鬼のいる間に平穏を   作:秋一文字

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初めまして。一文字と申します。
頭ん中にアークナイツのネタが迸って来たのでつらつらと。
危機契約が遅々として進まにゃい…。


一話

龍門近衛局の休憩室。無機質な部屋に幾つかのソファや家具があるだけの簡素なこの場所で、吸っていたタバコの紫煙をゆっくり吐き出す。

 

「あれ、分隊長?」

 

座っているソファの後ろから、聴き慣れた声が耳に届く。振り返ってみると、意外そうな表情をしたループス族の青年がいた。

 

「おぉ、PC682913じゃねぇか。なんだ、何か用か?」

「いえ、分隊長が此方にいらっしゃるとは思ってませんでしたので。今日は非番では?」

「あー…。そうだったんだけどな。ウェイ長官から直々に呼び出し食らったんだよ。」

「…また何かしでかしたんですか?」

 

またとはどういう事だろうか。まるで俺がトラブルメーカーみたいな言い方じゃないか。

いやまぁ、たまに建物壊すよ?でもあれちゃんと理由あるからね?こないだのアレも粘着爆弾とか凶悪極まりない武器使ってるシチリアン供が悪い。

だってそんな方法で攻撃してくるとは思わないじゃん。寧ろビル一棟で済んだだけ御の字だと思うんだ。

 

「違ぇよ。今日の10時にロドスの奴等が来るから、俺に部屋の警護しろっつー仕事。」

「…製薬会社が我等龍門に何を?」

「下っ端の俺が知るかよ。もしかしたら医薬品のセールスかもな。」

「いやそんな事でわざわざ長官が対応される訳ないし分隊長かなり上の方じゃないですか…。」

「冗談だよ。」

「知ってます。」

 

ふと壁に掛かっている時計を見てみると9時20分を指していた。そろそろ向かうか?…これ吸い切りたいなぁ…。

ウェイ長官はそこまでだがチェン隊長は時間に滅茶苦茶煩いんだよなぁ。…うん、やっぱ行こ。

タバコの火を消して灰皿に入れ、ソファ横の壁に立て掛けた二つの盾に手を掛けつつ、名残惜しそうに重たい腰を無理矢理立ち上げる。

 

「んじゃ、俺は行くわ。また飲みにでも行こうや。」

「ええ是非。分隊長、お疲れ様です。」

「おう、お疲れ。」

 

盾同士を接続させ一つにし、片手を空けて休憩室のドアを開ける。

面倒くせぇけど仕事だしなぁ。…あ、休日手当出んのかな。いや出てもらわんと困るけど。

 

 

ーーーーーー

 

 

眼下に龍門の街並みが見える廊下を歩いていると、総督室の前に二人、話をしているのが見えた。

枝分かれした緋色の二本角。同じ緋と白のツートンの長髪。低いのによく通る特徴的な声。

厳しく、慎重な龍門の最高権威ウェイ・イェンウーその人が対面に立つ鮮やかな緑髪を靡かせ、独特な形をした盾を持ったひどく長身な鬼族の女性ーーホシグマと何か打ち合わせをしているようだ。

 

「おお、来たかツチグモ。休みなのに済まないな。」

「いえ、お気になさらないで下さい。」

「ありがとう。ホシグマには今しがたもう伝えたが、直ロドスからの者が来る。迎えにはチェン隊長が向かっているので、君達にはこの部屋の警護をお願いしたい。彼女が連れて来る者、それ以外は誰も通さないように。」

「了解致しました。」

「では…。」

「そちらにいるのはミスター・ウェイとお見受けしますが。」

 

突然の声に振り返ると、そこには黄緑がかった髪と服装をしたフェリーンかヴァルポ族らしき女性が立っていた。

 

「何者だ。此処は関係者以外立入禁止の筈だが。」

「失礼しました。私はケルシー。ロドスの者です。」

 

そう言って、ウェイ長官の前に立ち塞がった俺達に、ケルシーと名乗った女性はIDカードを見せて来る。それには確かに、『ロドスアイランド ケルシー』と書かれていた。

 

「付き人が居たはずだが。」

「ご遠慮願いました。迎えの方はロドスの代表に付いて頂こうかと思いまして。」

「つまり君が先駆け…交渉役だと?」

「はい。」

「それを信じろと?」

「信じていただくしかありません。」

 

その言葉を最後に、ウェイ長官とケルシーと名乗った女性は黙った。盾の接続をいつでも外せるように準備しつつ、成り行きを見守る。すると、さほど時間も掛からずウェイ長官が口を開いた。

 

「分かった。ケルシー君と言ったね、中へ。二人とも、この方は特例だ。お通ししなさい。」

「「はっ。」」

「ありがとうございます。」

 

怪しいには怪しいし、正直通したくないが他ならぬウェイ長官本人が判断されたのだ。俺達のそれ以上の判断は邪魔になるばかりだろう。

盾を下ろし、客人と判断されたケルシーに道を譲る。

彼女は俺達の間を抜け、ウェイ長官と共に総督室に入って行った。

 

「では二人とも、よろしく頼むよ。」

「「はっ。」」

 

総督室の扉が閉められ、再び辺りが静寂に包まれた。俺達は互いの持ち場…扉の両脇に立ち、盾の下部を地面に付けた。

 

「…ー……ーー…。」

「ーーーーー。」

 

中から二人の声が聞こえて来るが、出来るだけ耳を傾けないようにする。正直めっちゃ気になる。

 

「意外だな、ツチグモ。」

「あ?」

「お前、今日非番だっただろう?休みには絶対に動かないお前がこの仕事を引き受けるとはな。」

「うっせ、長官直々じゃなきゃ来ねぇっての。」

「ははっ、そうだろうな。」

 

小声で同僚と談笑しつつ、廊下から見える龍門の街並みに目を向ける。

華美、忌避…様々な形容詞を交々させた結果生まれたようなこの国。ふと明るい部分から目を離せば、スラムが映る。港を向けば、警備隊の光やロドスのものと思しき移動都市が見える。

鉱石病、感染者…日々増えるそれ等を駆除する事は出来るのだろうか…。

ロドスアイランドが何をもたらすのか。目的は何なのか。…………。




はい、っつー訳で原作なら二章の始まりからになります。
考証のために滅茶苦茶ストーリー読み込んでwiki参照しまくったのはここだけの内緒話。
続きはのんびり書いていきます。
さぁ、バグパイプ育てなきゃ。
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