真剣で私に恋しなさい!〜彼は自由人〜   作:中山

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第六話

 

現在、川神学園では臨時で全校集会が開かれていた。

 

「皆も今朝の騒ぎで知っているじゃろう、武士道プランじゃよ。そして、この川神学園に転入生が六人入る事になったぞぃ」

 

武士道プラン。これは九鬼財閥が開発したクローン技術により、過去の偉人を現代に転生させると言う計画だ。

 

因みに、リョウはある事により武士道プランの関係者を知っていた。

 

「あれ?リョウ、武士道プランの人数は四人じゃなかったのか?」

 

百代もその事を聞いたので、今朝のニュースでやっていた武士道プランの人数の違いをリョウに聞いた。

 

「あぁ、確かその筈だぜ」

 

「良いか、お主等。重要なのは学友が増えると言う事。仲良くするんじゃ。それに競い相手としては最高級じゃぞぃ、なにせ英雄」

 

先人の教えと言う言葉があるが、この武士道プランについて簡単に言うと、その英雄達と競い合う事によって、先人から学ぶ事が出来るのだ。

 

「武士道プランの申し子達は、全部で四人じゃ。残り二人は関係者。初めに二年生、2-Sに三人入るぞぃ。まず、源義経。武蔵坊弁慶。両方、女性じゃ」

 

「…弁慶の女バージョンか。ゴリラみたいな奴か?

なぁリョウ、どんな奴なんだ?可愛い娘なら嬉しいんだが」

 

男達も百代と同じ事を思ったらしく、ガッカリしていた。

 

「んー?そうだな、一言で言うと飲んだくれ」

 

「は?」

 

百代は、リョウの言葉に間の抜けた返事をしてしまった。それもその筈、弁慶はまだ高校生。つまりは、未成年。酒を飲む事は許されない。それなのに、飲んだくれ。

 

「では両者、登場」

 

鉄心がそう言うと、二人の女性がスタスタと壇上に上がって来た。一人は白い紐で髪をポニーテールにした可愛らしい女性。そして、もう一人は

 

「こんにちは。一応、弁慶らしいです、よろしく」

 

クセのある髪を腰まで伸ばした綺麗な女性だった。

 

「結婚してくれーーー!!」

 

「死に様を知った時から愛してましたーー!!」

 

弁慶が美女だと知った瞬間、男達の態度が変わっていた。

 

「全く、アホの極みで候」

 

弓子はそんな男達に呆れていた。

 

ポニーテールの女性が前に出る。

 

「…ごほん、ごほんっ。源義経だ。性別は気にしないでくれ。

義経は、武士道プランに人間として、恥じない振る舞いをしていこうと思う。よろしく頼む!」

 

義経が頭を下げると男達による歓声によって大地が揺れた。

 

「はー、美味しい」

 

弁慶はその後ろで腰に提げていた瓢箪の中に入っているものを盃にいれ飲んでいた。

 

「おおーーい!瓢箪が気になっていたが後ろで弁慶が酒飲んでるぞー!」

 

クリスはそれを見て叫ぶ。

 

「弁慶、我慢出来なかったのか?」

 

「申し訳も」

 

「こ、これは…皆も知っている川神水で、酒ではない」

 

「何だ、そうか。

 

…って、川神水なら飲んでいいわけじゃないぞ!」

 

クリスがノリツッコミをしてみせた。

 

「川神水はノンアルコールの水だが、場で酔える」

 

「皆さん、すいません。私はとある病気でして。こうして時々飲まないと体が震えるのです」

 

…ただのアル中だ。

 

「少々、特別待遇すぎる気もします」

 

武蔵小杉が不満をぶつける。

 

「その代わり、弁慶は成績が学年で四位以下なら、即退学で構わんと念書も貰っておるしな。じゃからテストで四位とかだったら、サヨナラじゃ」

 

「常に学園三位以内ぃ?ようもそんな大口叩けるのぅ」

 

心は苛立ちを隠さず言う。

 

心の様に闘争心を剥き出しにしているものが多くするのも、武士道プランの一部である。

 

「女子諸君。次は武士道プラン、唯一の男子じゃぞ。2-S、那須与一!でませい!」

 

ポケットに手を突っ込んだ男が、壇上に向かってダラダラと歩く。

 

「那須与一だ。テメェ等に言っておく。

 

俺に関わらない方がいい。不幸になるからな」

 

「ぐはっ!?」

 

与一の発言に、心当たりのある大和はダメージを受けていた。

 

「…なぁ、アレって」

 

それを片目に、百代は大和が何故ダメージを受けたかを知っているリョウに訊ねる。

 

「あぁ、百代の思った通り

 

 

───中二病だ」

 

那須与一。彼は少年時代の大和の生き写しのようであった。

 

 

 

 

「最後に三年生、3-Sに一人入るぞぃ」

 

「3-Sとなると、京極と同じクラスか」

 

「ほう。私のクラスか…物好きもいるものだな」

 

「ア?京極は清楚の事、知らねぇのか?昨日、俺達の所に来たんぞ」

 

「…私はその時、救護班のお世話になっていたのでな」

 

京極はそう言って、リョウを睨む。

 

「そういや、お前、はしゃいでたもんな」

 

「雷門、君の所為だろうが!」

 

全く。と京極は呆れていた。

 

「えー、清楚ちゃんSクラスか。可愛いからFに欲しかったのにー」

 

百代はぶーぶーと文句を付けていた。

 

「残念で候。しかしこの時期にSとは、随分な学力で候」

 

「それでは葉桜清楚、挨拶せい」

 

鉄心の声とともに、清楚が出てきた。そして、ゆっくりと壇上に上がって行く。

 

「ほう。なかなか、良い立ち振る舞いをするな」

 

京極は清楚の行動に思わず感心していた。いや、京極だけでない。他の男子からもため息が漏れていた。

 

しかし、リョウはそんな事を感じてはいなかった。何故なら

 

「そうか?俺は何とも思わないけどな。つーか、寧ろ何サッサと挨拶しろって感じだ」

 

彼は性に目覚めていないからである。

 

「そうだよなー。清楚ちゃんには悪いけど、リョウには私がいるもんなー」

 

百代はそう言いながら、リョウの背中から抱きつく。

 

「はぁ、雷門達は相変わらずで候」

 

 

 

「こんにちは、初めまして。葉桜清楚です。皆さんとお会いするのを、楽しみにしていました。これから、よろしくお願いします」

 

清楚が挨拶を終えると、男子達の歓声が巻き起こった。

 

「清楚ちゃん、本当に清楚だな。Sには勿体無いぞー」

 

一部の女子からの歓声もあがっていた。

 

「ハイハーイ、気持ちは分かるけど静かにネ!」

 

緑色のジャージを着た教師…ルーが生徒達を注意する。

 

「が、学長、質問がありまーす!」

 

カメラを持っている青年…福本育郎、通称ヨンパチが手を挙げる。

 

「全校の前で大胆な奴じゃのう。言うてみぃ」

 

「是非、スリーサイズと、彼氏の有無を!」

 

「全校の前でこの俗物がーっ!皆、私の教え子がすまん」

 

鞭を構え、その鞭でヨンパチを叩く女教師…小島梅子、通称梅子。

 

「あぅぅうんっ!」

 

ヨンパチは気持ち良さそうにしていた。

 

「アホかい!…まぁ確かにスリーサイズは、気になるが」

 

「…えぇっ!」

 

清楚は鉄心の言葉に驚く。

 

「おい、ジジイ死ね」

 

百代は鉄心を毒づく。

 

「ごほん

 

 

 

 

──おい、老いぼれ。この俺にセクハラとは死にたいのか?」

 

空気が凍った。

 

「ハハハハハ!皆、凍ってんの。馬鹿みてー!」

 

まぁ、リョウは笑っていたが。

 

「お、おおう。あまりの変わりようにワシ、ビックリ。もしかして、お主のクローンと関係しているのかのぅ」

 

「昨日もあんな感じになっていたな。あれ?そういえば、葉桜清楚なんて英雄、聞いた事ないぞ」

 

百代はそう言いながら首を傾げる。

 

「はんっ!知りたければ教えてやろう。俺は覇王とまで呼ばれた事のある男。"項羽"のクローンだ!

因みに名前が違うのには理由があるが、語る必要はない。いや、あるではなく"あった"の方が正しいな」

 

「ぶ、文学少女が覇王だとっ!?

 

───だが、それがいい」

 

一人の男がそう言うと、他の男子までそうだ、そうだ!と騒ぎ始めた。

 

「んはっ!この俺を見て怖気つくどころか、喜ぶとは。流石は"あの男"が通っているだけはあるな、川神学園よ!」

 

 

 

「後は武士道プランの関係者じゃな。ともに一年生」

 

「一年生か。まゆまゆの友達になったらいいな、リョウ」

 

お姉さん肌を見せる百代。

 

「……zzZ」

 

しかし、リョウは既に寝ていた。

 

「あ、あれぇ!?

 

今、凄く良い事言ったんだけどな、私!」

 

起きろよ、起ーきーろー。と百代はリョウを揺さぶる。

 

 

 

 

 

 

 

「…なぁ、ヒューム」

 

「何でしょう。紋様」

 

「我は影が薄いのだろうか?」

 

「そんな事、ありません。彼処の者を見てください。彼は紋様から目を離していません」

 

その彼の名は、井上準もといロリコンハゲ。

 

「見た瞬間に心が震えたっ……圧倒的カリスマ…!」

 

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