ガンダムビルドファイターズ Re:Spelled 作:セルフィア
ショップ大会から数日経ったある日の土曜日、朝9時に響と拓也は地元を離れガンプラの聖地である静岡県に降り立っていた。
「いやぁ、やっとついたー!電車で来ると遠く感じる…」
「そうだな…出来ればここに来た理由を教えてくれ、朝5時に俺を叩き起こして一泊分の荷物纏めろってきてよぉ!俺この土日は撮り溜めてたアニメを見るって昨日言ったじゃねぇか!」
「そりゃ早朝に起こしたのは悪かったよ。けど、理由を話して素直に着いてきてくれたか?」
「内容によるな。だが、9割方着いてきたぞ。」
「優しいかよ。だからこそ声を掛けたんだけどな!」
「冗談はさておき俺を連れてきたホントの理由は?」
「これから会う人と行く所が俺1人だと寂しいから…」
「人に会いにきたのか?なら何故荷物を持ってきた。」
「泊まりがけのバイトで、心細かった。」
「バイトだったのか⁉︎荷物持ってきといてなんだけど泊まりだ?俺金そんな持ってきてないぞ。」
「それは大丈夫!これから行く所の人が宿泊施設手配してくれてるから、なんならここまでの交通費くれるしバイト代も貰える。」
「いたせりつくせりだな…だがなんだ?嫌な予感しかしないんだが…」
「勘がいいな。まぁ、拓哉も知ってる人だよ。」
「ここまで来たらもういいだろ、それでこれから会う人って…あぁ?駅に向かってリムジンが⁉︎」
「時間通りです、ね!零音さん!」
響たちの前を通り過ぎたリムジンから1人の女性が飛び出しおもむろに木刀を振り下ろすが拓哉の前に出た響も鞘から木刀を抜き鍔迫り合う。
「ん、良い動きだ。前よりも良くなった。」
「お褒めに預かり光栄…!零音さんもお元気そうで。剣崎さんもご無沙汰してます。」
「はい、お久しぶりですね。ここ最近の動きを聞くと腕が鈍っているように見えましたが。」
「フレンド情報から対戦履歴見るの辞めてくださいよ…」
「響、頼むからこの人たちが誰なのか教えてくれ…」
「説明したいんだけどもう行かないとなんか騒ぎになってきたからもうここから離れないと…」
いけない、まで言えず零音と呼ばれた女性に車の中に押し込まれキュキュキュと車が動き出しその場を後にする。
そして、車を走らせる事10分ある高校の前で止まった。
高校名は[テスタメント女学園]、女子校というだけでも気がひけるのに静岡県の中でもトップクラスに美人が多いと噂のある場所だった。
「ほら、坊主ども。こっちだ、変な気は起こすなよ?」
「後ろに警備員4名、各所にある監視カメラのある中で起こす気なんてありはしないですよ。」
零音自体も世間一般でも美人の部類に入るのだが自分はそんなの関係ないばりに先頭を歩きその後ろをついていく中で視線が泳ぎそうになるがさらにその後ろを歩く剣崎と呼ばれた初老の紳士がそれを許さない。
渡り廊下を抜け体育館横の別館にある建物の前にたどり着く。
部室だろう、表札には[ガンプラバトル部]の文字。
「「お邪魔しまーす。」」
「あ、響!こっちだよー!」
部室に入った2人を待っていたのは1年半前に響たちが全国大会で戦った対戦相手、立花 美咲が手を振っていた。
「おいおいおい、ちょっと待ってくれよ…なんでここにレディースチャンピオンの立花美咲がいるんだぁ!」
「それは、知ってると思うけどここが美咲のいる高校だからでそのバイトって言うのがここの後輩たちの練習相手になる事なのだよ。」
「お前、同じ高校生から金貰ってるのか?落ちぶれたな。」
「違う違う!確かに美咲なんだけど、正確には美咲のお父さんからの依頼なんだって!」
「あぁ?どう言う事だ。」
「えっと…」
話は1年半前まで遡り、響たちが美咲を倒して2学年に上がった頃学校を通して響に直接美咲の父から連絡があった。
内容として全国各地にホテルを経営しているタチバナグループの会長の自分が支援をしている学校のガンプラバトル部が負けてしまったのは良いとしてあれ以来部の士気が下がり気味らしくここままではいけない、これから新しく入ってくる子たちにも良くないから外部のプレイヤーを招き入れれば刺激になり士気が回復するのではないか。
そう考えた時、大人過ぎてもコミュニケーションに問題が出る可能性がありただ同じ高校生でも知らない人が来るのは学校としても問題がある。
それなら適任がいると娘から名前を挙げられたのが響でそれならと学校に確認した所、アルバイトならともかく普通の高校生に静岡から東京の交通費などその他もろもろを出すのは厳しいという結論になり元から謝礼を出そうしていたらしいからそれならアルバイトって事にして来てもらう事にしよう。
「って、事なんですよ。」
「なるほどな…事情は分かった。ちなみにアルバイト代ってのは常識の範疇なんだろうな?」
「そうしてもらったんだよ!最初押しつけられた金額分かるか⁉︎」
「あー待て!聞きたくない。」
「いや、拓哉にも聞いてもらうぞ!ゴニョゴニョ…」
美咲に背を向けしゃがみ込んだ響が拓哉の耳打ちすると拓哉が飛び上がった拍子に壁に頭をぶつけ反動で前に倒れその勢いで響に激突し2人してのたうち回る。
「はぁはぁ…いってぇ、マジかよ。」
「俺だって最初見た時は気絶するかと思ったんだよ。しかもそこから何回か呼ばれるようになって外部顧問の欄に俺の名前が書かれるようになったんだぞ。」
「それに関しちゃおどろかねぇけどさ。お前は無自覚にフラグを建てる事を除けばすぐ信頼を得る良い奴だし。」
「そういや、そんな事美咲にも言われたな。人に信頼してもらえるのは嬉しいけど、ちゃんと自分で理性は保たないといけない事を知った。」
「立花さんにも言われてんのか。ちなみに信頼しきるとどうなるんだ?」
「もれなく名字がタチバナになる。」
「お前…ここでもフラグ建ててるのかよ。もしかして立花さんと…」
「ノーコメントで。」
「含みを持たせるな!小川さんにも怖くて言えないような事だろう⁉︎もうこれ以上は聞かない。よし、変な空気になっちまったからここでのやらかしを聞いておこう。」
「そうしてくれると助かる。行き始めて3回目かな?ミーティア装備したバンダースナッチブランシェで粒子ビット使って射線上に10人集めて纏めて薙ぎ払ったバトルは流石に泣かれて、切れた美咲にフルボッコにされた。」
「そりゃキレられるだろ…可愛い後輩たちが1発で薙ぎ払われたら。」
「あの時の美咲は俺が初めて会った時ぐらいの恐怖があったね。」
「出会った時もその時もそうだけど、悪いのは響だったし私はただ四肢もいでバックパックと武装破壊して頭部を鷲掴みにしただけじゃない。」
「あれそんな軽い話だったか?悪かったのも事実だけど俺ガンプラバトル辞めかけたんだが?」
「響、逆に考えろ。権力使われて社会から消えなかっただけマシだと…」
「真面目に考えるとそうなんのか?まぁ、良いか。てか他の子たちまだ来てないの?前回とか既にスタンばってたじゃん。」
「今回は響が友達を連れてくるって前日に言うもんだから、その部屋を準備したりしてるからもう少ししたら来るよ。」
美咲のじとっとした目から視線を逸らした響の頭をガッチリ掴んだ拓哉がワナワナと震えそのまま美咲に向けて下げさせ自身も下げていた。
「立花さんホントにすみません、ウチの馬鹿がちゃんと説明してないだけじゃなく前日にいうなんて人間としてダメな所を…」
「え⁉︎響の友達だから響みたいな感じだと思ってたけど、凄いマトモな人なんだ…」
「俺ダメな人判定されてる?」
「「それはそう。」」
「即答⁉︎」
「あーでも、小川さんだっけ?あの子はマトモそうだよね。今度連れてきてよ。」
「良いけど、変な事喋らない?」
「え〜どの事か分からないなぁ。」
「俺の命に関わるので連れてきません…なんなら響歌も連れてこない。」
「おい、このバカ!」
「キョウカ?その子は誰?まさか愛人とか言わないよね?」
拓哉の静止も間に合わず響歌の名前を出した瞬間、美咲の目から光が消え声色が暗くなりこの光景を響は数日前に見たばかりだと背筋が冷えるのを感じた。
「と、とにかく!本題に入りたいんだけど、今日のスケジュールは?」
「この話はまた後でしようね。ホントならいつも通り全員参加型の実践トレーニングしたかったんだけど、響も来たばかりで疲れてるだろうからこっちで抽選した結果した2人と戦ってもらいます。」
「休憩って選択肢は無かったんですかね…しかも2人か、それは理由があったりする?」
「お!察しが良いね。これからバトルする子が、ダブルス部門に出場予定なんだけど、相手が響だしどうせなら2人出してみようかなって!」
「さいですか…それで俺が戦う子たちは?」
「素直な響は好きだよ。後、これから会う子はちょっと癖はあるけど面白いと思う。ほら、入ってきて!」
さっき入る時には周辺にはいなかったが響たちが美咲と話してる間に零音さんが呼びに行ったのだろう小柄な女性が入ってくる。
「「よろしくお願いします!」」
「よ、よろしく。えっと、間違ってたらごめん。君たち双子だったりする?」
「そうですよ〜。眼鏡かけてる私が姉の
自己紹介をすませ美咲が手を叩くと後方の筐体にスクリーンが現れる。
「挨拶も済んだところで早速だけど、響だけ特別ルールで天羽々斬・アイギスストライカー・ビームサーベル使っちゃダメね?SEEDもギリギリまで使わないこと。」
「え…俺から天羽々斬とファンネルとビームサーベル取ったらそれこそ盾の人じゃん。」
「それくらいハンデは必要って事なの!あの子たちは不満みたいだけど、響なら大丈夫でしょ?」
「どうだろうな…」
そうして、筐体を真ん中に挟んだ3人はGPベースをセットして読み取り機に愛機を置いた。
≪ Damage level set to B≫
《Beginning[Plavesky particle]dispersal.Fiard4,sity》
《Please set your GUNPLA》
音声に従ってガンプラを置く
《BATTLE START!》
「城戸 響、ストライクガンダムパラディオス!推して参る!」
レバーを動かし機体を発進させる。
今回のステージは近年アップデートで新規に追加されたらしい現代の東京(夜)だった。
ゲートから飛び出した響は取り敢えずビルを陰に近くに止まってた車を風圧で飛ばしながら地面に降り立つ。
「へぇ、よく出来てるなぁ。コレで人なんていたら攻撃するの躊躇っちゃうな。」
流石に運営もガンダムの世界観ならまだしも現代をコピーした世界では人をNPCとして出す気はないらしく車などはあるが人がいた痕跡は無かった。
「美咲はあの子たちの事、ちょっと癖はあるけど面白い子だよって言ってたけど少し苦手なタイプかもしれん…」
周囲の警戒を続けながらも1人空想に耽っていた最中、アラートが鳴り響きスカイツリー展望台の辺りに2つのシルエットがモニターに表示される。
「うーん、あれは赤い方がエクストリームで青い方がジェガンか?どれ、お手並み拝見と行きますか。」
恐らく相手方もこちらに気づいてはいるだろうが仕掛けてこないのは美咲から自分の戦闘スタイルを聞いているからなのか何か策があるのかどうしたものか…
そう思っていた所、わざわざエフェクトを弄ったのだろう魔法陣のようなものが夜空に現れる。
「粒子造形…ランス!」
「炎王の咆哮!」
「赤い方が粒子を火に変換して相手からのビームを減退させて青い方が粒子を凍らせる技術を用いて貫通力を高めて沈める戦法かな?良いコンビネーションだ!俺がビームを当てる事が出来ればだけど…」
盾にしていたビルが数十秒と持たず穴が空いていきそろそろストライクガンダムパラディオスに当たるかの所でブースターを噴かして飛び立ち続く追撃をソウルプリゲーションシールドのアブソーバで自身のエネルギーへと変換。
反撃にとビームライフルで2機を狙うがパラディオスで使う予定だった強化型ビームライフルを自宅に置いてきてしまい取り敢えず素のストライクに付属してた物を持ってきていたため、バランス調節などしているわけもなくビームの弾は見当違いの所へ当たっていた。
[響…まだ射撃センス悪いんだ…]
[立花さん違うんだよ…これでも良くなった方なんだ、ほらビルには当たってただろ…?]
「外野2人!バトルの最中に精神的ダメージを与えにくるのやめて下さい…」
逆に相手の放ったビームはストライクガンダムパラディオスの横や上空を掠めていきとうとう持っていたビームライフルに直撃してしまい爆発を起こす前に2機に向かって投げつける。
「これが噂のビームライフル投げつけ…」
「噂⁉︎誰だよ変な噂流したの。」
残念ながら投げつけたビームライフルは届く前に爆発してしまったが代わりに空いた手で天羽々斬・真を持ちブースターを噴かして接近を試みる。
いつもならこの装備の時はアイギスストライカーで推力に物を言わせてバランスを取っているのだが今回はアイギスを禁止されており美咲から提供された簡易的なブースターパックのため普段の半分も推力が出ておらずビルを足場に跳躍を繰り返して移動しなければならない分、常に上空に入れるだけの推力を持っている2機に中々追いつけない。
「せめて美咲がアイギスのシールドラグーンなしのパックだけでも許してくれれば…」
[それは自らのしてきた愚かさと罪を考えれば妥当な判断だろ。]
「拓哉さん⁉︎こっちに来てからいつもより口が悪いな、俺にだけ。」
ビームライフルという遠距離武装を失ってしまったので、ソウルプリゲーションシールドのビームキャノンを撃ち放つがお互いに移動しているので当たるはずもなく逆に響の刀の間合いに入るのが危険だと判断し刀を落とそうと手元を狙っているのが感じ取れた。
「手元を狙ってきたか!ならくれてやる!」
「炎王の翼撃っ⁉︎」
「粒子造形…フリージング!」
ストライクガンダムパラディオスが勢いよく投擲した天羽々斬・真はビルの隙間を抜けエクストリームガンダムサラスへ一直線に向かい前方の炎エフェクトによる防御を貫通し左肩のブースターを抉り後方のジェガンカスタムまで行ったのだが炎を抜けた際に威力がだいぶ落ちていたのかダメージを与えるには至らず天羽々斬・真の氷のオブジェクトが出来上がる。
「綺麗なオブジェクトだけど、俺にはもう一本ある!」
そして、2機を相手に盾で弾いたり残った天羽々斬・偽でビームサーベルを逸らしたりして凌いでいたが2機同時のビームサーベルには天羽々斬・偽が耐えきれず音を立てて根元あたりから折れてしまう。
「このままなら勝てちゃうんじゃない?」
「そうだよねぇ、先輩が気にしてるからどんな人かと思ったけどこんなものじゃ先輩の見る目がなかったって事だよね!」
そうしてジリジリと壁際へ追い詰められ遠くに刺さった天羽々斬・真を見ながら響は肩を震わせていた。
「戦闘記録とか見てるだろから言うが確かに俺は近接武器が無くなると急激に弱くなるのに加えて俺を馬鹿にするのは構わないが自分の先輩である美咲を悪く言うのは違うと思うし刀が無くなった所で別にお前らが強くなった訳じゃねぇだろうがよぉ…ア”ァ”ァ”⁉︎」
[SEED system standby。Remaining until the time limit of 180 seconds。]
(マズイな…あの子たち、あいつの地雷スイッチを踏み抜いた。準備しとくか…)
次の瞬間、普段なら蒼い粒子が折り畳まれた翼が出ているのだが今回は吸収していたエネルギーが赤と青だった事もあり右翼左翼で色の違う全てを守りし理想郷が展開されており前面に向けて叩きつけると地面が抉れ彼女たちの機体は空に舞っていた。
「「えっ⁉︎」」
「だけどなァ!美咲から聞いてなかったのか、俺を倒すなら腕ごと盾を取れって!」
自身が巻き上げた砂煙をSEED粒子の翼が吹き飛ばしながら羽ばたき右腕のソウルプリゲーションシールドを構え殴りかかりエクストリームガンダムサラスが咄嗟に前面に掲げた小型シールドがまるでクッキーのように砕け散りそのまま顔面を捉え後方のビルにめり込ませ叩きつける。
「夏花⁉︎」
「おっと!よそ見してる場合か⁉︎」
体制を立て直したジェガンカスタムが氷のビームガトリングが氷を射出してくるが前面に展開したSEED粒子の翼に触れると掻き消えアブソーバを開いたままのソウルプリゲーションシールドにビームガトリングを吸収されビームキャノンで頭部を吹き飛ばされる。
そして、追撃と言わんばかりにコックピットの辺りを殴りつけ改装工事中の枠組み足場まで飛んでいく。
「さぁ、懺悔の用意は出来ているか!」
「ひっ!ご、ごめ…」
残ったジェガンカスタムのファイターである冬花は怯えているのか操作する事なく機体上部に一定時間動かしてないと現れる[
「いや…確かにやり過ぎたとは思うけど倒さなくても良くないか?」
「俺はいつだって女の子の味方だからな。」
「そっか…」
トドメを刺そうと振り下ろしたソウルプリゲーションシールドが拓哉のガンダムアストレアtypeTB(タイタンビット)のシールドビットに弾かれたと同時に右腕に嵌められたセラヴィーガンダムの巨大クローに頭を握りつぶされていた。
[GAME OVER!!!]
響は目の前が真っ暗になった!!!
ここ数ヶ月リアルが忙しすぎて執筆が全然出来ていませんでしたが12話投稿しました!
そろそろ水星の魔女2期が始まりますね!エアリアルの改修機欲しかったんですけど、どこのショップにも置いてなかったので大人しく再販を待ちたいと思います(笑
今回の機体紹介!
エクストリームガンダムサラス
武装:ビーム発生機×多数、小型シールド
SP:なし
エクストリームガンダムをベースに原機のバリエーションの多さを活かして改修した機体。炎竜王をイメージして全体的に赤く塗装されており響と似たようなセンスを持っている。
基本的に炎竜王をイメージした攻撃方法を取っていて一直線上にビームを放つ炎王の咆哮、自分の前面にビームシールドを展開する炎王の翼撃など若干厨二ちっく。
双子の妹である冬花のジェガンカスタムと連携しエクストリームガンダムサラスが相手の攻撃を受け攻撃はジェガンカスタムに任せている事が多いためどちらかが損傷を受けると戦況が崩れてしまう欠点を持つ。