ガンダムビルドファイターズ Re:Spelled 作:セルフィア
次の日の部活は部員が全員集まっていた。
「んじゃ、来週に迫った地区大会に向けて打ち合わせでもしますか。」
「今回は去年と同じで1〜2回戦はシングル、3〜5回戦がダブルスだったよな?」
「そうですね…後は同じ人が連続して出れないというのもありますね…」
響→拓哉→沙希の順番で発言した内容を斗真がホワイトボードに書き出す。
「なら今日は1〜2戦目のシングルの練習でもするか。」
「そうだなぁ、ここ最近ダブルやトリプルの練習ばかりしてたもんな。丁度いいか。」
「ならまずは斗真と…」
「僕ですか?」
急に指名を受けた斗真が驚く。
「姉さんじゃなくてですか?」
「ん?」
吊られて響が視線を向けると、当の本人が先に口を開いた。
「私は今回はパス!」
「パス?」
「うん」
響歌は笑いながら頷く。
「今はバトルよりちょっと見えてきたものがあるから、そっちを優先したいんだよね。」
「見えてきたもの?」
「戦い方とか、機体とか」
作業机の上に置かれたノートをヒラヒラさせていた。
「だから今はそっち優先」
「新しい機体でも考えるのか?」
響が不安そうに尋ねる。
「考えるじゃなくて作ってるんです!」
響歌が自信満々に言い切った。
「今度はちゃんと私らしいやつを!」
「そっか…」
そう呟いた響の表情には安堵が感じられた。
「じゃあ今回は見学か」
「うん」
そう言った響歌の表情には、昨日までの雰囲気はあまり見えなかった。
「そう言う事なら…」
2人のやり取りを見ていた斗真も小さくうなづく。
双子だからか、姉に何かしらの変化が訪れた事は何となく分かっているようだ。
直後、響のスマホに着信が入る。
「お?誰ですかっと…タイミング良すぎじゃないか?」
「城戸先輩どうしました?」
「斗真、この前言ってたアーマーが完成したらしい。」
〜〜〜
「やぁ、久しぶりだね。そして、初めての人もいるから軽く自己紹介を。僕の名前は十六夜 翼。かつてこの部室で機体調整とかをさせてもらっていた者だよ。響くんの機体も何体か担当させてもらっててね。」
「響さんの機体を!?全部自分で作ってたのかと!」
「僕が卒業してからは自分で作ってたけど、その後も武装案とかシステム系は送らせてもらってるよ。」
「そうですね、最近で言うならドラグニティストライクが当てはまるかな。」
「やっぱりあれはそうだったんか、あんな複雑なシステムだ。お前が単独で考えられる訳ないもんなぁ…」
「五月蝿いな!そ、それより例の物は!」
「2人は変わらないな…さて、これだよ。」
翼が手に持ったケースを開けると見覚えのあるカラーリングのアーマーが姿を現す。
「これが、僕の新しいアーマー。」
「装備の仕方はこの前渡したバルバトスと同じだから、問題ないはずだよ。」
「ありがとうございます!」
「礼を言うにはまだ早いよ、データが取れてないからね。」
「それなら、データ収集も兼ねて相手はそうだな…」
部員全員を見渡した上で隣に座る男を指名する事にした。
「拓哉、頼めるか?」
「ん?構わないけど、お前じゃなくて良いのか?」
「良いんだよ、俺だとバンダースナッチの事を知りすぎてるから試運転にならない。」
「そう言う事なら俺が適任か。了解。」
拓哉が立ち上がりながら同じようなタイミングで立ち上がった斗真に声をかける。
「そう言うわけだ、斗真。よろしくな。」
「よろしくお願いします!」
2人は筐体を真ん中に挟むとGPベースをセットし読み取り機に機体を置いた。
《Beginning[Plavesky particle]dispersal.Fiard4,sity》
《Please set your GUNPLA》
音声に従ってガンプラを置く
《BATTLE START》
「安藤 拓哉、クァンタムセグエンテ改。飛び立つ!」
「井上 斗真、コアガンダム。行きます!」
ゲートから飛び出したコアガンダムが近くのビルの隙間に降り立つ。
「ドッキングゴー!クロスアップ、バンダースナッチ!」
コアガンダムに少し遅れて射出されたバンダースナッチアーマーが分離し足回りからコアガンダムに装備されていきドッキングを終える頃には、響達なら一度は戦った事のある機体によく似た姿が現れる。
「おぉ…めちゃくちゃ見覚えあるな…」
「そうですね…懐かしいです…」
ドッキングを終えたとほぼ同時刻に正面からクァンタムセグエンテ改が姿を表し、ブーストを噴かしつつ手に持った強化型GNビームライフルを撃ち込んでくる。
響なら斬り込みにいく距離でも斗真は冷静に撃ち込まれたビームを回避し同じようにビームライフルで返していく。
その後もお互いにビームライフルによる撃ち合いをしながらも斗真は機体性能を確かめるように動き出す。
「へぇ…」
対戦している斗真にだけ聞こえるように拓哉が笑う。
「中々にやりづらいな。」
「ありがとうございます!」
「褒めてねぇって。」
軽口を叩きながらもその動きは真剣そのものだった。
「なら…コイツはどうだ?トランザム!」
クァンタムセグエンテ改の放出粒子量が増加し紅い残像と化し速度が跳ね上がる。
「やっぱり早い!」
斗真が安全のために後退していくが急な制動にもバンダースナッチガンダムはなんなく応えてくれていた。
今もなお撃ち込まれているビームを回避しつつビームサーベルで鍔迫り合い反撃の機会を探る。
「耐えるな…」
「僕の想像以上だ。」
戦闘を外部モニターで見ている響と翼がボソッと呟いていた。
「乗ってきたな!なら、もう一段階ギアを上げるか!トランザムエクスプロージョン!」
クァンタムセグエンテ改の両肩のGNドライヴから勢いよくGN粒子が吹き出し翼のような形となる。
「拓哉のやつ、本気じゃんか…」
思わず響が呟く。
いつもの斗真ならどうにか回避しようと模索していただろうが、不思議とクァンタムセグエンテ改の正面に両足を地につけてバックパックの砲身の照準を合わせていた。
「お願いします!撃ち鳴らせ、アスタロト!」
「エクスプロージョンバースト!」
クァンタムセグエンテ改の両肩のGNメガランチャーが最大出力で放たれ周辺のビル群を塵と化しつつ向かっていき対するバンダースナッチガンダムからもバックパックの砲身にチャージが始まったと同時に放たれぶつかり合った瞬間に爆発が起き黒煙が立ち昇る。
残り時間はもう1分も残っていない。
両機共に使える最大火力は使っており細かい損傷が目に見えるようになっていた。
「なるほどな…なら…」
サブアームから伸ばしたGNバスターソードにGNドライヴから吹き出していた粒子が収束していく。
「拓哉のやつ、まさか…」
その光景を見ていた響が目を細める。
「試運転はこれで終わりだ。」
「そうですね。」
バンダースナッチガンダムもバックパックから対艦刀を振り抜く。
お互いにブーストを噴かしそれぞれの獲物を振りかぶろうとしたその瞬間。
[TIME OUT!!]
スクリーンが強制的に解けお互いの機体はコテンとフィールドに落ちる。
「あっ。」
斗真が小さく声を漏らす。
「あっぶねぇ…」
拓哉も同じように小さく声を漏らす。
「え?」
「後もう少しあったら危なかったかもしれん。」
機体を回収しつつ拓哉は笑っていた。
「拓哉、お前ノヴァ使おうとしてたろ?」
「バレてたか。」
「長い付き合いだからな。」
響と拓哉がお互いに笑う。
「斗真、良かったぞ。」
「ありがとうございます!」
「まるで動きが違ってた。」
その言葉に斗真は静かにうなづいた。
地区大会までもう時間はないがその日は確かな手応えがあった。
第18話更新です!
前話は姉回でしたが今回は弟回になります!
地区大会に向けて各自新しい機体や武装を作るみたいです。
今回の機体紹介!
バンダースナッチガンダム
武装:ビームライフル、ビームサーベル×2、高出力ビーム砲「アスタロト」、6連ミサイル
SP:分離:合体
響たち3年生組には馴染み深いかつての部長の今井 木乃香の愛機であるバンダースナッチストライクをアーマー化した物。
作成は1番バンダースナッチの事を知り尽くしている翼が作成した物で、出力などが今までのアーマーの中で高火力高軌道を誇っており長時間の戦闘には耐えられないため短期決戦が望まれる。