アサルトリリィ〜SaversHistory〜   作:蒼穹の命

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第1章 舞い降りるは炎の剣士

 時は近未来──人類は謎の生命体の出現によって滅亡の危機を迎えていた。

 

 その生命体の名はHUGE(ヒュージ)

 

 ヒュージに対抗するために全世界は団結し、その結果、科学と魔法(マギ)の力を結集し、決戦兵器Counter Huge Arms──通称CHARM(チャーム)の開発に成功した。CHARMはマギクリスタルコアというコンピュータ制御された魔法の宝玉によって制御されており、そのコアは女性と高い共鳴を示すことが多く、特に10代~20代の女性が一番CHARMのポテンシャルが最大限に発揮することが判明した。

 それにより、軍事育成としての機能を有したCHARM使用者の育成機関「ガーデン」を世界各地に設立され拠点として人々を守る、人類最後の砦となっていた。

 彼女たちは、生と死をかけた戦場で常に最前線に立ち、美しくヒュージとの戦を駆け抜け、その多くの命は儚く散っていった。

 人類は、彼女達の献身と犠牲によって今この瞬間も生き延び続けている。

 その少女達の事を人々はリリィと呼んだ。

 

 だが、この世界で戦っているのはリリィだけではない。

 ヒュージが現れる以前から、異形の怪物や数多の悪と人知れず戦っていた者たちもいた。

 

 その戦士たちには、多種多様な物語が存在した。

 改造人間にされてしまった人間が、人々との自由と尊厳を守るために悪の組織と戦ったもの。

 誰かの悲しい涙を流させないため、笑顔を守るために拳を握りしめ、超古代から復活した異形の民族たちと戦ったもの。

 みんなの居場所を守るために、神に仕える天使の如き存在と戦ったもの。

 夢がなくても誰かの夢は守れると戦い、最後に自分の夢を持てた、夢の守り人。

 機械生命体が起こす怪事件を、仲間と共に立ち向かい、市民を安全を守るために戦った警察官。

 

 このように、彼らに関する話は信じられないものばかりである上に、一冊の本ではまとめきれないくらい、前述したもの以外にも数多の物語が存在していた。

 

 時代と共にその者たちの話は様々な形に変化していき、今では都市伝説として扱われ、ごく一部のものたちしか、もう存在を知るものはいなかった。

 

 それでも、彼らは確かにいた。

 そして今でも。

 一人でも、彼らの存在を覚えている限り、彼らは決して消えることはない。

 

 その者たちの名前は──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 とある都市郊外 廃都市部

 

「はあっ、はあっ、はあっ……早く……逃げなきゃ……」

 

 瓦礫だらけの大通りを駆け抜ける傷だらけのリリィの少女がいた。その背後には数体のスモール級と飛行型のミドル級、地上型のミドル級ヒュージの群れが少女を追っていた。

 彼女はとある研究機関の実験部隊に所属しており、彼らが作ったチャームのテスト運用のために、単独でこの地に赴いていた。だが、ついてすぐにヒュージの群れにエンカウントしてしまい、ある程度交戦しながら逃げ続けていたが、持たされた試作機は出力を優先しすぎて耐久性が著しく低下していたが故に、攻撃を一回受けただけで半壊してしまったため、全力で逃げに徹していた。

 道中で研究員たちに持たされた通信機で連絡を試みたが、うんともすんとも言わなかったために放り捨て、走り続けることだけを考える。

 今はまだ追いつかれていないが、追いつかれない速度を出すのに限界に近づいており、自分が足を止めてしまった時の未来を想像してしまった。

 

「いや、いやよ! まだ……まだ死にたくない……!!」

 

 ネガティブな思考を振り払い、必死に足を動かし続けていたが、足がもつれて転んでしまった。

 

「いったあ……あっ……」

 

 なんとか少女は立ち上がったが、その時点でもう自身とヒュージの距離は縮まっており、もう逃げられないのを悟った少女はせめてもの抵抗で半壊したチャームを盾代わりに構える。そんな彼女にスモール級と飛行型たちが飛びかかったその時だった。

 1番彼女に近かったスモール級と飛行型に突如火炎弾が命中し、爆散した。

 ほかのヒュージも次々と飛んでくる火炎弾に飲まれてゆき、大多数のヒュージが炎の中へと消えていった。

 残ったヒュージたちと少女は火炎弾が飛んできた方向へと向いた。

 

 それは崩れた廃ビルの一角にいた。車体に何かの文字のようなものが走っている奇妙な赤いバイク。そして、それに搭乗している何者かがいた。

 

 その何者かは、バイクのエンジンを吹かせて勢いよく飛び、少女の前の降り立った。

 

「誰かの声が聞こえた気がしたからもしかしてと思って駆けつけてみたけど……良かった、間に合って」

 

 間近に来てくれたとおかげで少女はバイクに誰が乗っているのかが確認できた。

 黒いコートにメッセンジャーバッグを背負い、頭にはバイクのヘルメット。声のトーンからして自分と年齢が近い青年くらいかと思われた。

 

「あ、あなたは一体……」

 

「通りすがりのちょっと変わったバイク乗り、かな? とにかく、ここは俺に任せて」

 

「む、無茶よ! 生身でヒュージ相手は自殺行為よ!!」

 

「さすがに生身では戦わないさ。君たちリリィのチャームみたいに、俺にはこいつがある」

 

 青年はバイクから降りて、バッグから何かを取り出し、腰に取り付けた。

 

『聖剣ソードライバー!』

 

 取り付けたものは何かのベルト。横には柄らしきものが刺さっているのが見えた。先程聴こえた声らしきものが正しければ何かの剣であるだろうと少女は推測したが、それだけでは青年が何をしようとしてるのかわからなかった。

 

「一体なにを……」

 

「まあ、見てなって」

 

 続いて懐から取り出した小さな本──ワンダーライドブックを開き、内包されている力を解放した。

 

『ブレイブドラゴン!』

『かつて、全てを滅ぼすほどの偉大な力を手にした神獣がいた……』

 

 力を解放したライドブックを閉じ、ソードライバーにある神獣系のライドブックを収めるためのスロット部位、ライトシェルフにセットする。

 変身待機状態となり、それを知らせる待機音を繰り返し鳴り、辺りに響き渡る。

 待機音に釣られたのか、ヒュージたちは本格的に青年を標的にし、スモール級は飛びかかり、ミドル級は巨大な腕を青年に向かって大きく振りかざした。

 

「はあっ!」

 

 ドライバーに収められている聖剣──火炎剣烈火(かえんけんれっか)の柄のソードグリップを握り、力強く抜刀した。

 

烈火抜刀(れっかばっとう)!』

 

 抜かれた聖剣の刀身は瞬く間に燃え盛り、青年の背後にはどこからともなく飛来してきた巨大なブレイブドラゴンのライドブックがそびえ立ち、表紙が開かれる。開かれたページから真紅のドラゴンが現れ、青年に迫っていたスモール級とミドル級の攻撃を弾き返し、そのまま彼の周囲を飛び回る。

 

 準備は整った。最後は必要な言葉を大きく叫ぶのみ!! 

 

「変身!」

 

『ブレイブドラゴン!!』

 

 炎を纏った剣でX字を描くように振りかざす。

 そして、飛び回っていたドラゴンが青年に近づき、炎となって彼を包み込んだ。

 

『烈火一冊!』

 

『勇気の竜と火炎剣烈火が交わる時、真紅の剣が悪を貫く!』

 

 炎の中から出てきたのは、赤き勇気の竜を纏いし剣士。

 

「変身、しちゃった……」

 

 信じられない光景を目の当たりにした少女に、赤き剣士が振り返る。

 

「俺の名はセイバー。最近だと、仮面ライダーセイバーなんて呼ばれてたかな」

 

「仮面、ライダー……?」

 

 ふと、前に同じ部隊の子が話していたのを思い出した。曰く、ヒュージとの戦闘が激しい地区にフラっと現れては陰ながら助けてくれたとか、何かを探していたりだとか、色々な噂話をしてた気がしたが、あまり興味は湧かなかった。自分たちリリィ以外にヒュージと戦える人がいるのが信じられなかったからである。

 だが実際に今、目の前に現れてしまっては信じざるを得ない。

 

「さて、と。ちょっと失礼」

 

「へ? きゃあ!?」

 

 セイバーがドライバーに剣を収めながら自分に近づいてきたと思ったら、自分の体が持ち上げられた。しかもお姫様抱っこで。

 

「ちょ、ちょっと何を!?」

 

「念の為の安全策だよ。はいっと」

 

 今度はふわっと浮遊感を感じた。気がつけば、自分とセイバーは先程の廃ビルの一角にいた。

 

「もしかして……ジャンプしてここまできた?」

 

「正解。奴ら俺を標的にしたみたいだけど、君に攻撃しないって保証はないからね。ここなら大丈夫だと思う」

 

 少女を下ろしたセイバーは下にいるラージ級と向き合い、再び剣を抜き放つ。

 

「後は俺に任せて。ハアッ!!」

 

 セイバーは勢いよく飛び降りながら烈火をミドル級ヒュージの外殻へと振り下ろした。

 甲高い金属音が鳴り響き、それがセイバーとヒュージとの戦闘開始のゴングとなった。

 地上に降りたセイバーはすぐさまバックステップをし、飛びかかってきた飛行型ミドル級の突撃を避けて一閃! 斬撃の餌食になったミドル級はバターのように簡単に切り裂かれる。

 近づいたら危険と判断したのか、スモール級は一斉に口内から熱線をセイバーに向かって吐いた。

 それに対しセイバーは臆さず、踊るように熱線を避けながら接近する。群れとの距離が近づいてきたセイバーは、ドライバーにあるブレイブドラゴンのページを押し込むように叩く! 

 

『ブレイブドラゴン!』

「ドラゴン・ワンダー!」

 

 セイバーはスモール級の群れに向かって右腕を突き出す。そこからドラゴンを模した灼熱の炎が現れて、スモール級に向かって突撃して食らいついた! 食らいつかれたスモール級を中心に炎上し、他のスモール級たちも次々と焼かれて炭化していった。

 残ったスモール級は2、3体のみ。負けじと再び熱線を吐くが、今度は避けずに剣の側面を押し出す構えを取り、熱線を受け止めながら突撃した! 

 

「CHU……!?」

 

 流石のスモール級も防ぎながら突撃してくるとは思わなかったのか、驚いたような声を上げる。その隙をついてスモール級を一体も残さずに両断してゆく! 

 

「あんなにたくさんいたスモール級を全部ひとりで……すごい……」

 

 基本ヒュージに対しての戦闘では複数人で組んで戦ってきた少女から見れば、セイバーの強さを見て唖然とした。これなら、本当にどうにかしてしまいそうと安堵仕掛けた時、セイバーがミドル級の巨腕に吹っ飛ばされた! 

 

「ああ!!」

 

 吹っ飛ばれたセイバーは瓦礫の山に埋もれて身動きがとれずらくなっていた。その隙を、飛行型はセイバーに熱線を吐き、ミドル級は瓦礫の山ごとセイバーを押しつぶすように巨腕を上から下へと振り下ろした! 巨腕を叩きつけた衝撃で土煙が舞い、セイバーの安否が分からない。だが、あの一斉攻撃で無事とは思えなかった少女は顔を青ざめたが、その心配は杞憂である。なぜならば仮面ライダーと名乗りし者たちは、どんな苦境に立たされたとしても、いつ如何なる時も最後は勝利に至るのだからである!! 

 寧ろここからが本領発揮とも言えるであろう。

 現に今、倒されたと思っていたセイバーは、熱線に耐え抜き、ギリギリのところでミドル級の巨腕を受け止めているのだから。

 

「くっ、うおりゃああああああ!!」

 

 セイバーはそのままミドル級を持ち上げて飛行型の方へと投げ飛ばした! 迫りくるミドル型に飛行型は急いで回避するが、逃げ遅れた数体は飛んでくるミドル級に巻き込まれて一緒に地上へ落ちてゆき、地面とミドル級にサンドイッチにされて押し潰れた。

 

「いっつつ……危なかった……これじゃ一体ずつやるのは厳しいな……だったら纏めて斬るまでだ!」

 

 相手の動きが止まっている間に一気に勝負を決めようと、巨腕を受け止める直前に放り投げた剣をすぐさま拾ってドライバーに納刀し、開かれてるライドブックを閉じる。

 

必殺読破(ひっさつどくは)!』

 

『烈火抜刀! ドラゴン一冊斬り! ファイヤー!』

 

火炎十字斬(かえんじゅうじざん)!!」

 

 ソードグリップにあるトリガーを引きながら再び抜刀する。抜かれた烈火の刀身はこれまで以上に燃え上がり、それと同時に、変身前のようにドラゴンが顕現し、空高く舞い上がっていく。

 セイバーはそのまま飛行型に向かってジャンプして、態勢が崩れている飛行型を炎の斬撃で両断する! 

 だがそれだけでは終わらない。先に上空を飛翔していたドラゴンが、セイバーが飛んでいるところに先回りしており、落下しかけていたセイバーは足場代わりにドラゴンの背に着地して再びジャンプ! 更にもう1体の飛行型を両断する! 

 まるで空中を駆け登るかのように、セイバーとドラゴンは縦横無尽に移動しながら飛行型を斬り裂いてゆき、空を紅く彩らせた。

 

「このまま一気に! ハァァァァ!!」

 

 全ての飛行型を斬り伏せたセイバーはドラゴンに着地して跨がり、体勢を立て直せてないミドル級に急接近して十字に切り裂いた! 

 これで決まったか! と少女が思ったその時だった。自身の命の危険を感じたのか、ミドル級は瞬時に起き上がって後ろに下がった為に斬撃は浅く入るだけの結果になってしまった。

 

「仕留めきれなかったか! なら……いや、だめだ……」

 

 セイバーには火炎十字斬の他にも高威力の技がある。今度はそちらを行おうとしたが、先程のように避けられて大きい隙が生まれる可能性を考慮に入れたら、迂闊に使用することは出来なかった。どうすれば当てられる状況を作り出す事ができるのか考えていると、さっきのミドル級を投げ飛ばした時を思い出す。

 

「そうだ、地上がダメなら空中で決めれば……! だったらこいつで!」

 

 セイバーはベルトの横についてるホルダーに収納されているブレイブドラゴンとは別のライドブック──ストームイーグルを取り出し、裏表紙にある速読用特殊金具「スピリーダ」を、烈火の切っ先にある速読器「シンガンリーダー」に接触させてることで、ライドブックに綴られた伝承の力を一時的に剣に宿す事ができるのだ! 

 

『ストームイーグル! ふむふむ! 習得一閃(しゅうとくいっせん)!』

 

「いけえ!!」

 

 

 ストームイーグルの力を宿した烈火をミドル級に向かって振るい、竜巻が放たれた! 竜巻はミドル級を飲み込んで荒々しい風の刃で全身を切り刻みながら空中に放り出した! 

 

「炎やドラゴンに竜巻……もう、なんでもありね……」

 

 彼が現れてから少女は自分の中の常識がどんどん崩れ去っていく気がしたが、そんなことを気にする暇もなく事態は最終局面へ向かってゆく。

 

「よし、いまだ!」

 

 セイバーはドライバーに烈火を再び納刀。再びライドブックを閉じて、トリガーを二度引いた。

 それを見た少女は、また同じ剣技を放つかと思ったが、先程との違いに気づく。

 

「抜刀、してない? 剣は使わないの? それに、トリガー二回押した? 今度は……」

 

 何をするつもりなのかと考えながら観察していると、セイバーの変化に気づいた。よく見てみると彼の右足に炎が収束していた。炎はどんどん強くなり、彼自身の足を燃やし尽くす程の猛火と化した。猛り狂う炎を宿しながらセイバーは空高く舞い上がり、ミドル級に向かって飛び蹴りを放つ! 

 

『必殺読破!』

 

『ドラゴン一冊撃! ファイヤー!』

 

火龍蹴撃破(ひりゅうしゅうげきは)!!」

 

 セイバーの渾身のライダーキックは、ミドル級に直撃し粉々となって爆散した。

 

 あれほどいたヒュージは、たった一人の仮面の剣士によって全て倒された。彼の戦いを一からすべて見ていた少女は、本当に現実なのか確かめるために頬を抓ったが、痛みを感じたため夢ではないのを認識した。

 

「本当に、なんとかしちゃった……いったい何者なの、彼……」

 

 地上に降り立ち、もう大丈夫だよーと言いながらついさっきまでの戦いが嘘みたいに自分に向かって元気に手を振っているセイバーを見ながらつぶやいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 日が暮れて橙色に照らされた廃都市を、赤いバイク──ディアゴスピーディーに乗ったセイバーと、応急処置したとはいえまだ動かすと危ないと思い、召喚したドラゴンに少女を乗せながら走っていた。

 

 

「本当にありがとう……あなたには感謝してもしきれないわ……」

 

「いいっていいって。とは言え、また人前で変身しちゃったから帰ったら説教確定だなあコレ……

 

 いろいろと口が酸っぱくなるくらい彼に言われたことを思い出したセイバーは、仮面の裏では遠い目をしながら呟いたが、それよりもまずは少女に聞きたいことがあるのを思い出したので聞いてみた。

 

「さて、と。君はこれからどうするんだ?」

 

「私は……」

 

 セイバーに投げかけられた質問を聞いて、少女は黙りこくる。

 実験内容といい、ヒュージの襲撃といい、今回の件はどう考えてもあの研究員たちの仕業であるだろう。目的はヒュージに関する実験か、または使えなくなったモルモットの処理なのか、或いはその両方か。

 なんにせよ今の少女はもう、どうしたらいいのかわからなくなり、思わずセイバーに聞いてしまった。

 

「私は、どうしたらいいのかな……」

 

「それは俺にもわからないな」

 

「そこは、俺が何とかする! なんて言わないんだね……」

 

「だって、これは君の物語なんだ。一緒に考えることは出来るけど、どんな結末にしたいのかは君自身が決めるべきことなんだから……もう一度聞くね、君はこれからどうしたい?」

 

 再び少女は黙り込む。どんな結末にしたいのか、考えて、考えて、考えて。

 そんな状態が数分続き、やがて少女は口を開いた。

 

「私は、まだ生きたい、死にたくない。でも、それと同じくらい戦いたい……いまこの瞬間だってヒュージのせいで大切なものを奪われて悲しんでるひとたちがいる……そんな人たちを助けたくてリリィになって戦場に立った。でも、結局力が足りなくて色んなものこぼれ落として……その果てには力を求めるのにこだわりすぎて悪魔に身を捧げて……そこまでしても成果は上がらず、トカゲの尻尾切りみたいな感じに連中にさっき切り捨てられたのにだよ? ……変だよね、私……」

 

「そんなことないさ。あんな目にあってもまだ戦う意思を絶やしてない君はすごいと思うよ、俺は……そんな君にいい場所があるんだけど、聞く?」

 

「え、あるの!?」

 

 そんな欲望まみれの要望がかなう場所があるとは予想してなかった少女は、思わずセイバーに向かって身を乗り出した。

 

「ストップストップ! あんまり身を乗り出すと落ちちゃうってば! 正確には、俺の先生というか雇い主の友人さんが代理だけどあるガーデンの理事長やってるらしくてさ。うまく話が通ったら編入できなくはない? かな。実際どうなのかはまず話してみないとわからないけどさ。君みたいに連中の所にいたリリィもいるらしいから不可能ではないとは思うよ」

 

「そうなんだ……にしてもガーデンの理事長とつながりがあるなんて、一体どういう人脈持ってるのよあなたは……」

 

「あはははは、俺にもよくわかんないや……」

 

 ジト目をしながら言った少女に対してセイバーは乾いた声で返した。

 

「とりあえず、まずはここから離脱しないと。結局探し物と探し人は見つからずじまいだった上に、こうして部外者連れて行くからこれは説教ですむかどうかも怪しいなコレ

 

 

 セイバーのつぶやきの最後が小声でよく聞き取れなかったので、何を言ったのか気になったが、それよりももっと他に気になる疑問ができた少女は、セイバーに聞いてみた。

 

 

「離脱ってどうやって? さっきからずっと走り続けてるけど……」

 

「念のために誰かに見られないようにちょっと距離取りたかったんだ。さて、このあたりなら大丈夫かな」

 

 と、バイクを止めるのと同時にドラゴンもストップする。バイクから降りたセイバーは近くにあった廃小屋の扉を開けて、ブックゲートのライドブックを使用した。

 すると、崩壊した屋内の景色が消えて特殊な空間が形成された。

 

「ナニ、コレ」

 

「ここから一気に拠点まで戻れるんだ。まあ要するにどこでもドアみたいなものかな。では、また失礼」

 

 またもや不思議体験が目の前で起こってキャパオーバーして片言になっている少女を降ろし、ドラゴンはライドブックの中へと戻した。ゲートへと行こうとしたその時、

 

「そうだ、まだ自己紹介してなかったね」

 

 セイバーはドライバーを外して変身を解き、それをバックにしまおうとして前に持ってきたのが彼の不幸の始まりだった。

 前に出したバックからバサバサッと大量の紙と一本のペンが落ちた。

 

「うわああああ! そうだ、変身前にバック閉めるの忘れてた。やばいやばい……」

 

 青年は慌てて拾いあげようとした時、不幸なことに一際強い風が吹いて何枚かの紙が空へと攫われていった。

 

「あああああああ! 先生に見せる原稿があああああ!! 待って! ちょっと待ってぇぇぇぇぇぇ!!」

 

 吹き飛ばされた原稿を回収する為に青年は走り出した。ゲートと少女は放置のままで。

 

「え? え? ちょ、ちょっと待ちなさいってばあ!あとペン落としたままよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 こうして、私こと柊愛理沙(ひいらぎありさ)は仮面ライダーセイバー、神山灯夜(かみやまとうや)との出会いを果たしたってこと。

 とりあえず、今日はここまでね。もう夜遅いしさっさと寝なさい。

 そんな顔してもダーメ。この間夜更かしして寝坊したの聞いてるんだから。あんまり不健康な生活送ってたら梨璃ちゃんたちも心配しちゃうしさ。

 明日また続き教えてあげるから、ね? 

 よろしい、それじゃあおやすみ。■■ちゃん。

 

 

 

 




現在セイバー本編アレですが、それでもデザインやキャラは好きなんだよなあ……個人的には劇場短編のエモーショナルドラゴンが刺さったのが要因かなあ……
推しフォームのエモーショナルドラゴン書いてみたいのと、知り合いにアサルトリリィ沼落とされて色々あって触発された結果が合わさってこの作品がビルドされました。
つまり、エモーショナルドラゴンとうちの知り合いって奴らの仕業なんだ!()
エモーショナルドラゴン出すまでは、止まらねえからよ……!

補足 序盤の火炎弾の出どころはディアゴスピーディーの先端からです。高性能なバイクだな……公式、設定は良いのに生かし切れてない感が強いな……
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