎて、逃げきれない。ってか、そもそも氷で動けない。

 

 

 

 

 

 ――我は汝、汝は我――

 

 

 

 覚悟というか諦めかけた俺の脳裏に言葉が響く。

 

 

 

 ――我、汝が進むべく道を共に歩む者――

 

 

 

 周りの時間が止まった。言葉しか耳にはいらず、他の音は一切聞こえない。

 目の前に浮かび上がったペルソナカードに手を伸ばした。

 考えることはせず本能のままに。

 

 

 

 ――汝、我を導き。我に導かれし――

 

 

 

 『契約』の単語が脳裏に浮かんではすぐに消え、様々な情景が瞬時に流れる。

 雪、花びら、霧、夜空、青、影。

 それらを振り払うようにペルソナカードを掴む。

 呼ぶべき名前はすでに知っている。

  

 

 

 

 

 

「イザナミ!!」

 掴んだペルソナカードを地面に叩きつけるように召喚した。瞬間、青白い光が全身を包み込んだ。

 

 

「――!?」

 マーガレットさんが目を見開く。

 

 

 

 白い。召喚されたイザナミを見てただ思う。

 

 白い長ランを着込んだような姿、白い布で目隠しをするように覆われた目の部分。

 純白のような雪のような白さを持つペルソナが、目の前に存在していた。その白すぎる姿に綺麗だとも不気味だとも感じる。

 

 

 

 頭上に視線をやると、イザナミは青白く輝く矛をかまえ、そして。

 

 

 

 イザナミは俺の頭上に現れた金色の大火玉に、自らの持つ矛を突き立てかき回すように動かした。落ちてくるはずだった大火玉はかき回されたおかげで上空で霧散する。

 

 

「消した……」

 呆然と呟く。自分のペルソナがやったことなのに実感がいまいちない。イザナミはそのまま矛で足の氷を割ると、俺の後ろにつく。

 

 

「やっとね」

 開かれたペルソナ全書からカードが浮かび上がる。

 

 

「クー・フーリン!」

 美しい容姿の青年がマーガレットさんの前に現れた。槍を持ったそのペルソナは、素早い動きで俺の方へと向かってくる。 

 イザナミも矛を向け、クー・フーリンとぶつかり合った。

 

 槍と矛。二つの武器が交差し、風が引き起こされるのがわかる。

 

 

「っ…ひけっ!」

 クー・フーリンの風をまともに食らうとヤバい。警告がよぎりイザナミを引かせ、

 

「ジオだっ!」

 

 イザナミの出した雷がクー・フーリンを狙う。

 

「……って、流石に避けるよな…」

 ジオを簡単に避けると、クー・フーリンは風をまとう槍を横に払った。つむじ風は大きくなりつつ、イザナミに向かう。

 

 スピードが速く避けることは不可能だ。

 

 

 竜巻のように大きくなった風に巻き込まれ、イザナミはペルソナカードへと戻った。

 

 

 

 風が消え、視界が晴れるとマーガレットさんの姿はない。完全に見失ってしまっている。

 

 

 

「ぅっ…」

 周りを見渡していた俺は、いきなり目の前に現れたマーガレットさんの姿に、上手く反応できない。

 

 

「まだまだね…」

 下がろうとした時にはもう遅かった。なんとか両腕でペルソナ全書による打撃を抑えようとガードをとるが、

 

 

 ベシッ!!

 

 

「いてっ…!」

 全書による攻撃はなく、代わりに額にデコピンをされる。目をつぶってしまったから、よく額を狙いやすかっただろうな。まったくいい音がなりました。

 

 ペシッじゃなくてベシッで。

 

「やっぱり、前よりも勘が鈍ってるわ」

「そりゃそうでしょ」

 額をさすりながら、俺は折れた木刀を拾う。

 

「俺、久しぶりで召喚の仕方さえままならない程度なんですから。ってか、慣れても勝てる気がしませんね」

 マーガレットさん、本気だしてないし。あれで本気だされたら、すぐに消し炭になるんだろうな。

 

 

 

 一発メギドラオンで。

 




ザ・伏線のオンパレード。


pixivにある話は今のとこ8話まで。
あと少しですね。
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