【完結】空の記憶   作:西条

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 短編 ゴミ箱から出てきたくしゃくしゃの紙片

 はじめまして、秋。そして、お誕生日おめでとう! ジェームズはいっつもやることなすこと無茶苦茶だ。しかもシリウスったら、あれは僕も腹抱えて笑っちゃった。ごめんごめん、怒らないでよ。でも、秋。僕らは君を歓迎するよ。これから、よろしくね。

 

 

 お誕生日おめでとう、秋。君と出会って二回目のバースディだ。君はピーターに似てると思っていたけど、この一年付き合ってきて違うということに気付けたよ。今年の悪戯仕掛人の力作、楽しんでもらえたかな? ふふっ。

 

 

 誕生日おめでとう、秋。君は僕の、いや、僕らの共犯者だ。僕を受け入れてくれて、ありがとう。僕を見抜いてくれて、ありがとう。これからも共に、罪を重ねていこうじゃないか。君がいてくれて、よかった。心より、祝福を。

 

 

 ハッピーバースディ、秋。最近、よく沈んでいる君を見かけるよ。君は誰にも気付かせていないと思ってるだろうけど、僕らを舐めちゃいけない。君に関することじゃ、ジェームズの目ざとさは天下一品なんだから。今は無理でも、そのうち打ち明けて欲しい。僕が、君にそうしたように。

 

 

 誕生日おめでとう、秋。やっと「忍びの地図」が完成した。僕らの青春の象徴だ。君は何よりも功労者だ。レイブン、僕に「ムーニー」と名付けてくれて、ありがとう。手を取ってくれて、ありがとう。

 

 

 誕生日おめでとう。君にこれを言うのも何度目だろう。今度君に会ったら言おうと思っていたんだけど、ジェームズとリリーが付き合い出したんだ。君からもおめでとうを言ってあげて欲しい。多分、二人とも、とっても……喜ぶはずだから。

 

 

 ハッピーバースディ、秋。卒業したら途端に会えなくなってしまったね。「不死鳥の騎士団」の集まりくらいか。闇祓いは、やっぱり忙しい? 君に笑顔をあげようと、僕ら悪戯仕掛人からのささやかなプレゼントだ。卒業したって、悪戯仕掛人は何も変わってないよ。

 

 

 秋、お誕生日おめでとう。最後に会ったのは、ジェームズとリリーの結婚式の時だったね。少し痩せたんじゃない? ちゃんと食べてる? 君は夢中になると、平気で睡眠も食事もぶっ飛ばすからね、心配なんだ。リリーの手料理は中々上達してきたよ。新婚生活を邪魔するのも、親友の大切な務めさ。

 

 

 お誕生日おめでとう、秋。ハリーを抱き上げたときの君の笑顔は、久しぶりに晴れやかなものだったね。まさかジェームズが、僕らの中で一番にパパになるなんて、信じられるかい? 暗いニュースばかりが報じられる中、ハリーの誕生は、僕らの光だ。……っと、君の誕生日祝いなのに。おめでとう、秋。

 

 

 誕生日おめでとう、秋! ジェームズは気が滅入ってるようだ。家に何日も監禁されっぱなしで……僕やシリウス、ピーターがちょくちょく見舞いに行ってはいるんだけど、やっぱり不満は溜まってるみたい。たまには君も顔を見せてあげて。……久しぶりに、君に会いたいよ、秋。

 

 

 秋、誕生日おめでとう。……たとえ君が祝う気にならないとしても、僕は変わらず言うよ、おめでとうを。……この一年で、いろんなものが変わってしまった。最後に残ったのは、僕と君の二人だけだ。秋……君は、もしかして、リリーのことを……いや、止めておこう。身体に気をつけてね、秋。

 

 

 秋。お誕生日おめでとう。君がそう決めたのなら、僕は何にも言うまい。……悲しそうな顔をしないでよ、ひとりぼっちは慣れてるんだ。君の『願い』を、どうか叶えてくれ、秋。君にとって彼は、僕にとってのジェームズみたいなものだったんだろう? ……なら、諦めるな、秋。

 

 

 もう君に届くことはないと分かってるけど、それでも毎年書くのは何でだろうね、秋。お誕生日おめでとう。君は今、何を思い、何を考え、日々を過ごしているのかな。僕らの『願い』、『ハリー・ポッターを守ること』──分かってる、少しの別れだって。でも、秋、僕は──君に会いたいよ。

 

 

 秋、ハッピーバースディ。君は今、12歳くらいかな。ちょうど、僕らと初めて出会った時か。君は写真を撮られることが嫌いだったから(魂を抜かれる、なんてそんなことあるわけないだろ!)、君の写真はあのときの一枚しかないんだけど……目を閉じると、当時の君を思い出すよ。……戻りたいあの頃を。

 

 

 お誕生日おめでとう、秋。君の、僕を見て驚いたあの表情、なかなか傑作だった。しばらく、君を──アキを、見ていたいな。君が願った象徴、アキ・ポッターという1人の少年を。……久しぶりに、生きているって思えるよ、秋。ホグワーツとは不思議なところだね。

 

 

 秋。お誕生日おめでとう。君は自分の誕生日を祝わないだろうから、君の代わりに僕が、皆の分まで祝おう。秋。秋。──幣原秋。生まれてくれて、ありがとう。生きていてくれて、ありがとう。君の存在が、僕をこの世に繋ぎ止めている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──秋。

 

 それも全て、君の願いを叶えるため? 

 

 君の思惑が見えない。

 

 君は。

 

 どうして■■■を突き放した。

 ■■■■■■■は、君の生きる希望じゃなかったのか。

 

 信じられない。君は。

 

 ──世界を敵に回すのか。

 

 

(ゴミ箱から出てきたくしゃくしゃの紙片より)

魔法連載主人公、どちらが好き?

  • 親世代主人公(幣原秋)
  • 子世代主人公(アキ・ポッター)
  • その他(イチオシの子がいましたら……)
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