真(チェンジ‼︎)インフィニット・ストラトス   作:布団叩き

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第3話

さて試合当日。俺、白、セシリアの3人がそれぞれ戦うのだが、肝心の専用機がまだ届いていなかった。それはそれで別にいいんだが(敗けるためにも)、千冬姉の機嫌が悪くなるのは避けたい。だって怖えーもん。え?なんで知ってるかって?多分俺を作った連中なんだろうけど、なんか頭に変な装置つけられて『織斑一夏』の記憶を刷り込まれたからだ。言ってみれば俺の存在は『存在し得たかもしれない織斑一夏の可能性』みたいなもんなんだよな。白が荒んでたら俺みたいになってたんじゃね。知らんけど。

 

「遅いですね…先程、もうすぐ到着するって連絡があったんですけど…」

 

…話がそれた。山田先生がなんとか場を保たせようと色々言ってるが千冬姉には効果なし。ちなみにここには俺の他に白と千冬姉、そして山田先生がいる。あと何故か箒も。なんで居るん?

 

「一夏、本当に大丈夫なのか?」

 

「いざとなればここの練習機で出るよ。打鉄も何時間か乗ったから一方的にやられるってことは無いだろ」

 

俺とは少し離れた場所で話し込む白と箒に見積もりが甘いんじゃないのって言いたくなるが、何も言わずに反対のピットを見やる。目を凝らしてようやくぼんやりと見える程度だが、セシリアは既にISを展開しているようだ。ライフルの調子でもみてるのかね。

 

「あっ、来たみたいです!」

 

山田先生の声で皆がピットの入口の方に視線を移した。そこには人より少し大きいほどの立方体のコンテナがふたつと、専任の技師であろうメカニックが佇んでいた。突然現れるんじゃねぇよびっくりするだろ!

 

「いやーすみません遅くなりました、では早速調整に入りましょうか」

 

そう言ってメカニックがコンテナの端についていたパネルを操作すると、コンテナの分厚い扉がプシューと音を立てて前方にせり出る。取っ手を掴んでぐいっと引っ張ると、そこには鉛色の人型が佇んでいた。お世辞にもスタイリッシュとは言い難い塊。ていうかこれ、研究所で見たことあるぞ…?

 

「これが早乙女研究所…というか早乙女博士最大にして最高の発明、ゲッターロボです。正確にはそれをISサイズに落とし込んだものですが、オリジナルに比べてパワーは劣るものの機動性は格段にアップしています。IS同士の高速戦闘にもついていけるはずですよ」

 

「フルフェイスか…これはどっち用なんです?」

 

「実はですね、今の時点では君たち2人どちらでも乗れるようになっているんです」

 

「ん?専用機じゃないって事か?」

 

「これに関しては見た方が早いですね」

 

そう言ってもう片方のコンテナも同様に開ける。そこには最初のコンテナの中にあったISと同じものが佇んでいた。相変わらずの鉛色、ISにしてはずんぐりむっくりなプロポーションまで全く一緒だ。

 

「ははぁ…もしかして、同じ人間に同じ機体を使わせてゲッターがどう進化するか実験しようって魂胆か」

 

「はい、ISのコアと同様にこれの動力になっているゲッター線も未だに謎が解明されていない部分が多い。生物の進化を促すゲッター線は遺伝子に反応するのか、それとも個体によって違う何かしらの条件に反応するのか…それを確かめたいというのが早乙女研究所の意向です」

 

なるほどね、遺伝子が全く同じ人間なんてそうそう用意できないだろうし(できたとしても倫理の問題がつきまとうし)、俺たちは絶好のモルモットというわけだ。博士、考えたな。

 

「ほれ、白。先に出るのはお前だろ。さっさと準備済ませちまいな」

 

「お、おう」

 

白は多少ぎこちないながらもゲッターロボに乗り込み、簡単な調整を受けてからカタパルトに足を乗せた。丸っこい足に角ばった形状のカタパルトは不恰好だったが固定はちゃんとできてるようで、しっかりと射出できていた。はてさてどうなることやら、お手並み拝見といきましょうかね。

 

 

 

『随分と見慣れないタイプのISのようですが、このブルー・ティアーズと渡り合えまして?』

 

『どうだろうな!ま、やれるだけやってみるさ!』

 

そう言い放ち白はセシリアに突撃していった。ちなみに2人の会話はスピーカーを介してしっかり聞こえてる。セシリアはセシリアでライフルを構えて迎撃の姿勢を取るが、ビットを使わないって事はまだ様子見にとどめる気か。そして問題のゲッターロボ、加速性能は中々良さげだった。メカニックが言っていた機動性の向上は伊達じゃないらしい。…しかしあの様子じゃ白のやつ、スピードに振り回されてるみたいだな。まあ打鉄とはモノが違うし、俺だってあのスピードを完璧に扱いきれる自信はない。

 

『速いっ…!速度がありすぎてうまく曲がれねぇっ…!』

 

『この私の攻撃を避け続ける腕には感服いたしますが、避けてるばかりでは私は倒せませんわよ!お行きなさい、ブルー・ティアーズ!』

 

あ、ビットだ。行け、ファ○ネル!間違えた。ちなみに俺はイ○コム派です。しかし妙だな、ビットの攻撃で白の体勢が明らかに崩れているというのにセシリアがライフルを使う様子がない。もしやビットの操作に集中してる間本体は動けないのか。これを生かさない手はないが、動くのが精一杯のあいつにそこまでできるだろうか?

 

「織斑君、そのゲッター1には近接用の装備があります!それを使ってください!」

 

『近接用の武器…こいつか!』

 

メカニックの声に反応して拡張領域(バススロット)の中身を確認したらしい白。ゲッター1の両の肩部から棒状の突起物が飛び出てきた。腕をクロスさせてそれを引っ掴んだ白は射撃が途切れた隙にセシリアの真正面で急停止、手にかけた得物を思い切り引き抜いた!

 

『ゲッタートマホーク!』

 

片刃の無骨な作りの手斧…あれがゲッター1のメイン装備になるゲッタートマホークね。そしてどうもあれ、刃の表面に対ビームコーティングがしてあるようで白は横合いからのビットの攻撃をトマホークで防いでいた。なんて器用な。そのまま本体に接近、両手の得物をおおきく振りかぶって構えたときーーー

 

『かかりましたわね!』

 

ブルー・ティアーズの腰部スラスターがぐりんと回転し、白に狙いをつけた。ミサイルビットか!あの距離では自分も無事では済まないだろうに…この試合にそんなリスクを冒すメリットがあるとは思えない。セシリアにとってはクラス代表の椅子がそうまでして得たいものなのだろうか。程なくして、爆炎の中からセシリアが飛び出した。彼女もノーダメージとはいかなかったようでブルー・ティアーズにも所々傷がついている。そして問題の白、未だに姿を現さない。撃墜されるにしてもそこらへんに落っこちてくるはずなんだが…あ、いた。

 

『今のは危なかったぜセシリア…こいつじゃなかったらやられてたところだったよ』

 

『あれを受けてまだ…!?』

 

爆煙で何も見えない中、スピーカーから割と元気そうな白の声が聞こえた。そしてセシリアは何か勘違いしているようだが、ゲッターが特別硬いわけではない。このタイミングだからこそ…だな。あれは多分…

 

一次移行(ファースト・シフト)…やっとか」

 

やっとの一次移行に千冬姉は呆れながらも満足しているご様子。そして晴れゆく爆炎の中から現れたのはーーー

 

『チェンジ!ゲッター2!』

 

左手がドリル、右手が簡素なマニピュレーターになっている細身のロボ。先程のゲッター1とは打って変わって白・黄・赤の彩色が目を引く。滞空能力は低いようで、ゲッター2は空中にとどまる事なく地面に降り立った。一気に姿を変えたゲッターロボにも臆する事なくセシリアはライフルを地表に向ける。

 

『姿が変わったくらいで!』

 

『ゲッタービジョン!』

 

なるほど…ゲッター2は地上戦闘に適しているようだ。高速移動しているのか、アリーナのあちこちにゲッター2の残像が出現している。それも3つや4つでは済まない数がそこら中にだ。狙撃を主軸に戦うセシリアにとっては少しばかり相性が悪いか…と思ったけどそうでもないみたいだな。ビットをフル稼働させて残像を的確に撃ち抜いている。まあ残像の方もしっかり避けてるから意味なさそうだけど。これで形勢が逆転したわけではないが、戦局が多少は白に傾いたと見ていいだろう。しかしここからどう攻める…見たところその形態に飛行能力は無さそうだが、高所に陣取っているセシリアを地上から狙うなんぞキャノンでもない限り厳しいと思うが…

 

『ドリルハリケーン!』

 

ドリルの回転で竜巻ができてるぞオイ…もうなんでもありだな。竜巻はセシリア本人だけでなくビットまでもしっかり巻き込んで彼女を完全に封じ込めた。

 

『きゃあああああぁぁぁっ!?』

 

『オープン・ゲット!チェンジ!ゲッター3!』

 

いい感じにセシリアの目が回ったところで白はまた形態を変えた。機体がバラッバラに分かれ…分かれた!?観客先もどよめいてるぞ!?

 

「え、あれ大丈夫?同じ機体って事は俺もああなるの?」

 

「あれこそゲッターロボ最大の特徴です。3機のゲットマシンを組み替える事でゲッターロボはその姿と性能を大きく変化させます。大まかには空戦用のゲッター1、陸戦用のゲッター2、そして海戦用のゲッター3と言ったところです。それとゲットマシンに分離する際の搭乗者ですが…大丈夫みたいですね」

 

『みたいですね』!?確証もないまま俺たちにあんなものを渡そうとしたのか…さすが早乙女博士だ…ブッ飛んでやがる。もはや人体切断イリュージョンなゲッターロボIS、こわい。

 

「あれ…ゲッター3は海戦用なのでは?地上で出しても大丈夫なのですか?」

 

分離に気を取られすぎていたが、箒の疑問ももっともだ。アリーナの地面には下半身がキャタピラになっている異色のメカが降り立っている。あの形態ではリーチが短そうだが…あと、なんかかわいい。

 

「ああ、あくまで他の中に比べて得意な領域が海中なだけであって、別に地上でも問題なく戦えます。むしろフィニッシャーとしては割と優秀な部類です」

 

『大・雪・山おろしいぃぃぃ!!』

 

ゲッター3の腕はジ○ン水泳部みたいな感じの…こう、節があるというか…とにかく、そういう形状になっている。伸縮性に優れている腕は見た目からは想像できないほど長く伸び、その先でセシリアをしっかりと掴んでいる。

 

『どうなってますのこれぇぇぇっ!?』

 

そんでもってそのまま思い切り地面に叩きつけた。うへぇ、痛そー。そんでもってセシリアの方は…あーあ、完全に目を回してやがる。あの様子じゃ戦闘への復帰は無理そうだなー。

 

『そこまで!勝者、織斑一夏!』

 

ブー、と試合終了を告げるブザーが鳴った。こちらに向けてVサインを送るゲッターロボ。締まらない最後ではあったが、白は初陣を白星で飾ったのだったーーー。

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