ガンダムビルドファイターズ Re:Spelled 作:セルフィア
「響さん、今時間ありますか?」
そう唐突に口を開いたのはこの春入って来た響たちの後輩である井上 響歌だった。
「あるけど…それはアトラスじゃないな?」
その日の部室は珍しく沙希も拓哉も斗真が居なくて響と響歌の2人しかいなかったのだが、作業机にてガンダムAGE-2に武装を追加していた手を止め響歌の方を向き彼女の手元を見ると持っていた機体はいつも使っているアトラスではなかった。
「そうです…沙希さんと同じ遠距離狙撃型のデュナメスです。」
「近距離仕様じゃなくて良いのか?響歌のスタイルって…」
「響さんと同じ近距離タイプですけど、最近私勝ててないじゃないですか。近距離が向いてないのかなって。」
「そうか…」
今までの響であれば「そんな事はない」と言いたかったが、先日完敗の経験がある沙希がかなり落ち込んで居たので同じ戦いをした響歌も気持ち的にくるものがあるだろうと言葉を飲み込み、ギリギリ言える言葉を紡ぐ。
「響歌がやってみたいなら良いと思う。」
「斗真みたいに姉さんには無理だよ、辞めなって言わないんですか?」
「何事もやってみないと分からないだろ。」
そう言うと響歌が安心したのか笑った気がした。
時は流れて馴染みのゲーセンへと足を運ぶ。
「響さんと久しぶりに出かけられて嬉しいです!」
「遊びに来たわけじゃ…いや、これは遊びか。そうだな!最近は沙希といる事が多かったから響歌と2人は久しぶりかもな。」
「あれ?響じゃん!沙希ちゃんは?その子は?」
ガンプラバトルのできる筐体へ向かう途中で背後から掛けられた怒涛の質問に振り返ると懐かしい顔が2つ。
「ん?あぁ、丸岡さんと白鷺さんか。久しぶりだね。沙希は今日実家の用事で不在なのとこの子は井上響歌、俺の後輩だよ。」
丸岡の質問に全て答え会釈した響歌を満足した顔で見たのち、今度は白鷺が口を開いた。
「響が沙希ちゃん以外で女の子と歩いてるの見たの4人目かな?そろそろ引っ叩くよ?」
「響さん?」
「あー!なんだかガンプラバトルがしたくなってきたなー!」
「まぁ、この話はまた今度沙希ちゃん交えてしようか。折角だし私たちとバトルしない?」
「ホント!?ありがたい、響歌が試したい事があるみたいでさ。知ってる人なら気にせずバトルできる!」
「練習台みたいになってしまってすみません!」
「気にしないで!久しぶりに響とバトルできるの楽しみだし!」
そう言うと4人は筐体を真ん中に挟みGPベースをセットし機体を読み取り機に置く。
≪ Damage level set to B≫
《Beginning[Plavesky particle]dispersal.Fiard1,space》
《Please set your GUNPLA》
音声に従ってガンプラを置く
《BATTLE START!》
「城戸 響、ガンダムAGE-2 神不知火。推して参る!」
「ガンダムデュナメスは井上 響歌で行きます!」
「丸岡 彩、骸弐式行くよ♪」
「白鷺 花音、クロスボーンガンダムファントム➕出る!」
ゲートから飛び出して周囲の警戒をしつつ中央は向かうと予想通り2人はこちらを待っていてくれていた。
「すまんね、待たせたか?」
「いいえ、私たちも今来た所だから大丈夫!」
その言葉と同時にガンダムAGE-2神不知火はビームサーベルをクロスボーンガンダムファントム➕はビームザンパーを取り出しビーム同士がぶつかり合い火花が散る。
何度か鍔迫り合いをしつつ響歌の方を見るといつもよりは距離が遠いが距離感の掴み方はまだぎこちなく中距離の間合いになってしまっている。
相手をしている骸弐式はSD体系なのもあって積極的に近づいてきてるのもあり遠距離の狙撃戦をする予定はないらしい。
「当たらない!」
「あー響が言ってたのはこう言うことか。沙希ちゃん見たく打ってくるのかと思えばそんな事もないわけね…」
響たちが鍔迫り合っている中、ガンダムデュナメスと骸弐式が撃ち合いを続けるがやはり普段使っている側と使ってもレールガンやアサルトライフルなどの実弾系しか使わない側では距離感の掴み方などに大きく差が出てしまい劣勢を強いられていた。
「くそ!白鷺さん折角のお誘いだけどここまでだ!」
「あら、振られちゃった。」
鍔迫り合いを続けていた2機だったがクロスボーンガンダムファントム➕の一撃を身を捩って避けると両翼のアンカーを取り出しその振りかぶっていた左手に巻きつけ動きを鈍くさせると可変形態へと移行しその場を後にする。
「響歌!大丈夫か!?」
「響さん!すみません私…」
駆けつけた響の視界に写ったのは無傷の骸弐式と左腕とGNスナイパーライフル以外の武装を失っているガンダムデュナメスだった。
「大丈夫では無さそうだな…ごめんな。」
「あれ?花音はどうしたの?やられた訳では無さそうだけど…」
「それなら申し訳ないけど振ってきた。」
「そっか〜なんか盛り下がって来たからここいらで終わりにしようか!」
骸弐式のバックパックが変形したかと思えば足に姿を変え身体などはSDだが足だけhgの半リアルモードになり、その足の装甲が開くと中からミサイルの弾頭が顔を見せそのまま放たれた。
「響歌!俺の事は構わず自身の身を守る事だけ考えろ!」
(相方が沙希だったならこの辺りでスナイパーライフルの長距離狙撃でミサイルを撃ち抜いてくれてたのにって思うのは無いものねだりだな!)
骸弐式による脚部ミサイルによる一斉射を響歌の事も守りつつドッズトリアイナや頭部バルカンで潰していくが調整途中で持って来てしまっていたためDファンネルやドッズビームランチャーを部室の机の上に放置しており今回のAGE-2 神不知火は機首にトリアイナが付いている以外は普通のAGE-2より早いだけになってしまっていた。
「え、援護を!あ、違…!?」
幸いにもガンダムデュナメスの方にも向かっていたミサイルは落とせたもののガンダムAGE-2神不知火へ向かっていたミサイルは落とし切れる訳もなく等々頭部が吹き飛び更には、響歌が援護をしないとと思い打ったGNスナイパーライフルの一撃は狙っていたわけではないがガンダムAGE-2神不知火の右肩を貫き持っていたドッズトリアイナを落としてしまう。
「今度はまた違う心境の時にバトルしようね〜」
「響さん!?」
響歌の声。
(あぁ、自信をつけさせるためのバトルだったのにな…)
そう思った響の視界はいつの間にか帰って来ていたクロスボーンガンダムファントム➕のザンバスターのビームに塗りつぶされていた。
スクリーンが溶け機体を回収し丸岡たちと別れた後、響と響歌は再び部室へ戻っていた。
「なぁ、響歌。今回のバトルだけど…」
「はい…」
いつもの響歌よりも小さな声が辛うじてだが返ってくる。
「多分近接だと迷惑が掛かるから沙希みたいで支援がしたくて後ろに回ってくれたと思うんだけど、支援って相手の動きや味方の動きが分かってる奴が向いてるんだ。」
「分かってる、か…」
再び小さくだが先程とは違うしっかりした声が続く。
「私、また前に出てみんなに迷惑が掛かったらどうしようって考えちゃってだから後ろに下がろうと思ったんです。」
「今思い返すとめちゃくちゃダサいですよね。」
「ダサくは無いと思うよ。」
その声に響歌が若干上目遣いにこちらをみる。
「負けるのは普通だし、それで考えて行動してくれたって事だろ?」
そして響歌から視線を外して続けて発言する。
「ただ…さっきのバトルは無理して沙希の真似をしてた気がして響歌っぽくなかったと俺は思う。」
「そうですね…」
しばらく沈黙が続き、体感だが10分ほど経ったのち響歌が少し笑う。
「でも…」
響歌が顔を見上げて響の方をはっきり見つめながら
「やっぱり私、近距離の戦い方が好きなんだなって!」
その言葉はバトル前よりもずっと本心から喋ってるんだと感じ取れるものだった。
仕事が忙しかったり自身のメンタル的な問題もあり約半年ほど空いてしまいましたが第17話です!
今回は響歌回でした。
そろそろ地区大会編に入ろうと思ってます!
今回の機体紹介!
骸弐式
武装:ビームザンパー、ザンバスター、ビームサーベル×2、ビームガン×2、脚部ミサイル
SP:リアルモード
前作でも登場した丸岡 彩の使用機体でクロスボーンガンダム×2をSD化させた物で零丸を参考にしているので同様にリアルモードへの変形が可能となっている。
SDが基本なため粒子消費量はhgと比べて少ないため活動限界時間が圧倒的に多く相手の粒子切れを誘い相方の白鷺 花音の機体に一撃で仕留めてもらう戦法を取る事が多いが、別に1人で戦うのが苦手という訳でもなくリアルモードに変形し戦う事もある。